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第24章 南へ
第205話 少し遠い土地
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最後に分厚い書類と身分証明書っぽいカードを渡され、無事手続きは終了した。
「このカードで農業に使う資材や種が1割引になるんですね」
「食料生産の確保を優先するということかな。方法論としては正しいと思うよ。まずは食料あってのものだし。新興の領主家としてはかなりの負担になるけれど。
ところでどうする? ギルドに行く? 市場? 苗とか種を買いに行く?」
「せっかく決まったから現地を見てみたいです。当座に必要な物はあると思いますし、土地の性質を確認して何を植えるか計画を立てたいです」
「確かにそうだね。それじゃフミノ、現地まで御願いしていい?」
「わかった」
ライ君を出してゴーレム車につなぐ。乗車したら出発だ。場所は地図で見てわかっている。まずはこの道をまっすぐ南へ。
「街は小さいんですね」
セレスが言う通り街は小さい。港を通り過ぎたらすぐに建物が途切れた。
街壁だけは拡張したらしくかなり先。でもそこまではただ造成しただけの土地と道路があるだけの状態だ。
「元々が港だけの街だからね。それでも港があるメリットは大きいと思うよ。船なら自在袋を使えないものでも大量に運び込めるから」
「確かにそうですね」
自在袋を使えないというと種や苗等の他、動物類もか。
うちの土地も何か動物を飼う方がいいのだろうか。畑だけにするには広すぎる気がするし。
聞くとすればセレスがいいのかな、こういった事は。
「飼うとしたら何がいい?」
「最初はマスコビーがいいです。アヒルの一種で手間がかかりません。
3人では大型の動物は難しいです。牛もいいかなと思いますけれど、世話する人手が必要ですね。山羊くらいなら何とかなるかもしれないですけれど」
なるほど。
「魔物や獣が来ても大丈夫かな?」
「止まれる枝のある木があれば大丈夫です。マスコビーは木の上で生活できますから、捕食動物が来ても逃げられます。草が生えていれば餌も特にいりません。ただ蛇や鷹類はまずいので気をつける必要がありますけれど」
どうやらこの世界のアヒルは私が知っているものよりも頑丈で手間がかからないようだ。
さて、街道風の道を外れて開拓地側へ新たに作られたらしい道路へ。
道路表面の石が明らかに新しい。表面が平滑でゴーレム車への振動が少ない。坂の傾斜も余裕で馬車で走れる程度だ。
「開拓地なのにしっかりした道ですね」
「ミメイさんが頑張っているのかな。これなら大量に物を買っても馬車で運び込めるから助かるよね」
そう言えばミメイさんもいる筈だ。あの人がいるなら開拓もかなり捗るだろう。畑の開拓ではなく街そのものを作る開拓。道路が整備されているのも街壁が広く作り直されているのも彼女の仕事の可能性が高い。
「この辺は結構開拓が始まっているね。やっぱり街の近くから開拓されているのかな」
「そんな感じですね。やはり街に近い方が何かと便利ですから」
私達の場所はまだあと4離以上先だ。
そして街から離れるにつれ未開拓の場所が増えてくる。魔物も徐々に私の視界に入りはじめた。
もちろん見つけ次第空即斬で倒して収納する。けれども魔物が出る、という事は普通の人はあまり安心して外に出られないという事で……
よし、決めた。ここは徹底的に討伐しておこう。私はライ君を停める。
「リディナ、ライ君の操縦を御願いしていい? 集中的に魔物討伐をやっておきたい」
「確かにそうした方がいいよね。それじゃさっきの書類の地図だけ借りていい? 念の為場所を確認するから」
「わかった」
リディナに土地の地図を渡し、そして私はゴーレム車の椅子に深く腰掛けて目を瞑る。勿論寝る訳では無い。視界3つをそれぞれ上空に持って行って、広域魔物討伐モードに突入だ。
範囲を幅3離まで広げると捉えられる魔物や魔獣の数も多くなる。どうやら街に近い部分で集中的に討伐を実施したのだろう。街から離れれば離れる程多くなるようだ。
種類もゴブリンだけでない。魔猪や魔鹿等の魔獣も多い。奥の方には魔狼もいそうだ。
何処かと似ているなと思って思い出した。私がこの世界に来てはじめての頃、あの洞窟拠点の近くと似た感じの分布だ。
あの頃と今の私とでは魔力も魔法のレベルも全く違う。ならその威力を全力で発揮させて貰おうではないか。ヒャッハーの時間、スタートだ。
「それじゃ動かすね。いいかな、フミノ」
「大丈夫。御願い」
まずはゴブリンから。奴らはすぐ増えるし危険だ。最優先で始末させて貰うとしよう。カット&ペーストならぬ切断&収納の繰り返しで。
奴らは素材にならない。だから気にせず切断だ。
魔狼はまだ範囲内ではない。だから次は魔猪。畑を荒らすし襲われると大怪我するし。これは素材になるから土埋め作戦で。あ、でもそれならばやっぱり……
「リディナごめん、もう少しゆっくり、いい?」
「わかった。それじゃ……このくらいでいいかな」
バーボン君改1くらいの速度になった。これなら埋めた後死ぬまで待っても範囲内。
「ありがとう」
掘って埋めて、死んだら回収して。
人間にとってはもっとも危険な魔獣、魔狼の群れが範囲内に入った。これは素材になるからやはり生き埋め作戦がいいだろう。
ただ1匹でも逃がすと危険。だからやむを得ない場合だけは空即斬で。
魔狼達には申し訳ないけれど、共生できないんだ、ごめんね。そう思いつつ一気に大穴を開けて集団を落とす。うん、全滅。可哀想だけれど残すと人が危ないから仕方ない。
おっと、ここではぐれオークだ。これは危険だ。直ちに生き埋めにしないと……
流石スティヴァレ最南端の未開の地だ。ここまでくる街道沿いもそこそこ魔物や魔獣が多かったがそれ以上。視界を3つ使うと休む間なく討伐をしている状態になる。
でもこれで少しは他の人の開拓が楽になるかな。開拓が進んで、ここが少しでも早く発展してくれると嬉しいな。
「このカードで農業に使う資材や種が1割引になるんですね」
「食料生産の確保を優先するということかな。方法論としては正しいと思うよ。まずは食料あってのものだし。新興の領主家としてはかなりの負担になるけれど。
ところでどうする? ギルドに行く? 市場? 苗とか種を買いに行く?」
「せっかく決まったから現地を見てみたいです。当座に必要な物はあると思いますし、土地の性質を確認して何を植えるか計画を立てたいです」
「確かにそうだね。それじゃフミノ、現地まで御願いしていい?」
「わかった」
ライ君を出してゴーレム車につなぐ。乗車したら出発だ。場所は地図で見てわかっている。まずはこの道をまっすぐ南へ。
「街は小さいんですね」
セレスが言う通り街は小さい。港を通り過ぎたらすぐに建物が途切れた。
街壁だけは拡張したらしくかなり先。でもそこまではただ造成しただけの土地と道路があるだけの状態だ。
「元々が港だけの街だからね。それでも港があるメリットは大きいと思うよ。船なら自在袋を使えないものでも大量に運び込めるから」
「確かにそうですね」
自在袋を使えないというと種や苗等の他、動物類もか。
うちの土地も何か動物を飼う方がいいのだろうか。畑だけにするには広すぎる気がするし。
聞くとすればセレスがいいのかな、こういった事は。
「飼うとしたら何がいい?」
「最初はマスコビーがいいです。アヒルの一種で手間がかかりません。
3人では大型の動物は難しいです。牛もいいかなと思いますけれど、世話する人手が必要ですね。山羊くらいなら何とかなるかもしれないですけれど」
なるほど。
「魔物や獣が来ても大丈夫かな?」
「止まれる枝のある木があれば大丈夫です。マスコビーは木の上で生活できますから、捕食動物が来ても逃げられます。草が生えていれば餌も特にいりません。ただ蛇や鷹類はまずいので気をつける必要がありますけれど」
どうやらこの世界のアヒルは私が知っているものよりも頑丈で手間がかからないようだ。
さて、街道風の道を外れて開拓地側へ新たに作られたらしい道路へ。
道路表面の石が明らかに新しい。表面が平滑でゴーレム車への振動が少ない。坂の傾斜も余裕で馬車で走れる程度だ。
「開拓地なのにしっかりした道ですね」
「ミメイさんが頑張っているのかな。これなら大量に物を買っても馬車で運び込めるから助かるよね」
そう言えばミメイさんもいる筈だ。あの人がいるなら開拓もかなり捗るだろう。畑の開拓ではなく街そのものを作る開拓。道路が整備されているのも街壁が広く作り直されているのも彼女の仕事の可能性が高い。
「この辺は結構開拓が始まっているね。やっぱり街の近くから開拓されているのかな」
「そんな感じですね。やはり街に近い方が何かと便利ですから」
私達の場所はまだあと4離以上先だ。
そして街から離れるにつれ未開拓の場所が増えてくる。魔物も徐々に私の視界に入りはじめた。
もちろん見つけ次第空即斬で倒して収納する。けれども魔物が出る、という事は普通の人はあまり安心して外に出られないという事で……
よし、決めた。ここは徹底的に討伐しておこう。私はライ君を停める。
「リディナ、ライ君の操縦を御願いしていい? 集中的に魔物討伐をやっておきたい」
「確かにそうした方がいいよね。それじゃさっきの書類の地図だけ借りていい? 念の為場所を確認するから」
「わかった」
リディナに土地の地図を渡し、そして私はゴーレム車の椅子に深く腰掛けて目を瞑る。勿論寝る訳では無い。視界3つをそれぞれ上空に持って行って、広域魔物討伐モードに突入だ。
範囲を幅3離まで広げると捉えられる魔物や魔獣の数も多くなる。どうやら街に近い部分で集中的に討伐を実施したのだろう。街から離れれば離れる程多くなるようだ。
種類もゴブリンだけでない。魔猪や魔鹿等の魔獣も多い。奥の方には魔狼もいそうだ。
何処かと似ているなと思って思い出した。私がこの世界に来てはじめての頃、あの洞窟拠点の近くと似た感じの分布だ。
あの頃と今の私とでは魔力も魔法のレベルも全く違う。ならその威力を全力で発揮させて貰おうではないか。ヒャッハーの時間、スタートだ。
「それじゃ動かすね。いいかな、フミノ」
「大丈夫。御願い」
まずはゴブリンから。奴らはすぐ増えるし危険だ。最優先で始末させて貰うとしよう。カット&ペーストならぬ切断&収納の繰り返しで。
奴らは素材にならない。だから気にせず切断だ。
魔狼はまだ範囲内ではない。だから次は魔猪。畑を荒らすし襲われると大怪我するし。これは素材になるから土埋め作戦で。あ、でもそれならばやっぱり……
「リディナごめん、もう少しゆっくり、いい?」
「わかった。それじゃ……このくらいでいいかな」
バーボン君改1くらいの速度になった。これなら埋めた後死ぬまで待っても範囲内。
「ありがとう」
掘って埋めて、死んだら回収して。
人間にとってはもっとも危険な魔獣、魔狼の群れが範囲内に入った。これは素材になるからやはり生き埋め作戦がいいだろう。
ただ1匹でも逃がすと危険。だからやむを得ない場合だけは空即斬で。
魔狼達には申し訳ないけれど、共生できないんだ、ごめんね。そう思いつつ一気に大穴を開けて集団を落とす。うん、全滅。可哀想だけれど残すと人が危ないから仕方ない。
おっと、ここではぐれオークだ。これは危険だ。直ちに生き埋めにしないと……
流石スティヴァレ最南端の未開の地だ。ここまでくる街道沿いもそこそこ魔物や魔獣が多かったがそれ以上。視界を3つ使うと休む間なく討伐をしている状態になる。
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