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第10章 便利道具と魔獣狩り ~冬休み合宿編・中~
第85話 夜の魔獣討伐
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午後7時。鐘の音とともに仮眠から起きて、簡単な夕食を作って食べる。
ちなみにメニューはスパゲティ猪肉ソース、鹿肉ソテー付き。
スパゲティは茹でたが猪肉ソース等は作っておいたのを暖めただけ。でもトマトの甘みと酸味がちょうど良くなじんでいて美味しい。
食べ過ぎない程度に食べてから、装備を着込んで外へ。
「夜はやっぱり寒いな」
日常魔法である程度服や身体を温められる。しかしそれでも寒い。ちょっとした隙間から風が熱を奪っていく感じだ。
投光器のスイッチを入れる。一気に前方が明るくなった。漏れてくる明かりで手元の銃等もよく見える。
なお砦には今夜ここで魔獣狩りをする事を連絡済みだ。だからこの明るさが不審がられる事は無いだろう。
「これは便利ですわ。帰ったら早速スポンサーに報告ですわね」
以前は新規制作物の報告はアキナ先輩経由で軍だった。しかし文化祭の後少ししてから報告先が学園事務局経由に変更された。ホン・ド王子あたりが関与しているらしいが詳しくは不明。
まずは武器や魔法杖の組み立てと設置。それにしてもとにかく寒い。
「設置が終わったらさっさと焚き火をつけようぜ」
「普通の獣は火を嫌うけれど大丈夫?」
「魔獣はあまり気にしないらしい。強さに自信があるからかな」
アキナ先輩が魔法で一気に火をつける。火のある方だけ少しだけ暖かくなった。
「さて、火もついて準備が出来たところでミド・リーさん。魔獣の方はどうかな」
「活発に動いているわよ。昼とは比べものにならない位。300腕以内だけでも猿魔獣《ヒバゴン》2、鹿魔獣《チデジカ》4、猪魔獣《オツコト》1ってところね。鼬魔獣とか鼠魔獣《ガンバ》なんていっぱいいすぎて数えるのが大変なくらいよ」
熊魔獣《アナログマ》がいない事に俺はちょっとだけほっとした。
「一番近いのはどの辺の何になる?」
「鹿魔獣4頭かな。川沿い52腕のところで水を飲んでいる」
「念の為一番近い猪魔獣《オツコト》と熊魔獣の位置はどんな感じか教えてくれ」
「猪魔獣は川沿い100腕左側200腕《400m》の沢ね。この前のより遙かに小型で、今は遠ざかる方へ動いている。熊魔獣は……800腕先にいるのが多分そうだと思うけれど、これも沢で水を飲んでこれから沢沿い上方向へ向かいそう」
いるのか熊魔獣。まあ結構遠いようだし大丈夫だろうけれど。
「こっちに今晩降りてきそうな大型の猪魔獣《オツコト》や熊魔獣《アナログマ》は今のところいないと思っていいかな」
「多分大丈夫だと思うわ」
「なら今夜の獲物は一番近い鹿魔獣《チデジカ》4頭にしよう。フールイさん、左後方から頼む。私は右後方から適宜脅すから」
「了解」
「この程度の鹿魔獣《チデジカ》4頭なら全部私の強制睡眠魔法が効くと思うわ。とどめはアキナ先輩お願いします」
「わかりましたわ」
「それではカウントする。10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0!」
ガサガサ、ドン! 山方向でそんな音が同時に響いた。
バタバタ、ザワザワ。山が揺れるように音が動き始める。
「近づいてきた。すぐ来る」
ミド・リーはそう言って魔法アンテナを構える。電灯の光の中何かが跳ねたのが見えた。俺に見えたのはそれだけだ。
ドサドサドサッ、そんな音がした。
「アキナ先輩お願いします」
「了解、これで終わったわ」
俺が感知する前に全てが終わっていた。
「他に追ってきそうな魔獣はいないか」
「大丈夫。むしろいまの騒ぎで他は離れていく感じ」
「よし、なら回収だ。ミド・リーさんは念の為監視を頼む」
「了解よ」
俺とシンハ君、それにヨーコ先輩とシモンさんで荷車を引いて山方向へ。この前の鹿魔獣《チデジカ》よりはやや小さい、それでも鹿としては充分大型の鹿魔獣が4頭倒れていた。
「これなら重ねればぎりぎり荷車にのるかな」
「載せられるなら一気に運ぼう」
そんな訳で主にシンハ君が腕力で鹿魔獣《チデジカ》4頭を荷車に積む。
「うお、前の大猪魔獣《オツコトヌシ》並みに重めえ!」
「私も手伝うから安心しろ。あと今日はこれで撤収だ。下の船着き場で内臓を取ろう。ミタキは投光器の運搬頼む」
「わかりました」
「僕も手伝うよ」
結局魔法杖や銃も急いで撤収し、全員で下の船着き場まで下りてきた。投光器を再び組み立ててスイッチを入れる。
「明るいな。これなら作業しやすい」
「僕も半分手伝うよ」
フールイ先輩とシモンさんの手で手際よく内臓が出される。
取り出した内臓は一度水洗いした後箱詰め。そしてシンハ君が4頭とも水中に吊せば今夜の作業は終わりだ。
「寒い寒い、早く部屋に戻ろうぜ」
「そうだね。暖かいお風呂入って、クリーム塗り込まないと肌荒れしそう」
「今回も1頭分は内臓肉を料理用にとっておきましょう」
「賛成! ミタキまたよろしくね」
そんな事を言いながら内臓を入れた箱を荷車に積んで、砦の入口へと皆で帰る。
ちなみにメニューはスパゲティ猪肉ソース、鹿肉ソテー付き。
スパゲティは茹でたが猪肉ソース等は作っておいたのを暖めただけ。でもトマトの甘みと酸味がちょうど良くなじんでいて美味しい。
食べ過ぎない程度に食べてから、装備を着込んで外へ。
「夜はやっぱり寒いな」
日常魔法である程度服や身体を温められる。しかしそれでも寒い。ちょっとした隙間から風が熱を奪っていく感じだ。
投光器のスイッチを入れる。一気に前方が明るくなった。漏れてくる明かりで手元の銃等もよく見える。
なお砦には今夜ここで魔獣狩りをする事を連絡済みだ。だからこの明るさが不審がられる事は無いだろう。
「これは便利ですわ。帰ったら早速スポンサーに報告ですわね」
以前は新規制作物の報告はアキナ先輩経由で軍だった。しかし文化祭の後少ししてから報告先が学園事務局経由に変更された。ホン・ド王子あたりが関与しているらしいが詳しくは不明。
まずは武器や魔法杖の組み立てと設置。それにしてもとにかく寒い。
「設置が終わったらさっさと焚き火をつけようぜ」
「普通の獣は火を嫌うけれど大丈夫?」
「魔獣はあまり気にしないらしい。強さに自信があるからかな」
アキナ先輩が魔法で一気に火をつける。火のある方だけ少しだけ暖かくなった。
「さて、火もついて準備が出来たところでミド・リーさん。魔獣の方はどうかな」
「活発に動いているわよ。昼とは比べものにならない位。300腕以内だけでも猿魔獣《ヒバゴン》2、鹿魔獣《チデジカ》4、猪魔獣《オツコト》1ってところね。鼬魔獣とか鼠魔獣《ガンバ》なんていっぱいいすぎて数えるのが大変なくらいよ」
熊魔獣《アナログマ》がいない事に俺はちょっとだけほっとした。
「一番近いのはどの辺の何になる?」
「鹿魔獣4頭かな。川沿い52腕のところで水を飲んでいる」
「念の為一番近い猪魔獣《オツコト》と熊魔獣の位置はどんな感じか教えてくれ」
「猪魔獣は川沿い100腕左側200腕《400m》の沢ね。この前のより遙かに小型で、今は遠ざかる方へ動いている。熊魔獣は……800腕先にいるのが多分そうだと思うけれど、これも沢で水を飲んでこれから沢沿い上方向へ向かいそう」
いるのか熊魔獣。まあ結構遠いようだし大丈夫だろうけれど。
「こっちに今晩降りてきそうな大型の猪魔獣《オツコト》や熊魔獣《アナログマ》は今のところいないと思っていいかな」
「多分大丈夫だと思うわ」
「なら今夜の獲物は一番近い鹿魔獣《チデジカ》4頭にしよう。フールイさん、左後方から頼む。私は右後方から適宜脅すから」
「了解」
「この程度の鹿魔獣《チデジカ》4頭なら全部私の強制睡眠魔法が効くと思うわ。とどめはアキナ先輩お願いします」
「わかりましたわ」
「それではカウントする。10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0!」
ガサガサ、ドン! 山方向でそんな音が同時に響いた。
バタバタ、ザワザワ。山が揺れるように音が動き始める。
「近づいてきた。すぐ来る」
ミド・リーはそう言って魔法アンテナを構える。電灯の光の中何かが跳ねたのが見えた。俺に見えたのはそれだけだ。
ドサドサドサッ、そんな音がした。
「アキナ先輩お願いします」
「了解、これで終わったわ」
俺が感知する前に全てが終わっていた。
「他に追ってきそうな魔獣はいないか」
「大丈夫。むしろいまの騒ぎで他は離れていく感じ」
「よし、なら回収だ。ミド・リーさんは念の為監視を頼む」
「了解よ」
俺とシンハ君、それにヨーコ先輩とシモンさんで荷車を引いて山方向へ。この前の鹿魔獣《チデジカ》よりはやや小さい、それでも鹿としては充分大型の鹿魔獣が4頭倒れていた。
「これなら重ねればぎりぎり荷車にのるかな」
「載せられるなら一気に運ぼう」
そんな訳で主にシンハ君が腕力で鹿魔獣《チデジカ》4頭を荷車に積む。
「うお、前の大猪魔獣《オツコトヌシ》並みに重めえ!」
「私も手伝うから安心しろ。あと今日はこれで撤収だ。下の船着き場で内臓を取ろう。ミタキは投光器の運搬頼む」
「わかりました」
「僕も手伝うよ」
結局魔法杖や銃も急いで撤収し、全員で下の船着き場まで下りてきた。投光器を再び組み立ててスイッチを入れる。
「明るいな。これなら作業しやすい」
「僕も半分手伝うよ」
フールイ先輩とシモンさんの手で手際よく内臓が出される。
取り出した内臓は一度水洗いした後箱詰め。そしてシンハ君が4頭とも水中に吊せば今夜の作業は終わりだ。
「寒い寒い、早く部屋に戻ろうぜ」
「そうだね。暖かいお風呂入って、クリーム塗り込まないと肌荒れしそう」
「今回も1頭分は内臓肉を料理用にとっておきましょう」
「賛成! ミタキまたよろしくね」
そんな事を言いながら内臓を入れた箱を荷車に積んで、砦の入口へと皆で帰る。
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