フルタイム・オンライン ~24時間ログインしっぱなしの現実逃避行、または『いつもつながっている』~

於田縫紀

文字の大きさ
上 下
132 / 139
第24章 お別れ

第131話 それぞれの答

しおりを挟む
翠の園支店のフリースペース

窓際にあるその場所には優しい光とそよ風が入って来ていた。

窓際の少し離れた机の上でデザイン用紙を持ち、何時も下ろしている美しいミルクティーベージュ色のその髪を大きなリボンがついたバナナクリップでまとめ上げているのがリエル・シュルテンヴェル。

そのリエルの前で落ち着きがない様子で辺りをキョロキョロと見渡している亜麻色の髪を持ったリエルより年下であろう男の子の名はディーノ。

今回のリエルのお客様である。

「ではオーダーメイドの手順を先に説明させていただきますね。と、言ってもそう難しいものではないので気軽に聞いてくださいね。  

オーダーメイドの手順として、まず初めにディーノ様に金銀、プラチナ、天然の宝石などの中から素材を選んでいただき、その後デザインを描いていきます。

そこで満足が行く出来になったようでしたらそのまま刻印に移ります。

もし満足行かなかった場合も何度でもデザインを描くことは可能ですのでお声がけください。

さて、この当たりで説明は以上になりますが何か質問等ございますか?」

そう手順を手元の液晶を指しながら説明していくリエルにディーノは、首を横に振りながらこう応えた。

「だ、だいじょうぶ、ですっ。でも…呼び方…」
「呼び方?」
「お姫様…に様付けで呼んで貰うの…」
「あぁ、そうですね…ではディー君と、」

ディーノのその言葉を聞いて自分の前世の癖が抜けて居ないことに気がついたリエルは即座に呼び方を変えた。

その事に安心した様子のディーノを見て大丈夫だと判断したリエルは液晶に触れ、画像を出してからディーノに説明を始めた。

「では、素材から決めていきましょう」
「は、はい。よろしくお願いします!!」
____________________
「まず…、お相手は女性で宜しいでしょうか?」

と、資料を見せながら唐突に呟いたリエルにディーノは驚いた表情を浮かべてこう答えた。

「何でわかったんですか…?僕声に……?」と。それに対してリエルは

「いいえ、先程からディー君が見られていたジュエリーの画像がそういった方向けだったので…女性かな?と思ったのですよ」と、何でもないように答え、ディーとの話し合いを始めていった。

「これ…可愛い……」
「これにするなら素材は……」
「ん…でもこうしたくて…」
_____________________
それから数時間ほどたち、素材とデザインが決まった頃には外はもう緋色に染まっていた。

この後用事があるというディーノにリエルは

「ではまた明日、同じ時間帯に来ていただけますか?見本をいくつか作って見ようと思っているので…」

と話をつけたあとディーノを見送るためにフリースペースから立ち上がり、店の入口の方へ向かった。

が、入口に近づけば近づくほど気のせいかと思っていた女性の金切り声が強く聞こえてきた。

リエルはディーノに自分の後ろにいるように言った後、ゆっくりと入口のドアに向かって歩いた。

ドアの直ぐ側まで近づいたことで女性の姿が見えてきた。

髪は焦げ茶、腫れぼったい一重目にアイホール全体を囲む髪色と同じアイシャドウ、ボテッと唇全体に乗せた真っ赤としか言いようのないリップ。 
 
肌荒れしまくりの肌にこれまたど派手なピンクの、今にも裂けそうな程ぴっちぴちのタイトドレス。

ラフレシアの香水でもつけているのかというほど強い匂い。控えめに言って最悪であった。

そんな女性を目の前にして
「(え……?デジャブを感じるのだけれど……)」とものの見事に固まってしまっていたリエルだったが、次に女性が放った言葉に思わず女性の顔面をぶん殴りたくなっていた。

____________________
____________________
「煩いわね!この私の言う事が聞けないって言うの!?早く私にあれを売りなさいよ!早く!」

と言いながら叫び、従業員に抑えられている女性を見てリエルは一瞬にして冷めた目で(前にもあんなお客いたのよね…)と思いつつ他の従業員に説明を求めた。

と、言っても従業員の殆どがお客様への説明と暴れている女性を止めるために必死だったため、すぐ近くにいたアリシアに声をかけた。

アリシアから聞いたリエルは何とか抑え込んだ怒りの感情がまた沸き上がって来るのと同時に己の平常心を保とうとしていた心の糸がプツン、と切れたのを感じていた。

____________________
お気に入り登録してくださった方が123人も!! 

前日、前々日と続けて投稿ができていなかったのに…ありがとうございます~、
私感激のあまり涙が……(´;ω;`)ブワッ

改めまして、文章を書いてあとは公開にするだけ、というタイミングで何でかわからないけどデータがぶっ飛んで2000字くらい水の泡になって発狂しそうになりました。結ノ葉です。

あの見習いDJゲームのデータがぶっ飛んでしまったので再ダウンロードして4日ほどで要約1から今配布されているストーリーを全部読むことに成功しました。……あれ、おかしいな、私そんなに隈目立たない肌の色のはずなんだけど……黒いな……アイライン伸びた…、?

本日は朝から時間ギリギリに起きる+髪爆発+アイシャドウ割れる+筆見つからない+アイライン失敗+櫛どっかにやる+髪ゴムも無くす。というフルコンボを経験したのですけれど何とかなりましたわ……まだ大丈夫…前髪は死んだケド…

「ちょっと~?金〇雀ちゃん?????」by.改めて一番最後までやったら感情が抑えきれなかったDJ見習い

「おわっ、何でおんねん!!誕生日やから祝えって…ほら、超特大クリームソーダや!飲んだらはよ帰れ!」by.漫才師に部屋突撃されるあがり症の教師

「さて…と、読書でもしようかな。」by.子供人気も女性人気も抜群なお医者様

「お菓子は持ってへんけど、ネタならぎょーさんもっとるで!爆笑ギャグを見たい子はここに一列に並びや~」by.本日主役の漫才師

因みに本日10回ぶん回して白〇木さんと軍人さんのssrが引けましてよ!今がチャンス!ですわ!
ヒプマイはガチャで夢を見られる数少ないやつ……今のうちにやっておくと(๑•̀ㅂ•́)و✧!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【完結】バグった俺と、依存的な引きこもり少女。 ~幼馴染は俺以外のセカイを知りたがらない~

山須ぶじん
SF
 異性に関心はありながらも初恋がまだという高校二年生の少年、赤土正人(あかつちまさと)。  彼は毎日放課後に、一つ年下の引きこもりな幼馴染、伊武翠華(いぶすいか)という名の少女の家に通っていた。毎日訪れた正人のニオイを、密着し顔を埋めてくんくん嗅ぐという変わったクセのある女の子である。  そんな彼女は中学時代イジメを受けて引きこもりになり、さらには両親にも見捨てられて、今や正人だけが世界のすべて。彼に見捨てられないためなら、「なんでもする」と言ってしまうほどだった。  ある日、正人は来栖(くるす)という名のクラスメイトの女子に、愛の告白をされる。しかし告白するだけして彼女は逃げるように去ってしまい、正人は仕方なく返事を明日にしようと思うのだった。  だが翌日――。来栖は姿を消してしまう。しかも誰も彼女のことを覚えていないのだ。  それはまるで、最初から存在しなかったかのように――。 ※第18回講談社ラノベ文庫新人賞の第2次選考通過、最終選考落選作品。 ※『小説家になろう』『カクヨム』でも掲載しています。

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

処理中です...