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第13章 事件発生
第97話 盗賊撃破
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私は偵察魔法を使える。向こうの動きは全て丸見えだ。
とりあえずリディナに気づいた事を報告する。
「今回の襲撃は12人。別に見張りが2人」
「そこそこ大きな集団ね。魔法使いはいる?」
ざっとステータスを確認。
「使える魔法を持っている人はいない。ただ弓使いが2人いる。無力化するまで外に出るのは危険」
「フミノに任せて大丈夫?」
「問題ない」
出てきた時点で全員埋めるだけだ。土の在庫は山ほどある。とにかく一度埋めて、後で呼吸ができる程度に空気穴を通してやればいい。
ただガチガチに固めると呼吸できなくなるかもしれない。その辺は身動きが出来なくなる程度にふんわり埋める事を心がけておこう。
私達で始末する必要はない。その辺どう措置するかは衛士等に任せておけばいいのだから。
「何ならあえて1人くらい逃がした方がいいかもね。ここに出てきているのが盗賊団全員とは限らないから。逃げ帰るところをフミノの偵察魔法で追ってもらえば本拠地がわかるよね」
確かにそうだ。ならちょうどいいのが2人いる。
「逃がすのは見張り2人。離れているから気づかなかった事にする」
「確かにそれでいいよね。ところでフミノの偵察魔法、今はどれくらいまで後を追える?」
「今なら2離程度」
「何かどんどん距離伸びていない?」
その通りだ。起きている間だけでなく寝ている間まで偵察魔法は起動しっぱなし。空属性のレベルも上がっているし偵察魔法そのものの熟練度も上がっている。
使える魔法そのものも増えている。ただし未だに攻撃魔法は使えない。悲しい。
空属性には空即斬という攻撃魔法がある。しかし何故か私には使えないのだ。レベルは足りている筈なのに。
でもまあそれはそれとして。
「ならよほどのことがない限り大丈夫だよね。それにフミノは速く移動する魔法も使えるし」
その通りだ。縮地で追いかければ相手が馬だろうと問題ない。私は頷く。
「なら後は敵が近づいてくるのを待つだけね」
「何ならバーボン、もっとゆっくり歩かせる?」
盗賊達が狙いやすいようにそうした方がいいだろうか。そう思ったのだがリディナは首を横に振る。
「今のままで十分だと思うよ。歩きより遅いくらいだし」
確かに。ああ早くバーボン君を改良したい。案は既に出来ている。ただ改良に必要なまとまった時間がとれていないのだ。
そんな話をしている間にも盗賊団は動いている。まずは見張りから1人が動いてこの道の先にいる集団の方へ。
「この先の切通しで襲撃してくるようね」
リディナの監視魔法でも見えたのだろう。私は頷く。
「おそらく」
リディナが言った切通しはこの先300腕のところだ。やや高い枝尾根を高さ1腕半、長さ20腕程度削って道を通している。
盗賊団のメインは右側の上で待機中。おそらく私達が切り通しの真ん中まで行ったら降りてきて襲撃するつもりなのだろう。
この地形ならちょうどいい。土を上から被せるだけでも逃げ場なく埋まる。上に残った連中は穴を作って埋めるいつもの方法を使えばいいだろう。
すべてが終わったらバーボン君とゴーレム車を収納。私とリディナは土魔法で足場を作って脱出。残した見張りを追って本拠地を襲撃。全部終わったら街へ行って衛視庁と審判庁に報告して一件落着。
よし、これでイメージは掴めた。あとはこの通り盗賊が襲ってくればOKだ。私はバーボン君を操縦しながらいつでもアイテムボックスを使えるよう心の準備をする。
この距離まで来れば1人1人のステータスを見るのも容易い。念のため犯罪者以外が紛れていないか確認。
うん、どいつもこいつも酷い称号がついている。
もちろん彼らが今のようになったのは彼らのせいだけではないだろう。生育環境等の影響があるのも間違いない。しかしここで許したくない位には罪を重ねている。
私は正義の味方ではない。他人を断罪出来る程偉くもなければ優れてもいない。それでも彼らはここで止めなければ更に迷惑を振りまくだろう。すべてがうまく行く解決法などない。
だからこれからやる行動は正義のためではない。そうしたいと思った私のためにやるのだ。
傲慢だと言われてようが構わない。人間なんてそんなもんだ。話せばわかりあえるなんて信じないし信じられない。
それでもリディナとはわかりあえると幻想を持っていたい。そうは思うけれども。
ゴーレム車はゆっくり切通しにさしかかる。やや遠目にいる見張り2人以外は切り通しのこっち側2カ所に集まった。前後にわかれてゴーレム車の進路を塞ぐ模様だ。
2人が弓を番えこっちに向ける。あれが射られたら向こうが攻撃を開始したと捉えていいだろう。射られた瞬間に矢を収納できるように意識。
そろそろ操縦しながら対策をとるのが辛くなってきた。バーボン君を止める。
敵が右上、切り通しの上からこっちを見下ろしている。1人が右手を上げ、そして振り下ろした。見張り役以外が一気に動き出す。
射手2名の矢が放たれた。同時に収納をかけ、さらに射手2人の足下の土を収納する。
「うごっ!」
いきなり足場がなくなった射手は斜面を滑り落ちる。敵数人がはっとした表情で射手の方を見た。
しかしもう遅い。皆飛び降りるなり滑り降りるなりアクションを起こしてしまった後だ。
私は最初の数人が着地した瞬間を狙って土を上から大量放出。前後とも射手を含めた盗賊団全員が埋まった。1名ほど顔まで土に埋まったので呼吸できる程度に土を除いておく。
一通り敵が動けなくなった。余分な土を街道上から排除し、残した土を道路交通を邪魔しないよう突き固め魔法で軽く固める。
街道幅2腕のうち1腕強が通れるようになった。これで盗賊を回収するまでの間も人や馬車が通行可能だ。もちろん私達のゴーレム車も収納せずそのまま通れる。
盗賊共は何やかんや文句を言ったり凄んだりしているようだ。私達はゴーレム車の中にいて見えない筈なのだけれども。
勿論奴らの言い分を聞く気は無い。聞く義理もない。私達を襲ってきた、ステータスに盗賊とついている連中。判断材料はそれだけで充分だ。
私はアイテムボックスから適当な大きさの板と筆、インクを出した。
「リディナ、看板頼む。後でここを人が通った時、こいつらを助け出さないように。私は見張り役追跡を続ける」
「わかった」
見張り役2名は仲間が埋まったのを見た後少し迷った様子を見せた。
どうするかな、助けに来るかな。そう思ったのだがあっさり諦めた模様。一目散に私達と反対方向へ獣道を駆け出す。
よしよし、なら予定通り盗賊団の本拠地まで案内して貰おう。
とりあえずリディナに気づいた事を報告する。
「今回の襲撃は12人。別に見張りが2人」
「そこそこ大きな集団ね。魔法使いはいる?」
ざっとステータスを確認。
「使える魔法を持っている人はいない。ただ弓使いが2人いる。無力化するまで外に出るのは危険」
「フミノに任せて大丈夫?」
「問題ない」
出てきた時点で全員埋めるだけだ。土の在庫は山ほどある。とにかく一度埋めて、後で呼吸ができる程度に空気穴を通してやればいい。
ただガチガチに固めると呼吸できなくなるかもしれない。その辺は身動きが出来なくなる程度にふんわり埋める事を心がけておこう。
私達で始末する必要はない。その辺どう措置するかは衛士等に任せておけばいいのだから。
「何ならあえて1人くらい逃がした方がいいかもね。ここに出てきているのが盗賊団全員とは限らないから。逃げ帰るところをフミノの偵察魔法で追ってもらえば本拠地がわかるよね」
確かにそうだ。ならちょうどいいのが2人いる。
「逃がすのは見張り2人。離れているから気づかなかった事にする」
「確かにそれでいいよね。ところでフミノの偵察魔法、今はどれくらいまで後を追える?」
「今なら2離程度」
「何かどんどん距離伸びていない?」
その通りだ。起きている間だけでなく寝ている間まで偵察魔法は起動しっぱなし。空属性のレベルも上がっているし偵察魔法そのものの熟練度も上がっている。
使える魔法そのものも増えている。ただし未だに攻撃魔法は使えない。悲しい。
空属性には空即斬という攻撃魔法がある。しかし何故か私には使えないのだ。レベルは足りている筈なのに。
でもまあそれはそれとして。
「ならよほどのことがない限り大丈夫だよね。それにフミノは速く移動する魔法も使えるし」
その通りだ。縮地で追いかければ相手が馬だろうと問題ない。私は頷く。
「なら後は敵が近づいてくるのを待つだけね」
「何ならバーボン、もっとゆっくり歩かせる?」
盗賊達が狙いやすいようにそうした方がいいだろうか。そう思ったのだがリディナは首を横に振る。
「今のままで十分だと思うよ。歩きより遅いくらいだし」
確かに。ああ早くバーボン君を改良したい。案は既に出来ている。ただ改良に必要なまとまった時間がとれていないのだ。
そんな話をしている間にも盗賊団は動いている。まずは見張りから1人が動いてこの道の先にいる集団の方へ。
「この先の切通しで襲撃してくるようね」
リディナの監視魔法でも見えたのだろう。私は頷く。
「おそらく」
リディナが言った切通しはこの先300腕のところだ。やや高い枝尾根を高さ1腕半、長さ20腕程度削って道を通している。
盗賊団のメインは右側の上で待機中。おそらく私達が切り通しの真ん中まで行ったら降りてきて襲撃するつもりなのだろう。
この地形ならちょうどいい。土を上から被せるだけでも逃げ場なく埋まる。上に残った連中は穴を作って埋めるいつもの方法を使えばいいだろう。
すべてが終わったらバーボン君とゴーレム車を収納。私とリディナは土魔法で足場を作って脱出。残した見張りを追って本拠地を襲撃。全部終わったら街へ行って衛視庁と審判庁に報告して一件落着。
よし、これでイメージは掴めた。あとはこの通り盗賊が襲ってくればOKだ。私はバーボン君を操縦しながらいつでもアイテムボックスを使えるよう心の準備をする。
この距離まで来れば1人1人のステータスを見るのも容易い。念のため犯罪者以外が紛れていないか確認。
うん、どいつもこいつも酷い称号がついている。
もちろん彼らが今のようになったのは彼らのせいだけではないだろう。生育環境等の影響があるのも間違いない。しかしここで許したくない位には罪を重ねている。
私は正義の味方ではない。他人を断罪出来る程偉くもなければ優れてもいない。それでも彼らはここで止めなければ更に迷惑を振りまくだろう。すべてがうまく行く解決法などない。
だからこれからやる行動は正義のためではない。そうしたいと思った私のためにやるのだ。
傲慢だと言われてようが構わない。人間なんてそんなもんだ。話せばわかりあえるなんて信じないし信じられない。
それでもリディナとはわかりあえると幻想を持っていたい。そうは思うけれども。
ゴーレム車はゆっくり切通しにさしかかる。やや遠目にいる見張り2人以外は切り通しのこっち側2カ所に集まった。前後にわかれてゴーレム車の進路を塞ぐ模様だ。
2人が弓を番えこっちに向ける。あれが射られたら向こうが攻撃を開始したと捉えていいだろう。射られた瞬間に矢を収納できるように意識。
そろそろ操縦しながら対策をとるのが辛くなってきた。バーボン君を止める。
敵が右上、切り通しの上からこっちを見下ろしている。1人が右手を上げ、そして振り下ろした。見張り役以外が一気に動き出す。
射手2名の矢が放たれた。同時に収納をかけ、さらに射手2人の足下の土を収納する。
「うごっ!」
いきなり足場がなくなった射手は斜面を滑り落ちる。敵数人がはっとした表情で射手の方を見た。
しかしもう遅い。皆飛び降りるなり滑り降りるなりアクションを起こしてしまった後だ。
私は最初の数人が着地した瞬間を狙って土を上から大量放出。前後とも射手を含めた盗賊団全員が埋まった。1名ほど顔まで土に埋まったので呼吸できる程度に土を除いておく。
一通り敵が動けなくなった。余分な土を街道上から排除し、残した土を道路交通を邪魔しないよう突き固め魔法で軽く固める。
街道幅2腕のうち1腕強が通れるようになった。これで盗賊を回収するまでの間も人や馬車が通行可能だ。もちろん私達のゴーレム車も収納せずそのまま通れる。
盗賊共は何やかんや文句を言ったり凄んだりしているようだ。私達はゴーレム車の中にいて見えない筈なのだけれども。
勿論奴らの言い分を聞く気は無い。聞く義理もない。私達を襲ってきた、ステータスに盗賊とついている連中。判断材料はそれだけで充分だ。
私はアイテムボックスから適当な大きさの板と筆、インクを出した。
「リディナ、看板頼む。後でここを人が通った時、こいつらを助け出さないように。私は見張り役追跡を続ける」
「わかった」
見張り役2名は仲間が埋まったのを見た後少し迷った様子を見せた。
どうするかな、助けに来るかな。そう思ったのだがあっさり諦めた模様。一目散に私達と反対方向へ獣道を駆け出す。
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