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報告

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私は家に帰りつくと、すぐに父の書斎へ向かった。

「お父様、ローザリンです。
今、よろしいでしょうか。」

「あぁ、いいよ。お入り。」

私が部屋に入ると、父は書類仕事をしていたようだ。

「お父様、先程学園のパーティーで殿下に大勢の前で婚約破棄をされました。」

がたっ

「な、なに?!それは本当かい!?」

「はい、私みたいな愚かで、悪女で、売女で、優しくなく、醜い女。ではなく、優しくて可愛らしいらしい(笑)子爵令嬢と不貞をしたあげく、婚約するそうです。
その上、私はその子爵令嬢を苛め、階段から先月突き落としたり、男を雇って襲わせたりしたそうですわ。
そして、私が否定をし、あまりの侮辱に事実を言い返して差し上げたら、私は国外追放か死刑だそうです。」

私は淡々と色々省略して、伝えた。

お父様は私でもぞっと背筋が凍るほどの怒気と殺気を出して怒って……いや、激怒している。

あ、これあの馬鹿王子とこの国詰んだな(笑)

「あの、糞ガキが!!
大勢の前で婚約破棄だと?
しかもローザリンに売女?愚か?醜いだとぉ!!!
何たる侮辱だ!!」

「あ、あと子爵令嬢も私を名前でしかもさん付けで呼ぶあげく、自分が原因なのに私を叱ってきましたわ。
あと、苛めはあの女の嘘と自作自演ですわ。
あの女に骨抜きにされ、罪を認めろとかその場で土下座、膝と頭を地面につけて謝罪しろなどと、侮辱してきた男もいましたわ。
リードリア公爵次男と内務大臣の息子と騎士団長の息子ですわ。
あと、お父様迷惑をかけてごめんなさい。」

私はちょっとこれ以上怒らせるのは怖かったが、そのことも報告しておいた。

すると、父は大激怒。ブリザードでしたわ。

「子爵令嬢ごときがしかも不貞を働いたやつが、公爵令嬢をさん付けで呼ぶだと?
売女はこいつじゃないか!
ほかの奴らも許せん!
あいつらたたじゃ済まさん!!
ローザリンもそんな奴らに侮辱されて辛かったろう。よく頑張ったな。
ローザリンは何も悪くない。
悪いのはその糞ガキどもだ。」

おぉ、怖い。

いやーにしても、ほんと、乙女ゲームみたいな展開だったな~。

あの馬鹿王子が子爵令嬢に骨抜きにされたと聞いた時、乙女ゲームの悪役令嬢みたいに、婚約破棄や断罪されたりして(笑)とか思ってたら、ほんとになったから驚いたし笑ったわ。

ほんとにやりやがったわ(笑)

ん?なんで乙女ゲームを知ってるのかって?

そりゃ、前世の記憶があるからだよ。
私の前世は地球の日本人で、こちらで5歳くらいで前世を思い出した。
ま、こんな感じ?

まあ、よしっ!これで心置きなく国外にいけるな~。
楽しみで、ドキドキワクワクが止まりませんわ!

あーやっぱりときどきお嬢様言葉になるの直して行かないとだよねー?

だってこれからは国外で平民の冒険者になるんだし。

「お父様、私は国外に行きたいですわ。
同盟とか、そのほかにもいろいろとこの国に貢献したのに、この仕打ち…。
もうこの国にはいたくないですわ。
あ、私は家事とかも出来ますから国外でも生きていけますわ!」

私は胸を張って、お父様にそう宣言した。

すると、お父様は少し考えた後真っ黒なそして、悪そうな笑顔で、

「いや、もう一家全員で国外へ行こうか。
この国には愛想が尽きた。
王子の躾もできないなど笑止千万。
爵位は返して、他国へ移り住もうか。」

えぇ!!マヂですか。
なんと家族で移り住みます!

なら、お母様とお姉様とお兄様にも教えなくちゃ!

善は急げだよね!

「お父様、ありがとうございます!
大好きですわ!
早速みんなに伝えてきます!」

そう言って部屋を出てリビングへ。

リビングには、やはりみんないた。

「お母様、お姉様、お兄様。
実は今日馬鹿王子に婚約破棄をされ、とてつもない侮辱を受けました。
お父様に報告したら、大激怒でこの国を出ていくとの事です。
あの、迷惑をかけてごめんなさい。」

「「「ローザリンは悪くない(わ)!」」」

3人は揃ってそう言ってくれた。
あぁ、ほんとに家族に恵まれたなぁ。

「で、詳しく教えてくれるかい?」

お兄様が尋ねて来たので、私はあったことを細かく話した。

「実はパーティーの中央に呼ばれて、婚約破棄をする!と言われ…(省略)


私が話終えると3人は絶句し、少しすると静かに大激怒していた。

「ローザリンお父様にも、ここまで詳しく話たかい?」

「いいえ、省略して話しましたわ。」

「あぁ、やっぱりか。後で細かくは僕の方から話しておくよ。」

「ローザを売女、愚か、醜い、悪女、嘘つき、無礼……?
ふふふ、あらあらほんとに見る目がない馬鹿ですわね。
わたくしの妹はこんなにも、誠実で賢くて綺麗で、いい子で、正直者で、礼儀正しいのに。
あの馬鹿の言葉は全部子爵令嬢にぴったりだわ!
ふふふふふふふふ。
ローザへの侮辱、どう返してあげようかしら?」

「ほほほ、本当にそうね。
舐めたことをしてくれるわね。
お父様が言うようにこんな国捨てましょう。
でも、あれらにはなにかしないと気がすまないわね?
どう調理しましょう。
うふふふふふ。」

や、やばい。お姉様もお母様も今まで見たことないくらい怒ってる!!
笑ってるけど目が笑ってないし、持ってた扇子がべきべきいってる!!

あ、お兄様は……っひ!!

「あのくそ男、絶対に死ぬよりも辛い目に合わせてやる。
あと、その女も舐めたこと言ってるんだよね。
ローザの方が絶対可愛いし、賢いし。
あぁ、自分がついた嘘をほんとにしてやろうかな?
水いや、氷水と熱湯かけて、服を破いて大勢に見られるようにして、教科書の代わりに髪を切る、それか引き抜くか?
で、男達に襲わせるか。
あぁ、今すぐこの領地の特産は無くそうかな?
あんな奴らのためになるようなことしたくないし。
うーん、でも領民達のことも考えないと……いや、次のやつがろくなのじゃなければ意味が無いか。
どうせなら独立して国作るか?
それが手っ取り早いかもな。」

や、やばい、お兄様が一番やばかった!!
うん、お兄様はとても頭が良くて回転も速いから、敵に回したくないな。

ガチャ

「おやおや、ミリアンナもカイルもシャーロットも落ち着きなさい。
気持ちは分かるけど、ローザが怯えてるじゃないか。」

た、助かった!お父様が来てくれて良かった。
私も腹がたってたけど、他の人がキレてるの見たらなんか冷静にというか、落ち着いちゃうよね。

はぁーみんな怒らせるのイクナイ。(ガクブル)

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