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第10章 便利道具と魔獣狩り ~冬休み合宿編・中~
おまけ 第87話IF 以降不明
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今夜も一応魔獣退治に出てみる。まずは投光器とミド・リーの魔法アンテナだけ設置して様子を確認だ。
「ちょっとまずいかも。川の左側240腕にいる猿魔獣はいいとしてね。問題は川から見て右側の山、ここから320腕のところに今までと明らかに違う反応がある。大きさは前の猪魔獣程じゃないけれど魔力は倍以上。多分これは熊魔獣ね。徐々にこっちに近づいてくる」
「全員、堰堤の上で武器を準備しよう。いざとなったら逃げられるように」
「やりますか」
「ああ」
ヨーコ先輩は頷く。
「熊魔獣に下りてこられたら被害が大きくなる。この村の為にも倒しておくべきだろう。ここまであとどれくらい時間がかかりそうだ?」
「このままなら3半時間位」
「わかった。ただ熊魔獣は積極的に風魔法と炎魔法を使ってくる。盾も絶対では無い。無理しないで危険だと思ったら砦へ逃げてくれ。ミド・リーさん。個別の睡眠魔法とかは効きそうか?」
ミド・リーは首を横に振る。
「多分駄目。向こうの魔力がちょっと大きすぎて。魔力で障壁を張っているような状態よ。魔法よりむしろ物理攻撃の方が効くかも」
「この魔法杖を使っても駄目か?」
「わからない。でも普通の威力では効かないと思う」
とんでもない相手だ。
「砦に知らせておきましょうか」
「そうだな。ナカさん、砦に連絡を頼む。あとナカさんはそのまま砦で待機していてくれ」
「わかりました」
「大きさは体長1腕程度、重さは40重程度よ」
「わかりました。行ってきます」
ナカさんが砦の方へ走っていく。
相手は攻撃魔法を使ってくる熊で、魔法が効かない可能性があるのか。なら俺の銃が一番役に立つかもしれない。
連射しても飛ばされないよう、三脚の足下のタンクに注水しておく。これが重り代わりになるから反動は大分弱まる筈だ。更に魔法銅の盾を堰堤に立てて、これも重り代わりの水タンクで固定。
フールイ先輩はアンテナと銃を両方準備している。
「来たら足場の土を崩す。一時的に速度が落ちる筈」
「頼む。でも無理はするなよ」
アキナ先輩とヨーコ先輩、ミド・リーは盾とアンテナ併用。シモンさんは少し離れた場所から低い姿勢でボウガンを構えている。
シンハ君は猪魔獣の時と違う投げ槍を手にしていた。
「その重そうな黄金の槍は何なんだ?」
「魔法銅と魔法青銅で出来た槍さ。重いけれど魔法障壁が効かない筈だ」
防御は魔法銅のプレートアーマーに任せる方針らしい。
なお俺を始め全員が用意した防具をフル装備している。何せ相手は攻撃魔法を使うのだ。用心しすぎる事は無い。
砦の方が騒がしくなる。向こうでも通報を聞いて動き始めたらしい。
「熊魔獣まもなくよ。あっ、走り始めた。出る!」
ドーン! 川沿い右岸側の岩が弾けた。フールイ先輩が足場を崩したようだ。
「手前で止まった。注意している。でもこっちへ出てきそう。来る。あと5、4、3、2、1」
出てきた。黒くて見えにくいが確かにいる。
バン! 横で音がした。大丈夫か!
「拙い! ヨーコ先輩が盾ごと弾かれた!」
堰堤の後ろ側、船着き場の方で何かが落ちた水の音がした。でも安否を確認する余裕など無い。
俺は必死に引き金を絞る。
ダダダダダダダダダ……
反動が大きいせいか弾がまとまらない。それでもいくらかは当たっている筈。しかし熊魔獣が倒れる気配が無い。
そして奴がこっちを向く。視線が合ったと思った次の瞬間。
ドン! グワッッツ!
気がつけば空中だった。
そうか、俺はヨーコ先輩と同様、盾ごと弾かれたわけか。微妙に視界が赤いのは血が出ているせいだろう。それにしても随分色々な事を考えられるな。
下へ落ちていく様子もまるでスローモーションに見える。
俺は弾かれた盾とともに落ちていく。砦3階分の高さを下へ。だが俺の下は船だまりの水面では無い。船着き場の石畳のようだ。
駄目だこの頭から下の体勢では。終わったな。
そう思った直後、激しい衝撃で俺の意識は途絶えた。
~ DEAD END~
「ちょっとまずいかも。川の左側240腕にいる猿魔獣はいいとしてね。問題は川から見て右側の山、ここから320腕のところに今までと明らかに違う反応がある。大きさは前の猪魔獣程じゃないけれど魔力は倍以上。多分これは熊魔獣ね。徐々にこっちに近づいてくる」
「全員、堰堤の上で武器を準備しよう。いざとなったら逃げられるように」
「やりますか」
「ああ」
ヨーコ先輩は頷く。
「熊魔獣に下りてこられたら被害が大きくなる。この村の為にも倒しておくべきだろう。ここまであとどれくらい時間がかかりそうだ?」
「このままなら3半時間位」
「わかった。ただ熊魔獣は積極的に風魔法と炎魔法を使ってくる。盾も絶対では無い。無理しないで危険だと思ったら砦へ逃げてくれ。ミド・リーさん。個別の睡眠魔法とかは効きそうか?」
ミド・リーは首を横に振る。
「多分駄目。向こうの魔力がちょっと大きすぎて。魔力で障壁を張っているような状態よ。魔法よりむしろ物理攻撃の方が効くかも」
「この魔法杖を使っても駄目か?」
「わからない。でも普通の威力では効かないと思う」
とんでもない相手だ。
「砦に知らせておきましょうか」
「そうだな。ナカさん、砦に連絡を頼む。あとナカさんはそのまま砦で待機していてくれ」
「わかりました」
「大きさは体長1腕程度、重さは40重程度よ」
「わかりました。行ってきます」
ナカさんが砦の方へ走っていく。
相手は攻撃魔法を使ってくる熊で、魔法が効かない可能性があるのか。なら俺の銃が一番役に立つかもしれない。
連射しても飛ばされないよう、三脚の足下のタンクに注水しておく。これが重り代わりになるから反動は大分弱まる筈だ。更に魔法銅の盾を堰堤に立てて、これも重り代わりの水タンクで固定。
フールイ先輩はアンテナと銃を両方準備している。
「来たら足場の土を崩す。一時的に速度が落ちる筈」
「頼む。でも無理はするなよ」
アキナ先輩とヨーコ先輩、ミド・リーは盾とアンテナ併用。シモンさんは少し離れた場所から低い姿勢でボウガンを構えている。
シンハ君は猪魔獣の時と違う投げ槍を手にしていた。
「その重そうな黄金の槍は何なんだ?」
「魔法銅と魔法青銅で出来た槍さ。重いけれど魔法障壁が効かない筈だ」
防御は魔法銅のプレートアーマーに任せる方針らしい。
なお俺を始め全員が用意した防具をフル装備している。何せ相手は攻撃魔法を使うのだ。用心しすぎる事は無い。
砦の方が騒がしくなる。向こうでも通報を聞いて動き始めたらしい。
「熊魔獣まもなくよ。あっ、走り始めた。出る!」
ドーン! 川沿い右岸側の岩が弾けた。フールイ先輩が足場を崩したようだ。
「手前で止まった。注意している。でもこっちへ出てきそう。来る。あと5、4、3、2、1」
出てきた。黒くて見えにくいが確かにいる。
バン! 横で音がした。大丈夫か!
「拙い! ヨーコ先輩が盾ごと弾かれた!」
堰堤の後ろ側、船着き場の方で何かが落ちた水の音がした。でも安否を確認する余裕など無い。
俺は必死に引き金を絞る。
ダダダダダダダダダ……
反動が大きいせいか弾がまとまらない。それでもいくらかは当たっている筈。しかし熊魔獣が倒れる気配が無い。
そして奴がこっちを向く。視線が合ったと思った次の瞬間。
ドン! グワッッツ!
気がつけば空中だった。
そうか、俺はヨーコ先輩と同様、盾ごと弾かれたわけか。微妙に視界が赤いのは血が出ているせいだろう。それにしても随分色々な事を考えられるな。
下へ落ちていく様子もまるでスローモーションに見える。
俺は弾かれた盾とともに落ちていく。砦3階分の高さを下へ。だが俺の下は船だまりの水面では無い。船着き場の石畳のようだ。
駄目だこの頭から下の体勢では。終わったな。
そう思った直後、激しい衝撃で俺の意識は途絶えた。
~ DEAD END~
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