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第22章 臭い缶詰とチョコレートケーキ~冬の章・後編~
111 ヤバいブツは誰の手に
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ケーキの上で、かなり大きな飾りが自己主張している。
「そう言えばこのルイス像はどうする。9分割するか」
そう、ダビデ像のポーズを取ったルイス像だ。
高さ16cmは結構大きい。
「9人らから、脚を膝で2分割して胴を2分割すれば9個になるれす」
確かにそうすればちょうど9個だ。
バラバラ死体のようになるけれど、形状的に仕方ない。
「よく出来ているのに勿体無いな。何ならコーティングして残しておくか」
確かにそれも方法論のひとつだろうとは思う。しかし……
「頼むから止めてくれ」
予想通り、モデルから苦情が入った。
「なら9分割でしょうか。それも残酷な感じですけれど」
「諦めましょう。所詮はチョコレートです」
話が進まなそうなので、俺は魔法でジェニーの提案通りの9分割をかける。
「ギャー」
詩織ちゃんが悲鳴の効果音ををあげる。
まあその辺はお約束という奴で、無視。
ただし分割した結果を見た俺は、少しばかり後悔した。
頭というか、首から上部分が妙にリアルに残っている。
あと胴体の下部分、イチモツがにょっきり生えている。
他に分割方法が無かったから仕方ないのだ。
かくなる上は。
「9分割しました。1人1個です」
少しでもましな部分をキープさせて貰おう。
そう思った俺は宣言した後、真っ先に一番無難な足の先部分を確保させてもらった。
俺と同じ事を思ったのだろう。皆さっさと無難な部分を取っていく。
そして残ったのは、頭部分とイチモツ付き胴体下部分。
やはりこの2個、皆様から避けられたらしい。
そして取っていないのは、1年生女子2名。
「ソフィー、どっちがいいですか」
「私はチョコが多いほうがいいから、胴部分かな」
「なら私は頭部分を頂くです」
特に問題無さそうな雰囲気で、危険な部分もケーキ上を去った。。
残りの飾り類、他にハートや薔薇やキノコやタケノコは分量的に均等になるよう、皆で取って。
「それでは改めて、頂きます」
俺はまずはケーキ本体からいただく。
うん、文句なく美味しい。
中に甘酸っぱいジャムが仕組まれている。
そしてチョコ部分のちょっとシャリシャリした感じも含めて美味しい。
付け合せで甘くない生クリームが付いているのは、このジャムとチョコの甘さ故だろう。
セットでとても美味しい味だ。
キノコタケノコやハートは、普通にチョコレートとしてとても美味しい。
何故かハートがややにが目で、キノコが甘いのは、キャラクター的には逆という気がするけれど。
薔薇はまさに正しいクリームの味だ。まあクリームだから当然か。
ほぼ満足して食べきった中、最後に残るのは問題の球体。
そう、どれか1個当たりがついているという奴だ。
見るとまだ、誰も手を付けていない。
俺は魔法を使えばどれが当たりかわかる。
しかしさっきも言ったように、そういう事をするのは無粋だろう。
だから意を決して、球体を口の中に放り込む。
あ、これはなかなか美味しい。
ただのチョコの球ではなく、色々中に仕組んである。
ケーキと同系統の味で、なかなか美味しい。
「美味しいな、これ」
「中はチョコムースと杏ジャムなのです。ケーキに使った材料を分けてもらったです。ハズレの方は、ですけれど」
俺のチャレンジ成功を見て、徐々に皆試していく。
そして、ついに。
詩織ちゃんが突如口を押さえ姿を消した。
キッチンに出現し水を流しながら、無茶な姿勢で口を濯いでいる。
「自業自得だな」
俺の台詞に全員が頷いた。
「ふふぇーん、ひろいれす。これしたおかひくなるれす」
「どういう状態で仕込んだんだよ」
「チョコムーふにきっちり1㎖まへたたけれす。これきひしひれふ」
言葉がまともに喋れていない。
水だけでなくキッチンペーパーまで使い、更に某清涼飲料水で口の中を拭いた後、やっと詩織ちゃんは戻ってきた。
「思った以上だったです。流石1万スコヴィルです。ルイスで口直しするです」
詩織ちゃんは残していたルイスの頭部分を口の中に放り込み、噛みしめる。
「やっぱりルイスはいい奴です。生き返ったです」
詩織ちゃんは同学年男子の頭部部分(10分の1)を食べて復活したようだ。
「これに懲りて少しは反省するように!」
一応同じ科の先輩としてしめておこう。
「今度は4分の1で混ぜるです」
やっぱり懲りていない。
「あんまり懲りないようだと、ホワイトデーのお返しにリアル詩織型ションベン小僧のチョコを作るぞ」
「それだとしゃがんだ像になるので格好悪いです。ビーナスの誕生バージョンでお願いするのです」
「諦めろ、体型的に無理だ」
「セクハラなのです。胸パットの使用を認めて欲しいです」
セクハラと言いつつ自分で胸がない事を認めていやがる。
「何なら某国産平和の少女像で妥協してやる」
「あんな由来もいい加減なパチもんは嫌なのです」
「ここは日本れすから、邪神モッコス像なんてどうれすか」
「あんな目が怖い変態ポーズ可能な像は嫌なのです」
ジェニーも詩織ちゃんも下らないもの知っているな。
俺もわかるけれど。
そんなこんなで賑やかに時間は過ぎていく。
「そう言えばこのルイス像はどうする。9分割するか」
そう、ダビデ像のポーズを取ったルイス像だ。
高さ16cmは結構大きい。
「9人らから、脚を膝で2分割して胴を2分割すれば9個になるれす」
確かにそうすればちょうど9個だ。
バラバラ死体のようになるけれど、形状的に仕方ない。
「よく出来ているのに勿体無いな。何ならコーティングして残しておくか」
確かにそれも方法論のひとつだろうとは思う。しかし……
「頼むから止めてくれ」
予想通り、モデルから苦情が入った。
「なら9分割でしょうか。それも残酷な感じですけれど」
「諦めましょう。所詮はチョコレートです」
話が進まなそうなので、俺は魔法でジェニーの提案通りの9分割をかける。
「ギャー」
詩織ちゃんが悲鳴の効果音ををあげる。
まあその辺はお約束という奴で、無視。
ただし分割した結果を見た俺は、少しばかり後悔した。
頭というか、首から上部分が妙にリアルに残っている。
あと胴体の下部分、イチモツがにょっきり生えている。
他に分割方法が無かったから仕方ないのだ。
かくなる上は。
「9分割しました。1人1個です」
少しでもましな部分をキープさせて貰おう。
そう思った俺は宣言した後、真っ先に一番無難な足の先部分を確保させてもらった。
俺と同じ事を思ったのだろう。皆さっさと無難な部分を取っていく。
そして残ったのは、頭部分とイチモツ付き胴体下部分。
やはりこの2個、皆様から避けられたらしい。
そして取っていないのは、1年生女子2名。
「ソフィー、どっちがいいですか」
「私はチョコが多いほうがいいから、胴部分かな」
「なら私は頭部分を頂くです」
特に問題無さそうな雰囲気で、危険な部分もケーキ上を去った。。
残りの飾り類、他にハートや薔薇やキノコやタケノコは分量的に均等になるよう、皆で取って。
「それでは改めて、頂きます」
俺はまずはケーキ本体からいただく。
うん、文句なく美味しい。
中に甘酸っぱいジャムが仕組まれている。
そしてチョコ部分のちょっとシャリシャリした感じも含めて美味しい。
付け合せで甘くない生クリームが付いているのは、このジャムとチョコの甘さ故だろう。
セットでとても美味しい味だ。
キノコタケノコやハートは、普通にチョコレートとしてとても美味しい。
何故かハートがややにが目で、キノコが甘いのは、キャラクター的には逆という気がするけれど。
薔薇はまさに正しいクリームの味だ。まあクリームだから当然か。
ほぼ満足して食べきった中、最後に残るのは問題の球体。
そう、どれか1個当たりがついているという奴だ。
見るとまだ、誰も手を付けていない。
俺は魔法を使えばどれが当たりかわかる。
しかしさっきも言ったように、そういう事をするのは無粋だろう。
だから意を決して、球体を口の中に放り込む。
あ、これはなかなか美味しい。
ただのチョコの球ではなく、色々中に仕組んである。
ケーキと同系統の味で、なかなか美味しい。
「美味しいな、これ」
「中はチョコムースと杏ジャムなのです。ケーキに使った材料を分けてもらったです。ハズレの方は、ですけれど」
俺のチャレンジ成功を見て、徐々に皆試していく。
そして、ついに。
詩織ちゃんが突如口を押さえ姿を消した。
キッチンに出現し水を流しながら、無茶な姿勢で口を濯いでいる。
「自業自得だな」
俺の台詞に全員が頷いた。
「ふふぇーん、ひろいれす。これしたおかひくなるれす」
「どういう状態で仕込んだんだよ」
「チョコムーふにきっちり1㎖まへたたけれす。これきひしひれふ」
言葉がまともに喋れていない。
水だけでなくキッチンペーパーまで使い、更に某清涼飲料水で口の中を拭いた後、やっと詩織ちゃんは戻ってきた。
「思った以上だったです。流石1万スコヴィルです。ルイスで口直しするです」
詩織ちゃんは残していたルイスの頭部分を口の中に放り込み、噛みしめる。
「やっぱりルイスはいい奴です。生き返ったです」
詩織ちゃんは同学年男子の頭部部分(10分の1)を食べて復活したようだ。
「これに懲りて少しは反省するように!」
一応同じ科の先輩としてしめておこう。
「今度は4分の1で混ぜるです」
やっぱり懲りていない。
「あんまり懲りないようだと、ホワイトデーのお返しにリアル詩織型ションベン小僧のチョコを作るぞ」
「それだとしゃがんだ像になるので格好悪いです。ビーナスの誕生バージョンでお願いするのです」
「諦めろ、体型的に無理だ」
「セクハラなのです。胸パットの使用を認めて欲しいです」
セクハラと言いつつ自分で胸がない事を認めていやがる。
「何なら某国産平和の少女像で妥協してやる」
「あんな由来もいい加減なパチもんは嫌なのです」
「ここは日本れすから、邪神モッコス像なんてどうれすか」
「あんな目が怖い変態ポーズ可能な像は嫌なのです」
ジェニーも詩織ちゃんも下らないもの知っているな。
俺もわかるけれど。
そんなこんなで賑やかに時間は過ぎていく。
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