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第15章 予想外の視点?
第120話 セレスの特技
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セレスがいる以外はいつもの買い出し日とほぼ同じ。そのつもりだった。しかし結果的にはいつもとはかなり異なった雰囲気と結果に。
まずは服飾店だ。
「こういう店はそれぞれ得意分野が違うものなんです。ですから何軒か回って傾向を確認するのが絶対です」
そうセレスは強く主張。私はもとよりリディナももうお任せ状態でセレスについていく。
言われるままに採寸され、流行の色の布をあわせられる。
更にこまごましたアクセサリーの前で好みをセレスに問われるままに聞かれたり。
それにしてもセレス、会った頃と随分変わったなと思う。そう思うと嬉しい。リディナもきっとそう思っていると思う。口には出さなかったけれども。
次は食品を買う市場。ここでもセレスは予想外の動きをした。
「今回の食料品の買い物は私に任せてくれませんか?」
まず最初にセレスがそうリディナに宣言。
「今回買うものはだいたいわかるよね」
「野菜メインですよね。あとは穀類と調味料。大丈夫です。ただ特に欲しいものがあったら言って下さい。交渉しますから」
「それじゃお願い。お金は出すし荷物はフミノが収納するから」
リディナはセレスの意志を尊重したつもりだったのだと思う。
まだ一人で討伐は出来ないし、それでも少しでも役に立ちたい。そんな意志をくんでという感じで。
しかしセレスがそう言った理由は少々違ったようだ。それは市場で実際に買い物をしてすぐわかった。
「おじさん、このキャベツ安いよね」
セレスの買い物は何気ない雰囲気でそんな話をするところから始まる。
しかしここからが違うのだ。値段を聞いて、更に作物の作柄なんかの話をした後。
「でもこのキャベツ、底の芯部分に少しはがした跡があるよね。これって売れ残ったから傷んだ外側の葉をはがしたんじゃないかな。ならもう少し安くなるよね」
そんな感じで値切り交渉が始まった。
決して嫌味な値切り方ではない。ごく普通に女の子らしい口調と表情。それでいて何気なく厳しく品物を見て指摘するところは指摘。3回位でお互い妥協して買い物をするという感じだ。
結果、基本的にそのままの値段で買うリディナより平均3割くらい安く買っている。それでいてお店の人も気を損ねた様子はない。
何というか見事だな。そう思って気づいた。市場マスターという謎の称号の意味はこれだったかと。
「セレス、ひょっとしてこういう買い物、慣れているの?」
「農家の娘だからある程度品物の状態がわかるんです。あと貧乏だったから安いものをみつけて値切るのが普通でしたから。
多分リディナさんやフミノさんは私より上品な暮らしをしていたんだと思います」
うーむ厳しい。でもきっと事実だ。私とリディナは苦笑いをしつつお互い顔を見合わせる。
それにしても普通の女の子って11歳でもこれくらいしっかりしているものなのだろうか。それとも市場マスターだからこそなのだろうか。
その辺しっかりしていない私にはよくわからない。
ただセレスが調子良さそうなのはやはり嬉しい。酷い称号類も全部消えて、ステータスも普通の同じくらいの女の子以上。
そのおかげか自分の得意な事をやっているせいか元気いっぱいだ。
そんなこんなで買い出しそのものがいつもとかなり違った。
しかし今日の買い物はそれだけでは済まなかったのだ。
「魔法金属を扱っているかどうかは鍛冶組合に聞けばわかるよね」
「それがいいと思います。私も魔法金属なんて高価なものは知らないので」
リディナとセレスの意見が一致し、魔法金属を探しに鍛冶組合へ。
受付嬢のお姉さんにリディナが尋ねる。
「すみません。冒険者なのですけれど、こちらで魔法銀や魔法銅を購入できる場所はあるでしょうか」
お姉さんは困ったような表情をする。
「魔法金属ですか。残念ながらこの街にはありません。この付近で大きな街ですとパスカラかバーリですが、おそらく扱っている店はないと思います。
可能性がある一番近い街はネイプルでしょうか。国内で確実に扱っているとなるとラツィオかロンバルドです。王立の研究所や魔法騎士団技術部隊の拠点がありますから。
商業ギルドの正会員証などがあれば取り寄せる事が出来ます。またどうしてもすぐに必要であれば武器屋等に手配を致します。
ただ武器屋等に手配となると、既に製品となっている物となるのでかなり割高になってしまいます。いかがでしょうか」
そこまで必要ではない。
だから私の方を振り向いたリディナに首を横を振って見せる。
「わかりました。それでは結構です。教えていただきどうもありがとうございました」
リディナの台詞と共に3人で頭を下げ、組合を出る。
それにしても魔法金属とはそこまで希少なものだったのか。それでは入手は難しいかな。そう私が思った時だ。
「ならいっそラツィオに行ってみようか。その方が確実だし」
ラツィオはこの国の王都だ。面倒くさそうだし人も多そう。そんな街なんて行きたくない。当然ながら私はそう思う。
しかしだ。
「王都ですか。楽しみです。綺麗な建物もいっぱいあるし、お洒落なお店も多いんですよね」
先にセレスにこんな反応をされてしまった。こうなると私も嫌だとは言えない。せっかくセレスが喜んでいるのだ。仕方ないけれど行くかと思ってしまう。
「それに王都なら国立の大図書館があるよね。国内の本や情報紙ならほぼ何でも揃っているって話だよ」
リディナからこう聞いてしまってはなおさらだ。確かに大きい図書館という話には惹かれるものがある。
「それじゃしばらく海鮮が買えないから、急いで市場に戻って買いだめしましょ」
私だけではない。リディナも今では海鮮料理がかなり好きだ。
一昨日まであの海辺にいたのでそこそこ魚を確保してはいる。だから市場で買ったのは大きい物、珍しいもの、釣りでは捕えられなかったものが中心だ。
「魚系の直売市場はお昼近くなると投げ売り状態になるんです。漁師は夜のうちに起きて働くから早く寝たいじゃないですか。だからちょうどいい時間かもしれません」
セレスがやる気満々。
そしてその台詞は事実だった。またセレスの買い物術がやたら巧いというのもある。まとめ買い、売れ残り一掃、その他様々なテクニックを使って買いまくった。
結果としていつもの半額近くで倍近い量を仕入れる事に成功。
それも一昨日までの滞在で獲れなかった大物とかエビ、イカ類などしっかり買うべきものを揃えている。
「今度からお買い物はセレスに御願いした方がいいね、間違いなく。こんなに安くいっぱい買えるとは思わなかったし」
「このパーティがお金持ちだから買いやすかったというのもあります。まとめて買ってもらえればお店の方も嬉しいですし、もう少しサービスしていいかなという気にもなりますから」
うーむ。セレス、出会ってからまだ半月経っていないのにかなり変わった気がする。
でも助かるのは間違いない。私には絶対真似できないけれども。
まずは服飾店だ。
「こういう店はそれぞれ得意分野が違うものなんです。ですから何軒か回って傾向を確認するのが絶対です」
そうセレスは強く主張。私はもとよりリディナももうお任せ状態でセレスについていく。
言われるままに採寸され、流行の色の布をあわせられる。
更にこまごましたアクセサリーの前で好みをセレスに問われるままに聞かれたり。
それにしてもセレス、会った頃と随分変わったなと思う。そう思うと嬉しい。リディナもきっとそう思っていると思う。口には出さなかったけれども。
次は食品を買う市場。ここでもセレスは予想外の動きをした。
「今回の食料品の買い物は私に任せてくれませんか?」
まず最初にセレスがそうリディナに宣言。
「今回買うものはだいたいわかるよね」
「野菜メインですよね。あとは穀類と調味料。大丈夫です。ただ特に欲しいものがあったら言って下さい。交渉しますから」
「それじゃお願い。お金は出すし荷物はフミノが収納するから」
リディナはセレスの意志を尊重したつもりだったのだと思う。
まだ一人で討伐は出来ないし、それでも少しでも役に立ちたい。そんな意志をくんでという感じで。
しかしセレスがそう言った理由は少々違ったようだ。それは市場で実際に買い物をしてすぐわかった。
「おじさん、このキャベツ安いよね」
セレスの買い物は何気ない雰囲気でそんな話をするところから始まる。
しかしここからが違うのだ。値段を聞いて、更に作物の作柄なんかの話をした後。
「でもこのキャベツ、底の芯部分に少しはがした跡があるよね。これって売れ残ったから傷んだ外側の葉をはがしたんじゃないかな。ならもう少し安くなるよね」
そんな感じで値切り交渉が始まった。
決して嫌味な値切り方ではない。ごく普通に女の子らしい口調と表情。それでいて何気なく厳しく品物を見て指摘するところは指摘。3回位でお互い妥協して買い物をするという感じだ。
結果、基本的にそのままの値段で買うリディナより平均3割くらい安く買っている。それでいてお店の人も気を損ねた様子はない。
何というか見事だな。そう思って気づいた。市場マスターという謎の称号の意味はこれだったかと。
「セレス、ひょっとしてこういう買い物、慣れているの?」
「農家の娘だからある程度品物の状態がわかるんです。あと貧乏だったから安いものをみつけて値切るのが普通でしたから。
多分リディナさんやフミノさんは私より上品な暮らしをしていたんだと思います」
うーむ厳しい。でもきっと事実だ。私とリディナは苦笑いをしつつお互い顔を見合わせる。
それにしても普通の女の子って11歳でもこれくらいしっかりしているものなのだろうか。それとも市場マスターだからこそなのだろうか。
その辺しっかりしていない私にはよくわからない。
ただセレスが調子良さそうなのはやはり嬉しい。酷い称号類も全部消えて、ステータスも普通の同じくらいの女の子以上。
そのおかげか自分の得意な事をやっているせいか元気いっぱいだ。
そんなこんなで買い出しそのものがいつもとかなり違った。
しかし今日の買い物はそれだけでは済まなかったのだ。
「魔法金属を扱っているかどうかは鍛冶組合に聞けばわかるよね」
「それがいいと思います。私も魔法金属なんて高価なものは知らないので」
リディナとセレスの意見が一致し、魔法金属を探しに鍛冶組合へ。
受付嬢のお姉さんにリディナが尋ねる。
「すみません。冒険者なのですけれど、こちらで魔法銀や魔法銅を購入できる場所はあるでしょうか」
お姉さんは困ったような表情をする。
「魔法金属ですか。残念ながらこの街にはありません。この付近で大きな街ですとパスカラかバーリですが、おそらく扱っている店はないと思います。
可能性がある一番近い街はネイプルでしょうか。国内で確実に扱っているとなるとラツィオかロンバルドです。王立の研究所や魔法騎士団技術部隊の拠点がありますから。
商業ギルドの正会員証などがあれば取り寄せる事が出来ます。またどうしてもすぐに必要であれば武器屋等に手配を致します。
ただ武器屋等に手配となると、既に製品となっている物となるのでかなり割高になってしまいます。いかがでしょうか」
そこまで必要ではない。
だから私の方を振り向いたリディナに首を横を振って見せる。
「わかりました。それでは結構です。教えていただきどうもありがとうございました」
リディナの台詞と共に3人で頭を下げ、組合を出る。
それにしても魔法金属とはそこまで希少なものだったのか。それでは入手は難しいかな。そう私が思った時だ。
「ならいっそラツィオに行ってみようか。その方が確実だし」
ラツィオはこの国の王都だ。面倒くさそうだし人も多そう。そんな街なんて行きたくない。当然ながら私はそう思う。
しかしだ。
「王都ですか。楽しみです。綺麗な建物もいっぱいあるし、お洒落なお店も多いんですよね」
先にセレスにこんな反応をされてしまった。こうなると私も嫌だとは言えない。せっかくセレスが喜んでいるのだ。仕方ないけれど行くかと思ってしまう。
「それに王都なら国立の大図書館があるよね。国内の本や情報紙ならほぼ何でも揃っているって話だよ」
リディナからこう聞いてしまってはなおさらだ。確かに大きい図書館という話には惹かれるものがある。
「それじゃしばらく海鮮が買えないから、急いで市場に戻って買いだめしましょ」
私だけではない。リディナも今では海鮮料理がかなり好きだ。
一昨日まであの海辺にいたのでそこそこ魚を確保してはいる。だから市場で買ったのは大きい物、珍しいもの、釣りでは捕えられなかったものが中心だ。
「魚系の直売市場はお昼近くなると投げ売り状態になるんです。漁師は夜のうちに起きて働くから早く寝たいじゃないですか。だからちょうどいい時間かもしれません」
セレスがやる気満々。
そしてその台詞は事実だった。またセレスの買い物術がやたら巧いというのもある。まとめ買い、売れ残り一掃、その他様々なテクニックを使って買いまくった。
結果としていつもの半額近くで倍近い量を仕入れる事に成功。
それも一昨日までの滞在で獲れなかった大物とかエビ、イカ類などしっかり買うべきものを揃えている。
「今度からお買い物はセレスに御願いした方がいいね、間違いなく。こんなに安くいっぱい買えるとは思わなかったし」
「このパーティがお金持ちだから買いやすかったというのもあります。まとめて買ってもらえればお店の方も嬉しいですし、もう少しサービスしていいかなという気にもなりますから」
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