88 / 281
第21章 馴染みの街
第179話 相談の内容
しおりを挟む
「フミノはいいの? 本を買わなくて」
図書館で会計時にそうリディナに聞かれてしまった。
なおリディナは小説と何かの専門書をあわせて4冊、セレスも小説3冊を購入している。
「問題無い。欲しい資料は複写した」
白書等は閲覧専用で購入出来ないようだ。しかし筆写等はOK。だからしっかり必要部分は複写しておいた。
これで更にライ君やバーボン君、シェリーちゃん、ヒイロ君達が改良出来る。とりあえず魔法銅を何処かで買って、そして……
ああ夢が広がる。
途中、以前は無かった惣菜屋を発見。リディナが見逃すはずはなく、当然中で出来合い惣菜を物色。
以前屋台で買って私がはまったスティックサラダや棒チーズ肉巻き串、お焼きなんかもあったので思わず購入。
「欲しい物は買ったし、いい一日だったかな」
「そうですね」
「同感」
そんな感じで森林組合へと戻る。
今日も家をここに出す事は事前にイオラさんに言ってある。それでも一応挨拶をしておこう。そう思って事務所へ。
「こんにちは。今日も宜しくお願いします」
「あ、おかえりなさい。あとごめんなさい、面倒をかけてしまって」
イオラさんにそんな事を言われた。何だろう。
「面倒って何でしょうか」
「製鉄所の方から何か言われなかったでしょうか? ローラッテの鉄鉱山で起きている問題についての相談をしたいと」
その話がもう此処に伝わっているのか。
「いえ、そう言われただけですし特に何かあった訳じゃないですけれど。その問題って何ですか?」
「確かにそれだけ聞いたら気になりますよね。ですので説明だけしておきましょうか。本当は気にしなくていいのですけれど。
とりあえずお座りください」
いつものカウンターにつく。
「何かあったんですか?」
「ローラッテの鉱山の奥で、新しい鉱脈が発見されたのです」
「おめでとうございます」
とりあえずここの土地的にはめでたい事だろう。
「そこまでめでたくも無いのです。この図面を見てみて下さい」
イオラさんは何枚かの図面を取り出し、うち1つを広げて指で示す。
「ここが坑口で、今掘っているのはこの辺です。そして新しく発見された鉱脈はこの辺から始まっています」
今までの現場や坑口から見るとかなり遠い。トンネルをずっと長く掘った先の場所だ。
「坑口から結構離れているようですね。この間はどれくらいなんですか」
「2離ちょっとです。鉱脈の埋蔵量確認の為にゴーレムで掘り進めた結果わかったのですけれども。
この鉱脈、鉄ではなくて銅で、品質もかなり良いようです。いいニュースなのでこの件についてはあっという間に広まってしまいました。もちろん鉱山の組織内では、です。部外には秘密にしていますけれども。
鉱山内ではすぐにでも採掘したいという意見が大半を占めています。ですが今のままでは坑口から遠すぎて採算がとれません」
「遠すぎて採掘は難しい、そういう事ですか」
イオラさんは頷く。
「そういう事です。採掘するには鉱石や掘った土を外に出さないといけません。でも坑口まで2離あるので往復だけで2時間以上かかってしまいます。1回の勤務時間では2往復がやっと。これに中で作業する時間もあるわけです」
鉱山用のゴーレムは鈍足だ。それはバーボン君でわかっている。
そして鉱脈といっても鉱石ばかりある訳では無い。更に坑道の分も掘らなければならない。結果運び出す土の量は膨大になる訳だ。
図面を見直す。新しい鉱脈のもっと近くに新たに坑口を作れないか確認。無理か。新しい鉱脈は山の内側に向かっている方向にある。だから地上に近い別の場所なんてのは無い。
そうなると……
問題を整理する目的を兼ね、聞いてみる。
「ゴーレムを改良して土や鉱石を短時間で運べないか。そういう事?」
「現場はそう思った訳です。そうすれば解決できるかもしれないと」
イオラさんは頷いて、そして更に続ける。
「今のゴーレムですと新型に台車をつけて、更に最大容量の自在袋をつけた状態でも700重程度が限界です。
現在採掘している鉱脈は露天から少しだけ掘り進んだ場所です。ゴーレムでも5半時間で往復と積み卸しが出来ます。だから全量ゴーレム採掘なんて事も出来る訳です。
しかし今回の鉱脈は遠すぎます。確かに鉄より銅の方が高く売れますけれど、それでも1往復2時間では採算がとれません。
領主的には採算が取れないし放っておけというところです。でも鉱山の方では何としても産業化したいという声が大半で。
何なら鉱山の中に人が住める拠点を作ってしまおう。そんな話まで出ている位です。事故が起こると洒落になりませんから抑えていますけれども。
そんな中、ほとんどいないゴーレム製造者登録証持ちが来たので、つい期待してしまった訳です」
なるほど、状況は理解した。
「でもそれなら私達がここに泊まっているからですよね。その話がここまで持ち込まれてしまったのは。
むしろイオラさんにご迷惑をかけてしまったようで、かえって申し訳ないです」
そう言えば確かにそうだなと思う。
ここは鉱山ではなく森林組合、木材と木工が仕事の筈だし。
「いいえ、私も元々この件については把握していますから。一応立場上、森林組合関係だけでなく領地全般の話も私のところまで来ますし。基本的には父やアノルドお兄様の仕事なのですけれども」
えっ? 何か今、とんでもない台詞が流れたような……
「イオラさんはフェルマ伯爵家の方《かた》なのでしょうか?」
リディナの口調まで改まってしまっている。
どうやらさっきの台詞、私の聞き間違いでは無かったようだ。
「ええ、一応は。ですが今まで通りの言葉使いでいいですよ。親が貴族というだけです。
ばれたついでに今後は口調、普段の調子に戻すわね。実際のところ丁寧に話すの、正直疲れるし。
元々私、学校でも浮いていたし社交界とやらもあわなかったし。それに領地経営って真面目にやるととんでもなく大変だって知っているし。
だから私はここの森林組合で十分。この土地に愛着もあるし」
確かに一気に口調が変わった。雰囲気も一気に変わる。ただ悪い感じでは無い。むしろ親しみやすい感じだ。
「それでも何故受付なんてしているのでしょうか」
「ここ、受付兼組合長席。中に引きこもっているより仕事全般が見やすいからそうしている。フリーのお客さんは滅多に来ないから他の業務もできる、来たら来たで今後の業務の参考にできるし。
実業系の人ばかりで受付担当がいなかったというのもあるけれど。それに私が此処にいれば受付1人分の費用も削減できるし一石二鳥」
うーん、何と言うか。今の豹変具合を含め、ツッコミたい事が結構あるような……
しかし考えてみれば確かにそれっぽい所もあったような気もする。前にカレンさんが何となく親しげに呼びかけていたし、此処の裏庭を私達に宿泊場所として独断で貸し出したりもしたし。
図書館で会計時にそうリディナに聞かれてしまった。
なおリディナは小説と何かの専門書をあわせて4冊、セレスも小説3冊を購入している。
「問題無い。欲しい資料は複写した」
白書等は閲覧専用で購入出来ないようだ。しかし筆写等はOK。だからしっかり必要部分は複写しておいた。
これで更にライ君やバーボン君、シェリーちゃん、ヒイロ君達が改良出来る。とりあえず魔法銅を何処かで買って、そして……
ああ夢が広がる。
途中、以前は無かった惣菜屋を発見。リディナが見逃すはずはなく、当然中で出来合い惣菜を物色。
以前屋台で買って私がはまったスティックサラダや棒チーズ肉巻き串、お焼きなんかもあったので思わず購入。
「欲しい物は買ったし、いい一日だったかな」
「そうですね」
「同感」
そんな感じで森林組合へと戻る。
今日も家をここに出す事は事前にイオラさんに言ってある。それでも一応挨拶をしておこう。そう思って事務所へ。
「こんにちは。今日も宜しくお願いします」
「あ、おかえりなさい。あとごめんなさい、面倒をかけてしまって」
イオラさんにそんな事を言われた。何だろう。
「面倒って何でしょうか」
「製鉄所の方から何か言われなかったでしょうか? ローラッテの鉄鉱山で起きている問題についての相談をしたいと」
その話がもう此処に伝わっているのか。
「いえ、そう言われただけですし特に何かあった訳じゃないですけれど。その問題って何ですか?」
「確かにそれだけ聞いたら気になりますよね。ですので説明だけしておきましょうか。本当は気にしなくていいのですけれど。
とりあえずお座りください」
いつものカウンターにつく。
「何かあったんですか?」
「ローラッテの鉱山の奥で、新しい鉱脈が発見されたのです」
「おめでとうございます」
とりあえずここの土地的にはめでたい事だろう。
「そこまでめでたくも無いのです。この図面を見てみて下さい」
イオラさんは何枚かの図面を取り出し、うち1つを広げて指で示す。
「ここが坑口で、今掘っているのはこの辺です。そして新しく発見された鉱脈はこの辺から始まっています」
今までの現場や坑口から見るとかなり遠い。トンネルをずっと長く掘った先の場所だ。
「坑口から結構離れているようですね。この間はどれくらいなんですか」
「2離ちょっとです。鉱脈の埋蔵量確認の為にゴーレムで掘り進めた結果わかったのですけれども。
この鉱脈、鉄ではなくて銅で、品質もかなり良いようです。いいニュースなのでこの件についてはあっという間に広まってしまいました。もちろん鉱山の組織内では、です。部外には秘密にしていますけれども。
鉱山内ではすぐにでも採掘したいという意見が大半を占めています。ですが今のままでは坑口から遠すぎて採算がとれません」
「遠すぎて採掘は難しい、そういう事ですか」
イオラさんは頷く。
「そういう事です。採掘するには鉱石や掘った土を外に出さないといけません。でも坑口まで2離あるので往復だけで2時間以上かかってしまいます。1回の勤務時間では2往復がやっと。これに中で作業する時間もあるわけです」
鉱山用のゴーレムは鈍足だ。それはバーボン君でわかっている。
そして鉱脈といっても鉱石ばかりある訳では無い。更に坑道の分も掘らなければならない。結果運び出す土の量は膨大になる訳だ。
図面を見直す。新しい鉱脈のもっと近くに新たに坑口を作れないか確認。無理か。新しい鉱脈は山の内側に向かっている方向にある。だから地上に近い別の場所なんてのは無い。
そうなると……
問題を整理する目的を兼ね、聞いてみる。
「ゴーレムを改良して土や鉱石を短時間で運べないか。そういう事?」
「現場はそう思った訳です。そうすれば解決できるかもしれないと」
イオラさんは頷いて、そして更に続ける。
「今のゴーレムですと新型に台車をつけて、更に最大容量の自在袋をつけた状態でも700重程度が限界です。
現在採掘している鉱脈は露天から少しだけ掘り進んだ場所です。ゴーレムでも5半時間で往復と積み卸しが出来ます。だから全量ゴーレム採掘なんて事も出来る訳です。
しかし今回の鉱脈は遠すぎます。確かに鉄より銅の方が高く売れますけれど、それでも1往復2時間では採算がとれません。
領主的には採算が取れないし放っておけというところです。でも鉱山の方では何としても産業化したいという声が大半で。
何なら鉱山の中に人が住める拠点を作ってしまおう。そんな話まで出ている位です。事故が起こると洒落になりませんから抑えていますけれども。
そんな中、ほとんどいないゴーレム製造者登録証持ちが来たので、つい期待してしまった訳です」
なるほど、状況は理解した。
「でもそれなら私達がここに泊まっているからですよね。その話がここまで持ち込まれてしまったのは。
むしろイオラさんにご迷惑をかけてしまったようで、かえって申し訳ないです」
そう言えば確かにそうだなと思う。
ここは鉱山ではなく森林組合、木材と木工が仕事の筈だし。
「いいえ、私も元々この件については把握していますから。一応立場上、森林組合関係だけでなく領地全般の話も私のところまで来ますし。基本的には父やアノルドお兄様の仕事なのですけれども」
えっ? 何か今、とんでもない台詞が流れたような……
「イオラさんはフェルマ伯爵家の方《かた》なのでしょうか?」
リディナの口調まで改まってしまっている。
どうやらさっきの台詞、私の聞き間違いでは無かったようだ。
「ええ、一応は。ですが今まで通りの言葉使いでいいですよ。親が貴族というだけです。
ばれたついでに今後は口調、普段の調子に戻すわね。実際のところ丁寧に話すの、正直疲れるし。
元々私、学校でも浮いていたし社交界とやらもあわなかったし。それに領地経営って真面目にやるととんでもなく大変だって知っているし。
だから私はここの森林組合で十分。この土地に愛着もあるし」
確かに一気に口調が変わった。雰囲気も一気に変わる。ただ悪い感じでは無い。むしろ親しみやすい感じだ。
「それでも何故受付なんてしているのでしょうか」
「ここ、受付兼組合長席。中に引きこもっているより仕事全般が見やすいからそうしている。フリーのお客さんは滅多に来ないから他の業務もできる、来たら来たで今後の業務の参考にできるし。
実業系の人ばかりで受付担当がいなかったというのもあるけれど。それに私が此処にいれば受付1人分の費用も削減できるし一石二鳥」
うーん、何と言うか。今の豹変具合を含め、ツッコミたい事が結構あるような……
しかし考えてみれば確かにそれっぽい所もあったような気もする。前にカレンさんが何となく親しげに呼びかけていたし、此処の裏庭を私達に宿泊場所として独断で貸し出したりもしたし。
373
お気に入りに追加
2,991
あなたにおすすめの小説
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
転生前のチュートリアルで異世界最強になりました。 準備し過ぎて第二の人生はイージーモードです!
小川悟
ファンタジー
いじめやパワハラなどの理不尽な人生から、現実逃避するように寝る間を惜しんでゲーム三昧に明け暮れた33歳の男がある日死んでしまう。
しかし異世界転生の候補に選ばれたが、チートはくれないと転生の案内女性に言われる。
チートの代わりに異世界転生の為の研修施設で3ヶ月の研修が受けられるという。
研修施設はスキルの取得が比較的簡単に取得できると言われるが、3ヶ月という短期間で何が出来るのか……。
ボーナススキルで鑑定とアイテムボックスを貰い、適性の設定を始めると時間がないと、研修施設に放り込まれてしまう。
新たな人生を生き残るため、3ヶ月必死に研修施設で訓練に明け暮れる。
しかし3ヶ月を過ぎても、1年が過ぎても、10年過ぎても転生されない。
もしかしてゲームやりすぎで死んだ為の無間地獄かもと不安になりながらも、必死に訓練に励んでいた。
実は案内女性の手違いで、転生手続きがされていないとは思いもしなかった。
結局、研修が15年過ぎた頃、不意に転生の案内が来る。
すでにエンシェントドラゴンを倒すほどのチート野郎になっていた男は、異世界を普通に楽しむことに全力を尽くす。
主人公は優柔不断で出て来るキャラは問題児が多いです。
ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ
雑木林
ファンタジー
現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。
第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。
この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。
そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。
畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。
斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。