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おまけ ファビオ君の日常
おまけ1 超・特別授業
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いつもの勉強会が終わり、食事の時間。
「それでは今日も食べ終わった後、魔物についての簡単な勉強会をやるよ。
ただし今日はレベル4以上の魔法が使える人限定。今回は特別に強力な魔物を出すってフミノ先生が言っているしね。
レベル4以上の魔法持ちで自信があって、参加したい人は外の魔物訓練場の外壁上で待っていてね」
リディナ先生からそんな案内があった。
だから食後、10人程の生徒が外の広場から階段をのぼって訓練場の外壁上へ。
勿論僕らもだ。
広場から階段をのぼり、魔物訓練場の外壁上へ出る。
ミケーレ、ルチア、カリン、そして僕。
僕ら4人は来週には卒業して冒険者になる予定。
それなりに魔法を使いこなせるようになった自信はある。
「何だろうね、レベル4以上限定なんて」
「トロルくらいなら怖くないよね、前にも見ているし」
「だよな。ならアークトロルあたりか?」
今の僕らなら大抵の魔物は倒せる。
その気になれば見えないところにいる魔物だって。
ミケーレだってルチアだって、カリンだって同じだ。
フミノ先生が階段をのぼって来た。
僕らの方を見て頷いて、そして口を開く。
「もう何回かやったから、皆も魔物に慣れたと思う。だから今日は特別な特別授業。
規則はいつもと同じ。
私が魔物を出す。皆は魔法で攻撃しても防護魔法で耐えてもいい。ただし下に降りるのは禁止。壁の上か、広場に逃げるか。
今回の目的は、怖さを知る事と思い出す事。
魔法を使えるようになって、魔物なんて怖くないと感じるようになったかもしれない。でもそういう認識は危険。魔物は本当は怖いもの。それを忘れると思わぬ失敗をする可能性がある。
だから怖いという事、これだけ怖い魔物もいるという事。それを忘れないでいて欲しい。それもきっと冒険者として必要な認識。
特にもうすぐ卒業予定の4人はこれを見て、魔物がどれだけ怖いか再確認して欲しい」
フミノ先生にしては前置きが長い。
微妙にいつもと違う気がするのは僕の気のせいだろうか。
「フミノ、一体何を出す気?」
リディナ先生からそんな言葉が出た。
今日出す魔物はリディナ先生も知らないようだ。
「大丈夫、安全策はとってある」
「まあフミノならそうだろうけれど」
フミノ先生はリディナ先生に頷き、そして壁の下、魔物訓練場の方を見る。
「それでは出す」
次の瞬間、今まで感じた事が無い強力な魔力が広がった。
見えるのは黄色い魔物、それほど大きくも無い。
アークオークよりむしろ小さい位。
しかし存在感が魔力が、暴力的なまでに強大だ。
「水の壁・強!」
反射的に僕が使える最強防護魔法を前面に展開した。
それでも足りないと心の中が叫んでいる。
意識が思考が悲鳴をあげている。
震えが止まらない。
少しでも気を抜くと意識が飛ばされる。
防護魔法に可能な限り魔力を注ぎ込みながら必死に抗う。
「これが竜種。進化したてで竜種としては弱い方……」
「フミノ!」
フミノ先生の、いつもと全く変わらない口調の説明とリディナ先生の悲鳴に似た声。
だが必死な僕には、それを確かめる余裕など無かった。
「それでは今日も食べ終わった後、魔物についての簡単な勉強会をやるよ。
ただし今日はレベル4以上の魔法が使える人限定。今回は特別に強力な魔物を出すってフミノ先生が言っているしね。
レベル4以上の魔法持ちで自信があって、参加したい人は外の魔物訓練場の外壁上で待っていてね」
リディナ先生からそんな案内があった。
だから食後、10人程の生徒が外の広場から階段をのぼって訓練場の外壁上へ。
勿論僕らもだ。
広場から階段をのぼり、魔物訓練場の外壁上へ出る。
ミケーレ、ルチア、カリン、そして僕。
僕ら4人は来週には卒業して冒険者になる予定。
それなりに魔法を使いこなせるようになった自信はある。
「何だろうね、レベル4以上限定なんて」
「トロルくらいなら怖くないよね、前にも見ているし」
「だよな。ならアークトロルあたりか?」
今の僕らなら大抵の魔物は倒せる。
その気になれば見えないところにいる魔物だって。
ミケーレだってルチアだって、カリンだって同じだ。
フミノ先生が階段をのぼって来た。
僕らの方を見て頷いて、そして口を開く。
「もう何回かやったから、皆も魔物に慣れたと思う。だから今日は特別な特別授業。
規則はいつもと同じ。
私が魔物を出す。皆は魔法で攻撃しても防護魔法で耐えてもいい。ただし下に降りるのは禁止。壁の上か、広場に逃げるか。
今回の目的は、怖さを知る事と思い出す事。
魔法を使えるようになって、魔物なんて怖くないと感じるようになったかもしれない。でもそういう認識は危険。魔物は本当は怖いもの。それを忘れると思わぬ失敗をする可能性がある。
だから怖いという事、これだけ怖い魔物もいるという事。それを忘れないでいて欲しい。それもきっと冒険者として必要な認識。
特にもうすぐ卒業予定の4人はこれを見て、魔物がどれだけ怖いか再確認して欲しい」
フミノ先生にしては前置きが長い。
微妙にいつもと違う気がするのは僕の気のせいだろうか。
「フミノ、一体何を出す気?」
リディナ先生からそんな言葉が出た。
今日出す魔物はリディナ先生も知らないようだ。
「大丈夫、安全策はとってある」
「まあフミノならそうだろうけれど」
フミノ先生はリディナ先生に頷き、そして壁の下、魔物訓練場の方を見る。
「それでは出す」
次の瞬間、今まで感じた事が無い強力な魔力が広がった。
見えるのは黄色い魔物、それほど大きくも無い。
アークオークよりむしろ小さい位。
しかし存在感が魔力が、暴力的なまでに強大だ。
「水の壁・強!」
反射的に僕が使える最強防護魔法を前面に展開した。
それでも足りないと心の中が叫んでいる。
意識が思考が悲鳴をあげている。
震えが止まらない。
少しでも気を抜くと意識が飛ばされる。
防護魔法に可能な限り魔力を注ぎ込みながら必死に抗う。
「これが竜種。進化したてで竜種としては弱い方……」
「フミノ!」
フミノ先生の、いつもと全く変わらない口調の説明とリディナ先生の悲鳴に似た声。
だが必死な僕には、それを確かめる余裕など無かった。
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