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第3章 飽食の宴 ~夏休み合宿編・下~
第26話 フライにつきものの調味料
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さて、牡蠣を食べる際の調味料はどうしよう。レモン汁でも充分だしフライならタルタルソースも悪くない。
よし、今日はフライをメインにしよう。ジャガイモもあったしポテトフライも……そうだ!
その辺のフライに最適な調味料も作るぞ! トマトは多分今日もいっぱい来るし、砂糖代用品も出来たしさ。
「どうする。もう少し海で遊ぼうか」
「いや、ちょっと作りたいものを思いついたんだ。だから俺は先に帰る」
「何々、何作るの」
「今日の夕食はフライ系色々、それに合う調味料だ」
具体的に言うとケチャップだ。メインの材料はトマトと玉ねぎ、あとは砂糖とか塩とか酢があれば大丈夫。
これらを潰して混ぜて煮詰めればいい。そう思ってふと気づく。今日はシンハ君がいないから体力要員が……
仕方ない、ミド・リーに頼もう。
「悪い、俺1人だと大変そうだから手伝ってもらっていいか」
「いいよ。どうせ暇だしね」
2人だとトマトや玉ねぎを潰すだけでなく、他の作業もできる。そうだ、あの餡蜜もパワーアップするぞ!
これはジャガイモがあれば出来る筈だ……
◇◇◇
そんな訳で本日の夕食は、
○ 牡蠣食べ比べ
・ 生牡蠣、焼き牡蠣、牡蠣フライ
○ アジフライ
○ フライドポテト
○ オムレツ
○ 上三品用のソース
塩レモン汁、タルタル、トマトケチャップ
○ シーザーサラダ風のサラダ
○ コンソメ風スープ
○ ずんだ餡蜜白玉団子(もどき)入り
となった。
ちなみに白玉団子(もどき)はジャガイモを生のまま切って潰して取ったデンプンと小麦粉を混ぜてつるつるに仕立てた。このほうが小麦粉だけよりも味ものどごしもいいからだ。
本当は白玉粉がいいのだが米が見当たらないから仕方ない。
「いただきます」
そんな訳で俺はまずオムレツでケチャップの味を確かめる。うんうん、やっぱり美味い。
前世ではケチャップ好きだと子供舌とか言われたけれど、やっぱり美味しい。
「この白いグロいのは何?」
「俺は牡蠣って呼んでいる。ここで何と呼んでいるかは知らないけれど」
「こんなの食べられるの?」
「生だと塩レモン汁がおすすめかな」
前世では生牡蠣は俺の体質的に当たると命取りということで食べられなかった。でも今は殺菌魔法なんて便利なものを持つミド・リーがいる。
だから心配せずにツルンとしたこいつを思い切り楽しめる訳だ。
「うーん、食感が気持ち悪いかも。でも味そのものは悪くないかな」
「この焼いたのは素直に美味しいよ。この赤いソースがあう!」
「フライだとこの白いソースと赤いソース、甲乙つけがたいですわ」
「オムレツと赤いの、最高」
本日も皆さん吸い込みがいい。こんなに食べてこいつら太らないのか? そう疑問に思うくらいに。
フールイ先輩やアキナ先輩はそのへんの栄養は胸に行ってそうだけれど。水浴着を着ると一段とそのへんの体型が強烈だ。
「この団子入り、なかなかいい感じだね」
「しっくりあっている」
「水飴が広まったらこういう甘い料理も増えるのでしょうか」
そんなこんなで今回も完食されてしまった。
なお牡蠣3種対決はフライが一番好評だった。ケチャップやタルタルソースの味込みでという感じだけれども。
でも料理全般の中で一番評価が高かったのはきっと白玉入り餡蜜だな。皆さんの表情を見るに。
◇◇◇
俺は基本的に夜は早い。体力が無いせいか、ころっと倒れるように寝てしまう方だ。
普通はそのまま朝まで目が覚めないのだが夕食後早く寝すぎたせいだろうか。なんとなく目が覚めてしまった。
窓の外はまだ暗い。これが朝に近い夜なのかまだ夜更けていないのか。ここには時計は無いのでよくわからない。
でも声が隣のリビングから聞こえている。という事はまだ誰か起きていてもおかしくない時間なのだろうか。何の気無しに耳をすませてみる。
「初等部の時は特に変わったものを考えたり作ったりなんて事、無かったんだけれどね。確かに理科は好きだったけれど、後は体力が無い以外は普通だったと思う」
これはミド・リーの声だな。
「でも錬金術研究会に来た時は既に何か目的を持っていたように思いますわ。標本や試料を見て何か確認していましたし。今思えばその時には既に私達の知らない色々な知識を持っていたのではないかと思います」
アキナ先輩のこの台詞で俺は気づく。今の話題は俺についてだという事に。
「でもミタキの家はごく普通の、それほど大きくも無い商家よ。あいつ自身も体力がないだけで、成績も理科がちょっと得意なだけ。それに初等部から中等部の間で別に何があったって訳でも無いし、だいたい中等部入学直後は流行風邪で10日間くらい倒れていたし」
「でも今のミタキ君は明らかに異質な知識を持っていると思います。例えばあの石鹸を作る課程は簡単に思いつくような物ではありません。おそらく学校で教わった物より遙かに高度な知識体系を持っていて、その中で知識を組み合わせてああいう物を作ったのでしょう。
それに算術のバイ・リーン先生も言っていましたわ。ミタキは先生が扱いきれない大物なのかもしれないって。たかが中等部の、それも最初の期末テストの回答をとんでもない概念を使って解いたらしいのですわ。確かにミタキの言う通り証明は出来るけれど、使っている概念そのものが今の数学と違う部分があるそうです。
高等部や研究部の算術の先生皆に広めた結果、大変有用でかつ正しい理論だけれど、今までの考え方から数段階先に突き抜けた理論だって言っていました。条件や証明そのものは確かに中等学校の知識で出来るそうですけれど」
やっぱり微分の知識を使って問題を解いたのはまずかったかな。確かに極限とか無限に小さいという仮定とかがいきなり出てくるのはやばかったかもしれない。
でも算術の先生ならあそこまで教えたからには、積分や対数の考え方まで導いて欲しい。微積が出来れば色々な計算も大分楽になる筈なんだ。
それにしても少しは俺も注意した方がいいだろう。前世での知識に疑念を持たれているようだし。
よし、今日はフライをメインにしよう。ジャガイモもあったしポテトフライも……そうだ!
その辺のフライに最適な調味料も作るぞ! トマトは多分今日もいっぱい来るし、砂糖代用品も出来たしさ。
「どうする。もう少し海で遊ぼうか」
「いや、ちょっと作りたいものを思いついたんだ。だから俺は先に帰る」
「何々、何作るの」
「今日の夕食はフライ系色々、それに合う調味料だ」
具体的に言うとケチャップだ。メインの材料はトマトと玉ねぎ、あとは砂糖とか塩とか酢があれば大丈夫。
これらを潰して混ぜて煮詰めればいい。そう思ってふと気づく。今日はシンハ君がいないから体力要員が……
仕方ない、ミド・リーに頼もう。
「悪い、俺1人だと大変そうだから手伝ってもらっていいか」
「いいよ。どうせ暇だしね」
2人だとトマトや玉ねぎを潰すだけでなく、他の作業もできる。そうだ、あの餡蜜もパワーアップするぞ!
これはジャガイモがあれば出来る筈だ……
◇◇◇
そんな訳で本日の夕食は、
○ 牡蠣食べ比べ
・ 生牡蠣、焼き牡蠣、牡蠣フライ
○ アジフライ
○ フライドポテト
○ オムレツ
○ 上三品用のソース
塩レモン汁、タルタル、トマトケチャップ
○ シーザーサラダ風のサラダ
○ コンソメ風スープ
○ ずんだ餡蜜白玉団子(もどき)入り
となった。
ちなみに白玉団子(もどき)はジャガイモを生のまま切って潰して取ったデンプンと小麦粉を混ぜてつるつるに仕立てた。このほうが小麦粉だけよりも味ものどごしもいいからだ。
本当は白玉粉がいいのだが米が見当たらないから仕方ない。
「いただきます」
そんな訳で俺はまずオムレツでケチャップの味を確かめる。うんうん、やっぱり美味い。
前世ではケチャップ好きだと子供舌とか言われたけれど、やっぱり美味しい。
「この白いグロいのは何?」
「俺は牡蠣って呼んでいる。ここで何と呼んでいるかは知らないけれど」
「こんなの食べられるの?」
「生だと塩レモン汁がおすすめかな」
前世では生牡蠣は俺の体質的に当たると命取りということで食べられなかった。でも今は殺菌魔法なんて便利なものを持つミド・リーがいる。
だから心配せずにツルンとしたこいつを思い切り楽しめる訳だ。
「うーん、食感が気持ち悪いかも。でも味そのものは悪くないかな」
「この焼いたのは素直に美味しいよ。この赤いソースがあう!」
「フライだとこの白いソースと赤いソース、甲乙つけがたいですわ」
「オムレツと赤いの、最高」
本日も皆さん吸い込みがいい。こんなに食べてこいつら太らないのか? そう疑問に思うくらいに。
フールイ先輩やアキナ先輩はそのへんの栄養は胸に行ってそうだけれど。水浴着を着ると一段とそのへんの体型が強烈だ。
「この団子入り、なかなかいい感じだね」
「しっくりあっている」
「水飴が広まったらこういう甘い料理も増えるのでしょうか」
そんなこんなで今回も完食されてしまった。
なお牡蠣3種対決はフライが一番好評だった。ケチャップやタルタルソースの味込みでという感じだけれども。
でも料理全般の中で一番評価が高かったのはきっと白玉入り餡蜜だな。皆さんの表情を見るに。
◇◇◇
俺は基本的に夜は早い。体力が無いせいか、ころっと倒れるように寝てしまう方だ。
普通はそのまま朝まで目が覚めないのだが夕食後早く寝すぎたせいだろうか。なんとなく目が覚めてしまった。
窓の外はまだ暗い。これが朝に近い夜なのかまだ夜更けていないのか。ここには時計は無いのでよくわからない。
でも声が隣のリビングから聞こえている。という事はまだ誰か起きていてもおかしくない時間なのだろうか。何の気無しに耳をすませてみる。
「初等部の時は特に変わったものを考えたり作ったりなんて事、無かったんだけれどね。確かに理科は好きだったけれど、後は体力が無い以外は普通だったと思う」
これはミド・リーの声だな。
「でも錬金術研究会に来た時は既に何か目的を持っていたように思いますわ。標本や試料を見て何か確認していましたし。今思えばその時には既に私達の知らない色々な知識を持っていたのではないかと思います」
アキナ先輩のこの台詞で俺は気づく。今の話題は俺についてだという事に。
「でもミタキの家はごく普通の、それほど大きくも無い商家よ。あいつ自身も体力がないだけで、成績も理科がちょっと得意なだけ。それに初等部から中等部の間で別に何があったって訳でも無いし、だいたい中等部入学直後は流行風邪で10日間くらい倒れていたし」
「でも今のミタキ君は明らかに異質な知識を持っていると思います。例えばあの石鹸を作る課程は簡単に思いつくような物ではありません。おそらく学校で教わった物より遙かに高度な知識体系を持っていて、その中で知識を組み合わせてああいう物を作ったのでしょう。
それに算術のバイ・リーン先生も言っていましたわ。ミタキは先生が扱いきれない大物なのかもしれないって。たかが中等部の、それも最初の期末テストの回答をとんでもない概念を使って解いたらしいのですわ。確かにミタキの言う通り証明は出来るけれど、使っている概念そのものが今の数学と違う部分があるそうです。
高等部や研究部の算術の先生皆に広めた結果、大変有用でかつ正しい理論だけれど、今までの考え方から数段階先に突き抜けた理論だって言っていました。条件や証明そのものは確かに中等学校の知識で出来るそうですけれど」
やっぱり微分の知識を使って問題を解いたのはまずかったかな。確かに極限とか無限に小さいという仮定とかがいきなり出てくるのはやばかったかもしれない。
でも算術の先生ならあそこまで教えたからには、積分や対数の考え方まで導いて欲しい。微積が出来れば色々な計算も大分楽になる筈なんだ。
それにしても少しは俺も注意した方がいいだろう。前世での知識に疑念を持たれているようだし。
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