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第5章 香緒里の護身具製作記
21 最強はやっぱり……
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「じゃーん」
私も着替えて出てきたぞ。
そう主張している気がしたので、俺は振り向く。
マイクロバスから出てきた由香里姉が俺に向かってポーズを取った。
「じゃーん、どうかしら」
紺一色のシンプルなビキニ。
肩紐無しの同じ幅の布を巻いているようなデザインの上パーツが胸の谷間をくっきり強調させている。
下パーツもシンプルさが逆に体型を邪魔せず引き立てていてそそられてしまう。
ただ、薊野姉妹は美人でスタイルもいいが胸は平均程度。
だから爆発的な威力はそれほどない。
今までの露天風呂の経験から考えると、最も危険なのは今海中にいて全身を見せていない奴だ。
なので俺は俺はある程度余裕を持って応えられる。
「似合っていますよ」
でも由香里姉は俺のその余裕に気づいたらしい。
由香里姉の視線が香緒里ちゃん、月見野先輩の方をそれぞれ通過した後。
沖で何やら潜ったりしている鈴懸台先輩にロックオンされた。
そのまま由香里姉はすたすたと歩いていく。
海上も歩く度に足元を凍らせてそのまま歩いていく。
そしてちょうど息継ぎで海面に出た鈴懸台先輩をいきなり引っ張り上げた。
後ろから脇の下に腕を通し、鈴懸台先輩の両胸に揉むように手を当てて。
「これか、これが足りないのか私には!」
「何だいきなり」
鈴懸台先輩の水着は、鮮烈なまでの赤色だった。
上は三角布に肩紐と背中への紐を付けた形、下も三角布紐付きという昔からグラビアの定番でよくあるタイプだ。
ただ鈴懸台先輩は胸もあるが、肩や上腕部にそれなりに筋肉もついている。
だからいやらしさはあまり無い。
ある意味俺にとっては助かる。
だが、後ろからその水着の胸部分を揉まれているとなると話は別だ。
由香里姉の手の動きに合わせて。
そこだけは柔らかそうな肉が刻一刻と形を変えていく。
「これが、この脂肪の塊が全ての諸悪の根源なのか!」
「ふふふ、持たざる者のヒガミか」
ようやく鈴懸台先輩も自分が襲われた理由に気づいたらしい。
「持たざる者よ。我が胸に絶望するが良い」
何か中二病っぽい台詞を吐いて、鈴懸台先輩は両手を頭の後ろに回して組んで、胸を強調するようなポーズを取る。
「どうだ!圧倒的じゃないかわが軍は!」
「ううっ、性能の違いが戦力の決定的差でないことを教えてやる!」
「黙れ、堕ちろ!蚊トンボ!」
「デカチチめ!堕ちろ!」
「Eカップは伊達じゃない!」
このまま魔法戦闘に入るか、そう思った時だった。
不意に2人の動きが止まって、力が抜けたように崩れて海中へと落ちた。
慌てて助けに行く俺と香緒里ちゃん。
そして背後から聞こえる低い声。
「胸なんて飾りですわ。エロい人にはそれがわからないのよ」
……コンプレックスあったんですね、月見野先輩。
香緒里ちゃんと協力して何とか2人を砂浜に引っ張り上げる。
ひっくり返して気道を確保。
2人共、水も飲んでいないようだし大丈夫だろう。
そうなる程度に月見野先輩が魔法を調整したのだろうけれども。
ズレている水着も直して2人を置いて。
「これで大丈夫だろ」
「そうですね」
そう言って、ふと香緒里ちゃんは俺の方をみて少しもじもじとする。
「ん、どうした」
「ええと、修兄もやっぱり大きい方が好きなんですか。」
えっ。
どう答えようか俺は本気で悩む。
どんな答えだとこの場を無難に逃げられるだろうか。
大きい方が好きと言うと、こっちに意識を向けている月見野先輩に抹殺される。
でも『貧乳はステータスだ希少価値だ!』と叫ぶほど俺は変態紳士じゃない。
ちなみに香緒里ちゃんは由香里姉と同じように普通サイズ。
悩みつつ考えて、出たのは平凡な台詞。
「大きいか小さいかではなく、誰のかのほうが重要だろ」
どっかで聞いた台詞だが、とりあえずこれで誤魔化そう。
でも香緒里ちゃんは少し考えて、次の質問をする。
「じゃあ私のおっぱいは好きですか」
そう言って俺の方を見る。
こら、その質問は反則だろう。
それこそ答えに困る質問だ。
と思って悩んだ時。
「香緒里ちゃん、長津田君が困っていますわ」
思わぬ助け舟を月見野先輩が出してくれた。
「え、でも」
「さっきの長津田くんの言葉と併せると、その質問は『長津田君は私のことを好きですか』と直球で聞いているのと同じ事になりますわ。それを今、長津田君の心の準備もないままで聞いてもいいのかしら」
香緒里ちゃんは月見野先輩の言っている事を理解したらしい。
ぱあっと顔を真赤にする。
「だからその質問は、もっといい機会に取っておいた方がいいと思いますわ」
そう言って月見野先輩は笑う。
「馬鹿どもが目覚めるまであと3時間位ですわ。私はそこの磯場で素材になりそうな生物探しをしておりますので、せっかくの機会ですからお二人でのんびりここを満喫されてはいかがですか。では失礼致します」
それだけ言って返答も聞かず、さっさと月見野先輩は歩き出した。
俺達はただそれを見送る。
「何か……自由な人だな」
「そうですね。ひょっとしたら役員3人の中で最強は月見野先輩なのかもしれないです。ん、最強ですか……そうだ!」
香緒里ちゃんはいきなりダッシュしてキャンピングカー内に駆け込む。
そして出てこない。
どうしたのだろうか。
私も着替えて出てきたぞ。
そう主張している気がしたので、俺は振り向く。
マイクロバスから出てきた由香里姉が俺に向かってポーズを取った。
「じゃーん、どうかしら」
紺一色のシンプルなビキニ。
肩紐無しの同じ幅の布を巻いているようなデザインの上パーツが胸の谷間をくっきり強調させている。
下パーツもシンプルさが逆に体型を邪魔せず引き立てていてそそられてしまう。
ただ、薊野姉妹は美人でスタイルもいいが胸は平均程度。
だから爆発的な威力はそれほどない。
今までの露天風呂の経験から考えると、最も危険なのは今海中にいて全身を見せていない奴だ。
なので俺は俺はある程度余裕を持って応えられる。
「似合っていますよ」
でも由香里姉は俺のその余裕に気づいたらしい。
由香里姉の視線が香緒里ちゃん、月見野先輩の方をそれぞれ通過した後。
沖で何やら潜ったりしている鈴懸台先輩にロックオンされた。
そのまま由香里姉はすたすたと歩いていく。
海上も歩く度に足元を凍らせてそのまま歩いていく。
そしてちょうど息継ぎで海面に出た鈴懸台先輩をいきなり引っ張り上げた。
後ろから脇の下に腕を通し、鈴懸台先輩の両胸に揉むように手を当てて。
「これか、これが足りないのか私には!」
「何だいきなり」
鈴懸台先輩の水着は、鮮烈なまでの赤色だった。
上は三角布に肩紐と背中への紐を付けた形、下も三角布紐付きという昔からグラビアの定番でよくあるタイプだ。
ただ鈴懸台先輩は胸もあるが、肩や上腕部にそれなりに筋肉もついている。
だからいやらしさはあまり無い。
ある意味俺にとっては助かる。
だが、後ろからその水着の胸部分を揉まれているとなると話は別だ。
由香里姉の手の動きに合わせて。
そこだけは柔らかそうな肉が刻一刻と形を変えていく。
「これが、この脂肪の塊が全ての諸悪の根源なのか!」
「ふふふ、持たざる者のヒガミか」
ようやく鈴懸台先輩も自分が襲われた理由に気づいたらしい。
「持たざる者よ。我が胸に絶望するが良い」
何か中二病っぽい台詞を吐いて、鈴懸台先輩は両手を頭の後ろに回して組んで、胸を強調するようなポーズを取る。
「どうだ!圧倒的じゃないかわが軍は!」
「ううっ、性能の違いが戦力の決定的差でないことを教えてやる!」
「黙れ、堕ちろ!蚊トンボ!」
「デカチチめ!堕ちろ!」
「Eカップは伊達じゃない!」
このまま魔法戦闘に入るか、そう思った時だった。
不意に2人の動きが止まって、力が抜けたように崩れて海中へと落ちた。
慌てて助けに行く俺と香緒里ちゃん。
そして背後から聞こえる低い声。
「胸なんて飾りですわ。エロい人にはそれがわからないのよ」
……コンプレックスあったんですね、月見野先輩。
香緒里ちゃんと協力して何とか2人を砂浜に引っ張り上げる。
ひっくり返して気道を確保。
2人共、水も飲んでいないようだし大丈夫だろう。
そうなる程度に月見野先輩が魔法を調整したのだろうけれども。
ズレている水着も直して2人を置いて。
「これで大丈夫だろ」
「そうですね」
そう言って、ふと香緒里ちゃんは俺の方をみて少しもじもじとする。
「ん、どうした」
「ええと、修兄もやっぱり大きい方が好きなんですか。」
えっ。
どう答えようか俺は本気で悩む。
どんな答えだとこの場を無難に逃げられるだろうか。
大きい方が好きと言うと、こっちに意識を向けている月見野先輩に抹殺される。
でも『貧乳はステータスだ希少価値だ!』と叫ぶほど俺は変態紳士じゃない。
ちなみに香緒里ちゃんは由香里姉と同じように普通サイズ。
悩みつつ考えて、出たのは平凡な台詞。
「大きいか小さいかではなく、誰のかのほうが重要だろ」
どっかで聞いた台詞だが、とりあえずこれで誤魔化そう。
でも香緒里ちゃんは少し考えて、次の質問をする。
「じゃあ私のおっぱいは好きですか」
そう言って俺の方を見る。
こら、その質問は反則だろう。
それこそ答えに困る質問だ。
と思って悩んだ時。
「香緒里ちゃん、長津田君が困っていますわ」
思わぬ助け舟を月見野先輩が出してくれた。
「え、でも」
「さっきの長津田くんの言葉と併せると、その質問は『長津田君は私のことを好きですか』と直球で聞いているのと同じ事になりますわ。それを今、長津田君の心の準備もないままで聞いてもいいのかしら」
香緒里ちゃんは月見野先輩の言っている事を理解したらしい。
ぱあっと顔を真赤にする。
「だからその質問は、もっといい機会に取っておいた方がいいと思いますわ」
そう言って月見野先輩は笑う。
「馬鹿どもが目覚めるまであと3時間位ですわ。私はそこの磯場で素材になりそうな生物探しをしておりますので、せっかくの機会ですからお二人でのんびりここを満喫されてはいかがですか。では失礼致します」
それだけ言って返答も聞かず、さっさと月見野先輩は歩き出した。
俺達はただそれを見送る。
「何か……自由な人だな」
「そうですね。ひょっとしたら役員3人の中で最強は月見野先輩なのかもしれないです。ん、最強ですか……そうだ!」
香緒里ちゃんはいきなりダッシュしてキャンピングカー内に駆け込む。
そして出てこない。
どうしたのだろうか。
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