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第26章 冬合宿は続く
第220話 堕落への誘い
しおりを挟む フルエさん、確かにポテチの製法を憶えていたらしい。そう言えばフライドポテトを作ったりしていた記憶がある。
そんな訳で悲しいかなジャンクフード三部作が完成してしまった。ポテトチップス塩バジル味。油カスチップガーリック味。怪しいコーラもどき強炭酸バージョン。
悲しいことにこれとソーセージの組み合わせば抜群。結果、全員がこれらジャンクな代物に汚染されてしまった。
「これは……罪深い食べ物ですね間違いなく」
「身体に悪いとわかっていても止められないものがあるのだ!」
「明日は運動しましょう。今日の分を目一杯」
「そして運動後につまむこのジャンクフードが最高なのだ!」
フルエさん、完全にジャンクフードの伝道師になっている。場はもうぐだぐだだ。
夕方の魔獣狩りもしなかった。外の天気が今ひとつだったせいもある。でも本当のところはこの雰囲気に流されただけだ。
そして。
「そしてこれらを食べて口の中が塩っからくなった処で、甘いパンケーキを食べると最高なのだ!」
フルエさん、この状態で爆弾発言。
何という事を言うのだ! それは……試して見たくなるじゃないか!
「鬼! 悪魔!」
ミド・リーがそう吠える中。
「私は自分に正直なのだ」
平然とそう言い放ってフルエさんはキッチンに消える。
残念ながら材料は全て揃っている。すぐに甘いいい香りが漂い始めた。
まもなく2枚重ねのパンケーキにバターと水飴をたっぷりとかけた代物を持って、フルエさんが戻ってくる。
「今回は2枚の間に焼いた林檎を挟んでみたのだ」
ただのパンケーキでは無かった。何気にフルエさん、料理が得意な模様。綺麗に焼き目をつけたパンケーキをわざとらしく切って口に運ぶ。
「うん、最高なのだ」
はああっ。アキナ先輩が大きな大きなため息をついた。
「認めますわ。今回は私達の敗北です」
ついに大ボスが負けを認めてしまった。もうこの流れは止められない。
「人として堕落してしまった気分です」
「自分に正直になるのだ」
「悪魔のささやきだよね絶対それって」
「でも作るとしましょう」
「手伝う」
結局堕落してしまったナカさんがパンケーキを量産開始。更にフールイ先輩が間に挟む林檎のコンポートを作り出す。
普通の昼食も夕食も取っていない。しかしカロリーだけはぐだぐだと積み重ねていく状態。昼食をたべるより、ずっとずっと……
そして甘味にもポテチにも何故かよくあう怪しいコーラは作っては無くなり作ってはなくなっていく。
この怪しいコーラはやはり俺が家で研究を重ねた自信作だ。最初は美味いかまずいかすらわからないのだが飲み始めると癖になる。味は元のコーラとは全く違うが効果は似たようなものだ。色もほどよい茶色だし。
材料は紅茶を煮詰めハーブとレモン汁とブドウ糖入り水飴を加えたものがベース。これに水を加えてドライアイスを入れ圧力容器をふりまくると完成だ。
明日以降に備えて今のうちに原液をもう少し作っておこう。原液は毒としか思えない匂いと色、味だけれども。
なおこの怪しいコーラ、ブドウ糖入り水飴を大量に使う。だからカロリーはかなり……。
しかしまあ、現状を考えると気にしても仕方ない。もっとカロリー高そうなものが溢れているから。テーブル上に。
◇◇◇
悪夢の一夜が開けた朝食の際。
「今日は健全に行きましょう」
アキナ先輩の宣言に1人をのぞいて頷いた。なおその1人とはジャンクの伝道師だ。
「そんな訳で今朝は私とユキ、タカモさんで健全な朝食を用意しました。この後軽く全員で運動する予定です」
確かに朝食は健全な感じだ。サラダ、スープ、焼いたソーセージ、目玉焼き、パンなんていかにもなメニューが並んでいる。
「運動は何をする予定なの?」
パンを食べながらミド・リーが尋ねた。
「軽く体操をした後、魔獣の様子確認を兼ねて山に登ろうと思います。装備は最小限で、この前上ったところの次の小ピークまで行くつもりです」
おいおい勘弁してくれ。俺はそう思ったのだけれど。
「昨日食べた分を少しでも消費しないといけませんしね」
「今日は魔獣解体が無い。だから時間もある」
「今日だけで無く少し動かないとまずいです」
「体を動かすのはいいことだな」
概ね皆さん賛成の様子だ。何で皆さんそんなに乗り気なんだ!
まあ理由はわかっている。しかし俺はここで本当は忠告したい。一日くらい運動しても痩せないぞ! って。
「ならスペシャルな行動食とドリンクを持っていくのだ」
ジャンクの伝道師がそんな台詞を吐いてにやりとする。
「なおこの運動は揚げ物と炭酸飲料禁止です」
「なら家に戻ったらスペシャルな間食を準備するのだ。ソーセージにチーズたっぷりかけて焼いたものとか、生クリーム入りどら焼きとか。あの飲み物はミタキが昨夜原料を仕込んでいたから作るのは簡単なのだ」
「それは……美味しそうですね」
あ、アキナ先輩が堕落した。
「ふふふふふ、私はいくら食べても肉が付かない悲しい体質なのだ。少しは肉が付いて欲しい部位ですら肉が付かないのだ。だから体質改善の為全員を巻き込むのだ」
「やめて下さい、お願いですから」
ナカさんの悲鳴に似た台詞。
「ふふふふふ、嫌よ嫌よも好きのうち……」
おいおいフルエさん、その台詞は使い方が……
そんな訳で悲しいかなジャンクフード三部作が完成してしまった。ポテトチップス塩バジル味。油カスチップガーリック味。怪しいコーラもどき強炭酸バージョン。
悲しいことにこれとソーセージの組み合わせば抜群。結果、全員がこれらジャンクな代物に汚染されてしまった。
「これは……罪深い食べ物ですね間違いなく」
「身体に悪いとわかっていても止められないものがあるのだ!」
「明日は運動しましょう。今日の分を目一杯」
「そして運動後につまむこのジャンクフードが最高なのだ!」
フルエさん、完全にジャンクフードの伝道師になっている。場はもうぐだぐだだ。
夕方の魔獣狩りもしなかった。外の天気が今ひとつだったせいもある。でも本当のところはこの雰囲気に流されただけだ。
そして。
「そしてこれらを食べて口の中が塩っからくなった処で、甘いパンケーキを食べると最高なのだ!」
フルエさん、この状態で爆弾発言。
何という事を言うのだ! それは……試して見たくなるじゃないか!
「鬼! 悪魔!」
ミド・リーがそう吠える中。
「私は自分に正直なのだ」
平然とそう言い放ってフルエさんはキッチンに消える。
残念ながら材料は全て揃っている。すぐに甘いいい香りが漂い始めた。
まもなく2枚重ねのパンケーキにバターと水飴をたっぷりとかけた代物を持って、フルエさんが戻ってくる。
「今回は2枚の間に焼いた林檎を挟んでみたのだ」
ただのパンケーキでは無かった。何気にフルエさん、料理が得意な模様。綺麗に焼き目をつけたパンケーキをわざとらしく切って口に運ぶ。
「うん、最高なのだ」
はああっ。アキナ先輩が大きな大きなため息をついた。
「認めますわ。今回は私達の敗北です」
ついに大ボスが負けを認めてしまった。もうこの流れは止められない。
「人として堕落してしまった気分です」
「自分に正直になるのだ」
「悪魔のささやきだよね絶対それって」
「でも作るとしましょう」
「手伝う」
結局堕落してしまったナカさんがパンケーキを量産開始。更にフールイ先輩が間に挟む林檎のコンポートを作り出す。
普通の昼食も夕食も取っていない。しかしカロリーだけはぐだぐだと積み重ねていく状態。昼食をたべるより、ずっとずっと……
そして甘味にもポテチにも何故かよくあう怪しいコーラは作っては無くなり作ってはなくなっていく。
この怪しいコーラはやはり俺が家で研究を重ねた自信作だ。最初は美味いかまずいかすらわからないのだが飲み始めると癖になる。味は元のコーラとは全く違うが効果は似たようなものだ。色もほどよい茶色だし。
材料は紅茶を煮詰めハーブとレモン汁とブドウ糖入り水飴を加えたものがベース。これに水を加えてドライアイスを入れ圧力容器をふりまくると完成だ。
明日以降に備えて今のうちに原液をもう少し作っておこう。原液は毒としか思えない匂いと色、味だけれども。
なおこの怪しいコーラ、ブドウ糖入り水飴を大量に使う。だからカロリーはかなり……。
しかしまあ、現状を考えると気にしても仕方ない。もっとカロリー高そうなものが溢れているから。テーブル上に。
◇◇◇
悪夢の一夜が開けた朝食の際。
「今日は健全に行きましょう」
アキナ先輩の宣言に1人をのぞいて頷いた。なおその1人とはジャンクの伝道師だ。
「そんな訳で今朝は私とユキ、タカモさんで健全な朝食を用意しました。この後軽く全員で運動する予定です」
確かに朝食は健全な感じだ。サラダ、スープ、焼いたソーセージ、目玉焼き、パンなんていかにもなメニューが並んでいる。
「運動は何をする予定なの?」
パンを食べながらミド・リーが尋ねた。
「軽く体操をした後、魔獣の様子確認を兼ねて山に登ろうと思います。装備は最小限で、この前上ったところの次の小ピークまで行くつもりです」
おいおい勘弁してくれ。俺はそう思ったのだけれど。
「昨日食べた分を少しでも消費しないといけませんしね」
「今日は魔獣解体が無い。だから時間もある」
「今日だけで無く少し動かないとまずいです」
「体を動かすのはいいことだな」
概ね皆さん賛成の様子だ。何で皆さんそんなに乗り気なんだ!
まあ理由はわかっている。しかし俺はここで本当は忠告したい。一日くらい運動しても痩せないぞ! って。
「ならスペシャルな行動食とドリンクを持っていくのだ」
ジャンクの伝道師がそんな台詞を吐いてにやりとする。
「なおこの運動は揚げ物と炭酸飲料禁止です」
「なら家に戻ったらスペシャルな間食を準備するのだ。ソーセージにチーズたっぷりかけて焼いたものとか、生クリーム入りどら焼きとか。あの飲み物はミタキが昨夜原料を仕込んでいたから作るのは簡単なのだ」
「それは……美味しそうですね」
あ、アキナ先輩が堕落した。
「ふふふふふ、私はいくら食べても肉が付かない悲しい体質なのだ。少しは肉が付いて欲しい部位ですら肉が付かないのだ。だから体質改善の為全員を巻き込むのだ」
「やめて下さい、お願いですから」
ナカさんの悲鳴に似た台詞。
「ふふふふふ、嫌よ嫌よも好きのうち……」
おいおいフルエさん、その台詞は使い方が……
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