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プロローグ 最初の開発品
第6話 絶好調な出発
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それから2週間後。俺の小遣いは恐ろしい勢いで増え始めた。
勿論マヨネーズと蚊取り線香が売れまくったおかげだ。
マヨネーズは『イエローソース』、蚊取り線香は『虫除け燻火』という商品名になった。何と言うかそのままの名前だなと俺は思う。
勿論この名称に俺は関与していない。マヨネーズとか蚊取り線香という名前がどうしても頭から離れなかったからだ。
なお販売品には製造方法を秘匿する『逆鑑定魔法』をきっちりかけてある。これは鑑定魔法の一種。つまり母以外の家の家族全員が使える魔法だ。
これで製品から製法を分析されて真似される可能性が低くなる。
更にマヨネーズにも製造に使う生卵にも殺菌魔法を厳重にかけてある。これは母や姉が使える。これで卵のサルモネラ菌が、なんて事を気にしなくていい訳だ。
なお購入時に鑑定魔法で確認しているので、最初からヤバい卵というのはない。念の為。
ただ悲しいお知らせもある。俺の秘密基地にして作業場所である蔵を追い出されてしまったのだ。
マヨネーズと蚊取り線香それぞれの製造場所が必要。そんな理由で。
この蔵と隣の蔵の二カ所で人を使ってマヨネーズと蚊取り線香を量産する。父と母はそんな計画を立てているそうだ。
さしあたっては現在雇っているうち2人をそれぞれの製造に当てて、足りなければ新規雇用をして人を増やして。
ストックしていた蚊取り線香の材料は全部父母に譲渡した。代わりにこの材料で作った蚊取り線香は、一巻正銅貨1枚売れるごとに俺に小銅貨3枚が入る事になっている。
ちなみにマヨネーズは約束通り1瓶正銅貨1枚。
もうウハウハ状態だ。
俺だけでは無い。うちの家もウハウハ状態である。これらの商品のおかげで店に客が増え、他の物まで売れているから。
なお協力者であるシンハ君には、蚊取り線香の利益小銅貨3枚のうち1枚半分を渡すことにした。
奴の体力が無いと完成出来なかった。だから分けてやらないと申し訳無い。
最初の一週間分の取り分正銀貨1枚ちょっとを渡した時、奴は目を丸くしていた。
「いいのかよこんなに。角兎狩りを3日まるまるやってやっと位だぞ、これは」
甘いなシンハ君。
「まだまだそんなものじゃない。生産が本調子になればもっともっと儲かる筈だ。材料も充分に確保して貰ったしさ」
「何か凄い事になったな」
シンハ君には花の名前や商品名は言わないようにと固く言い聞かせてある。だからあの件としか言えない。
「これからもっと色々作ってもっと儲けるつもりだ。ただ俺の体力じゃ資材収拾とか製作作業とかで出来ない事があるからさ。その辺はまた宜しく頼む」
「ああ、こっちこそ頼むな」
そう言えばさしあたってシンハ君に頼みたいことがあった。
「今回の件で俺が使っていたあの蔵を追い出されてさ。色々作業する場所が必要なんだ。悪いけれどシンハの家に空いている場所ってあるか」
そう、新たな拠点の確保だ。
「いくらでもあるぞ。ボロだけれどな」
勿論俺もその事は知っている。シンハの家には何度も行った事があるから。
子爵様であるシンハ君の家はかなり広い。しかし貧乏故に使用人もほとんど使っていないから部屋余りまくり。別館に至ってはまるごと使用せず放置されている。
つまり部屋を借りるにはちょうどいい。
「じゃあすまん。今度から手頃な場所を貸してくれ」
「ああ。親父に言っておくよ。使っていない別館を貸せってさ」
大変有り難い。シンハ君の家の別館は街側に面していて家から近いし。
色々な意味で便利で有り難い奴だ。
「ところで次に作るもののあてはあるのか?」
「まだ考案中だ。今回みたいに材料が目の前にあれば作りやすいけれどさ。そうでないものは色々工夫して材料を調達しないと」
「まずは材料集めか」
それも重要だけれどそれだけじゃない。
「何をつくるか何なら売れるか、まずはその辺から考えないと」
選択肢は山ほどある。しかし材料もなければ先行品もないこの世界。何を選べば儲かるか、今の状態ではわからない。
「難しいな」
シンハ君はそう言った後、あっさり次の台詞を付け加えた。
「まあ頭脳労働はミタキに任せる。俺にはあわない」
おいおい。
「簡単に諦めるな」
「自他共に認める事実だろ」
自分で認めないでほしい。まあ実際そうなのだけれど。
「必要になったら言ってくれや。別館を空けたり色々するから」
「頼む」
実際俺の体力では出来る事は限られている。だから今後もシンハ君に頼らざるをえないだろう。
さしあたってはどうしようか。そう思ってやるべき事を思いついた。
学校の実験準備室にある設備のうち一部を移動しておこう。具体的には作成中の試薬とか集めた材料とか。
そうすれば錬金術研究会の連中にも色々ばれないですむ。秘密でこっそり商品開発できる訳だ。
よし、明日から少しずつ学校の設備をシンハの別宅に移動させよう。
「悪いが明日の放課後から使っていいか」
「いいぞ、ならこれから場所を確保しておこう。親父には後で話しておけばいい。どうせ使わないしミタキなら反対しないだろ」
本当に色々頼りになる奴だ、シンハ君は。
勿論マヨネーズと蚊取り線香が売れまくったおかげだ。
マヨネーズは『イエローソース』、蚊取り線香は『虫除け燻火』という商品名になった。何と言うかそのままの名前だなと俺は思う。
勿論この名称に俺は関与していない。マヨネーズとか蚊取り線香という名前がどうしても頭から離れなかったからだ。
なお販売品には製造方法を秘匿する『逆鑑定魔法』をきっちりかけてある。これは鑑定魔法の一種。つまり母以外の家の家族全員が使える魔法だ。
これで製品から製法を分析されて真似される可能性が低くなる。
更にマヨネーズにも製造に使う生卵にも殺菌魔法を厳重にかけてある。これは母や姉が使える。これで卵のサルモネラ菌が、なんて事を気にしなくていい訳だ。
なお購入時に鑑定魔法で確認しているので、最初からヤバい卵というのはない。念の為。
ただ悲しいお知らせもある。俺の秘密基地にして作業場所である蔵を追い出されてしまったのだ。
マヨネーズと蚊取り線香それぞれの製造場所が必要。そんな理由で。
この蔵と隣の蔵の二カ所で人を使ってマヨネーズと蚊取り線香を量産する。父と母はそんな計画を立てているそうだ。
さしあたっては現在雇っているうち2人をそれぞれの製造に当てて、足りなければ新規雇用をして人を増やして。
ストックしていた蚊取り線香の材料は全部父母に譲渡した。代わりにこの材料で作った蚊取り線香は、一巻正銅貨1枚売れるごとに俺に小銅貨3枚が入る事になっている。
ちなみにマヨネーズは約束通り1瓶正銅貨1枚。
もうウハウハ状態だ。
俺だけでは無い。うちの家もウハウハ状態である。これらの商品のおかげで店に客が増え、他の物まで売れているから。
なお協力者であるシンハ君には、蚊取り線香の利益小銅貨3枚のうち1枚半分を渡すことにした。
奴の体力が無いと完成出来なかった。だから分けてやらないと申し訳無い。
最初の一週間分の取り分正銀貨1枚ちょっとを渡した時、奴は目を丸くしていた。
「いいのかよこんなに。角兎狩りを3日まるまるやってやっと位だぞ、これは」
甘いなシンハ君。
「まだまだそんなものじゃない。生産が本調子になればもっともっと儲かる筈だ。材料も充分に確保して貰ったしさ」
「何か凄い事になったな」
シンハ君には花の名前や商品名は言わないようにと固く言い聞かせてある。だからあの件としか言えない。
「これからもっと色々作ってもっと儲けるつもりだ。ただ俺の体力じゃ資材収拾とか製作作業とかで出来ない事があるからさ。その辺はまた宜しく頼む」
「ああ、こっちこそ頼むな」
そう言えばさしあたってシンハ君に頼みたいことがあった。
「今回の件で俺が使っていたあの蔵を追い出されてさ。色々作業する場所が必要なんだ。悪いけれどシンハの家に空いている場所ってあるか」
そう、新たな拠点の確保だ。
「いくらでもあるぞ。ボロだけれどな」
勿論俺もその事は知っている。シンハの家には何度も行った事があるから。
子爵様であるシンハ君の家はかなり広い。しかし貧乏故に使用人もほとんど使っていないから部屋余りまくり。別館に至ってはまるごと使用せず放置されている。
つまり部屋を借りるにはちょうどいい。
「じゃあすまん。今度から手頃な場所を貸してくれ」
「ああ。親父に言っておくよ。使っていない別館を貸せってさ」
大変有り難い。シンハ君の家の別館は街側に面していて家から近いし。
色々な意味で便利で有り難い奴だ。
「ところで次に作るもののあてはあるのか?」
「まだ考案中だ。今回みたいに材料が目の前にあれば作りやすいけれどさ。そうでないものは色々工夫して材料を調達しないと」
「まずは材料集めか」
それも重要だけれどそれだけじゃない。
「何をつくるか何なら売れるか、まずはその辺から考えないと」
選択肢は山ほどある。しかし材料もなければ先行品もないこの世界。何を選べば儲かるか、今の状態ではわからない。
「難しいな」
シンハ君はそう言った後、あっさり次の台詞を付け加えた。
「まあ頭脳労働はミタキに任せる。俺にはあわない」
おいおい。
「簡単に諦めるな」
「自他共に認める事実だろ」
自分で認めないでほしい。まあ実際そうなのだけれど。
「必要になったら言ってくれや。別館を空けたり色々するから」
「頼む」
実際俺の体力では出来る事は限られている。だから今後もシンハ君に頼らざるをえないだろう。
さしあたってはどうしようか。そう思ってやるべき事を思いついた。
学校の実験準備室にある設備のうち一部を移動しておこう。具体的には作成中の試薬とか集めた材料とか。
そうすれば錬金術研究会の連中にも色々ばれないですむ。秘密でこっそり商品開発できる訳だ。
よし、明日から少しずつ学校の設備をシンハの別宅に移動させよう。
「悪いが明日の放課後から使っていいか」
「いいぞ、ならこれから場所を確保しておこう。親父には後で話しておけばいい。どうせ使わないしミタキなら反対しないだろ」
本当に色々頼りになる奴だ、シンハ君は。
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