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第16章 新人到来
第132話 3人目無事入会
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脱臭壁掛けの効果は劇的だった。少なくとも我が家では大絶賛だ。こんな大絶賛、スキンケア用品以来の事ではないだろうか。
翌日の研究室で確認したところ、何処の家でも大好評だったらしい。なので早速量産体制に入ることにした。
今回量産するのはここの研究室では無い。色々話し合った結果、うちの家から資金を出して製造販売する事になった。
素材となる分厚いふかふかの布は普通の工作系魔法使いで生産可能らしい。
だから
① あの分厚くてふかふかの布を工作系魔法使いに量産させる
② 出来た布に金属版画であの記述を印刷する
③ その上に薄めの布地にイラストを描いたものを貼り付ける
という工程で製造することになった。
この状態でも脱臭壁掛けの威力は充分に発揮することは確認済だ。早速父が量産手配中。
なお市販に移した後の10年間、純利益の4割がタカス君の手元に入る。
「悪い、何か」
「いいのいいの。最初だしね。それに私達は私達で既に色々収入があるし」
魔法杖もあるしスキンケアもある。更にシンハ君と俺には蚊取り線香もあるのだ。
なお脱臭壁掛けの他にもまだ色々案は残っている。その辺は随時出していく予定だ。
そんなこんながあって本日は4の曜日の放課後。予定通りならユキ先輩の調査結果が得る筈だ。
そんな訳で準備は出来ている。ヨーコ先輩達も今日は早めにやって来た。
「今日はどっちから来るかな」
「通行証も持っているしね」
「前回は通行証無しで大丈夫か試したかっただけでしょう。ですから今回は普通に廊下側からいらっしゃると思いますわ」
なんて話をしながら待っていると。
トントントン。廊下側の扉がノックされた。
「はい」
アキナ先輩が返事して扉の前に。前回は苦手そうだったのに積極的だな。なんとなくそう感じる。何かあったのだろうか。
「失礼します。入会希望のユキと申します」
来たな。俺は研究中の魔法杖の片付けを開始。
「どうぞお入り下さいな」
アキナ先輩の台詞と同時に扉が開いてユキ先輩が入ってくる。俺達もそれにあわせて会議室へ集合。
なお本日のお茶当番はお客様がいるのでナカさんが担当だ。おやつ等もユキ先輩を含めた人数分用意してある。
「それでは結果を確認させていただきますわね」
手続きその他色々省略してアキナ先輩がユキ先輩の持参した封筒を開封。さっと目を通して頷いた。
「問題なしですね」
明菜先輩は皆から読めるよう、テーブルの上に国王庁の調査結果を広げた。
ユキ先輩が微笑する。
「大丈夫だとわかっていてもやはりほっとしますね」
「そんな訳でようこそ、ユキ。それでは明日からの合宿もよろしくお願いしますね」
「こちらこそ」
合宿の件も既に話してあるようだ。
「それではお茶が終わりましたら早速色々見せていただいていいでしょうか。あのアキナが高等部に入っても続けているという内容に興味があります」
そんな訳でまずは今日のお茶に出したプリンや紅茶から解説を開始する。更にはこの部屋の中にある魔法杖や蒸気船、自動車、2階の風呂までひととおり。
回った後にユキ先輩から。
「そう言えば私もお菓子を用意してきました。宜しければどうぞ」
という事でまた全員で会議室へ。
ユキ先輩が持参してきたフルーツタルトを食べながら再び会話モードに入る。
「なるほど、アキナが続けている理由も入会に審査がある理由もわかりました。色々危険過ぎて楽しい場所ですね、ここは」
ん? 危険すぎてと楽しいが俺のあまたの中で結びつかない。
「危険過ぎて、とはどういう意味ですか?」
「少なくともアキナやヨーコさん、シンハ君は充分承知の筈でしょう。違いますか」
ヨーコ先輩は頷いた。
「ここにあるものだけで国同士の勢力図を書き換える事が可能だ」
「正解です。ただ聞いた限りではその辺は上手くいっているように見えます。でも十分に注意した方がいいと忠告はしておきましょう。おそらく此処というか研究院の何処かに蒸気機関で動く舟と車がある事は知られているでしょうから」
考えてみれば積極的には隠していない。だから把握されている可能性は当然ある。
「ミド・リーさんがいれば当座は問題ないでしょう。でもミタキ君とあとタカス君、2人は十分に注意した方がいいですわ。特にミタキ君、そういう意識が足りないようですから、外では十分注意するよう心がけて下さると皆さん助かるかと思います」
ミド・リーの名前が出てきたというのは、魔法で人が隠れていてもわかるからだろうか。まさか怪我をしても治療可能だからという事ではないだろうし。
それはそれとして確かにそうだ。そういう意味での危険なものは色々作っているし在庫している。言われてみるとまさにその通りだ。
「気をつけます」
「まあお小言はここまでにしましょう。それに秘密のひとつやふたつあった方が楽しいですしね。
さて話は変わりますけれど、明日からの合宿はどんな処でしょうか。アキナは日程と着替えと水着持参位しか言ってくれなかったので」
逆に言うと教室でその程度までは話しているという事か。ますますユキ先輩とアキナ先輩の関係がわからなくなる。
いや従兄弟とか家とかの関係は聞いている。ただ何か他に、個人的な思いとか何かがあるように感じるのだ。
それに何故、同じクラスなのに少し間を置いて此処へ来たのだろう。その辺りもよくわからない。
勿論その辺を直接聞くことはしないけれど。
翌日の研究室で確認したところ、何処の家でも大好評だったらしい。なので早速量産体制に入ることにした。
今回量産するのはここの研究室では無い。色々話し合った結果、うちの家から資金を出して製造販売する事になった。
素材となる分厚いふかふかの布は普通の工作系魔法使いで生産可能らしい。
だから
① あの分厚くてふかふかの布を工作系魔法使いに量産させる
② 出来た布に金属版画であの記述を印刷する
③ その上に薄めの布地にイラストを描いたものを貼り付ける
という工程で製造することになった。
この状態でも脱臭壁掛けの威力は充分に発揮することは確認済だ。早速父が量産手配中。
なお市販に移した後の10年間、純利益の4割がタカス君の手元に入る。
「悪い、何か」
「いいのいいの。最初だしね。それに私達は私達で既に色々収入があるし」
魔法杖もあるしスキンケアもある。更にシンハ君と俺には蚊取り線香もあるのだ。
なお脱臭壁掛けの他にもまだ色々案は残っている。その辺は随時出していく予定だ。
そんなこんながあって本日は4の曜日の放課後。予定通りならユキ先輩の調査結果が得る筈だ。
そんな訳で準備は出来ている。ヨーコ先輩達も今日は早めにやって来た。
「今日はどっちから来るかな」
「通行証も持っているしね」
「前回は通行証無しで大丈夫か試したかっただけでしょう。ですから今回は普通に廊下側からいらっしゃると思いますわ」
なんて話をしながら待っていると。
トントントン。廊下側の扉がノックされた。
「はい」
アキナ先輩が返事して扉の前に。前回は苦手そうだったのに積極的だな。なんとなくそう感じる。何かあったのだろうか。
「失礼します。入会希望のユキと申します」
来たな。俺は研究中の魔法杖の片付けを開始。
「どうぞお入り下さいな」
アキナ先輩の台詞と同時に扉が開いてユキ先輩が入ってくる。俺達もそれにあわせて会議室へ集合。
なお本日のお茶当番はお客様がいるのでナカさんが担当だ。おやつ等もユキ先輩を含めた人数分用意してある。
「それでは結果を確認させていただきますわね」
手続きその他色々省略してアキナ先輩がユキ先輩の持参した封筒を開封。さっと目を通して頷いた。
「問題なしですね」
明菜先輩は皆から読めるよう、テーブルの上に国王庁の調査結果を広げた。
ユキ先輩が微笑する。
「大丈夫だとわかっていてもやはりほっとしますね」
「そんな訳でようこそ、ユキ。それでは明日からの合宿もよろしくお願いしますね」
「こちらこそ」
合宿の件も既に話してあるようだ。
「それではお茶が終わりましたら早速色々見せていただいていいでしょうか。あのアキナが高等部に入っても続けているという内容に興味があります」
そんな訳でまずは今日のお茶に出したプリンや紅茶から解説を開始する。更にはこの部屋の中にある魔法杖や蒸気船、自動車、2階の風呂までひととおり。
回った後にユキ先輩から。
「そう言えば私もお菓子を用意してきました。宜しければどうぞ」
という事でまた全員で会議室へ。
ユキ先輩が持参してきたフルーツタルトを食べながら再び会話モードに入る。
「なるほど、アキナが続けている理由も入会に審査がある理由もわかりました。色々危険過ぎて楽しい場所ですね、ここは」
ん? 危険すぎてと楽しいが俺のあまたの中で結びつかない。
「危険過ぎて、とはどういう意味ですか?」
「少なくともアキナやヨーコさん、シンハ君は充分承知の筈でしょう。違いますか」
ヨーコ先輩は頷いた。
「ここにあるものだけで国同士の勢力図を書き換える事が可能だ」
「正解です。ただ聞いた限りではその辺は上手くいっているように見えます。でも十分に注意した方がいいと忠告はしておきましょう。おそらく此処というか研究院の何処かに蒸気機関で動く舟と車がある事は知られているでしょうから」
考えてみれば積極的には隠していない。だから把握されている可能性は当然ある。
「ミド・リーさんがいれば当座は問題ないでしょう。でもミタキ君とあとタカス君、2人は十分に注意した方がいいですわ。特にミタキ君、そういう意識が足りないようですから、外では十分注意するよう心がけて下さると皆さん助かるかと思います」
ミド・リーの名前が出てきたというのは、魔法で人が隠れていてもわかるからだろうか。まさか怪我をしても治療可能だからという事ではないだろうし。
それはそれとして確かにそうだ。そういう意味での危険なものは色々作っているし在庫している。言われてみるとまさにその通りだ。
「気をつけます」
「まあお小言はここまでにしましょう。それに秘密のひとつやふたつあった方が楽しいですしね。
さて話は変わりますけれど、明日からの合宿はどんな処でしょうか。アキナは日程と着替えと水着持参位しか言ってくれなかったので」
逆に言うと教室でその程度までは話しているという事か。ますますユキ先輩とアキナ先輩の関係がわからなくなる。
いや従兄弟とか家とかの関係は聞いている。ただ何か他に、個人的な思いとか何かがあるように感じるのだ。
それに何故、同じクラスなのに少し間を置いて此処へ来たのだろう。その辺りもよくわからない。
勿論その辺を直接聞くことはしないけれど。
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