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第26章 冬合宿は続く
第222話 ストーンハンターへの道
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そんな訳でさっさと自分の部屋に戻ってダウン。
しかしちょっとだけ眠れたかなと思ったところで。
「もうすぐ魔獣討伐の時間よ。起きて」
ミド・リーからの伝達魔法で起こされた。
見ると部屋の窓からの明かりがすこし暗くなっている。思った以上にぐっすり寝ていたようだ。
「昼も食べていないから少しだけ間食用意しておいたわよ。あとシモンさんが特製の杖を作ってくれたからお礼言っておいて」
ミド・リーが用意してくれた食べ物というのはちょっとぞっとしない。それに今の特製の杖というところに微妙なニュアンスがあったような気もする。
色々不安におびえながら清拭魔法をかけさっぱりさせてから個室を出る。
リビングには折りたたまれたアンテナ型大型魔法杖とサンドイッチが待っていた。
「あ、やっと起きてきた」
「いろいろ綺麗なアクセサリーが出来たぞ。石の他にタカモさんが回収した貴金属もほとんど使ってしまったけれどな」
これ見よがしという感じにブローチだのネックレスだのが並んでいた。確かになかなかいい出来だなと思ったりもする。
特に小さい紫水晶でブドウを象ったブローチなんていい出来だ。ブドウの房が水晶の小粒で示され、上に行くほど青い石になっている。
「ミタキが食べたら魔獣狩りに行くから早く食べてね」
アクセサリーを見る事でごまかしていた現実に引き戻された。ミド・リー作のものを食べなければならないのか。ちょい気が重い。
でも腹が減っているのも事実なのだ。だから仕方なくサンドイッチを食べる。
おっと、味は普通のハム&野菜&チーズのサンドイッチだ。ちょっとぴりっと辛みと苦みのある菜っ葉がよくあっている。どこもおかしな仕掛けはない。普通に美味しいぞ、何故だ。
気になったので鑑定魔法をかけてみた。
『ハム&野菜&チーズのサンドイッチ。ただし野菜は魔力増強用に改良したクレソン亜種の葉』
おいミド・リー、また俺をこき使う気か!
見ると奴はにやりと笑う。
「この薬もまた増産したしね。ミタキが3回倒れても大丈夫な位魔力回復・増強食品ができるわよ」
おいおい。
「ミタキ君用の杖も特別仕様で作ったからさ。楽しみにしていてね」
シモンさんの言葉に気になる部分が。
「その特別仕様というのは何なんだ?」
「今日使ってみればわかるよ」
シモンさん、何を仕組んだんだ!
◇◇◇
「まず魔獣退治だな。その後川が流れ込むところの宝石を探そう」
そんな訳でいつもの堰堤上へ。
「今日の獲物は鹿魔獣《チデジカ》3頭、猿魔獣《ヒバゴン》2頭でいいでしょうか」
「充分だな。数が多いからフールイさん、頼めるか」
「問題ない。準備する」
今日も大穴に液体窒素を仕掛けて猟をするようだ。
「液体の空気を入れましたわ」
「ミタキ君、どう? 窒息する程度に充満している?」
「ええ、もう大丈夫なようです」
穴から白い煙が沸いているのが見える。液体窒素のせいで凍り付いた空気中の水分だ。
「では開始。まずは猿魔獣《ヒバゴン》から」
もうこの辺になると狩りというより作業だ。
獲物5頭にとどめをさした後。ヨーコ先輩が風魔法で換気をして白い煙が晴れた。
「もう中は人が入っても問題ないか?」
「大丈夫です」
鑑定魔法では換気終了と出ている。
「それじゃ解体班は下へ運んで吊るし作業、他は宝石探し第二弾と行くか」
わかっていたけれど異議を唱えておこう。
「宝石探しは明るくなってからの方が見つけやすいんじゃないですか」
「勿論本番は明日の朝だ。今は新兵器の試運転だな」
新兵器だと。
「とりあえずみんな移動しましょう」
という事で荷車で堰堤下へと移動する。
そこからはアキナ先輩先頭の宝石班とヨーコ先輩、フールイ先輩、シモンさん、シンハ君4人の魔獣解体班に分かれる。
「まずは照明器具を設置しましょう。まだ実際に使ったのを見たことが無い人もいますから」
そんな訳で鹿魔獣《チデジカ》の魔石を使う照明器具を組み立てる。スイッチを入れると暮れかけた谷間が一気に明るくなった。
「うわ、これは面白いのだ」
「普通の灯火魔法より遥かに強力ですね」
「夜の野外でもこれなら作業が出来そうです」
そういえば今年入った皆さんもオマーチの3人も実際にこれを使ったのは初めてなんだよな。でもこれが新兵器なのだろうか。
影で見えない場所が出来にくいよう、照明器具を3か所に設置した後。
「次はミタキ君の杖を組み立てましょう」
収納していた箱を開ける。何か普通の魔法アンテナより大きくて、付属品が多いような……
組み立ててみると違和感は正しかった。素材こそ魔法銅《オリハルコン》だけれどもフールイ先輩の空間系魔法アンテナやシモンさんの強力工作系魔法アンテナと同じくらい巨大だ。そして杖本体の下にはタイヤがついていて移動できるようになっている。
更に杖から明らかに導線と思われるものが長く長く伸びている。導線の先には右手用の皮手袋がついていた。
「その手袋をはめて下さいな」
言われたとおりはめて気付く。手袋の手の甲部分と手のひら部分の一部に魔法銅《オリハルコン》の電極がついている。手袋をしっかりはめる事で、つまり俺と魔法杖とがつながった状態だ。
「これはミタキ君が鑑定魔法を使いながら動けるようにシモンさんが作った特製魔法杖ですわ。これで杖前方を捜索しながら作業が出来ます。更にタイヤもついていますので作業しながら移動も可能ですわ」
俺は色々理解した。
「つまり鉱石を掘りながら探索できる専用杖ですか」
「杖を動かすのは私が手伝いますわ。それでは作業を開始しましょう」
おいおい。
しかし確かに大型魔法アンテナのおかげで鑑定魔法が強力に発動している。
こんな鑑定魔法の使い方は昼の鉱石探しで使ったのが初めて。でも確かに鉱石探しの為にはこの魔法杖はなかなか有効だ。既にいくつか水晶が感知出来ているし。
仕方ない。とりあえず皆さんが納得できる程度には取るとするか。
そんな訳で俺は鉱石採取をスタートした。まずは足元ちょい掘ったところにある小指爪程度の水晶からだな。
◇◇◇
実際に成果が見えて探すのも簡単だと面白い事は面白い。だからつい猿状態になって鉱石を探しまくる。程よい具合にアキナ先輩が杖や照明を移動させサポートしてくれるのもいい。
結果、昼より遥かに効率よく色々な石を採取した。
基本的には水晶多数とトパーズ少し。アクアマリンのちょい綺麗なものなんてレア品もいくつか。
「そろそろ撤収しましょうか。結構寒くなってきましたし」
そう言われて初めて俺は結構時間が経っていた事に気がついた。空が真っ暗になっているから1時間近くやっていたかな。まんまと皆さんの思惑に乗ってしまった訳だ。
でもまあいいか。確かに楽しかったし。
しかしちょっとだけ眠れたかなと思ったところで。
「もうすぐ魔獣討伐の時間よ。起きて」
ミド・リーからの伝達魔法で起こされた。
見ると部屋の窓からの明かりがすこし暗くなっている。思った以上にぐっすり寝ていたようだ。
「昼も食べていないから少しだけ間食用意しておいたわよ。あとシモンさんが特製の杖を作ってくれたからお礼言っておいて」
ミド・リーが用意してくれた食べ物というのはちょっとぞっとしない。それに今の特製の杖というところに微妙なニュアンスがあったような気もする。
色々不安におびえながら清拭魔法をかけさっぱりさせてから個室を出る。
リビングには折りたたまれたアンテナ型大型魔法杖とサンドイッチが待っていた。
「あ、やっと起きてきた」
「いろいろ綺麗なアクセサリーが出来たぞ。石の他にタカモさんが回収した貴金属もほとんど使ってしまったけれどな」
これ見よがしという感じにブローチだのネックレスだのが並んでいた。確かになかなかいい出来だなと思ったりもする。
特に小さい紫水晶でブドウを象ったブローチなんていい出来だ。ブドウの房が水晶の小粒で示され、上に行くほど青い石になっている。
「ミタキが食べたら魔獣狩りに行くから早く食べてね」
アクセサリーを見る事でごまかしていた現実に引き戻された。ミド・リー作のものを食べなければならないのか。ちょい気が重い。
でも腹が減っているのも事実なのだ。だから仕方なくサンドイッチを食べる。
おっと、味は普通のハム&野菜&チーズのサンドイッチだ。ちょっとぴりっと辛みと苦みのある菜っ葉がよくあっている。どこもおかしな仕掛けはない。普通に美味しいぞ、何故だ。
気になったので鑑定魔法をかけてみた。
『ハム&野菜&チーズのサンドイッチ。ただし野菜は魔力増強用に改良したクレソン亜種の葉』
おいミド・リー、また俺をこき使う気か!
見ると奴はにやりと笑う。
「この薬もまた増産したしね。ミタキが3回倒れても大丈夫な位魔力回復・増強食品ができるわよ」
おいおい。
「ミタキ君用の杖も特別仕様で作ったからさ。楽しみにしていてね」
シモンさんの言葉に気になる部分が。
「その特別仕様というのは何なんだ?」
「今日使ってみればわかるよ」
シモンさん、何を仕組んだんだ!
◇◇◇
「まず魔獣退治だな。その後川が流れ込むところの宝石を探そう」
そんな訳でいつもの堰堤上へ。
「今日の獲物は鹿魔獣《チデジカ》3頭、猿魔獣《ヒバゴン》2頭でいいでしょうか」
「充分だな。数が多いからフールイさん、頼めるか」
「問題ない。準備する」
今日も大穴に液体窒素を仕掛けて猟をするようだ。
「液体の空気を入れましたわ」
「ミタキ君、どう? 窒息する程度に充満している?」
「ええ、もう大丈夫なようです」
穴から白い煙が沸いているのが見える。液体窒素のせいで凍り付いた空気中の水分だ。
「では開始。まずは猿魔獣《ヒバゴン》から」
もうこの辺になると狩りというより作業だ。
獲物5頭にとどめをさした後。ヨーコ先輩が風魔法で換気をして白い煙が晴れた。
「もう中は人が入っても問題ないか?」
「大丈夫です」
鑑定魔法では換気終了と出ている。
「それじゃ解体班は下へ運んで吊るし作業、他は宝石探し第二弾と行くか」
わかっていたけれど異議を唱えておこう。
「宝石探しは明るくなってからの方が見つけやすいんじゃないですか」
「勿論本番は明日の朝だ。今は新兵器の試運転だな」
新兵器だと。
「とりあえずみんな移動しましょう」
という事で荷車で堰堤下へと移動する。
そこからはアキナ先輩先頭の宝石班とヨーコ先輩、フールイ先輩、シモンさん、シンハ君4人の魔獣解体班に分かれる。
「まずは照明器具を設置しましょう。まだ実際に使ったのを見たことが無い人もいますから」
そんな訳で鹿魔獣《チデジカ》の魔石を使う照明器具を組み立てる。スイッチを入れると暮れかけた谷間が一気に明るくなった。
「うわ、これは面白いのだ」
「普通の灯火魔法より遥かに強力ですね」
「夜の野外でもこれなら作業が出来そうです」
そういえば今年入った皆さんもオマーチの3人も実際にこれを使ったのは初めてなんだよな。でもこれが新兵器なのだろうか。
影で見えない場所が出来にくいよう、照明器具を3か所に設置した後。
「次はミタキ君の杖を組み立てましょう」
収納していた箱を開ける。何か普通の魔法アンテナより大きくて、付属品が多いような……
組み立ててみると違和感は正しかった。素材こそ魔法銅《オリハルコン》だけれどもフールイ先輩の空間系魔法アンテナやシモンさんの強力工作系魔法アンテナと同じくらい巨大だ。そして杖本体の下にはタイヤがついていて移動できるようになっている。
更に杖から明らかに導線と思われるものが長く長く伸びている。導線の先には右手用の皮手袋がついていた。
「その手袋をはめて下さいな」
言われたとおりはめて気付く。手袋の手の甲部分と手のひら部分の一部に魔法銅《オリハルコン》の電極がついている。手袋をしっかりはめる事で、つまり俺と魔法杖とがつながった状態だ。
「これはミタキ君が鑑定魔法を使いながら動けるようにシモンさんが作った特製魔法杖ですわ。これで杖前方を捜索しながら作業が出来ます。更にタイヤもついていますので作業しながら移動も可能ですわ」
俺は色々理解した。
「つまり鉱石を掘りながら探索できる専用杖ですか」
「杖を動かすのは私が手伝いますわ。それでは作業を開始しましょう」
おいおい。
しかし確かに大型魔法アンテナのおかげで鑑定魔法が強力に発動している。
こんな鑑定魔法の使い方は昼の鉱石探しで使ったのが初めて。でも確かに鉱石探しの為にはこの魔法杖はなかなか有効だ。既にいくつか水晶が感知出来ているし。
仕方ない。とりあえず皆さんが納得できる程度には取るとするか。
そんな訳で俺は鉱石採取をスタートした。まずは足元ちょい掘ったところにある小指爪程度の水晶からだな。
◇◇◇
実際に成果が見えて探すのも簡単だと面白い事は面白い。だからつい猿状態になって鉱石を探しまくる。程よい具合にアキナ先輩が杖や照明を移動させサポートしてくれるのもいい。
結果、昼より遥かに効率よく色々な石を採取した。
基本的には水晶多数とトパーズ少し。アクアマリンのちょい綺麗なものなんてレア品もいくつか。
「そろそろ撤収しましょうか。結構寒くなってきましたし」
そう言われて初めて俺は結構時間が経っていた事に気がついた。空が真っ暗になっているから1時間近くやっていたかな。まんまと皆さんの思惑に乗ってしまった訳だ。
でもまあいいか。確かに楽しかったし。
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