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第23章 二度目の学園祭
第193話 ちょっとした裏交渉
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昨日はまいった。まさかうちの姉貴率いる菓子屋出店組一同まで動画を見に来るとは思わなかった。
「話題になっていたから気になってね。ちょうど2時前に完売したからついでにみんなで並んでみちゃった。でも良かったわよ。今日も時間があればもう一度見ようって皆言っていたしね」
こういう人がいるから忙しいのが終わらないんだ。まったく何とかしてほしい。姉貴以外には文句を言えないけれど。
ただ朗報もある。ヨーコ先輩とナカさんが交渉の結果別の教室を一つ借りることに成功したのだ。
今まではぎちぎちに詰め込んでも45人がやっと。今度は余裕をもって並べても70人は軽い。
狭い中45人詰め込むとこの季節でも暑いのだ。見る方はせいぜい6半時間我慢すればいい。
しかし担当はずっと中にいるのだ。何気に結構辛い。勿論魔法を使って冷却はしているけれど。これで少しは居心地もましになる筈だ。
場所は今使っている教室の真上にある第2美術室。場所が悪いので誰も使っていなかったらしい。昨日中に椅子を並べて窓も塞ぎスクリーンや幻灯機等を設置した。
更に整理券も作成した。色々余裕を持たせて6半時間刻みで70人ずつ。これで大分楽になるだろう。整理券式なら列の管理は最初だけで済むから。
拠点が3か所に分散してしまうけれど仕方ない。熱気球と模型飛行機が終わったらそれぞれ合流する予定だ。
なお明日分についてのみ俺はとある取引をすることにした。整理券を朝配る方式にした結果、姉貴から苦情が来ることを防ぐためだ。
具体的には熱気球の午後1時の部と動画の午後1時半の部。この整理券を4枚ずつ姉貴に横流しする。
むろん只ではない。ケーキと茶のセット22人分を下の展示室に持ってこさせる。
先輩方や皆さんにお願いしまくって何とかOKを貰った。姉貴の方はもちろんOKだ。
「あの空を飛ぶのにも乗ってみたかったのよ。だからちょうどいいわ」
だそうである。
明日は平日だし元々品物も少なめの予定。だから1時までには売り切れるだろうとの事だ。
何なら昼休みを作っても行くなんて言っていた。いいのだろうか本当に。
そんな訳で3日目。相変わらず晴れていて風もない。
これで悪天候なら少しは楽できるのに。そんな事を思いながら俺は熱気球の準備をする。
今日は熱気球担当は俺とタカス君、ヨーコ先輩にフルエさんの4人。展示室がフールイ先輩とミド・リー、ナカさんの3人。映写担当がアキナ先輩、ユキ先輩、シモンさん、シンハ君の4人。
熱気球と映写担当は最初全員配置で整理券配布。あとは熱気球が終わるまで交代しながら回すという計画だ。
例によって初めから6半時間しないうちに整理券は終了。また忙しく飛行開始だ。
◇◇◇
今日は模型飛行機の説明と質疑応答に1時間ちょっと。何で毎日やっているのに質疑応答が減らないのだろう。謎だし何とかなって欲しい。見物客も気のせいか日々増えて来ているような気がするし。
何だかなと思いつつも無事終わって撤収。昨日まで動画をやっていた1階教室の後ろ部分へ戻ってきた時だ。
「お客様が来るそうです」
ナカさんがそんな事を言った。
「お客様って?」
「ターカノさん他3名、先日話していた他の学校の方が来るそうです」
何だって。
「お昼過ぎにアキナ先輩宛てに連絡があったそうです。2時過ぎにこちらに移動して、まずは上で動く絵を見てから下へ来るそうです。アキナ先輩とユキ先輩で案内するので熱気球と模型飛行機の実演をお願いできないかという連絡がありました。
既に熱気球はタカス君が確認済みです。ですので模型飛行機が飛べるように整備をお願いします」
なるほど。
「その後はどうする予定?」
「この場所でお話が出来るようにしておきます。研究室に案内していいかどうかはまだわかりませんから」
「内気だと言っていたけれど俺とかシンハとかいて大丈夫なのかな」
「問題があればターカノさんから何かあるでしょう」
確かにそうだろう。なおそれを見越してか既に机と椅子が四角く配置されている。1辺4人計算で1辺が3人という具合に。
「ケーキとお茶はちょうど頂いたものがあるのでそれをそのまま使います。数も充分ありますから」
姉貴との交渉で数を人数分の2倍にしておいてよかった。
熱気球に姉貴達が乗るときはタカス君の番だったから俺は直接話していない。しかし模型飛行機の準備をしながら姉貴達が降りてくるのを見た限りでは相当楽しかった模様だ。
また整理券をせびられたらどうしよう。あんまり身内贔屓していると皆さんに怒られそうだしな。
そんな事を思いながら俺は持ち帰ってきた模型飛行機の点検整備を開始する。燃料もまだまだ大丈夫。エンジンの熱損傷部分も工作魔法でなおしたところで。
『ターカノさん以下到着です。現在2階の動画の部屋に向かっています』
ナカさんの伝達魔法の後すぐにヨーコ先輩、タカス君、フルエさんが俺のいる教室後ろ部分にやってくる。ナカさんか先輩方が皆さんに召集をかけた模様だ。
「私はアキナ先輩達と代わってくる。先輩達とシモンさんはいた方がいいだろう」
「なら私が行くのだ。ヨーコ先輩は残っていた方がいいのだ」
「俺も行く」
「タカスとミタキ先輩は技術担当でいた方がいいのだ」
フルエさんが出て行った。
「なら俺は校庭で熱気球と飛行機の準備をしておくよ。あと誰か1人補助お願い」
「私も手伝おう」
ヨーコ先輩がそう言ってくれた。確かに先輩がいてくれると助かる。腕力もあるし風で熱気球を展開したりたたんだり出来るから。
「俺も手伝おうか」
「タカス君は展示物の説明が必要かもしれないから残っていて下さい」
確かに記述魔法応用系の色々はタカス君が説明するのが一番だ。俺も望遠鏡と顕微鏡を昨日から展示しているけれど、あれは原理が単純だし。
「話題になっていたから気になってね。ちょうど2時前に完売したからついでにみんなで並んでみちゃった。でも良かったわよ。今日も時間があればもう一度見ようって皆言っていたしね」
こういう人がいるから忙しいのが終わらないんだ。まったく何とかしてほしい。姉貴以外には文句を言えないけれど。
ただ朗報もある。ヨーコ先輩とナカさんが交渉の結果別の教室を一つ借りることに成功したのだ。
今まではぎちぎちに詰め込んでも45人がやっと。今度は余裕をもって並べても70人は軽い。
狭い中45人詰め込むとこの季節でも暑いのだ。見る方はせいぜい6半時間我慢すればいい。
しかし担当はずっと中にいるのだ。何気に結構辛い。勿論魔法を使って冷却はしているけれど。これで少しは居心地もましになる筈だ。
場所は今使っている教室の真上にある第2美術室。場所が悪いので誰も使っていなかったらしい。昨日中に椅子を並べて窓も塞ぎスクリーンや幻灯機等を設置した。
更に整理券も作成した。色々余裕を持たせて6半時間刻みで70人ずつ。これで大分楽になるだろう。整理券式なら列の管理は最初だけで済むから。
拠点が3か所に分散してしまうけれど仕方ない。熱気球と模型飛行機が終わったらそれぞれ合流する予定だ。
なお明日分についてのみ俺はとある取引をすることにした。整理券を朝配る方式にした結果、姉貴から苦情が来ることを防ぐためだ。
具体的には熱気球の午後1時の部と動画の午後1時半の部。この整理券を4枚ずつ姉貴に横流しする。
むろん只ではない。ケーキと茶のセット22人分を下の展示室に持ってこさせる。
先輩方や皆さんにお願いしまくって何とかOKを貰った。姉貴の方はもちろんOKだ。
「あの空を飛ぶのにも乗ってみたかったのよ。だからちょうどいいわ」
だそうである。
明日は平日だし元々品物も少なめの予定。だから1時までには売り切れるだろうとの事だ。
何なら昼休みを作っても行くなんて言っていた。いいのだろうか本当に。
そんな訳で3日目。相変わらず晴れていて風もない。
これで悪天候なら少しは楽できるのに。そんな事を思いながら俺は熱気球の準備をする。
今日は熱気球担当は俺とタカス君、ヨーコ先輩にフルエさんの4人。展示室がフールイ先輩とミド・リー、ナカさんの3人。映写担当がアキナ先輩、ユキ先輩、シモンさん、シンハ君の4人。
熱気球と映写担当は最初全員配置で整理券配布。あとは熱気球が終わるまで交代しながら回すという計画だ。
例によって初めから6半時間しないうちに整理券は終了。また忙しく飛行開始だ。
◇◇◇
今日は模型飛行機の説明と質疑応答に1時間ちょっと。何で毎日やっているのに質疑応答が減らないのだろう。謎だし何とかなって欲しい。見物客も気のせいか日々増えて来ているような気がするし。
何だかなと思いつつも無事終わって撤収。昨日まで動画をやっていた1階教室の後ろ部分へ戻ってきた時だ。
「お客様が来るそうです」
ナカさんがそんな事を言った。
「お客様って?」
「ターカノさん他3名、先日話していた他の学校の方が来るそうです」
何だって。
「お昼過ぎにアキナ先輩宛てに連絡があったそうです。2時過ぎにこちらに移動して、まずは上で動く絵を見てから下へ来るそうです。アキナ先輩とユキ先輩で案内するので熱気球と模型飛行機の実演をお願いできないかという連絡がありました。
既に熱気球はタカス君が確認済みです。ですので模型飛行機が飛べるように整備をお願いします」
なるほど。
「その後はどうする予定?」
「この場所でお話が出来るようにしておきます。研究室に案内していいかどうかはまだわかりませんから」
「内気だと言っていたけれど俺とかシンハとかいて大丈夫なのかな」
「問題があればターカノさんから何かあるでしょう」
確かにそうだろう。なおそれを見越してか既に机と椅子が四角く配置されている。1辺4人計算で1辺が3人という具合に。
「ケーキとお茶はちょうど頂いたものがあるのでそれをそのまま使います。数も充分ありますから」
姉貴との交渉で数を人数分の2倍にしておいてよかった。
熱気球に姉貴達が乗るときはタカス君の番だったから俺は直接話していない。しかし模型飛行機の準備をしながら姉貴達が降りてくるのを見た限りでは相当楽しかった模様だ。
また整理券をせびられたらどうしよう。あんまり身内贔屓していると皆さんに怒られそうだしな。
そんな事を思いながら俺は持ち帰ってきた模型飛行機の点検整備を開始する。燃料もまだまだ大丈夫。エンジンの熱損傷部分も工作魔法でなおしたところで。
『ターカノさん以下到着です。現在2階の動画の部屋に向かっています』
ナカさんの伝達魔法の後すぐにヨーコ先輩、タカス君、フルエさんが俺のいる教室後ろ部分にやってくる。ナカさんか先輩方が皆さんに召集をかけた模様だ。
「私はアキナ先輩達と代わってくる。先輩達とシモンさんはいた方がいいだろう」
「なら私が行くのだ。ヨーコ先輩は残っていた方がいいのだ」
「俺も行く」
「タカスとミタキ先輩は技術担当でいた方がいいのだ」
フルエさんが出て行った。
「なら俺は校庭で熱気球と飛行機の準備をしておくよ。あと誰か1人補助お願い」
「私も手伝おう」
ヨーコ先輩がそう言ってくれた。確かに先輩がいてくれると助かる。腕力もあるし風で熱気球を展開したりたたんだり出来るから。
「俺も手伝おうか」
「タカス君は展示物の説明が必要かもしれないから残っていて下さい」
確かに記述魔法応用系の色々はタカス君が説明するのが一番だ。俺も望遠鏡と顕微鏡を昨日から展示しているけれど、あれは原理が単純だし。
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