119 / 139
第21章 新マップの場所
第118話 ついに乗船
しおりを挟む
ゲーム内メッセージで時候の挨拶というのは変かもしれない。
かと行って前略~草々も何かおかしい気がする。
なので結局はもっと砕けた文章にしたメッセージを作成してメアリーさんに送信。
その後私特製ジャーキーを人間用、ラッキー君用を20個ずつ調理。
念のためカリーナちゃんにも試食してもらった。
「これ、美味しいです。ちょっとお腹がすいた時に食べるのにちょうどいいと思います。私はお酒を飲めないですけれど、つまみにもいいかもしれません」
よし、自信を持って調理できるメニュー、やっと一品確保。
この調子で少しずつレパートリーを増やしていこうと思う。
調理系統を全部カリーナちゃん任せにしているのは申し訳ないし。
◇◇◇
さて、夜になり朝になって3月9日。
そして今はまもなく11時。
「そろそろ出ましょうか」
「そうだね」
カリーナちゃんの言葉で私は立ち上がる。
ここから新港までは歩いて10分かからない。
それでも何かあると大変だ。
ある程度早めに出るのは正しいだろう。
ラッキー君が真っ先に玄関へと行って、そしてこっちを振り返る。
行くんですよね? 早く行きませんか? そんな感じで。
家の中は片付いているし戸締まりも玄関以外は終わっている。
だからあとは出た後、玄関と門の鍵を閉めるだけ。
なお家賃はいない間、運営が支払ってくれる事になっている。
だから此処を出てそのまま新マップへ行って問題無い状態だ。
門を出て、鍵を閉め、今日は2人と1匹でそのまま港方向へ。
「ここの船って蒸気船だっけ?」
「魔法動力船です。帆も外輪もついているから、外見的には明治時代くらいの蒸気船と似ています」
「絵的に映えるからかな」
「多分そうだと思います。完全に魔法動力なら帆はいらない筈ですし、外輪よりスクリューの方が効率がいい筈ですから」
そんな話をしながら歩いて行く。
特に妨害だの面倒な人に絡まれるだのという事無く新港へと到着。
港は人が大勢働いていて活気がある。
荷物を積み卸ししたり、荷車で移動させていたり。
そんな人が多い中を縫って歩いて行く。
停泊位置の3番埠頭の場所については今朝、Webで検索済み。
だから割とあっさりと到着。
船もすぐにわかった。
外輪や帆柱とか船形とかがいかにもペリー来航時の黒船という雰囲気だ。
渡り板が出ていて、その前に船員らしい鍛えられた感じの男が帳簿を持って立っている。
おそらくあの人が受付をしているのだろう。
ただ男性が受付だとカリーナちゃん、大丈夫だろうか。
お店などのフレンドリーな感じの男性は割と大丈夫なのだけれど少し心配。
ここは念の為、私が先頭に立つ事としよう。
そう判断して、そしてカリーナちゃんに告げる。
「それじゃ行こうか。契約書を借りていい」
「わかりました」
カリーナちゃんから記入済みの契約書を受け取り歩き出す。
行くの? 行った場所で遊べる?
私の方を見上げてそんな顔をしながら、ラッキー君が私の横をついてきた。
カリーナちゃんはその後ろ、やっぱりああいう感じの男性は苦手な模様。
渡り板前の船員さんらしき男にまずは声をかける。
「すみません。リーフデ号に乗船するのはこちらでよろしいでしょうか?」
「ああそうだ。乗るなら乗船券かそれに代わる物はあるか?」
ここで契約書を出せばいいのだろう。
そう判断して私はアイテムボックスから取り出し、提示する。
「確認した。2人と魔犬1匹だな。ここからまっすぐ行って、甲板上へ行ってくれ。すぐ前に船室入口があるからそこを入って階段を降りたところが船室だ。
これが案内になる。2人なら船室は1室だ。先着順で扉が開きっぱなしのところがまだ未使用の部屋になるから、そのどれかに入ってくれ」
先着順だったか、ならもう少し早く来た方が良かったかな。
そう思いつつ案内の紙片を受け取る。
「わかりました。ありがとうございます。それじゃ行こうか」
渡り板といっても1m位の幅があり、両側に布製の落下防止柵がついている。
だから渡るのはそれほど怖くない。
渡り板は地上と違って揺れ動いているけれど、バランスを崩す程ではないし。
言われた通り渡ったすぐ先に船室入口があった。
「船室に直行でいい?」
「ええ、それがいいと思います」
なのでそのまま入口へ。
入ってすぐ下り階段を15段ほど降りると廊下っぽい場所に出た。
魔法照明で照らされていて、右側に開いている扉や仕舞っている扉が並んでいるのがわかる。
「どの部屋がいいかな」
「2~3部屋見てから考えた方がいいと思います。どれも同じなら階段に近い場所がいいです」
確かに何か起こった際を考えればすぐ逃げられる場所がいい。
実際は出港の後すぐに入港となるにしても。
「わかった。それじゃ見てみようか」
「ええ」
早速近くの扉が開いている部屋から見ていく。
取り敢えず3部屋見たところ、何処も同じ作りの模様。
小窓一つ、二段ベッドひとつ、片面が壁に張り付いている机っぽいテーブルとそのテーブルに向いた長椅子。
そんな細長く狭い部屋だ。
「何処も同じみたいだし、階段の向かいのひとつこっち側でいい?」
「ええ、それでいいと思います」
階段の向かいは扉が閉まっていたのでその隣の部屋に決定。
室内は狭いがそれなりに綺麗で清掃が行き届いている。
壁や床、天井のウッディな感じもいい。
長椅子に2人と1匹で腰掛けてのんびりする。
「これはこれで悪くないね」
「ええ。ただ実際にここで数ヶ月の間、航海すると思うと閉所恐怖症になりそうですけれど」
「確かにそうだけれど。ラッキーも運動不足になるだろうし」
私よりラッキー君が辛いだろう。
その辺は仮想世界様々だ。
カンカンカンカン、上方で鐘の音が聞こえた。
「出港の合図ですね」
なるほど、蒸気船ではないから蒸気圧を利用した汽笛ではないと。
それはそれで合理的だな、そう思ったところで船の揺れが変わった。
かと行って前略~草々も何かおかしい気がする。
なので結局はもっと砕けた文章にしたメッセージを作成してメアリーさんに送信。
その後私特製ジャーキーを人間用、ラッキー君用を20個ずつ調理。
念のためカリーナちゃんにも試食してもらった。
「これ、美味しいです。ちょっとお腹がすいた時に食べるのにちょうどいいと思います。私はお酒を飲めないですけれど、つまみにもいいかもしれません」
よし、自信を持って調理できるメニュー、やっと一品確保。
この調子で少しずつレパートリーを増やしていこうと思う。
調理系統を全部カリーナちゃん任せにしているのは申し訳ないし。
◇◇◇
さて、夜になり朝になって3月9日。
そして今はまもなく11時。
「そろそろ出ましょうか」
「そうだね」
カリーナちゃんの言葉で私は立ち上がる。
ここから新港までは歩いて10分かからない。
それでも何かあると大変だ。
ある程度早めに出るのは正しいだろう。
ラッキー君が真っ先に玄関へと行って、そしてこっちを振り返る。
行くんですよね? 早く行きませんか? そんな感じで。
家の中は片付いているし戸締まりも玄関以外は終わっている。
だからあとは出た後、玄関と門の鍵を閉めるだけ。
なお家賃はいない間、運営が支払ってくれる事になっている。
だから此処を出てそのまま新マップへ行って問題無い状態だ。
門を出て、鍵を閉め、今日は2人と1匹でそのまま港方向へ。
「ここの船って蒸気船だっけ?」
「魔法動力船です。帆も外輪もついているから、外見的には明治時代くらいの蒸気船と似ています」
「絵的に映えるからかな」
「多分そうだと思います。完全に魔法動力なら帆はいらない筈ですし、外輪よりスクリューの方が効率がいい筈ですから」
そんな話をしながら歩いて行く。
特に妨害だの面倒な人に絡まれるだのという事無く新港へと到着。
港は人が大勢働いていて活気がある。
荷物を積み卸ししたり、荷車で移動させていたり。
そんな人が多い中を縫って歩いて行く。
停泊位置の3番埠頭の場所については今朝、Webで検索済み。
だから割とあっさりと到着。
船もすぐにわかった。
外輪や帆柱とか船形とかがいかにもペリー来航時の黒船という雰囲気だ。
渡り板が出ていて、その前に船員らしい鍛えられた感じの男が帳簿を持って立っている。
おそらくあの人が受付をしているのだろう。
ただ男性が受付だとカリーナちゃん、大丈夫だろうか。
お店などのフレンドリーな感じの男性は割と大丈夫なのだけれど少し心配。
ここは念の為、私が先頭に立つ事としよう。
そう判断して、そしてカリーナちゃんに告げる。
「それじゃ行こうか。契約書を借りていい」
「わかりました」
カリーナちゃんから記入済みの契約書を受け取り歩き出す。
行くの? 行った場所で遊べる?
私の方を見上げてそんな顔をしながら、ラッキー君が私の横をついてきた。
カリーナちゃんはその後ろ、やっぱりああいう感じの男性は苦手な模様。
渡り板前の船員さんらしき男にまずは声をかける。
「すみません。リーフデ号に乗船するのはこちらでよろしいでしょうか?」
「ああそうだ。乗るなら乗船券かそれに代わる物はあるか?」
ここで契約書を出せばいいのだろう。
そう判断して私はアイテムボックスから取り出し、提示する。
「確認した。2人と魔犬1匹だな。ここからまっすぐ行って、甲板上へ行ってくれ。すぐ前に船室入口があるからそこを入って階段を降りたところが船室だ。
これが案内になる。2人なら船室は1室だ。先着順で扉が開きっぱなしのところがまだ未使用の部屋になるから、そのどれかに入ってくれ」
先着順だったか、ならもう少し早く来た方が良かったかな。
そう思いつつ案内の紙片を受け取る。
「わかりました。ありがとうございます。それじゃ行こうか」
渡り板といっても1m位の幅があり、両側に布製の落下防止柵がついている。
だから渡るのはそれほど怖くない。
渡り板は地上と違って揺れ動いているけれど、バランスを崩す程ではないし。
言われた通り渡ったすぐ先に船室入口があった。
「船室に直行でいい?」
「ええ、それがいいと思います」
なのでそのまま入口へ。
入ってすぐ下り階段を15段ほど降りると廊下っぽい場所に出た。
魔法照明で照らされていて、右側に開いている扉や仕舞っている扉が並んでいるのがわかる。
「どの部屋がいいかな」
「2~3部屋見てから考えた方がいいと思います。どれも同じなら階段に近い場所がいいです」
確かに何か起こった際を考えればすぐ逃げられる場所がいい。
実際は出港の後すぐに入港となるにしても。
「わかった。それじゃ見てみようか」
「ええ」
早速近くの扉が開いている部屋から見ていく。
取り敢えず3部屋見たところ、何処も同じ作りの模様。
小窓一つ、二段ベッドひとつ、片面が壁に張り付いている机っぽいテーブルとそのテーブルに向いた長椅子。
そんな細長く狭い部屋だ。
「何処も同じみたいだし、階段の向かいのひとつこっち側でいい?」
「ええ、それでいいと思います」
階段の向かいは扉が閉まっていたのでその隣の部屋に決定。
室内は狭いがそれなりに綺麗で清掃が行き届いている。
壁や床、天井のウッディな感じもいい。
長椅子に2人と1匹で腰掛けてのんびりする。
「これはこれで悪くないね」
「ええ。ただ実際にここで数ヶ月の間、航海すると思うと閉所恐怖症になりそうですけれど」
「確かにそうだけれど。ラッキーも運動不足になるだろうし」
私よりラッキー君が辛いだろう。
その辺は仮想世界様々だ。
カンカンカンカン、上方で鐘の音が聞こえた。
「出港の合図ですね」
なるほど、蒸気船ではないから蒸気圧を利用した汽笛ではないと。
それはそれで合理的だな、そう思ったところで船の揺れが変わった。
18
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
妻がエロくて死にそうです
菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。
美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。
こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。
それは……
限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常
じいちゃんから譲られた土地に店を開いた。そしたら限界集落だった店の周りが都会になっていた。
ゆうらしあ
ファンタジー
死ぬ間際、俺はじいちゃんからある土地を譲られた。
木に囲まれてるから陽当たりは悪いし、土地を管理するのにも金は掛かるし…此処だと売ったとしても買う者が居ない。
何より、世話になったじいちゃんから譲られたものだ。
そうだ。この雰囲気を利用してカフェを作ってみよう。
なんか、まぁ、ダラダラと。
で、お客さんは井戸端会議するお婆ちゃんばっかなんだけど……?
「おぉ〜っ!!? 腰が!! 腰が痛くないよ!?」
「あ、足が軽いよぉ〜っ!!」
「あの時みたいに頭が冴えるわ…!!」
あ、あのー…?
その場所には何故か特別な事が起こり続けて…?
これは後々、地球上で異世界の扉が開かれる前からのお話。
※HOT男性向けランキング1位達成
※ファンタジーランキング 24h 3位達成
※ゆる〜く、思うがままに書いている作品です。読者様もゆる〜く呼んで頂ければ幸いです。カクヨムでも投稿中。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。
「さようなら、私が産まれた国。
私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」
リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる──
◇婚約破棄の“後”の話です。
◇転生チート。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^
◇なので感想欄閉じます(笑)
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。
みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ!
そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。
「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
リアゼノン・オンライン ~プレイ中のゲームから異世界に連行された俺は、多くの人に学ぶ中で最強を目指す。現在地球は大変だそうです
八ッ坂千鶴
SF
レベルアップするとステータスの数値が減少するデスゲーム
〈リアゼノン・オンライン〉
そんなゲームにログインしたのは、要領が悪い高校1年生宮鳥亜蓮十六歳。
ひょんなことから攻略ギルド【アーサーラウンダー】へ参加することになり、ギルド団長ルグア/巣籠明理に恋をしてしまう。
第十層で離れ離れになっても、両思いし続け、ルグアから団長の座をもらったアレン。
スランプになりながらも、仲間を引っ張って行こうとしていたが、それは突然崩されてしまった。
アレンはルーアという謎の人物によって、異世界【アルヴェリア】へと誘拐されて行方不明に……。
それを聞きつけてきた明理は、アレンを知っているメンバーと共に、異世界から救出するため旅に出る。
しかし、複数の世界が混じり合い、地球が破滅の一途に進んでいたとは、この時誰も知らなかった。
たった一人を除いて……。
※なろう版と同じにしている最中なので、数字表記や記号表記が異なる場合があります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる