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第22章 冒険者ではないお仕事
第181話 契約の決定
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昨日と同じ場所に家を出し、中へと入る。
「フミノ、やりたいと思っているでしょ?」
いきなりリディナに言われた。その通りだ。しかしそれはあくまで私の意見にすぎない。
「私達は3人パーティ。だからリディナとセレスの意見も重要」
「フミノがやりたいと思うならいいと思うよ。セレスはどう?」
「ええ。それにどんなものになるのか見てみたい気がします」
あっさり。あっさりすぎて不安というか申し訳ないというか、大丈夫なのだろうかと思ってしまう。
「本当にいい?」
「大丈夫だよ。ここは図書館も充実しているし、まわりが山だから魔物討伐も出来るしね」
「そうですね。ゴーレムを使った討伐の練習だけでなく、勉強の方もじっくり出来そうです。
ただ明日から良ければトロワ君を貸して貰えますか。普通にゴーレムを操る練習だけでなく、別の場所から獲物を追い立てる事も出来ますから」
なるほど。確かにゴーレムを使って巻き狩りなんて事も出来そうだ。
しかしそれならトロワ君じゃない方がいい。ヒイロ君達のタイプは簡易生産型で耐久性が今ひとつだから。
バーボン君改2をアイテムボックスから出す。
「ならバーボン君を使って。この子の方が高性能。耐久性も上」
「いいんですか」
「勿論」
「ありがとうございます」
よし、2人がOKなら問題無い。明日イオラさんに話して契約してしまおう。
それなら今回の試作に必要な材料類もリストアップしておいた方がいいだろう。夕食までの間に考えておくとしよう。
◇◇◇
翌朝、朝食後。
イオラさんが出勤したのを確認して、念の為半時間おいてから事務所へ。勿論リディナとセレスにも同行して貰う。契約ごととか苦手なのと1人では少し心細いのとで。
「ありがとう。それじゃこっちは今は製鉄所経由で魔法金属の取り寄せをして、製品ワイヤーの見本を各種揃えておけばいい? あとは製作用に鉄のインゴットを用意して。材木は此処にいれば使い放題だから。
図面は一応揃えておいたけれど現地に行くときは声をかけて。案内役を同行させるから。あとはフェデリカさんとも顔合わせをした方がいいかな。普段はローラッテの事務所にいるけれど。
現場のローラッテに事務の場所が必要、または家を向こうに移転した方が良ければいつでも言って。それくらいはすぐ用意するから。
それまでは今家をおいている場所を自由に使って。どうせあと3ヶ月くらいは河原メインでこっちの場所を使わないし」
至れり尽くせりだな、本当に。思わず頭を下げてしまう。
「お願いします」
「お願いするのはこっちよ。それじゃ魔法金属とワイヤーは入手次第連絡するわ。それまでは連絡先、あの家でいい?」
少し考えて、そして思いつく。
「もう1軒作業用の平屋を出すからそこで」
「わかったわ。それじゃ最初の1ヶ月分の報酬。あと必要経費はその都度言って。精算するから」
いきなり大金が出てきた。正金貨3枚、小金貨13枚、正銀貨20枚、あわせて正金貨6枚分だ。
今回はゴーレム製作者としての契約。だから冒険者ギルドとは違う契約方法になる。しかしちょっとこれは破格すぎる。少なくとも私の感覚では。
「いいの?」
思わずリディナに聞いてしまった。
「商会相手なら普通の契約よ。だから心配しなくて大丈夫」
「そうそう。割と一般的な条件だし、このくらいなら私の一存で出せるわ」
うーむ。私達は冒険者としては結構お金持ちの方だと思っていた。しかし商会とか貴族となると扱う金額がかなり異なる模様だ。
この辺の常識とかはもうリディナに投げてしまおう。私の理解が及ぶところでは無い。
「なら問題ない」
「あと明日、案内役とフェデリカさんを呼んで顔合わせをするから。今日と同じくらいの時間にこの事務所に来て貰っていい?」
私は頷く。何せすぐそこに家を出しているのだ。それくらいなら簡単。
「それでは宜しく。私は大抵ここにいるから、何かあった時は気兼ねなく教えて」
もう一度頷く。うん、これならやりやすくていい。
契約書と1ヶ月分の受け取り領収書に署名をした後、事務所を出る。まずは作業場代わりにリビング専用に使っていた平屋を出してと。
「私とセレスは街に行ってくるね。何か買ってきた方がいいもの、あるかな?」
「大丈夫」
「わかった」
2人を見送ってから平屋の中へ。小さいテーブルを出して、そして預かった図面を置く。
まずはこの図面を読み込んで、そして大雑把な仕様を決めてしまおう。
どうやら坑道は思った以上に狭いようだ。人を使わず犬型ゴーレムでの採掘が基本だから。念の為偵察魔法で現地を確認。
うん、狭い。ここに複線を通すならナローゲージなんて無理。せいぜい15インチ、いや、それすら厳しいような……
ただトンネルそのものの作りはかなりいい。採掘場所以外は崩落がないよう周囲をきっちり岩盤化処理している。フェデリカさん、かなり有能な魔法使いのようだ。
幸いカーブはほとんど無い。だからぎりぎり、いや少し余裕を見て軌間は30指かな。この大きさならレールも2腕あたり2重レールでいいか。
それではまずレール関係、つまり枕木や締結金具等も含めたあたりの試作からやってみよう。ワイヤーの誘導滑車も今のうちに組み込んだ方が楽だよな。
ワイヤーと言えばトンネル内の傾斜は大丈夫かな……問題無い。坂はかなり緩いようだ。しかも全体的にほぼまっすぐに作ってある。トロッコ化しても問題は無いだろう。
「フミノ、やりたいと思っているでしょ?」
いきなりリディナに言われた。その通りだ。しかしそれはあくまで私の意見にすぎない。
「私達は3人パーティ。だからリディナとセレスの意見も重要」
「フミノがやりたいと思うならいいと思うよ。セレスはどう?」
「ええ。それにどんなものになるのか見てみたい気がします」
あっさり。あっさりすぎて不安というか申し訳ないというか、大丈夫なのだろうかと思ってしまう。
「本当にいい?」
「大丈夫だよ。ここは図書館も充実しているし、まわりが山だから魔物討伐も出来るしね」
「そうですね。ゴーレムを使った討伐の練習だけでなく、勉強の方もじっくり出来そうです。
ただ明日から良ければトロワ君を貸して貰えますか。普通にゴーレムを操る練習だけでなく、別の場所から獲物を追い立てる事も出来ますから」
なるほど。確かにゴーレムを使って巻き狩りなんて事も出来そうだ。
しかしそれならトロワ君じゃない方がいい。ヒイロ君達のタイプは簡易生産型で耐久性が今ひとつだから。
バーボン君改2をアイテムボックスから出す。
「ならバーボン君を使って。この子の方が高性能。耐久性も上」
「いいんですか」
「勿論」
「ありがとうございます」
よし、2人がOKなら問題無い。明日イオラさんに話して契約してしまおう。
それなら今回の試作に必要な材料類もリストアップしておいた方がいいだろう。夕食までの間に考えておくとしよう。
◇◇◇
翌朝、朝食後。
イオラさんが出勤したのを確認して、念の為半時間おいてから事務所へ。勿論リディナとセレスにも同行して貰う。契約ごととか苦手なのと1人では少し心細いのとで。
「ありがとう。それじゃこっちは今は製鉄所経由で魔法金属の取り寄せをして、製品ワイヤーの見本を各種揃えておけばいい? あとは製作用に鉄のインゴットを用意して。材木は此処にいれば使い放題だから。
図面は一応揃えておいたけれど現地に行くときは声をかけて。案内役を同行させるから。あとはフェデリカさんとも顔合わせをした方がいいかな。普段はローラッテの事務所にいるけれど。
現場のローラッテに事務の場所が必要、または家を向こうに移転した方が良ければいつでも言って。それくらいはすぐ用意するから。
それまでは今家をおいている場所を自由に使って。どうせあと3ヶ月くらいは河原メインでこっちの場所を使わないし」
至れり尽くせりだな、本当に。思わず頭を下げてしまう。
「お願いします」
「お願いするのはこっちよ。それじゃ魔法金属とワイヤーは入手次第連絡するわ。それまでは連絡先、あの家でいい?」
少し考えて、そして思いつく。
「もう1軒作業用の平屋を出すからそこで」
「わかったわ。それじゃ最初の1ヶ月分の報酬。あと必要経費はその都度言って。精算するから」
いきなり大金が出てきた。正金貨3枚、小金貨13枚、正銀貨20枚、あわせて正金貨6枚分だ。
今回はゴーレム製作者としての契約。だから冒険者ギルドとは違う契約方法になる。しかしちょっとこれは破格すぎる。少なくとも私の感覚では。
「いいの?」
思わずリディナに聞いてしまった。
「商会相手なら普通の契約よ。だから心配しなくて大丈夫」
「そうそう。割と一般的な条件だし、このくらいなら私の一存で出せるわ」
うーむ。私達は冒険者としては結構お金持ちの方だと思っていた。しかし商会とか貴族となると扱う金額がかなり異なる模様だ。
この辺の常識とかはもうリディナに投げてしまおう。私の理解が及ぶところでは無い。
「なら問題ない」
「あと明日、案内役とフェデリカさんを呼んで顔合わせをするから。今日と同じくらいの時間にこの事務所に来て貰っていい?」
私は頷く。何せすぐそこに家を出しているのだ。それくらいなら簡単。
「それでは宜しく。私は大抵ここにいるから、何かあった時は気兼ねなく教えて」
もう一度頷く。うん、これならやりやすくていい。
契約書と1ヶ月分の受け取り領収書に署名をした後、事務所を出る。まずは作業場代わりにリビング専用に使っていた平屋を出してと。
「私とセレスは街に行ってくるね。何か買ってきた方がいいもの、あるかな?」
「大丈夫」
「わかった」
2人を見送ってから平屋の中へ。小さいテーブルを出して、そして預かった図面を置く。
まずはこの図面を読み込んで、そして大雑把な仕様を決めてしまおう。
どうやら坑道は思った以上に狭いようだ。人を使わず犬型ゴーレムでの採掘が基本だから。念の為偵察魔法で現地を確認。
うん、狭い。ここに複線を通すならナローゲージなんて無理。せいぜい15インチ、いや、それすら厳しいような……
ただトンネルそのものの作りはかなりいい。採掘場所以外は崩落がないよう周囲をきっちり岩盤化処理している。フェデリカさん、かなり有能な魔法使いのようだ。
幸いカーブはほとんど無い。だからぎりぎり、いや少し余裕を見て軌間は30指かな。この大きさならレールも2腕あたり2重レールでいいか。
それではまずレール関係、つまり枕木や締結金具等も含めたあたりの試作からやってみよう。ワイヤーの誘導滑車も今のうちに組み込んだ方が楽だよな。
ワイヤーと言えばトンネル内の傾斜は大丈夫かな……問題無い。坂はかなり緩いようだ。しかも全体的にほぼまっすぐに作ってある。トロッコ化しても問題は無いだろう。
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