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第4章 魔法使いの第一歩
第16話 光れ私の灯火魔法
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朝。
どうしても起きたくなるまで目をつむって頑張った後、諦めて目を開けて時計を見る。
午前10時ちょいすぎ。
おお、昨日とほぼ同じ時間だ。
私、規則的な生活をしている。
この時間に起きる奴の何処が規則的な生活だ。
なんて事を世間一般から言われそうだななんてふと思う。
しかし24時間周期で生活できれば規則的な範疇だ。
少なくとも今の私の基準では。
さて、魔法陣を置いてから12時間以上経過した。
しかし時間は経過すればするほど魔法も使いやすくなるだろう。
だから最初は語学の勉強だ。
でもその前に義務の朝食。
固形完全栄養食とアイソトニック飲料のペットボトルから。
面倒だけれど仕方ない。
これが生きるという事なのだ。
多分、きっと。
◇◇◇
文法と単語を勉強し、義務的に昼食を流し込んだ後。
ついに魔法に挑戦だ。
『それでは事前準備として部屋のカーテン等をしめ、照明を暗くして下さい』
何もしなくともこのままでOKだ。
ここのところずっとカーテンは閉めっぱなし。
照明も最低限しかつけていない。
バックライト付き液晶でないと文字が読めない位だ。
『最初に練習する魔法は『灯火』です。暗い場所を明るくする魔法で、部屋の照明を点灯するようなイメージを思い描いてください』
照明が点灯するイメージか。
でも要は光だよな。
光子を発生させる方法で一番簡単なのは熱で励起させる事。
でもこれは高熱を発するから出来れば避けよう。
火事になったら洒落にならないから。
なら何か物質に熱以外のエネルギーを加えて励起状態にさせ、エネルギーとして光子を放出させればいいか。
ならちょうどいい事を前回の魔法の勉強で学んだ。
だから私は脳内に寄生しつつあるマイクロマシンをイメージしつつ呼びかける。
エネルギー操作型の魔素よ行け! その辺の物質にエネルギーを与えて励起状態にせよ!
おお、部屋中が明るく輝いた。
本当に出来るとは思わなかったがまあいいだろう。
でもこれでは照明というには眩しすぎる。
それに紫外線等、好ましくない光まで出ている気もする。
少なくとも赤外線は出ている。
これは体感で明らかに暖かいのでわかる。
危険だ。
直ちに魔法解除。
辺りは再び暗くなる。
さっきが明るすぎたから真っ暗に感じるほどだ。
どうやらやたらめったらに励起状態にさせるのはまずかった模様。
仕方ない。
素直に画面に提示してある非科学的なイメージを使う方法に移行しよう。
灯火魔法!
部屋全体がうすぼんやり明るくなった。
常夜灯の豆球よりは明るいかな程度に。
そして私自身の身体的に先程と明らかにちがう何かが感じられる。
全力で走っている時のような、疲れがたまりつつあるな感じだ。
灯火魔法の起動を解除してみる。
光が消えて暗くなった。
疲れに似た何かの感覚はそれ以上強くなる事は無くなった。
しかしその感覚そのものは残ったままだ。
『この時点ではまだ魔素《マナ》も少ないのでそれほど明るくなることはないでしょう。それでも少しでも部屋が明るくなったのなら、それは魔法を使う事が出来たという事です。
ただし魔法を使用するには魔力を使います。厳密には脳内に共生したマイクロマシンが魔法起動を指令伝達するためのエネルギーを必要とします。
このエネルギーを使用出来る量を魔力と呼びます。寄生当初は魔力が少ない為、簡単な魔法でも長く続けることが出来ません。
なお魔力を使用した事は、一般に疲れに似た感覚として感じます。疲れが限界に達したと感じた際は魔法の使用を中止してください。魔力切れで気絶する可能性があります』
つまりあのうすぼんやりした灯火魔法のせいで魔力を使って、そのせいで疲れみたいなものを感じたという事か。
それにしては最初のやたら明るいのは疲れた感覚が無かったぞ。
よっぽど明るかったのに。
少し考えて気付く。
これが魔素《マナ》の性質を考えた上で使った結果だと。
具体的に魔素《マナ》をどう使うか考える事で、魔力もより効率よく使えるのだ。
多分、きっと。
私はこれでも元理系だ。
推論は実験で確かめるべきだろう。
もう一度灯火魔法もどきを使って確認だ。
ただし今度は何でもかんでも光らせない。
励起させるのは天井にはりついているLED照明。
いや待てよ、励起状態にする必要は無いかもしれない。
単にエネルギーとして直接光子を放射させられないだろうか。
大学の教官にこんな事を言うと怒られそうだが、何せ相手は謎科学。
その気になればエネルギーを物質化可能(おすすめはしないけれど)なんて言っている位だ。
ならばと目を閉じ、意識する。
私らしい灯火魔法を。
光は電磁波でエネルギー、そして電磁波が可視光線となるのは波長がある範囲の場合だ。
理想的な白色光なら、RGB均等に光らせればいい。
だから最小限のエネルギーで光子を放射、それも波長435.5nm、546.1nm、700.0nmそれぞれ均等に!
成功だ。
部屋中に見事な白色光が広がった。
先程と違い明るすぎたりもしない。
程度を調節するイメージが私にあるからだろう。
しかもあの薄暗い灯火魔法より疲れない。
これなら結構長い時間維持できそうな気がする。
よし、以後は灯火魔法としてこのオリジナル魔法を使おう。
名付けてBGR放射。
なおBGRとは波長の短い順にブルー、グリーン、レッドと並べただけだ。
さて、灯火魔法は完璧だ。
次に練習すべきはどんな魔法だ。
『灯火魔法を起動できたなら、本日の訓練は終了です。
なお、寝る前に灯火魔法を魔力切れぎりぎりまで使いましょう。これを繰り返す事で魔力の最大値が上昇します。
本日以降も訓練する魔法が使用可能となった後は、寝る直前に魔力切れまで魔法を使う事をお勧めします』
うーん、1日目はこれだけか。
でも一応私も魔法使いになる事が出来たぞ。
それにしても『魔法使いになった』か。
大学時代の友人にこんな事を言ったらどういう反応をするだろう。
『保健管理センターに行け』
くらいは言われそうだなきっと。
いや、坂入先輩あたりなら興味を持ってくれるかも。
ただ『俺も使いたい』というような真っ当な興味では無いだろう。
怪しい測定器具を用意されたあげくモルモット扱いされるような興味だ、きっと。
一応人権とかこっちが女性だという事には注意してはくれるとは思う。
奴は自称紳士だから。
あくまで自称だけれども。
もっとも私が使えるようになった魔法は実際ファンタジーなものではない。
裏側でSF的謎科学理論が跋扈している怪しい代物だ。
そう言った実験とか検証こそふさわしいのかもしれない。
だからと言って自らモルモットになるつもりはないけれど。
さて、私の本日すべき事は終わった。
起きている時間が短すぎないかと言われそうだけれど別にいいのだ。
私は鬱で休職中なのだから。
ノルマの夕食分をいつものように流し込む。
それでは魔力を限界まで使う事にしよう。
魔力を消費させるなら効率の悪い灯火魔法の方がいい。
部屋がうすぼんやりと明るくなる。
これを出来る限り維持だ。
ベッドの上からだから走る位に疲れる魔法の起動でも実践できる。
ただ1分も経たずにかなり疲れを感じて来た。
そろそろ限界かな。
灯火魔法の起動を解除。
暗くなった部屋でおやすみなさい……
どうしても起きたくなるまで目をつむって頑張った後、諦めて目を開けて時計を見る。
午前10時ちょいすぎ。
おお、昨日とほぼ同じ時間だ。
私、規則的な生活をしている。
この時間に起きる奴の何処が規則的な生活だ。
なんて事を世間一般から言われそうだななんてふと思う。
しかし24時間周期で生活できれば規則的な範疇だ。
少なくとも今の私の基準では。
さて、魔法陣を置いてから12時間以上経過した。
しかし時間は経過すればするほど魔法も使いやすくなるだろう。
だから最初は語学の勉強だ。
でもその前に義務の朝食。
固形完全栄養食とアイソトニック飲料のペットボトルから。
面倒だけれど仕方ない。
これが生きるという事なのだ。
多分、きっと。
◇◇◇
文法と単語を勉強し、義務的に昼食を流し込んだ後。
ついに魔法に挑戦だ。
『それでは事前準備として部屋のカーテン等をしめ、照明を暗くして下さい』
何もしなくともこのままでOKだ。
ここのところずっとカーテンは閉めっぱなし。
照明も最低限しかつけていない。
バックライト付き液晶でないと文字が読めない位だ。
『最初に練習する魔法は『灯火』です。暗い場所を明るくする魔法で、部屋の照明を点灯するようなイメージを思い描いてください』
照明が点灯するイメージか。
でも要は光だよな。
光子を発生させる方法で一番簡単なのは熱で励起させる事。
でもこれは高熱を発するから出来れば避けよう。
火事になったら洒落にならないから。
なら何か物質に熱以外のエネルギーを加えて励起状態にさせ、エネルギーとして光子を放出させればいいか。
ならちょうどいい事を前回の魔法の勉強で学んだ。
だから私は脳内に寄生しつつあるマイクロマシンをイメージしつつ呼びかける。
エネルギー操作型の魔素よ行け! その辺の物質にエネルギーを与えて励起状態にせよ!
おお、部屋中が明るく輝いた。
本当に出来るとは思わなかったがまあいいだろう。
でもこれでは照明というには眩しすぎる。
それに紫外線等、好ましくない光まで出ている気もする。
少なくとも赤外線は出ている。
これは体感で明らかに暖かいのでわかる。
危険だ。
直ちに魔法解除。
辺りは再び暗くなる。
さっきが明るすぎたから真っ暗に感じるほどだ。
どうやらやたらめったらに励起状態にさせるのはまずかった模様。
仕方ない。
素直に画面に提示してある非科学的なイメージを使う方法に移行しよう。
灯火魔法!
部屋全体がうすぼんやり明るくなった。
常夜灯の豆球よりは明るいかな程度に。
そして私自身の身体的に先程と明らかにちがう何かが感じられる。
全力で走っている時のような、疲れがたまりつつあるな感じだ。
灯火魔法の起動を解除してみる。
光が消えて暗くなった。
疲れに似た何かの感覚はそれ以上強くなる事は無くなった。
しかしその感覚そのものは残ったままだ。
『この時点ではまだ魔素《マナ》も少ないのでそれほど明るくなることはないでしょう。それでも少しでも部屋が明るくなったのなら、それは魔法を使う事が出来たという事です。
ただし魔法を使用するには魔力を使います。厳密には脳内に共生したマイクロマシンが魔法起動を指令伝達するためのエネルギーを必要とします。
このエネルギーを使用出来る量を魔力と呼びます。寄生当初は魔力が少ない為、簡単な魔法でも長く続けることが出来ません。
なお魔力を使用した事は、一般に疲れに似た感覚として感じます。疲れが限界に達したと感じた際は魔法の使用を中止してください。魔力切れで気絶する可能性があります』
つまりあのうすぼんやりした灯火魔法のせいで魔力を使って、そのせいで疲れみたいなものを感じたという事か。
それにしては最初のやたら明るいのは疲れた感覚が無かったぞ。
よっぽど明るかったのに。
少し考えて気付く。
これが魔素《マナ》の性質を考えた上で使った結果だと。
具体的に魔素《マナ》をどう使うか考える事で、魔力もより効率よく使えるのだ。
多分、きっと。
私はこれでも元理系だ。
推論は実験で確かめるべきだろう。
もう一度灯火魔法もどきを使って確認だ。
ただし今度は何でもかんでも光らせない。
励起させるのは天井にはりついているLED照明。
いや待てよ、励起状態にする必要は無いかもしれない。
単にエネルギーとして直接光子を放射させられないだろうか。
大学の教官にこんな事を言うと怒られそうだが、何せ相手は謎科学。
その気になればエネルギーを物質化可能(おすすめはしないけれど)なんて言っている位だ。
ならばと目を閉じ、意識する。
私らしい灯火魔法を。
光は電磁波でエネルギー、そして電磁波が可視光線となるのは波長がある範囲の場合だ。
理想的な白色光なら、RGB均等に光らせればいい。
だから最小限のエネルギーで光子を放射、それも波長435.5nm、546.1nm、700.0nmそれぞれ均等に!
成功だ。
部屋中に見事な白色光が広がった。
先程と違い明るすぎたりもしない。
程度を調節するイメージが私にあるからだろう。
しかもあの薄暗い灯火魔法より疲れない。
これなら結構長い時間維持できそうな気がする。
よし、以後は灯火魔法としてこのオリジナル魔法を使おう。
名付けてBGR放射。
なおBGRとは波長の短い順にブルー、グリーン、レッドと並べただけだ。
さて、灯火魔法は完璧だ。
次に練習すべきはどんな魔法だ。
『灯火魔法を起動できたなら、本日の訓練は終了です。
なお、寝る前に灯火魔法を魔力切れぎりぎりまで使いましょう。これを繰り返す事で魔力の最大値が上昇します。
本日以降も訓練する魔法が使用可能となった後は、寝る直前に魔力切れまで魔法を使う事をお勧めします』
うーん、1日目はこれだけか。
でも一応私も魔法使いになる事が出来たぞ。
それにしても『魔法使いになった』か。
大学時代の友人にこんな事を言ったらどういう反応をするだろう。
『保健管理センターに行け』
くらいは言われそうだなきっと。
いや、坂入先輩あたりなら興味を持ってくれるかも。
ただ『俺も使いたい』というような真っ当な興味では無いだろう。
怪しい測定器具を用意されたあげくモルモット扱いされるような興味だ、きっと。
一応人権とかこっちが女性だという事には注意してはくれるとは思う。
奴は自称紳士だから。
あくまで自称だけれども。
もっとも私が使えるようになった魔法は実際ファンタジーなものではない。
裏側でSF的謎科学理論が跋扈している怪しい代物だ。
そう言った実験とか検証こそふさわしいのかもしれない。
だからと言って自らモルモットになるつもりはないけれど。
さて、私の本日すべき事は終わった。
起きている時間が短すぎないかと言われそうだけれど別にいいのだ。
私は鬱で休職中なのだから。
ノルマの夕食分をいつものように流し込む。
それでは魔力を限界まで使う事にしよう。
魔力を消費させるなら効率の悪い灯火魔法の方がいい。
部屋がうすぼんやりと明るくなる。
これを出来る限り維持だ。
ベッドの上からだから走る位に疲れる魔法の起動でも実践できる。
ただ1分も経たずにかなり疲れを感じて来た。
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