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第20章 新しい場所へ行く前に
第116話 奥義取得の練習
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朝ご飯を食べた後、皆でお出かけ。
いつも通り街中部分は別行動をとった後、入口の橋を渡った先で合流する。
「それじゃラッキーちゃんはいつも通りイグアナやただのスケルトンをお願いします。技の練習にはスケルトンソルジャー以上の敵を使いますから」
わかっています。
そんな顔でラッキー君がカリーナちゃんの方を見る。
本当にわかっているかどうかは不明だけれど、多分問題はない。
カリーナちゃんの言葉はラッキー君の行動の追認みたいなものだから。
トンネルみたいな入口から門の建物を通り抜け、最初の広場から階段で上にのぼり、次の広場を直進して本館へ。
本館入り口前でカリーナちゃんは立ち止まり、アイテムボックスから茶色い革製の長手袋を取り出して両手に装着する。
「その手袋も籠手みたいなもの?」
「本来は作業用手袋です。ですけれど頑丈でそこそこの打撃に耐えます。ですのであまり強くないうちは防具として使う格闘家もいる位です。
ただある程度レベルが上がると使わなくなります。この手袋をつけるより素手の方が攻撃力が高くなりますから。
今回は攻撃力を下げるために着装しています。あとスケルトンを拳とは言え素手で触りたくないですから」
なるほど、理解した。
似たような事を私もやった覚えがあるし。
「それではここから訓練してみます」
そうカリーナちゃんは宣言して本館の中へ。
まず出てきたのはスケルトンカサドール、1体だけ。
カリーナちゃんはすり足に似た足使いでスケルトンカサドールに近づき、敵が剣を振り上げたところで懐に飛び込んむ。
次の瞬間、スケルトンカサドールはカリーナちゃんの背後の床面に叩きつけられた。
カリーナちゃんが高速で敵を掴んで後方へ投げたのだ。
ただ動きが速すぎて私の目でもとらえきれない。
「今のは奥義?」
「基本的な投げ技のひとつです。まずは奥義の前にウォーミングアップという感じで」
今の速さで基本なのか。
何というかとんでもない。
でも考えてみればカリーナちゃん、私よりレベルが20以上高いのだ。
私から見て圧倒的に強くて当然。
完全にそのことを忘れていたけれど。
カリーナちゃんがスケルトンを倒した後、ラッキー君がとことこ前に出る。
5m位先で立ち止まった後、ぴょーんと放物線を描いて跳ねた。
相手はゲンエイグアナ、ただしラッキー君が攻撃したから私もわかるだけ。
動かなければ全然見えない。
この中で一番弱いの、間違いなく私だろうなと気づく。
考えてみればレベルだって一番低い。
ラッキー君はもうレベル41になっているから。
ちょうどいい機会だ。
カリーナちゃんの戦い方を良く見ておこう。
私も使える動きがないかどうか、使えそうならどうすればいいか。
例えば今の敵に近づく際のすり足に似た動き、使えればかなり楽だろう。
足の前後関係が変わらない上、常にある程度以上の足幅を確保出来るから瞬時の移動方向変更にも対応出来そうだから。
◇◇◇
5階のスケルトンナイトを倒すところまでやって、ふと思い出した。
そういえばカリーナちゃんに聞いてみたいことがあったなと。
「ひととおり倒しましたから、今度は病院跡へ向かいましょう」
そう言って戻る方向へ歩き始めるカリーナちゃんに聞いてみる。
「此処のイベントについてメアリーさんに聞いたけれど、カリーナは知っていた? ひょっとして」
「話だけは」
カリーナちゃんは歩きながら頷いた。
「ただあれは漏洩情報を解析して出しただけと書いてあります。実際に試した人からの情報はない、だから本当はどうなのかわからないと。
プレイヤーの現在の最高レベルはまだ80まで行っていないとされています。そして類似する情報を出している人は他にいません」
疑問を感じたので聞いてみる。
「プレイヤーの最高レベルって、何かに出ているの?」
「非公式のランキングがあります。自分から公開しているプレイヤーに限りますけれど」
その言葉の直後にメッセージが届いた。
カリーナちゃんからだ。
メッセージの内容はURLらしい文字列。
「そのページに現在時点でのランキングがあります。パスポートの表記を認証入りスクリーンショットで撮って送るので、数値そのものには間違いは無い筈です。
此処に載せていない人も勿論いますけれど」
どれどれ、例によって別窓を出して確認。
現在のところ一番高い数値となっているのはアルシオーネという剣士とシーマという魔導士でレベル76。
その下にレベル75がずらっと続いている。
このページには112人、レベル70まで載っているようだ。
知っている人がいるかなと思って検索してみる。
カリーナちゃん、カレンさん、メアリーさん。
なおカレンさんは本名のゾフィア・シャルロッテ・フォン・キールマンゼックでも検索。
誰も出てこない。
少し疑問に思う。
「カレンさんやメアリーさん、カリーナも出てこないけれど」
「このランキングページははあくまで載せたい人が自分のレベルを送って載せてもらうページです。だから希望しない人は載りません。
私の場合はレベルはまだ60台でページの範囲外です。それに目立つ事に意味を感じないのでレベル70を超えても載せようとは思いません。
カレンはレベル70を超えていると思います。ただ今はギルドが活動のメインですし、攻略から外れているので載せようとはしていないのでしょう」
そこでカリーナちゃんは一息おいて、そして続ける。
「メアリーさんはそのページに載せる事を希望していないだけです。ただし最低でもレベル80近くはあるだろうと思います。推奨レベル75以上とされるラビュリントスのボス、アステリオスを単独で倒したりしていますから
おそらくパイアキアン・オンラインでは最強の1人です」
最低でもレベル80近くか。
そうなると気になる事がある。
「ならここの5階のイベント、メアリーさんはクリアしているって事はない?」
「あの人は攻略出来たなら動画にして公開すると思います」
なるほど、確かにそうかもしれない。
そう納得してしまった。
◇◇◇
その後、病院跡と海の塔を回った結果。
カリーナちゃんの方はほぼ仕上がったようだ。
「これで覚えたい技は使えるようになりました。今なら私でも大亀をひっくり返して倒せると思います」
私も結構勉強になった気がする。
今回は全く私の出番は無かったけれど、カリーナちゃんの動き方や位置取り等はかなり参考になった気がするから。
「それじゃ帰ろうか。もし買い出しが必要なものがあるなら、途中で市場に寄ったりして」
実は鶏胸肉、もう少し買い足しておきたい。
あとは香辛料やハーブを少々。
これは人間用ジャーキーを作りたいと思ったからだ。
昨日試食したラッキー君用味無しが美味しかったし、私が自信を持てるレパートリーを少しでも増やしておきたい。
魔法を使うから現実では役に立たないレシピだ。
でも当分現実で活動する予定はないから問題無い。
「そうですね。明日から当分の間、この街を離れます。なら3人で歩いて見つかってもあまり問題はないでしょう。それに奥義書、獲得者が何人か出ているようですから」
いつも通り街中部分は別行動をとった後、入口の橋を渡った先で合流する。
「それじゃラッキーちゃんはいつも通りイグアナやただのスケルトンをお願いします。技の練習にはスケルトンソルジャー以上の敵を使いますから」
わかっています。
そんな顔でラッキー君がカリーナちゃんの方を見る。
本当にわかっているかどうかは不明だけれど、多分問題はない。
カリーナちゃんの言葉はラッキー君の行動の追認みたいなものだから。
トンネルみたいな入口から門の建物を通り抜け、最初の広場から階段で上にのぼり、次の広場を直進して本館へ。
本館入り口前でカリーナちゃんは立ち止まり、アイテムボックスから茶色い革製の長手袋を取り出して両手に装着する。
「その手袋も籠手みたいなもの?」
「本来は作業用手袋です。ですけれど頑丈でそこそこの打撃に耐えます。ですのであまり強くないうちは防具として使う格闘家もいる位です。
ただある程度レベルが上がると使わなくなります。この手袋をつけるより素手の方が攻撃力が高くなりますから。
今回は攻撃力を下げるために着装しています。あとスケルトンを拳とは言え素手で触りたくないですから」
なるほど、理解した。
似たような事を私もやった覚えがあるし。
「それではここから訓練してみます」
そうカリーナちゃんは宣言して本館の中へ。
まず出てきたのはスケルトンカサドール、1体だけ。
カリーナちゃんはすり足に似た足使いでスケルトンカサドールに近づき、敵が剣を振り上げたところで懐に飛び込んむ。
次の瞬間、スケルトンカサドールはカリーナちゃんの背後の床面に叩きつけられた。
カリーナちゃんが高速で敵を掴んで後方へ投げたのだ。
ただ動きが速すぎて私の目でもとらえきれない。
「今のは奥義?」
「基本的な投げ技のひとつです。まずは奥義の前にウォーミングアップという感じで」
今の速さで基本なのか。
何というかとんでもない。
でも考えてみればカリーナちゃん、私よりレベルが20以上高いのだ。
私から見て圧倒的に強くて当然。
完全にそのことを忘れていたけれど。
カリーナちゃんがスケルトンを倒した後、ラッキー君がとことこ前に出る。
5m位先で立ち止まった後、ぴょーんと放物線を描いて跳ねた。
相手はゲンエイグアナ、ただしラッキー君が攻撃したから私もわかるだけ。
動かなければ全然見えない。
この中で一番弱いの、間違いなく私だろうなと気づく。
考えてみればレベルだって一番低い。
ラッキー君はもうレベル41になっているから。
ちょうどいい機会だ。
カリーナちゃんの戦い方を良く見ておこう。
私も使える動きがないかどうか、使えそうならどうすればいいか。
例えば今の敵に近づく際のすり足に似た動き、使えればかなり楽だろう。
足の前後関係が変わらない上、常にある程度以上の足幅を確保出来るから瞬時の移動方向変更にも対応出来そうだから。
◇◇◇
5階のスケルトンナイトを倒すところまでやって、ふと思い出した。
そういえばカリーナちゃんに聞いてみたいことがあったなと。
「ひととおり倒しましたから、今度は病院跡へ向かいましょう」
そう言って戻る方向へ歩き始めるカリーナちゃんに聞いてみる。
「此処のイベントについてメアリーさんに聞いたけれど、カリーナは知っていた? ひょっとして」
「話だけは」
カリーナちゃんは歩きながら頷いた。
「ただあれは漏洩情報を解析して出しただけと書いてあります。実際に試した人からの情報はない、だから本当はどうなのかわからないと。
プレイヤーの現在の最高レベルはまだ80まで行っていないとされています。そして類似する情報を出している人は他にいません」
疑問を感じたので聞いてみる。
「プレイヤーの最高レベルって、何かに出ているの?」
「非公式のランキングがあります。自分から公開しているプレイヤーに限りますけれど」
その言葉の直後にメッセージが届いた。
カリーナちゃんからだ。
メッセージの内容はURLらしい文字列。
「そのページに現在時点でのランキングがあります。パスポートの表記を認証入りスクリーンショットで撮って送るので、数値そのものには間違いは無い筈です。
此処に載せていない人も勿論いますけれど」
どれどれ、例によって別窓を出して確認。
現在のところ一番高い数値となっているのはアルシオーネという剣士とシーマという魔導士でレベル76。
その下にレベル75がずらっと続いている。
このページには112人、レベル70まで載っているようだ。
知っている人がいるかなと思って検索してみる。
カリーナちゃん、カレンさん、メアリーさん。
なおカレンさんは本名のゾフィア・シャルロッテ・フォン・キールマンゼックでも検索。
誰も出てこない。
少し疑問に思う。
「カレンさんやメアリーさん、カリーナも出てこないけれど」
「このランキングページははあくまで載せたい人が自分のレベルを送って載せてもらうページです。だから希望しない人は載りません。
私の場合はレベルはまだ60台でページの範囲外です。それに目立つ事に意味を感じないのでレベル70を超えても載せようとは思いません。
カレンはレベル70を超えていると思います。ただ今はギルドが活動のメインですし、攻略から外れているので載せようとはしていないのでしょう」
そこでカリーナちゃんは一息おいて、そして続ける。
「メアリーさんはそのページに載せる事を希望していないだけです。ただし最低でもレベル80近くはあるだろうと思います。推奨レベル75以上とされるラビュリントスのボス、アステリオスを単独で倒したりしていますから
おそらくパイアキアン・オンラインでは最強の1人です」
最低でもレベル80近くか。
そうなると気になる事がある。
「ならここの5階のイベント、メアリーさんはクリアしているって事はない?」
「あの人は攻略出来たなら動画にして公開すると思います」
なるほど、確かにそうかもしれない。
そう納得してしまった。
◇◇◇
その後、病院跡と海の塔を回った結果。
カリーナちゃんの方はほぼ仕上がったようだ。
「これで覚えたい技は使えるようになりました。今なら私でも大亀をひっくり返して倒せると思います」
私も結構勉強になった気がする。
今回は全く私の出番は無かったけれど、カリーナちゃんの動き方や位置取り等はかなり参考になった気がするから。
「それじゃ帰ろうか。もし買い出しが必要なものがあるなら、途中で市場に寄ったりして」
実は鶏胸肉、もう少し買い足しておきたい。
あとは香辛料やハーブを少々。
これは人間用ジャーキーを作りたいと思ったからだ。
昨日試食したラッキー君用味無しが美味しかったし、私が自信を持てるレパートリーを少しでも増やしておきたい。
魔法を使うから現実では役に立たないレシピだ。
でも当分現実で活動する予定はないから問題無い。
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