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第6章 嵐と実りの季節です

25 御風呂快適俺危険

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「これは確かに気持ちいいす。快適す」

「でしょう」

 由香里姉がドヤ顔をする。
 此処は例の空港先の崖の下。
 学生会幹部恒例秘密行事、露天風呂。

 香緒里ちゃんの騒動で無事中止になったのだが、ジェニーという才能を得て本日から復活してしまった。
 困ったことに俺以外の全員、この決定に異論無いらしい。

 ジェニーすら、
「わー、ジャパニーズ・バスいいすね。是非入りたいす」
という状況。

 俺は仕方ないのでできるだけ何も見ないよう、頭を空っぽにしてぼーっと湯に使っている。

「そう言えばジェニーって、昔から魔法が使えたのですか?」

「実はこの夏まで、全く魔法は使えなかったす。オサムの義足使うようになって、この学校に行きたいと思うようになって勉強し出してから、何故か少しずつ使えるようになたす」

「そういう事があるんですか、月見野先輩?」

「場合によりますけれどね。あの義足、魔法を多用しておりますでしょ」

 俺の代わりに香緒里ちゃんが頷く。

「あの義足の動力は私の魔法です。制御系用の電気の供給も魔法を使っていますし質量の増減も魔法を使ってますけれど」

「その影響でもともと持っていた魔力が活性化したのでしょうね。稀にですけれどある事のようですわ」

 そんな会話が聞こえるが俺は無視。
 若干ぬるめのお湯が長湯にはちょうどいい。
 そしてそれ以外は考えないし見ない。

 鈴懸台先輩が大股開いて伸びていたりするのも見ない。
 由香里姉が『少しのぼせたかな。』と言って近くの岩の上に座っていて全身丸見えなのも見ない。
 気づいたら負けなのだ。
 既にぼろ負けつつあるが。

 月見野先輩が風呂から上がる。
 そして全裸のままとことことマイクロバスの方へ歩いていき、小さいホワイトボードと細長い缶に棒が3本入ったものを持ってくる。
 頼むから前を隠してくれ、頼むから。

「さて、お待ちかねのくじ引きの時間です。なお、あらかじめ3人分のベッドは指定されているので、残りの3箇所を決めるくじになります」

 月見野先輩がホワイトボードに図を描く。

「あらかじめ後ろの2段ベッドの下段が私とミドリ、前のテーブルの場所を変形させたベッドの奥が長津田君の場所と指定させて頂いてますわ。ですので空いている場所は前のベッドの手前側と後ろのベッドの上段。くじの棒は前、後、後の3本が記載済みですわ。不正行為が見られた場合は次週のくじ引き参加権剥奪、これで宜しいですかしら」

 月見野先輩、そしてくじ参加者3人が立ち上がった。
 前を見ているとおしりやおっぱいが見えてしまう。

 だから俺は右横後ろ方向、海の方をぼんやり見る。
 ああ今日も夕日で赤くなって綺麗だなあ、と。

 左から、
「ちいっ!」
「ああ……」
という声が聞こえた。

 最初のは由香里姉の声で次のは香緒里ちゃんの声。
 という事は……

 誰かが近づく気配。

 振り向くと、目の前におっぱいがあった。
 大きい。
 この前見た香緒里ちゃんのは片手で片方が収まるサイズだったが、これだと片方に両手が必要だ。
 身長や体格は香緒里ちゃんと同じくらいなのだが。

 あ、いけない、直視してしまった。

「今日は私と一緒のベッドす。よろしくす」

「よろしく」

 視線を外しつつ軽く頭だけ下げる。

 正直今の衝撃で健康な男子おれは身体に異変が発生中。
 まずいと思いつつ横目でそれを見てしまう。
 大きいけれど形のいい白い膨らみ。

 いやいやいやいやまずいって。
 せっかく露天風呂でも地蔵化できるスキルを習得しかけていたのに。

「こういった大きい御風呂ってのはいいすね。何かのびのび出来るす」

「でしょ。たまにこれをやらないとストレス溜まるのよね」

 そう言って両手を思い切り上に上げて伸びをする由香里姉。
 その姿勢のお陰でおっぱいが丸見え。

 それほど大きくないけどいい形。
 手のひらで全体を揉めそうなある意味お手頃サイズ。

 いかん、今の巨乳ショックでおっぱい星人になりかかっている。
 視線が香緒里ちゃんや鈴懸台先輩、ちっぱいの月見野先輩までロックオンしかけている。

 これはまずい。戦略的撤退だ。
 俺は下半身がお湯の上に出ないよう、中腰でバス側の湯船の端へと移動する。
 途中伸び切っている鈴懸台先輩の身体が見えた気がするが振り返ってはいけない。

「久しぶりでのぼせたんで先に失礼します」

「早いね。まあ夜は長いし何回入っても大丈夫だけれどね」

 由香里姉の早いねも別の意味に聞こえてしまう位に脳味噌エロエロ状態。
 急いでキャンピングカーに戻って、タオルで身体を拭いて短パンTシャツ姿に着替えて一安心。

 マイクロバスの窓を全部開けて風を通す。
 テーブルを片付けて2人用ベッドへ座席を変形させる。
 カバー代わりのタオルケットを敷いたら取り敢えず完成だ。

 俺は壁側に密着するように横になる。
 壁の冷たさがちょっと気持ちいい……

 ◇◇◇
 
 ふと目が覚めた。
 横で誰かが動いている。

「ごめんなさい、起こしてしまいまたか」

 ジェニーだ。
 ちゃんとTシャツを着ている。
 先輩達と違ってまともだ。

「大丈夫だけど、何しているの?」

「足の付け根が蒸れたから外しているす。寝る時は外すすから」

 確かに義足のソケット部分のライナーは身体に密着しているから蒸れるだろう。
 そう思ってふと気づく。

 あの義足のソケット部分はお尻近くまでカバーしていたよな。
 パンツをはいたまま着脱は出来ない筈。
 つまりジェニーは現在ノーパンである。

 おいおい不味い。
 寝た子を起こしてどうする。
 しかもTシャツのふくらみからみてノーブラだぞ絶対。
 突起部がシャツの上からでもわかるし。

「それでは、おやすみなさいす」

 そう言ってあっさりと寝に入ったジェニー。
 すぐ横で気配と呼吸する息と体温を感じる。

 そうして生殺しの長い長い夜は始まったのだった。
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