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第23章 二度目の学園祭
第186話 展示そして質疑応答
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ケーキを食べ終わったら模型飛行機の準備だ。
模型飛行機一式はランチャー付きでセットにしておいた。車輪がついているのでこれをゴロゴロさせて気球試乗会の場所までもっていく。気球用に打ってあるアンカーにランチャーを固定して、模型飛行機に燃料注入。
模型飛行機の方は鑑定魔法で見る限り異常は無い。あとは天候と俺の腕次第という訳だ。
なお気球の担当は全員乗っているようだ。下には誰も残っていない。
突風に吹かれてもヨーコ先輩が乗っていれば風魔法で帰ってこれるだろう。だから問題は全くない。移動魔法もいざとなれば使えるし。
校庭にはそこそこ人がいる。どうやら模型飛行機の飛行を見にきてくれたようだ。
一応滑走路に使うところは予めロープを張って立ち入り禁止にしてある。だから問題は特にない。
熱気球の最終便が降りてきた。ロープは熱気球の方で巻いているようだ。だからあとは降りてくるまま任せる。
「お疲れさまでした」
「やっぱり楽しいのだ」
「確かに楽しいよな。さて次は飛行機の方か」
「ああ」
それでは飛行機の展示・実演を開始だ。
「それではこれから模型飛行機の飛行を行います。飛行時間は12半時間程度。最後はロープの向こう側へ降りてくる予定です。ですのでロープは超えないようにお願いいたします。それでは開始します」
集まる視線に緊張しつつも俺は魔法でエンジンを加熱する。
ポポポポポポポ……。轟音というには微妙な音でエンジンがかかった。エンジンの調子は悪くない。
「飛行開始!」
エンジン音で聞こえないだろうけれどそう宣言してロックを解除。飛行機はバネ仕掛けのカタパルトにはじかれて加速し飛びはじめた。操作するといい感じで上昇していく。
あまり遠くにいくとコントロールできなくなる。だから適当なところで旋回開始。この場所を中心に見える範囲で楕円を描いてぐるぐる上昇させていく。
前回より気温が低めのせいか飛行機の調子はいい。舵も前回より効くようだ。
燃料切れでエンジン停止。しかし翼を大きめに作ったので割と滑空してくれる。ゆっくり旋回させつつ高度を落とし、余裕をもって着陸シークエンスへ。
正面からまっすぐ降りてきた模型飛行機が校庭にタッチダウン。ドラグシュートを開いて停止した。
「これで本日の飛行は終了です。天気が良ければ明日以降も同じ時間に飛ばす予定です。どうもありがとうございました」
実演終了。これで観衆は帰るだろう。
そう思っていたのだがとんでもなかった。むしろ一部が集まってきて質問攻めにあう。
「これはどうして飛ぶんですか」
仕方ない。質疑応答の開始だ。
「この飛行機械の翼はこのように上が少し盛り上がった形をしています。これが前に進むとそれぞれ翼の上と下に気流がわかれます。ただ鑑定魔法で見て頂くとわかるのですが上の方が速度が速く、その分空気が薄くなります。上の空気が薄く下の空気が濃いので、翼が上に引っ張られます。
他にも下に空気が当たることにより直接的に上に向かう力が働いたりもします。これらの力が合わさって全体的に上に浮かぶ力が生み出されるようです」
予め説明を作って憶えておいてよかった。何とか答える。
しかし質問は更に続く。
「エンジンと言っている火を吐いて空気を押し出しているものはどのような原理なのでしょうか」
これも予想された質問だ。
「原理は単純です。ここにエンジンの模型を持ってきました。サイズは小さいですが同じ原理で動かすことが可能です」
そう言って最初に作ったペン3本分くらいの模型を取り出す。
「このエンジンの前、この部分からは蒸発しやすく高温で爆発しやすい特殊な油が少しずつ出るようになっています。前から空気が入って、この油が混ざって蒸発してこの筒の中に入ります。入ると以前爆発した空気がこの部分で反射してこのあたりでぶつかります。結果、この部分の圧力が高くなって高熱になり、先ほど入った燃料に引火する訳です。引火して爆発すると一時的にここのシャッターが閉まります。結果爆発した空気は後ろに流れます。一部はここで反射して次に入ってきた空気を圧縮するのに使われます」
この辺の説明は鑑定魔法で観察しながら作ったものだ。ただ言葉の説明だけではわかりにくいだろう。だから実演だ。
「試しにこの小さいの方のエンジンを動かしてみます。鑑定魔法や工作系魔法等仕組みを見る魔法をお持ちの方は観察して頂けると動きがわかると思います」
予め燃料注入済みの試作エンジンを動かないように発射台に固定。熱をかけて空気を入れてやれば簡単に起動した。
「おお……」
結構皆さん真面目に観察している。この間ちょっとだけ俺も一休み。
模型エンジンの動作が終わったところで質問の時間、再開く。
「この燃料はいままで見たことがないもののように思えます。どのように入手または加工されたのでしょうか」
これも回答は用意済み。
「燃料は生物由来のものでなく、地面から出てきた油を精製して使っています。場所は今は申し上げられませんが……」
疲れる。しかし助けてくれる人は誰もいない。
模型飛行機一式はランチャー付きでセットにしておいた。車輪がついているのでこれをゴロゴロさせて気球試乗会の場所までもっていく。気球用に打ってあるアンカーにランチャーを固定して、模型飛行機に燃料注入。
模型飛行機の方は鑑定魔法で見る限り異常は無い。あとは天候と俺の腕次第という訳だ。
なお気球の担当は全員乗っているようだ。下には誰も残っていない。
突風に吹かれてもヨーコ先輩が乗っていれば風魔法で帰ってこれるだろう。だから問題は全くない。移動魔法もいざとなれば使えるし。
校庭にはそこそこ人がいる。どうやら模型飛行機の飛行を見にきてくれたようだ。
一応滑走路に使うところは予めロープを張って立ち入り禁止にしてある。だから問題は特にない。
熱気球の最終便が降りてきた。ロープは熱気球の方で巻いているようだ。だからあとは降りてくるまま任せる。
「お疲れさまでした」
「やっぱり楽しいのだ」
「確かに楽しいよな。さて次は飛行機の方か」
「ああ」
それでは飛行機の展示・実演を開始だ。
「それではこれから模型飛行機の飛行を行います。飛行時間は12半時間程度。最後はロープの向こう側へ降りてくる予定です。ですのでロープは超えないようにお願いいたします。それでは開始します」
集まる視線に緊張しつつも俺は魔法でエンジンを加熱する。
ポポポポポポポ……。轟音というには微妙な音でエンジンがかかった。エンジンの調子は悪くない。
「飛行開始!」
エンジン音で聞こえないだろうけれどそう宣言してロックを解除。飛行機はバネ仕掛けのカタパルトにはじかれて加速し飛びはじめた。操作するといい感じで上昇していく。
あまり遠くにいくとコントロールできなくなる。だから適当なところで旋回開始。この場所を中心に見える範囲で楕円を描いてぐるぐる上昇させていく。
前回より気温が低めのせいか飛行機の調子はいい。舵も前回より効くようだ。
燃料切れでエンジン停止。しかし翼を大きめに作ったので割と滑空してくれる。ゆっくり旋回させつつ高度を落とし、余裕をもって着陸シークエンスへ。
正面からまっすぐ降りてきた模型飛行機が校庭にタッチダウン。ドラグシュートを開いて停止した。
「これで本日の飛行は終了です。天気が良ければ明日以降も同じ時間に飛ばす予定です。どうもありがとうございました」
実演終了。これで観衆は帰るだろう。
そう思っていたのだがとんでもなかった。むしろ一部が集まってきて質問攻めにあう。
「これはどうして飛ぶんですか」
仕方ない。質疑応答の開始だ。
「この飛行機械の翼はこのように上が少し盛り上がった形をしています。これが前に進むとそれぞれ翼の上と下に気流がわかれます。ただ鑑定魔法で見て頂くとわかるのですが上の方が速度が速く、その分空気が薄くなります。上の空気が薄く下の空気が濃いので、翼が上に引っ張られます。
他にも下に空気が当たることにより直接的に上に向かう力が働いたりもします。これらの力が合わさって全体的に上に浮かぶ力が生み出されるようです」
予め説明を作って憶えておいてよかった。何とか答える。
しかし質問は更に続く。
「エンジンと言っている火を吐いて空気を押し出しているものはどのような原理なのでしょうか」
これも予想された質問だ。
「原理は単純です。ここにエンジンの模型を持ってきました。サイズは小さいですが同じ原理で動かすことが可能です」
そう言って最初に作ったペン3本分くらいの模型を取り出す。
「このエンジンの前、この部分からは蒸発しやすく高温で爆発しやすい特殊な油が少しずつ出るようになっています。前から空気が入って、この油が混ざって蒸発してこの筒の中に入ります。入ると以前爆発した空気がこの部分で反射してこのあたりでぶつかります。結果、この部分の圧力が高くなって高熱になり、先ほど入った燃料に引火する訳です。引火して爆発すると一時的にここのシャッターが閉まります。結果爆発した空気は後ろに流れます。一部はここで反射して次に入ってきた空気を圧縮するのに使われます」
この辺の説明は鑑定魔法で観察しながら作ったものだ。ただ言葉の説明だけではわかりにくいだろう。だから実演だ。
「試しにこの小さいの方のエンジンを動かしてみます。鑑定魔法や工作系魔法等仕組みを見る魔法をお持ちの方は観察して頂けると動きがわかると思います」
予め燃料注入済みの試作エンジンを動かないように発射台に固定。熱をかけて空気を入れてやれば簡単に起動した。
「おお……」
結構皆さん真面目に観察している。この間ちょっとだけ俺も一休み。
模型エンジンの動作が終わったところで質問の時間、再開く。
「この燃料はいままで見たことがないもののように思えます。どのように入手または加工されたのでしょうか」
これも回答は用意済み。
「燃料は生物由来のものでなく、地面から出てきた油を精製して使っています。場所は今は申し上げられませんが……」
疲れる。しかし助けてくれる人は誰もいない。
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