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第26章 冬合宿は続く
第223話 蓄電池再挑戦
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部屋へ戻ると既に夕食が出来ていた。つまりフールイ先輩が魔獣作業を終えて夕食を作るくらいの間、俺達は鉱石探しをしていた訳だ。
「寒そうだったから鹿魔獣《チデジカ》のシチューにした」
これがまた美味しそうなのだ。時間をかけていない割には肉がトロトロしている。まあ魔法で色々工夫したのだろうけれど。
でもその割にジャガイモやニンジンは煮崩れていない。玉ねぎは溶けているので時間差で加熱したのだろう。時間はかかっていないが手は込んでいる。
見た目通りにやっぱり美味しいシチューを食べた後は自由時間。灯火魔法をガンガン使って部屋を明るくして作業する。
女子の皆さんは先程採取した鉱石を加工中。そして俺は別の作業を開始。
この作業は課題の飛行機からちょっと離れた作業だ。何かというと蓄電池の開発。
先程の照明、今は鹿魔獣《チデジカ》の魔石を使う事が出来る。しかし鹿魔獣《チデジカ》の魔石はこんな状況以外では手易くは手に入らない。
だから電気を自由に使うためには魔石以外のものを使えるようにしたいのだ。飛行機や自動車、船でも魔石常備というのは大変だし。
そう考えると作るべきなのは電池や蓄電池だ。
以前鉛蓄電池を作成したが容量不足で没にした。しかし現在なら実用に足る蓄電池を作ることが出来るかもしれない。
まず極板の構造を考える。以前の容量不足は極板の表面積が足りなかったせい。だから出来るだけ表面積が大きくなるようにしなければならない。
前世では確か硝子繊維を使って固めたり保持していたよな。そしてガラス繊維の原料は石英ガラス。つまりはまあさっき採った水晶だ。
ただ飾りの材料に使っているものを分捕るのはおそらく不可能。なので下手に出て様子を伺ってみよう。
「そっちで使わない水晶とかあるかな」
「うーん、小さい破片も飾りに使っているしね。多分無いと思うわ」
ミド・リーからの悲しいお知らせだ。なら明日、自分用に少し採取するしかないか。そう思ったらタカモさんがこっちを向いた。
「もし材料として必要なら、明日でよければ砂から成分を取り分けますけれど」
おっとこれは有難い申し出だ。
「お願いしていいですか。ちょっと工作物に使いたいので」
「大丈夫です」
よし、ガラス繊維の材料は手に入れたぞ。
あとは鉛と二酸化鉛、それと硫酸だ。
硫酸は硫黄と硝石から出来るのは確認済みで研究室にも常備している。二酸化鉛は作るのが面倒なんだよな。簡単なやり方もあるのだろうけれど思い出せないというか知らない。
両極とも鉛で作って、充電と放電を繰り返して陽極に二酸化鉛を蓄積させるしかないか。以前試作した時もその方法で作ったし。
前は手作業でやったからなかなか面倒でかつ効率が悪かった。結果途中で諦めて容量が足りないものが出来上がった訳だ。
しかし今回は記述魔法を使える。鹿魔獣の魔石で電気も取り出せる。何か魔獣の魔石と万能魔法杖を組み合わせれば作業を自動化できそうだ。
電源は鹿魔獣《チデジカ》の魔石でいいだろう。電気の消費用には適当に豆電球でも作ってやればいい。
今の俺なら誰でも工作魔法杖で充分作れる。あとは記述魔法でこの繰り返しをやる魔法を記述するだけ。よし、やるか。
「ミタキ君、何を考えているの?」
宝飾品作業中の女性陣からシモンさんが抜けてやってきた。
「電気を貯める装置をどうやって作ろうか考えていたところだ。前に一度失敗したけれど今度こそ作ろうと思ってさ」
「それが出来たら便利だよね。自動車やボートに積めば色々出来そうだし」
「だろ。ただちょっと面倒だから記述魔法で自動的に作る方法を作ろうと思ったんだ。仕掛けて放っておけば自動的に出来る仕組みをさ」
「どんな感じで」
そんな訳でシモンさんにさっきまで考えていた事を説明する。
「なるほどね。なら鹿魔獣《チデジカ》の魔石と他の何でもいいから強力そうな魔石をここで確保した方がいいね」
「記述魔法用は猿魔獣《ヒバゴン》の魔石で大丈夫だと思う。あれは鹿魔獣《チデジカ》の魔石ほど使わないし」
「あとは記述魔法用の万能魔道具と同じものを作る必要がある訳かな。その辺の制御だけなら魔法銅《オリハルコン》で作った性能の低い物でも大丈夫だよね」
「多分ね」
そこで女性陣からシモンさんへお呼びがかかる。
「シモンさん、ちょっとここの加工がうまくいかないの。教えてもらっていい?」
「わかった、今行くよ。それじゃミタキ君、後でね」
去っていくシモンさんを見ながら大変だなと思う。
誰でも工作系魔法を使える杖は今回も何本か持ってきている。だから基本的に誰でも自分好みの宝飾品を作ることが可能な筈だ。
でもイメージ通りに作るにはそれなりの経験なり技術が必要だったりする。そのイメージを具体的に思い浮かべるのも、イメージとしてデザインするのにも。
そんな訳で女性陣ほとんど全員が宝飾品づくりをしている今、シモンさんはひっぱりだこ。とりあえずシモンさん、お疲れ様。
さて俺は装置作成のためのの記述を考えることにするか。
「寒そうだったから鹿魔獣《チデジカ》のシチューにした」
これがまた美味しそうなのだ。時間をかけていない割には肉がトロトロしている。まあ魔法で色々工夫したのだろうけれど。
でもその割にジャガイモやニンジンは煮崩れていない。玉ねぎは溶けているので時間差で加熱したのだろう。時間はかかっていないが手は込んでいる。
見た目通りにやっぱり美味しいシチューを食べた後は自由時間。灯火魔法をガンガン使って部屋を明るくして作業する。
女子の皆さんは先程採取した鉱石を加工中。そして俺は別の作業を開始。
この作業は課題の飛行機からちょっと離れた作業だ。何かというと蓄電池の開発。
先程の照明、今は鹿魔獣《チデジカ》の魔石を使う事が出来る。しかし鹿魔獣《チデジカ》の魔石はこんな状況以外では手易くは手に入らない。
だから電気を自由に使うためには魔石以外のものを使えるようにしたいのだ。飛行機や自動車、船でも魔石常備というのは大変だし。
そう考えると作るべきなのは電池や蓄電池だ。
以前鉛蓄電池を作成したが容量不足で没にした。しかし現在なら実用に足る蓄電池を作ることが出来るかもしれない。
まず極板の構造を考える。以前の容量不足は極板の表面積が足りなかったせい。だから出来るだけ表面積が大きくなるようにしなければならない。
前世では確か硝子繊維を使って固めたり保持していたよな。そしてガラス繊維の原料は石英ガラス。つまりはまあさっき採った水晶だ。
ただ飾りの材料に使っているものを分捕るのはおそらく不可能。なので下手に出て様子を伺ってみよう。
「そっちで使わない水晶とかあるかな」
「うーん、小さい破片も飾りに使っているしね。多分無いと思うわ」
ミド・リーからの悲しいお知らせだ。なら明日、自分用に少し採取するしかないか。そう思ったらタカモさんがこっちを向いた。
「もし材料として必要なら、明日でよければ砂から成分を取り分けますけれど」
おっとこれは有難い申し出だ。
「お願いしていいですか。ちょっと工作物に使いたいので」
「大丈夫です」
よし、ガラス繊維の材料は手に入れたぞ。
あとは鉛と二酸化鉛、それと硫酸だ。
硫酸は硫黄と硝石から出来るのは確認済みで研究室にも常備している。二酸化鉛は作るのが面倒なんだよな。簡単なやり方もあるのだろうけれど思い出せないというか知らない。
両極とも鉛で作って、充電と放電を繰り返して陽極に二酸化鉛を蓄積させるしかないか。以前試作した時もその方法で作ったし。
前は手作業でやったからなかなか面倒でかつ効率が悪かった。結果途中で諦めて容量が足りないものが出来上がった訳だ。
しかし今回は記述魔法を使える。鹿魔獣の魔石で電気も取り出せる。何か魔獣の魔石と万能魔法杖を組み合わせれば作業を自動化できそうだ。
電源は鹿魔獣《チデジカ》の魔石でいいだろう。電気の消費用には適当に豆電球でも作ってやればいい。
今の俺なら誰でも工作魔法杖で充分作れる。あとは記述魔法でこの繰り返しをやる魔法を記述するだけ。よし、やるか。
「ミタキ君、何を考えているの?」
宝飾品作業中の女性陣からシモンさんが抜けてやってきた。
「電気を貯める装置をどうやって作ろうか考えていたところだ。前に一度失敗したけれど今度こそ作ろうと思ってさ」
「それが出来たら便利だよね。自動車やボートに積めば色々出来そうだし」
「だろ。ただちょっと面倒だから記述魔法で自動的に作る方法を作ろうと思ったんだ。仕掛けて放っておけば自動的に出来る仕組みをさ」
「どんな感じで」
そんな訳でシモンさんにさっきまで考えていた事を説明する。
「なるほどね。なら鹿魔獣《チデジカ》の魔石と他の何でもいいから強力そうな魔石をここで確保した方がいいね」
「記述魔法用は猿魔獣《ヒバゴン》の魔石で大丈夫だと思う。あれは鹿魔獣《チデジカ》の魔石ほど使わないし」
「あとは記述魔法用の万能魔道具と同じものを作る必要がある訳かな。その辺の制御だけなら魔法銅《オリハルコン》で作った性能の低い物でも大丈夫だよね」
「多分ね」
そこで女性陣からシモンさんへお呼びがかかる。
「シモンさん、ちょっとここの加工がうまくいかないの。教えてもらっていい?」
「わかった、今行くよ。それじゃミタキ君、後でね」
去っていくシモンさんを見ながら大変だなと思う。
誰でも工作系魔法を使える杖は今回も何本か持ってきている。だから基本的に誰でも自分好みの宝飾品を作ることが可能な筈だ。
でもイメージ通りに作るにはそれなりの経験なり技術が必要だったりする。そのイメージを具体的に思い浮かべるのも、イメージとしてデザインするのにも。
そんな訳で女性陣ほとんど全員が宝飾品づくりをしている今、シモンさんはひっぱりだこ。とりあえずシモンさん、お疲れ様。
さて俺は装置作成のためのの記述を考えることにするか。
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