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第17章 1学期中の出来事
第138話 中間テストの結果
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中間テストはなかなか危なかった。落第点の危機とかそういう意味では無い。危うく総合順位でシンハ君に負けるところだったのだ。
俺が勝てたのは摂理と算術でシンハ君と差をつける事が出来たおかげ。しかし苦手の古典はシンハ君82点、俺75点で負けてしまった。
テスト結果発表後、奴の席の周りが微妙に騒がしい。
「何だよシンハ。お前は俺達の仲間だと思っていたのに」
「偶然さ偶然」
「でも全教科補習無しだろ」
「というか総合で名前張り出してあっただろ、赤点通知じゃなく上位の方で」
「何か勉強が出来るようになる魔法でも開発したんじゃないのか」
「だったら俺達にも教えろ」
そんな感じだ。
うちの学校は定期テストの上位4分の1以上は名前を廊下に貼り出す。つまりシンハ君は一気に上位4分の1まで進出した訳だ。
ちなみに順位的にはミド・リーが3位、ナカさんが5位。シモンさんが28位、俺が31位。そして今回のシンハ君が48位だ。
確かに奴は春から大分真面目に勉強をするようになっている。しかしまさかここまで一気に伸びるとは思っていなかった。
ちょっとそろそろ微妙にヤバい気がする。俺の個人的に。
次回は少し位歴史や古文を勉強した方がいいのだろうか。でもテスト勉強をするなんてのは俺の美意識に反する。テストは実力を試すためのものだから。ま余分な勉強をしない為の言い訳だったりもするけれど。
「これなら夏合宿も初日から計画を立てられるよな」
「いや、まだまだだ」
「でもこれだけ出来ればいい調子なんじゃない」
そんな事を話しながらシンハ君も含めミド・リーと3人で研究室へ。シンハ君も一緒なのは雨が降っているから。シンハ君達のトレーニングは雨の日はグラウンドで無く研究室集合だから。
研究室に入るとフルエさんが会議室の机に突っ伏していた。タカス君が横に座って何やらやっている。昨年までは違うメンバーで見慣れた光景、つまりテスト後の勉強会だ。
「どうしたんだ?」
「中間テストが悪かったのだ。明日から補習なのだ」
なるほど。ただこれはフルエさんが悪いのでは無く、ある程度は仕方ない事だったりする。
ここウージナ王立学校中等部は他の中等学校と比べてもレベルが高い。だから一回目の試験では割と自分の自信を打ち砕かれる事になるのだ。
勿論ミド・リーとかナカさんあたりのレベルは論外。こいつらは他人の自信を打ち砕く側だから。
「再試験に失敗すると期末テストまでずっと放課後補習なのだ。何としてもそれは避けたいのだ」
昨年はシンハ君がひっかかったなあ。思えば懐かしい。
いや違う、まずい事態だ。期末テストまで補習になると合宿日程が変わってしまう。さらに夏休み補習後の再試験も失敗すると落第コースだ。
「うーん、わからないのだ」
「だからここはこうやって」
「何故そうするかがわからないのだ。タカスの教え方はわかりにくいのだ」
うん、これは何処かで見た景色だ。昨年ミド・リーやナカさん、俺とシンハ君で繰り広げたのと同じ状態。ならばこの事態の会蹴るにはタカス君や俺、ミド・リーやナカさんより適した奴がいる。
「シンハ、出番だ」
「何の出番なんだ?」
「お前なら何処でわからなくなっているかわかるだろ」
「でも人に教えるほど自信ないぞ」
「もう大丈夫よね、成績優秀者なんだし」
俺とミド・リーの2人でシンハ君を追いやる。シンハ君、仕方なしに2人の方へ。
どれどれと見てああという顔をして頷いた。
「これは一度同じ物を探してやればいいんだ」
「同じ物ってなんなのだ」
「ここの式の一番先がこれで、おわりがこれだろ。だから……」
解説開始。
今度はフルエさん、うんうんという感じで聞いている。
「なるほどなのだ。一度こうやって分けて、それからあわせるのか」
「そうそう。だから結果的にこうなる」
「それならわかるのだ」
「あとテストで間違ったところだけ集中的にやれば再テストは何とかなる。だいたい問題の傾向は同じだしさ。だからフルエの場合、練習するべき処はここの因数分解と二次方程式の極限。これはやり方が似ているからさ……」
上手くいっているようだ。なら後はこのままシンハ君にに任せればいい。タカス君もそう判断したのだろう。そーっと席から逃げてこっちにやってくる。
「シンハ先輩に任せた方がいい。間違いない」
「奴も以前は色々苦労していたしさ、わからない処がわかるんだろう」
「でもシンハ先輩も成績優秀者だよな。名前があった」
他学年のまで確認したのか。タカス君、いつもながら何気に細かい。
「シンハがあそこに貼り出されるのは初めてよ。以前は赤点ぎりぎり、夏は実際に赤点で補習をうけたりしていたんだから」
「ヨーコ先輩のおかげだよな」
「あとはシンハ自身の努力だよね」
それもあるな。というかそれが一番だ。
なお後ほど1年の成績順位を見てううむと思った。第2位のところにタカス君の名前がある。どうやら奴はミド・リーと同じく天才系の模様。
なるほど、それじゃ教え方もかみ合わないよな。俺は1人で納得してしまった。
俺が勝てたのは摂理と算術でシンハ君と差をつける事が出来たおかげ。しかし苦手の古典はシンハ君82点、俺75点で負けてしまった。
テスト結果発表後、奴の席の周りが微妙に騒がしい。
「何だよシンハ。お前は俺達の仲間だと思っていたのに」
「偶然さ偶然」
「でも全教科補習無しだろ」
「というか総合で名前張り出してあっただろ、赤点通知じゃなく上位の方で」
「何か勉強が出来るようになる魔法でも開発したんじゃないのか」
「だったら俺達にも教えろ」
そんな感じだ。
うちの学校は定期テストの上位4分の1以上は名前を廊下に貼り出す。つまりシンハ君は一気に上位4分の1まで進出した訳だ。
ちなみに順位的にはミド・リーが3位、ナカさんが5位。シモンさんが28位、俺が31位。そして今回のシンハ君が48位だ。
確かに奴は春から大分真面目に勉強をするようになっている。しかしまさかここまで一気に伸びるとは思っていなかった。
ちょっとそろそろ微妙にヤバい気がする。俺の個人的に。
次回は少し位歴史や古文を勉強した方がいいのだろうか。でもテスト勉強をするなんてのは俺の美意識に反する。テストは実力を試すためのものだから。ま余分な勉強をしない為の言い訳だったりもするけれど。
「これなら夏合宿も初日から計画を立てられるよな」
「いや、まだまだだ」
「でもこれだけ出来ればいい調子なんじゃない」
そんな事を話しながらシンハ君も含めミド・リーと3人で研究室へ。シンハ君も一緒なのは雨が降っているから。シンハ君達のトレーニングは雨の日はグラウンドで無く研究室集合だから。
研究室に入るとフルエさんが会議室の机に突っ伏していた。タカス君が横に座って何やらやっている。昨年までは違うメンバーで見慣れた光景、つまりテスト後の勉強会だ。
「どうしたんだ?」
「中間テストが悪かったのだ。明日から補習なのだ」
なるほど。ただこれはフルエさんが悪いのでは無く、ある程度は仕方ない事だったりする。
ここウージナ王立学校中等部は他の中等学校と比べてもレベルが高い。だから一回目の試験では割と自分の自信を打ち砕かれる事になるのだ。
勿論ミド・リーとかナカさんあたりのレベルは論外。こいつらは他人の自信を打ち砕く側だから。
「再試験に失敗すると期末テストまでずっと放課後補習なのだ。何としてもそれは避けたいのだ」
昨年はシンハ君がひっかかったなあ。思えば懐かしい。
いや違う、まずい事態だ。期末テストまで補習になると合宿日程が変わってしまう。さらに夏休み補習後の再試験も失敗すると落第コースだ。
「うーん、わからないのだ」
「だからここはこうやって」
「何故そうするかがわからないのだ。タカスの教え方はわかりにくいのだ」
うん、これは何処かで見た景色だ。昨年ミド・リーやナカさん、俺とシンハ君で繰り広げたのと同じ状態。ならばこの事態の会蹴るにはタカス君や俺、ミド・リーやナカさんより適した奴がいる。
「シンハ、出番だ」
「何の出番なんだ?」
「お前なら何処でわからなくなっているかわかるだろ」
「でも人に教えるほど自信ないぞ」
「もう大丈夫よね、成績優秀者なんだし」
俺とミド・リーの2人でシンハ君を追いやる。シンハ君、仕方なしに2人の方へ。
どれどれと見てああという顔をして頷いた。
「これは一度同じ物を探してやればいいんだ」
「同じ物ってなんなのだ」
「ここの式の一番先がこれで、おわりがこれだろ。だから……」
解説開始。
今度はフルエさん、うんうんという感じで聞いている。
「なるほどなのだ。一度こうやって分けて、それからあわせるのか」
「そうそう。だから結果的にこうなる」
「それならわかるのだ」
「あとテストで間違ったところだけ集中的にやれば再テストは何とかなる。だいたい問題の傾向は同じだしさ。だからフルエの場合、練習するべき処はここの因数分解と二次方程式の極限。これはやり方が似ているからさ……」
上手くいっているようだ。なら後はこのままシンハ君にに任せればいい。タカス君もそう判断したのだろう。そーっと席から逃げてこっちにやってくる。
「シンハ先輩に任せた方がいい。間違いない」
「奴も以前は色々苦労していたしさ、わからない処がわかるんだろう」
「でもシンハ先輩も成績優秀者だよな。名前があった」
他学年のまで確認したのか。タカス君、いつもながら何気に細かい。
「シンハがあそこに貼り出されるのは初めてよ。以前は赤点ぎりぎり、夏は実際に赤点で補習をうけたりしていたんだから」
「ヨーコ先輩のおかげだよな」
「あとはシンハ自身の努力だよね」
それもあるな。というかそれが一番だ。
なお後ほど1年の成績順位を見てううむと思った。第2位のところにタカス君の名前がある。どうやら奴はミド・リーと同じく天才系の模様。
なるほど、それじゃ教え方もかみ合わないよな。俺は1人で納得してしまった。
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