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第33章 対・竜種作戦 

第265話 中ボス討伐作戦

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 アルベルトさんが帰った後、少し考える。中ボスことコボルトキングへの対処について。

 魔法では倒す事が出来ない。となると私が倒す事が出来る手段はひとつだけ。アイテムボックスのスキルを使った方法。

 コボルトキングには羽根はない。だから飛ばない筈だ。それならクラーケンを倒したのと同様に、地中奥深くへ落として倒す方法はどうだろう。

 まずは迷宮ダンジョン内に穴を掘れるか試してみる。どうやら無理そうだ。壁も下側も約5指5cm程度しか収納する事が出来ない。
 落とし穴作戦を実行するにはコボルトキングを迷宮ダンジョンの外へと出す必要がある。

 幸いコボルトキングがいるのは迷宮ダンジョンの北西端だ。

 この迷宮ダンジョンは2本のトンネルの中央部が繋がっているような構造。つまり端となる4カ所は外に繋がっていた。北側の2本はがけ崩れで出口が塞がってはいたけれども。

 つまりコボルトキングがいる北西端も迷宮ダンジョン外と繋がっていた筈だ。
 試しにこっそりアイテムボックス魔法で小さな穴を掘ってみる。大丈夫、外へ通じる穴を掘ることが出来た。

 これなら穴を掘って迷宮ダンジョン外へ繋げる事が出来る。
 そして迷宮ダンジョン外部分なら深い落とし穴を掘る事も可能だ。

 しかし問題がある。現状では迷宮ダンジョン北西端ですら、距離的に私の偵察魔法の限界に近い。
 ここから深い穴を掘ろうとしても、穴の途中で偵察魔法の範囲外になってしまう。

 いざという時に竜種ドラゴンが出にくいよう、迷宮ダンジョンを思い切り深くまで埋めた。それが今、この作戦の障害になっている。

 拠点を移動させようか。
 しかしアルベルトさんとの連絡の為にはここに拠点を置いたままの方がいい。

 そして私が今いる拠点の北側は山脈だ。地中5離10kmで北側10離20kmの場所から更に充分な深さの穴を掘るには……

 北側へ山越えをした先に行こうか? でも此処の山、アコチェーノとローラッテの間の山と比べ遙かに高く険しい。ライ君&縮地+でも越えるのは大変そうだ。

 でも待てよ。何も私が行く必要はない。ゴーレムの誰かを動かせばいいのだ。
 例えばデュオ君あたりを山向こうへやれば、デュオ君経由の偵察魔法が届く筈。

 地上を移動させるには山の高さが邪魔だ。でもそれなら偵察魔法&アイテムボックススキルでデュオ君を送り出せばいい。

 かつてこの迷宮ダンジョンの北西側出口があっただろう場所は、私の偵察魔法の範囲内。つまりデュオ君を出すことが可能だ。

 でも待てよ、この山は国境だよな確か。とすると山向こうはヘルヴェティア国、つまり外国だ。
 どういう国かはわからない、でもゴーレムが見つかるような真似はしない方がいい。

 となると残った方法は地中。今いる拠点より迷宮ダンジョン北西端に近い場所まで穴を掘って、地中に中継拠点を作る。そこにデュオ君を置けばデュオ君経由で偵察魔法が落とし穴予定地の底まで届く筈だ。

 中継拠点はゴーレムが入れる程度の大きさがあればいい。出入口の無い作業部屋のような感じでも。ゴーレムの出し入れはアイテムボックスで出来るから。

 しかしそれでは閉所恐怖症でない私でも圧迫感を感じる。たとえ入るのが私自身でなくゴーレムでも、やはり出口があったほうがいい。気分的に。

 ならトンネルを掘ろう。掘り始めるのに良さそうな場所を私は偵察魔法で探す。
 すぐにちょうどいい場所を発見。私のいる場所の50腕100m程度北側にある崖だ。

 穴の方向は迷宮ダンジョン北西側へ向ければいいかな。いや、それだと下向きの傾斜が急すぎるか。せめてゴーレムが走れる程度の傾斜に抑えてと。

 アイテムボックスから筆記用具を出して図を描いて確認。
 崖から北方向へ30%下向きに3離《6km》程度掘った場所にデュオ君を置けば、コボルトキング側の端に3離6kmの穴を掘っても穴の底まで偵察魔法が届くだろう。

 作業の都合があるから、落とし穴は2離4km程度がいいかな。ぎりぎりにしてまた作業拠点を作る羽目になると面倒だし。
 
 よし、方針は決定した。明日トンネルを掘って、コボルトキング討伐作戦を行うことにしよう。
 なら今日はきりのいい処まで雑魚を討伐したら、お風呂に入って一日終了だ。

 そういえば夕食も食べないと。久しぶりにお風呂で食べるのもいいかもしれない。そうなるとやはり海鮮丼かな。

 ◇◇◇

 翌朝。
 ハニートーストと乳清飲料という朝食を食べた後、念のためヒイロ君とウーフェイ君の周囲にいる雑魚魔物を一掃。
 そして私は対中ボス作業を開始する。

 普通のトンネルを掘るのは簡単だ。トンネル予定部分の土や岩を収納して、収納直後に低温魔法を展開する。

 そうすれば凍って断面から出水しなくなる。あとはゆっくりトンネル内部の周囲を岩盤化してやればいい。
 3離6km程度のトンネルなら、今の私には楽勝だ。
 
 それではデュオ君出陣。アイテムボックス内でデュオ君を起動して、トンネルの先端部へ送り出す。
 
 よし、これでデュオ君経由の偵察魔法が落とし穴の底予定地点まで届いた。それではコボルトキング側の出口作業、開始だ。

 まずは出口前広場部分。これはトンネルと同様、収納して周囲を岩盤化するだけだからほぼ一瞬で作業は完了。

 次は落とし穴部分。コボルトキングがこの場所に出てから足下部分の土を収納して落とす予定なので、広場の下3腕6mの場所から収納開始。

 それにしてもこの穴周辺、地下深いだけあって温度が高い。コボルトキングを誘い出す時には周囲を岩ごと冷却しておこう。

 そんな事を思いながら作業し、深さ2離4kmの穴、無事完成だ。ちなみに穴の底、めっちゃ高温。なにせ地下7離14kmの地底なのだ。地熱だけでもう紙が発火しそうな位。

 ただマグマだまり等は無かった。少し安心、少し残念。マグマだまりがあったらコボルトキングが出た瞬間そこまで掘り抜いて、溶岩攻撃なんてやっても良かったかな、と思ったから。

 もちろんやばい噴火とか起きると洒落にならない。だからマグマがあったなら実際は掘らなかったと思う。

 出口前広場にゴーレムのカトル君を出す。彼がこの作戦の実質的な主役だ。ゴーレム4体目だけれど今の私なら問題無い。何ならあと1体、トロワ君を出しても大丈夫。

 それでは広場から迷宮ダンジョンへ向け、土を収納してトンネル作成! 広場とコボルトキングまでの間に道が出来た。

 攻撃開始だ。カトル君、迷宮ダンジョンに向けてゆっくりと歩き始める。

 これに気づいてコボルトキングがやってくれば良し。もし気づかないなら迷宮ダンジョンに入った地点から空即斬で攻撃して、強引に気づいて貰うまで。

 コボルトキング、どうやら迷宮ダンジョンと外が繋がった事に気づいたようだ。
 今までは迷宮ダンジョン中心部を向いていた。しかし向きを変え、カトル君の方へと歩き始める。

 よしよし。ならばカトル君、広場へ戻そう。迷宮ダンジョンと反対側の隅へと移動させる。

 ヒイロ君経由の偵察魔法からコボルトキングの姿が消えた。
 同時に私自身の偵察魔法がコボルトキングを捉える。つまり奴は迷宮ダンジョン外に出てきたという訳だ。

 それでは攻撃開始。コボルトキングに対しカトル君経由で空即斬を連射。
 奴は顔をあげ、カトル君の方をにらみつけた。槍を構え、雄叫びをあげ、そして走り始める。
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