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第32章 学生会は卒業したけれど
169 奇人変人大集合?
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「思い出した、詩織ちゃんね。良く宮崎台先輩やルイス君と一緒に研究会荒らしをしている」
世田谷さんがそう言って、自分で頷いた。
「そんな事をしているのか」
まあしているだろうなとは、思ったけれど。
「うちの攻撃魔法研究会でも、よく暇潰しで対戦していたしね。学生会は、人数少ないけれど凶悪な精鋭揃いだし。卒業した宮崎台先輩やたまに鷺沼先輩も含めて6人組で来ていたけれど、もう容赦なく強いのなんのって。うちで倍近い人数で応戦して、戦績は1対3位でこっちの負けかしら」
「知らなかったな、そんな活動」
本当に俺は、その辺の怪しい活動内容は知らなかったのだ。
よく奈津希さんだのルイスだのが、攻撃魔法科と詩織ちゃんを引き連れて出てたのは確かだけれど。
「なんやかんやで週に1回は対戦しているかな。でも学生会連中は本当に始末に負えないのばっかりなのよ。宮崎台先輩は通常の魔法は全部中和するしそれ以外の魔法も確実に避けるし。鷺沼先輩や詩織ちゃんは空間操作魔法を容赦なく使うから動きの把握さえ困難。1年の女の子2人も、攻められるかなと思うと間違いなく片方がトラップ張って待ち構えているし。何度うちの若手が引っかかって全滅したことか。
強いて言えばルイス君が一番把握しやすいけれど、把握しやすいと攻められるは違うしね。空飛ぶは蜃気楼で分身するはやりたい放題だし」
「元学生会長として申し訳ない」
本当、何か申し訳ない。
ただ一つだけ信じて欲しい。
俺は全く把握していなかったんだ。
「まあ他流試合をやった方がうちも勉強になるし、別に悪意がある訳じゃないからいいけどね。たまに来ないと、うちの研究会の連中も寂しがるし。そうか、詩織ちゃんがあの杖の持ち主って訳か。まあ適役かな」
何かまあよくわからないが、納得してくれたようなので、俺としては一安心。
でも代わりに、その話題に食いついてくる奴もいる。
「そんな中で、長津田は学生会長をやっていた訳か……大変だったな」
「何せ先々代が氷の女王で先代が冬寂だろ。大変じゃない訳ないよな」
等々力と恩田による感想だ。
ちなみに冬寂とは風遊美さんの二つ名。由来は某SF小説の黒幕さんらしいけれど俺は知らない。
風遊美という名前と白に近い銀髪という外見、そして一見冷徹そうな雰囲気からそう呼ばれていたらしい。
俺のイメージの風遊美さんとはかなり違うけれど。
ちなみに俺のイメージで風遊美さんというと、こたつ蜜柑の感じかな。
でも世田谷さんは、悪そうな笑みで口を開く。
「でもルイス君と詩織ちゃんに聞いたわよ。本当に最強なのは、ここにいない現会長と副会長だって。それにジェニーちゃんの探査魔法を併せたら、こっちが認知する前に全滅ものだろうって」
おいおいルイス、何という事を言うのだ。
「買いかぶりですよ。こちとら魔力瀬戸際で、魔法工学科以外では入学不能レベルですから」
「でも長津田、入学当初より大分魔力増えたよなあ」
これは高井戸だ。
こいつは入学当初から、攻撃魔法科の並程度に魔力を持っている。
魔法工学科にしては珍しい学生だ。
「それに常に異常な魔道具持っているしな」
等々力に追い打ちをかけられる。
ならば仲間を売ってでも、自分の安全を確保しよう!
「確かにジェニーの魔法は、この島全域プラスα程度の範囲で悪意を持っている人間を把握できる。薊野さん……妹の方も確かに強力な魔法を持っているけれど、本人は使いたがらないし公にしていないからこの場限りにしてほしい。でも俺の魔法は、ご存知の通り審査魔法と修理魔法、物品加工魔法が基本だぜ。火風水土木氷光闇どの魔法も持っていない」
「何か北の島で、工作員の集団相手に大立ち回りしたって噂を聞いたような気がする」
新地先生まで俺の攻撃に回りやがった。
「噂は噂ですから」
「瞬間だけ現れた詩織ちゃんを瞬殺した話も、聞いているわよ」
そんなのあったっけ……ああ、去年のホワイトデーでそんな事もあったな。
「あれは工学系魔法を使える人間は誰でも使える簡単な魔法です。三半規管内のリンパ液を出鱈目に動かしてやるだけという……」
「普通の魔法工学生は、瞬間でその場所を認知して精密操作するなんて技は持っていないと思うなあ」
高井戸は要所要所で、のんびりした口調ながら厳しく攻めてくる。
よろしい、ならば戦争だ。
「それを言ったら高井戸なんて工学系以外に風魔法使いだろう。それも飛行可能という冗談レベルの」
「僕のは発動遅いし攻撃向きじゃないなあ。せいぜい旅行用ってところだねえ」
「それも充分異常だと思うわね」
世田谷さんの感想。
よし、話題が俺から逸れた。
「それに恩田の審査魔法最適化形態なんて、まさに課題破りの反則魔法じゃないか。設計でもプログラムでも最適化方向が見えるなんて、魔法工学科では使用禁止ものだろ」
「禁止はされていないぞ、まだ」
「あと等々力、お前の腕力加工は魔法じゃなくても人外だから。普通の人は金属素材を腕力で0.01mmの精度で加工したりはしないから」
これは筋力だけでなく絶対魔力も併用しているだろうと俺は思うのだ。
何せ300kg重位の力を任意の方向から腕力だの何だので無理やり出して、金属板なり棒材なりを精度0.01mmで加工するなんて、絶対人間技では無い。
例え等々力の肉体が見た目にもマッスルだという事実を鑑みてもだ。
「あと、当然闇属性魔法を使う希少種にも、抗弁権は与えられません」
世田谷さんも追加しておく。
要は色々個性豊かな面子が集まってしまったという訳だ。
集められてしまったのかもしれないけれど。
あ、天才にして天災で変態な上野毛が入っていないから、集められた可能性は低いかな。
奴は魔法制御工学の長原研究室で上手くやっているだろうか。
見かけと仕草としゃべり方は女子にしか見えないが、中身は変態男子だからな。
数少ない友人としては、とっても不安だ。
世田谷さんがそう言って、自分で頷いた。
「そんな事をしているのか」
まあしているだろうなとは、思ったけれど。
「うちの攻撃魔法研究会でも、よく暇潰しで対戦していたしね。学生会は、人数少ないけれど凶悪な精鋭揃いだし。卒業した宮崎台先輩やたまに鷺沼先輩も含めて6人組で来ていたけれど、もう容赦なく強いのなんのって。うちで倍近い人数で応戦して、戦績は1対3位でこっちの負けかしら」
「知らなかったな、そんな活動」
本当に俺は、その辺の怪しい活動内容は知らなかったのだ。
よく奈津希さんだのルイスだのが、攻撃魔法科と詩織ちゃんを引き連れて出てたのは確かだけれど。
「なんやかんやで週に1回は対戦しているかな。でも学生会連中は本当に始末に負えないのばっかりなのよ。宮崎台先輩は通常の魔法は全部中和するしそれ以外の魔法も確実に避けるし。鷺沼先輩や詩織ちゃんは空間操作魔法を容赦なく使うから動きの把握さえ困難。1年の女の子2人も、攻められるかなと思うと間違いなく片方がトラップ張って待ち構えているし。何度うちの若手が引っかかって全滅したことか。
強いて言えばルイス君が一番把握しやすいけれど、把握しやすいと攻められるは違うしね。空飛ぶは蜃気楼で分身するはやりたい放題だし」
「元学生会長として申し訳ない」
本当、何か申し訳ない。
ただ一つだけ信じて欲しい。
俺は全く把握していなかったんだ。
「まあ他流試合をやった方がうちも勉強になるし、別に悪意がある訳じゃないからいいけどね。たまに来ないと、うちの研究会の連中も寂しがるし。そうか、詩織ちゃんがあの杖の持ち主って訳か。まあ適役かな」
何かまあよくわからないが、納得してくれたようなので、俺としては一安心。
でも代わりに、その話題に食いついてくる奴もいる。
「そんな中で、長津田は学生会長をやっていた訳か……大変だったな」
「何せ先々代が氷の女王で先代が冬寂だろ。大変じゃない訳ないよな」
等々力と恩田による感想だ。
ちなみに冬寂とは風遊美さんの二つ名。由来は某SF小説の黒幕さんらしいけれど俺は知らない。
風遊美という名前と白に近い銀髪という外見、そして一見冷徹そうな雰囲気からそう呼ばれていたらしい。
俺のイメージの風遊美さんとはかなり違うけれど。
ちなみに俺のイメージで風遊美さんというと、こたつ蜜柑の感じかな。
でも世田谷さんは、悪そうな笑みで口を開く。
「でもルイス君と詩織ちゃんに聞いたわよ。本当に最強なのは、ここにいない現会長と副会長だって。それにジェニーちゃんの探査魔法を併せたら、こっちが認知する前に全滅ものだろうって」
おいおいルイス、何という事を言うのだ。
「買いかぶりですよ。こちとら魔力瀬戸際で、魔法工学科以外では入学不能レベルですから」
「でも長津田、入学当初より大分魔力増えたよなあ」
これは高井戸だ。
こいつは入学当初から、攻撃魔法科の並程度に魔力を持っている。
魔法工学科にしては珍しい学生だ。
「それに常に異常な魔道具持っているしな」
等々力に追い打ちをかけられる。
ならば仲間を売ってでも、自分の安全を確保しよう!
「確かにジェニーの魔法は、この島全域プラスα程度の範囲で悪意を持っている人間を把握できる。薊野さん……妹の方も確かに強力な魔法を持っているけれど、本人は使いたがらないし公にしていないからこの場限りにしてほしい。でも俺の魔法は、ご存知の通り審査魔法と修理魔法、物品加工魔法が基本だぜ。火風水土木氷光闇どの魔法も持っていない」
「何か北の島で、工作員の集団相手に大立ち回りしたって噂を聞いたような気がする」
新地先生まで俺の攻撃に回りやがった。
「噂は噂ですから」
「瞬間だけ現れた詩織ちゃんを瞬殺した話も、聞いているわよ」
そんなのあったっけ……ああ、去年のホワイトデーでそんな事もあったな。
「あれは工学系魔法を使える人間は誰でも使える簡単な魔法です。三半規管内のリンパ液を出鱈目に動かしてやるだけという……」
「普通の魔法工学生は、瞬間でその場所を認知して精密操作するなんて技は持っていないと思うなあ」
高井戸は要所要所で、のんびりした口調ながら厳しく攻めてくる。
よろしい、ならば戦争だ。
「それを言ったら高井戸なんて工学系以外に風魔法使いだろう。それも飛行可能という冗談レベルの」
「僕のは発動遅いし攻撃向きじゃないなあ。せいぜい旅行用ってところだねえ」
「それも充分異常だと思うわね」
世田谷さんの感想。
よし、話題が俺から逸れた。
「それに恩田の審査魔法最適化形態なんて、まさに課題破りの反則魔法じゃないか。設計でもプログラムでも最適化方向が見えるなんて、魔法工学科では使用禁止ものだろ」
「禁止はされていないぞ、まだ」
「あと等々力、お前の腕力加工は魔法じゃなくても人外だから。普通の人は金属素材を腕力で0.01mmの精度で加工したりはしないから」
これは筋力だけでなく絶対魔力も併用しているだろうと俺は思うのだ。
何せ300kg重位の力を任意の方向から腕力だの何だので無理やり出して、金属板なり棒材なりを精度0.01mmで加工するなんて、絶対人間技では無い。
例え等々力の肉体が見た目にもマッスルだという事実を鑑みてもだ。
「あと、当然闇属性魔法を使う希少種にも、抗弁権は与えられません」
世田谷さんも追加しておく。
要は色々個性豊かな面子が集まってしまったという訳だ。
集められてしまったのかもしれないけれど。
あ、天才にして天災で変態な上野毛が入っていないから、集められた可能性は低いかな。
奴は魔法制御工学の長原研究室で上手くやっているだろうか。
見かけと仕草としゃべり方は女子にしか見えないが、中身は変態男子だからな。
数少ない友人としては、とっても不安だ。
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