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第6章 電波と魔力の共通点?
第46話 八木宇田アンテナの取扱
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「あと私用のあの魔法杖、うちの親でも使える? あれがあると治療に楽だと思って。もしあの杖の存在を秘密にしたいなら、家の二階と天井に仕込むとか色々考えるから」
「そうでした。あの杖の件ですけれど私とヨーコからもお願いがあります」
いきなり別の話が出てきた。いや、もともとは魔法杖の試作と試用で、それでミド・リーが俺を治療した結果こうなったんだっけ。
気絶から目覚めた途端の急展開で俺も頭の整理が追いつかない。頼むちょっと待ってくれ。
深呼吸を1回。両手、両足が動くのを確認。一応身体の何処にも違和感は無い。大丈夫だな。
俺が長椅子から身を起こそうとしたところミド・リーから駄目出しが入る。
「まだ動かない。あと半時間はそのまま」
仕方無い。どうにも格好が良くないが、寝たままでアキナ先輩に尋ねる。
「お願いってどういう事ですか?」
「この魔法杖は是非軍で使わせて欲しいのです。無論ここのメンバー内で使う分には制限はしません。でもそれ以外では極力秘密にして、軍の方で使わせていただきたいのです。無論それに見合うお金は払わせますし、支払うと思います」
予想外の話で状況が飲み込めない。
「どういう事ですか」
「いざ戦闘となると最も狙われるのは魔道士や魔法騎士だ。理由はわかるか」
今度はヨーコ先輩が俺に尋ねてきた。軍とか戦闘とかを考えた事の無い俺は少し考えてから答える。
「攻撃力が圧倒的に高いからですか」
「その通りです」
アキナ先輩が頷いた。
「弓矢や槍、刀での戦闘よりも魔法の方が圧倒的に攻撃力が高い。ですので戦闘はまず相手の魔法使いを潰す事から始まります。攻撃力は大きいですけれど、防御力は普通の兵士と大して変わりませんから」
「でもこの魔法杖を使えば、相手の魔法が届くより遙か手前から攻撃を仕掛ける事が出来る。そうすれば相手に攻撃を断念させる事も出来るし味方の魔法使いの損耗をおさえることが出来る」
「海戦の場合も同じですわ。海戦の場合は魔法使いと同様船の本体も攻撃目標になりますけれど。より遠方から攻撃魔法を仕掛ける事が出来れば、相手の戦意をくじくには充分ですわ」
なるほど。何となくわかってきた。
「他にもこの魔法杖は医療や大規模工事等の際に使えるかもしれない。その辺の用途のものは軍の工場で機密保持を徹底して外見も細工の上製作し、分解や鑑定が出来ないよう逆鑑定魔法を厳重にかけておくことにすればいいと思う。無論これで軍が暴利を貪ったりしないようにする事は必要だが、それは監査を入れるなり何らかの方法で統制すればいい」
理屈も概ねわかった気がする。
アキナ先輩もヨーコ先輩もいずれ軍に進む予定だ。そして2人とも攻撃魔法が使える以上、標的にされ易い立場。ならこの提案はやむを得ないと思う。
この世界は善意だけで成り立っている訳では無い。特に国同士なんてのは常に食うか食われるかという状態だ。少なくともそれが今の現実。
ただ念の為、他の皆にも聞いておこう。
「今の先輩達の話に何か意見はあるか?」
「先輩達の意見は正しいと思います」
「自由には使えなくなるけれど仕方無いかな」
「そうね。私もそう思う」
「同意」
「同じく、だな」
ナカさん、シモンさん、ミド・リー、フールイ先輩、そしてシンハ君。どうやら皆さん同意のようだ。
「ならこの扱いは先輩達にお任せします」
「ありがとうございます。それでは私とヨーコがそれぞれ持ち帰って、お父様達にお話ししておきますわ」
「私は先輩ほどお話が得意ではないんだけれどな、仕方無い」
よく考えたらこの2人の組み合わせというのも強烈だよな。2人ともそれぞれの面で国のトップ近い立場の親を持っているなんて。
見た目も結構2人とも目をひく存在だけれども。
「ですので私とヨーコさんはこれで失礼致しますわ。それぞれ杖を持ち帰って説得工作を練らなければならないですから」
「でもこの杖、かなり重いぞ」
ヨーコ先輩は出しっぱなしの自分の杖を持ち上げて確認。
「身体強化が使える従者を呼びますわ。ですので三半時程したら取りに参ります」
「私もそうしよう。これを私が持って歩くと目立つだろうからな」
「ならそれまでの間に収納する箱と説明図を作っておくよ」
「お願いしますわ」
シモンさんの工作系魔法は本当に便利だ。今では魔法用八木アンテナを使えるから考える速度で物を作れるし。
「私にも収納箱をお願いしていい? あとミタキ、念の為全部に逆鑑定魔法をかけておいて」
「わかった。なら起きていいか」
「いいけれどゆっくりよ」
「わかった」
やっと起き上がる事を許して貰った。
「収納箱の件は了解だよ。あとミド・リーさんの家への設置も手伝おうか。まだ時間が早いから先輩達が戻って来た後でも充分対応出来るよ」
これはシモンさんだ。確かに家に設置するなら、工作系魔法使いの腕を借りたほうがいい。そこそこの工事になるだろうし。
「ごめん、お願いしていい。材料とかは家にあるものを何でも使っていいから」
「運ぶのは俺に任せておけ」
「ごめん最初からそのつもり」
この辺は相変わらずという感じだ。
「そうでした。あの杖の件ですけれど私とヨーコからもお願いがあります」
いきなり別の話が出てきた。いや、もともとは魔法杖の試作と試用で、それでミド・リーが俺を治療した結果こうなったんだっけ。
気絶から目覚めた途端の急展開で俺も頭の整理が追いつかない。頼むちょっと待ってくれ。
深呼吸を1回。両手、両足が動くのを確認。一応身体の何処にも違和感は無い。大丈夫だな。
俺が長椅子から身を起こそうとしたところミド・リーから駄目出しが入る。
「まだ動かない。あと半時間はそのまま」
仕方無い。どうにも格好が良くないが、寝たままでアキナ先輩に尋ねる。
「お願いってどういう事ですか?」
「この魔法杖は是非軍で使わせて欲しいのです。無論ここのメンバー内で使う分には制限はしません。でもそれ以外では極力秘密にして、軍の方で使わせていただきたいのです。無論それに見合うお金は払わせますし、支払うと思います」
予想外の話で状況が飲み込めない。
「どういう事ですか」
「いざ戦闘となると最も狙われるのは魔道士や魔法騎士だ。理由はわかるか」
今度はヨーコ先輩が俺に尋ねてきた。軍とか戦闘とかを考えた事の無い俺は少し考えてから答える。
「攻撃力が圧倒的に高いからですか」
「その通りです」
アキナ先輩が頷いた。
「弓矢や槍、刀での戦闘よりも魔法の方が圧倒的に攻撃力が高い。ですので戦闘はまず相手の魔法使いを潰す事から始まります。攻撃力は大きいですけれど、防御力は普通の兵士と大して変わりませんから」
「でもこの魔法杖を使えば、相手の魔法が届くより遙か手前から攻撃を仕掛ける事が出来る。そうすれば相手に攻撃を断念させる事も出来るし味方の魔法使いの損耗をおさえることが出来る」
「海戦の場合も同じですわ。海戦の場合は魔法使いと同様船の本体も攻撃目標になりますけれど。より遠方から攻撃魔法を仕掛ける事が出来れば、相手の戦意をくじくには充分ですわ」
なるほど。何となくわかってきた。
「他にもこの魔法杖は医療や大規模工事等の際に使えるかもしれない。その辺の用途のものは軍の工場で機密保持を徹底して外見も細工の上製作し、分解や鑑定が出来ないよう逆鑑定魔法を厳重にかけておくことにすればいいと思う。無論これで軍が暴利を貪ったりしないようにする事は必要だが、それは監査を入れるなり何らかの方法で統制すればいい」
理屈も概ねわかった気がする。
アキナ先輩もヨーコ先輩もいずれ軍に進む予定だ。そして2人とも攻撃魔法が使える以上、標的にされ易い立場。ならこの提案はやむを得ないと思う。
この世界は善意だけで成り立っている訳では無い。特に国同士なんてのは常に食うか食われるかという状態だ。少なくともそれが今の現実。
ただ念の為、他の皆にも聞いておこう。
「今の先輩達の話に何か意見はあるか?」
「先輩達の意見は正しいと思います」
「自由には使えなくなるけれど仕方無いかな」
「そうね。私もそう思う」
「同意」
「同じく、だな」
ナカさん、シモンさん、ミド・リー、フールイ先輩、そしてシンハ君。どうやら皆さん同意のようだ。
「ならこの扱いは先輩達にお任せします」
「ありがとうございます。それでは私とヨーコがそれぞれ持ち帰って、お父様達にお話ししておきますわ」
「私は先輩ほどお話が得意ではないんだけれどな、仕方無い」
よく考えたらこの2人の組み合わせというのも強烈だよな。2人ともそれぞれの面で国のトップ近い立場の親を持っているなんて。
見た目も結構2人とも目をひく存在だけれども。
「ですので私とヨーコさんはこれで失礼致しますわ。それぞれ杖を持ち帰って説得工作を練らなければならないですから」
「でもこの杖、かなり重いぞ」
ヨーコ先輩は出しっぱなしの自分の杖を持ち上げて確認。
「身体強化が使える従者を呼びますわ。ですので三半時程したら取りに参ります」
「私もそうしよう。これを私が持って歩くと目立つだろうからな」
「ならそれまでの間に収納する箱と説明図を作っておくよ」
「お願いしますわ」
シモンさんの工作系魔法は本当に便利だ。今では魔法用八木アンテナを使えるから考える速度で物を作れるし。
「私にも収納箱をお願いしていい? あとミタキ、念の為全部に逆鑑定魔法をかけておいて」
「わかった。なら起きていいか」
「いいけれどゆっくりよ」
「わかった」
やっと起き上がる事を許して貰った。
「収納箱の件は了解だよ。あとミド・リーさんの家への設置も手伝おうか。まだ時間が早いから先輩達が戻って来た後でも充分対応出来るよ」
これはシモンさんだ。確かに家に設置するなら、工作系魔法使いの腕を借りたほうがいい。そこそこの工事になるだろうし。
「ごめん、お願いしていい。材料とかは家にあるものを何でも使っていいから」
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