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王城では、

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サラティア王城

「なんてことをしてくれたんだ!!
ローザリン嬢との婚約を勝手に、それも大勢の人がいる前で破棄しただと!
お、お前は何をやったかわかっているのか!!!
しかも、子爵令嬢を横に置いてなどと……!!」

そう怒鳴った壮年の男性。
この男性はサラティア国の王だ。

王に怒鳴られているのは、もちろんばk……第一王子のアレクサンドルである。

その部屋には王妃もいて、第二王子は外交のため、この部屋にはいなかった。

怒鳴られたアレクサンドルは、なぜ自分が怒られているのか、分からないしなぜ怒られないといけないのかと、思いそれが顔にもでている。

第一王子とあろうものが表情を簡単に出すなど、呆れたものだ。

「父上!
俺はあの悪女が王妃にならないように、阻止したんですよ!
なぜ怒られないといけないんですか!
それにリリアナはとても素晴らしい女性です!
リリアナこそ王妃にふさわしいのです!!
あんな売女など、比べるまでもありませんよ。」

まるで当たり前かのように話す馬鹿。
王がより怒り、正妃の眼差しも冷ややかになったことに気づきもしていない。

「お前というやつは……!!
誰が悪女だと!?ローザリン嬢のどこが悪女だとお前は言うのだ!
賢く、立派な淑女だ!
その上、売女だと!?
そんなことローザリン嬢は何もしていないではないか!
もしや…それを本人に言ったりなどしてないだろうな?」

「あいつはリリアナに嫉妬して、リリアナを苛めました!
そんな女が悪女ではなくて、なんというのですか!
はっきりと本人にも、言ってやりましたよ!
図星をさされたようで、怒ってましたよ!
やっぱりあいつは売女だったんだ。」

それを聞いた瞬間王の顔から血が引き、青くなった。

すると、次は横にいた王妃が口を開いた。

「あなたは、なんて失礼なことを言ったのです!
そんなことを言えば誰でも怒るに決まっているでしょう。
そんなことも分からないほど、愚かなのですか!
あぁ、ローザリン嬢にはこちらから縁談を打診したのに、なんてこと。
す、すぐに謝罪しなければ……。

それに、売女というならあなたが不貞を行った、子爵令嬢の方でしょう…!
婚約者がいるものに色目を使って回るなど、恥も知らない方なのですね。
あなたも、そんな女にころっと騙されて。
自分を棚に上げてローザリン嬢を責めるなど、恥知らずもいいとこです!
あなた達が王と王妃ですって?
笑わせないでちょうだい!
そんなことできるわけないでしょう!
そんなことになれば、この国は終わってしまうわ!」

王妃はそう言うと蔑むように王子を睨み、疲れたように椅子の背にもたれかかった。

王はそれを見て、王妃を心配そうに気遣っている。

しかし、王子が空気を読めるわけがなく……

「母上!?なぜ謝罪など!
そんなことする必要はありませんよ!
それに、いくら母上といえどリリアナを侮辱するなど許しません!
恥知らずはあの女の方です!
なぜ、母上まであの女と同じことを言うのですか!?
国が終わるなど……そんなことありません!
きっといい国になります!」

と、ドヤ顔で言い切った。

王は、怒りすぎて血管が切れそうだった。

「この馬鹿者がっ!
お前はパーティーでローザリン嬢を侮辱したあげく、勝手に国外追放だ死刑だなどと言ったそうだな!
その上、衛兵に捕らえて地下牢に入れようともしたそうだな!?
お前ごときにそんな権利があると思っているのか!!
そんなこともわからん奴がいい国にする?
国を治めるのは、お遊びではないのだぞ!
そんな甘い考えの、愚かなやつに国を任せる訳がなかろう!」

王子は目を見開いて驚き、顔を真っ赤にして、抗議した。

「なっ!なぜです父上!!
俺は第一王子です!無礼者に罰を与えるのは当たり前でしょう!
それに、あいつはそれくらいされてもいい女だ!
それに俺がこの国を継がないで誰が王になると言うのですか!」

「ええい!黙れ!
あぁ、あと子爵令嬢の言ったことは全部嘘だ。
いじめなど受けていない。
それに、ローザリン嬢は同盟の使節として、2ヶ月程他国にいた。
わたしの命でな。これでわかったか?
自分がいかに愚かなことをしたのかを。
お前は彼女に何をされても文句は言えんのだぞ?
そうだな、お前が死刑になっても。」

馬鹿な王子はローザリンの無実の部分、自分に都合が悪いことは聞き流した。

「あの女が俺を死刑などにできるわけがありません!
それに、もう少ししたら泣きついてくるのでは? 」

王はそれを聞き呆れ果ててながらも、「なぜそう思う」ときいた。

すると、王子は自信満々に大きな声で言った。

「あの女は俺を愛してるからですよ!
だからリリアナにも嫉妬してあんな醜いことをしたに違いありません。」

それを聞いて王も王妃も、その自信は何処から来るのかと絶句し呆れ果てた。

そして、見放した。

「「それはありえない(わ)」」

「ローザリン嬢はお前を愛してなどいない。
義務感で婚約者をしていただけだ。
それに王家からの打診を蹴れないだろう。
だから、お前に嫉妬などありえん。
それともお前はそんな価値が自分にあると思っているのか?
お前にそんなものがあるわけないだろう。
あと、お前は王位継承権と第一王子は剥奪だ。
王家とも縁を切る。
お前は敵に回してはならない一家を敵に回したのだ。
下手をしたらこの国は多大な損失を被る。
お前は部屋で反省しておけ!
衛兵!この馬鹿を部屋に叩き込んでおけ!」

「「はっ!」」

王はそう言うと、王妃を連れて部屋を出ていく。

馬鹿王子が喚いているが、無視して出ていく。

「離せ!俺を誰たと思ってるんだ!
無礼だぞ!!
父上!母上!!
くそっ、離せと言ってるだろう!?」

「我々は陛下のご命令でしか動きませんので。」

馬鹿王子はズルズルと引きづられて、ちょびっとだけ丁寧?に部屋に叩き込まれた。

王子の部屋は、逃げられないよう、どこも頑丈に補強してあり、扉も鍵をしめ、窓も柵をつけている。

しばらく馬鹿王子の部屋からはわめき声が聞こえていた。




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