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第20章 新しい場所へ行く前に
第113話 お家に帰って
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メアリーさんとは新要塞を出る直前で別れた。
「やっぱり面白い戦い方が撮れた。それじゃ公開用の動画が出来たらチェック用のURLを送るからさ。その時は頼む。今日はありがとう」
そんな感じで。
カリーナちゃんも同じ場所で別れ、別々のルートでお家へ。
私は途中でお肉屋さんに寄っただけで、あとはまっすぐ帰宅。
カリーナちゃんもすぐにお家に帰ってきた。
なのでお茶しながら今後に向けて話し合う。
「これで契約書に名前を書けばテストプレイ開始だよね」
「はい。サインした翌日の昼12時に、何らかの交通機関で出発するようです」
その辺の細かい手順については説明に書いてあった。
「ならもう書く? それともカリーナがあの本を読んでからにする? 今読めば今日中には読み終わってサイン出来るよね」
今は15時過ぎ。
だから前の本と同じなら21時過ぎには読み終えるだろう。
「本を読んでからでいいでしょうか、それでも」
「勿論。何なら私も久しぶりにどちらかの本を読み返してみてもいいし。何か新しい発見でもあればそれはそれで儲けものだから」
読むとしたら『攻撃技全書』の方だろうか。
斧技系統が読み取れるかどうか確認したい。
なお満点賞の副賞リストには斧技の本は無かった。
だから『攻撃技全書』をもう一度読んでも斧技は覚えられない可能性は高いとは思うけれど。
『槍術奥義皆伝』の方を読んだら新しい槍技を覚えられるかもしれない。
前に読んだときよりレベルが上がっているし。
それでも今の私は槍より斧の方が使いやすいし好きだ。
だから今回は斧技を覚えられる可能性が少しでもある『攻撃技全書』の方で。
「そうですね。でしたら今日は夕食を遅めにして、それまで本を読みましょうか」
「だね。ラッキーには悪いけれど一人で家の番をして貰おう」
えっ? 呼びましたか?
ラッキー君がカリーナちゃんの方を見る。
私の方ではないのがポイントだ。
正規の食事以外で何かくれるとすればカリーナちゃんだから。
そうだ、鶏肉塊ジャーキーを作ろうと思った事を思い出した。
本を読んだ後に試してみよう。
同じように読書をしても私は同じ本の2回目。
それに今の私はINTが最大値。
なのでカリーナちゃんより早く本を読み終えるだろうから。
「ラッキーちゃん、それじゃ私とミヤさんが本を読んでいる間、おうちの警備をお願いしますね」
えっ! 何か嫌な事を聞いた気がするんですけれど?
それよりおやつとか、お出かけはどうでしょう。
考え直してみませんか?
ラッキー君、そんな感じで訴える。
「ごめんなさい、ラッキーちゃん。その代わり起きたらご飯にしますから」
なら今でもいいですよね、下さい!
トントンと前脚で床を叩いて、そしてラッキー君、いい子でお座りのポーズをする。
にこっと一発、あざとい笑みも追加だ。
「確かに夕食が遅くなるから、その分食べておきたいかもしれませんね。わかりました。ちょっとだけですよ」
今回はカリーナちゃんにもラッキー君の主張が伝わった模様。
まあラッキーの主張なんて基本、食べ物が欲しいから下さいなのだけれど。
◇◇◇
自室へ戻って、ベッドの上に寝転がった所で思い出した。
そういえばメアリーさんからメッセージを受け取ったのだったと。
メッセージの中身はWebアドレスと、IDと、パスワード。
アドレスはメアリーさんのサイトとほぼ同一で、ちょっと奥まったサブフォルダというだけ。
ここにあの最上階の謎について書かれているのだろうか。
そう思って、別窓を開いてアドレスの場所を表示する。
『秘密の部屋への分岐。IDとパスワードを入力して下さい』
メッセージに書いてあるIDとパスワードを入力する。
『認証しました。未公開ファイル『隠しボス01・02』へ移動します』
隠しボス? 何だろう。
画面表示が変わった。
テキストの説明と動画枠があるページだ。
『旧神クロノス・旧神カイロス』
タイトル部分にそう記載されている。
『旧神カイロス・旧神クロノス
ケルキラ旧要塞における裏ボスで、現時点におけるパイアキアン・オンラインで戦える相手では最強レベルの敵。
両者に勝った場合、かつてゲーム内でロストしたPC、NPC、従魔との再会が叶うとされている。
【詳細】
○ カイロス
・ 日時 新月の1:30~2:30
・ 場所 ケルキラ旧要塞海の塔第4階層の小部屋
・ 登場形態 神単独(1柱のみ出現)、飛行可能
・ 武器 斧、短剣、棒に変化する天秤を使用
・ 推奨レベル 80以上(推定・未確認)
○ クロノス
・ 日時 新月の1:30~2:30
・ 場所 ケルキラ旧要塞本館5階の小部屋
・ 登場形態 神単独(1柱のみ出現)、飛行可能
・ 武器 斧、棒に変化する短剣を使用
・ 推奨レベル 85以上(推定・未確認)
○ 旧神の恩寵(未確認)
両者を倒すと両神の権能により、かつてゲーム内でロストしたPC、NPC、従魔と再会させてくれるとされる。
倒す順番はどちらからでも可。また日を変えて倒しても可。両方を倒した時点で誰と再会するのかを問われる模様。ただし未確認。
なるほど、深夜に行かなければあの部屋ではイベントが起こらない訳か。
そして倒した場合の特典は、かつて失ったキャラクターとの再会と。
きっとこの再会とは、このゲームが保存している記録へのアクセスなのだろう。
実際に死人を復活させるなんて事は出来ないから。
なら今は別にこれに挑戦する必要はない。
私はパイアキアン・オンラインで特にそうやって会いたい相手はいないし。
だいたい推奨レベルが高すぎる。
やっとレベル40になったばかりなのに、レベル80以上とは……
それにしてもどうやってこの情報を手に入れたのだろう。
推定・未確認という欄が多いし。
そう思ったら下に注釈が入っていた。
『この情報は以前ネットに流出した、『パイアキアン・オンライン、設定ファイル』の暗号化部分を解析した結果得られたものです。
上記の時、上記の場所にカイロス、クロノスが出現する事までは確認しました。ただし倒すには至っていない為、推定レベルや恩恵等は解析データから得られた情報のみです。実際の確認は出来ていません』
メアリーさん、そんな解析まで出来るのだろうか。
それとも誰かが解析したデータを手に入れたのだろうか。
いずれにせよ鍵をかけて普通に見えないようにした理由は理解出来た。
パイアキアン・オンライン運営に見つかるとまずいから、だろう。
「やっぱり面白い戦い方が撮れた。それじゃ公開用の動画が出来たらチェック用のURLを送るからさ。その時は頼む。今日はありがとう」
そんな感じで。
カリーナちゃんも同じ場所で別れ、別々のルートでお家へ。
私は途中でお肉屋さんに寄っただけで、あとはまっすぐ帰宅。
カリーナちゃんもすぐにお家に帰ってきた。
なのでお茶しながら今後に向けて話し合う。
「これで契約書に名前を書けばテストプレイ開始だよね」
「はい。サインした翌日の昼12時に、何らかの交通機関で出発するようです」
その辺の細かい手順については説明に書いてあった。
「ならもう書く? それともカリーナがあの本を読んでからにする? 今読めば今日中には読み終わってサイン出来るよね」
今は15時過ぎ。
だから前の本と同じなら21時過ぎには読み終えるだろう。
「本を読んでからでいいでしょうか、それでも」
「勿論。何なら私も久しぶりにどちらかの本を読み返してみてもいいし。何か新しい発見でもあればそれはそれで儲けものだから」
読むとしたら『攻撃技全書』の方だろうか。
斧技系統が読み取れるかどうか確認したい。
なお満点賞の副賞リストには斧技の本は無かった。
だから『攻撃技全書』をもう一度読んでも斧技は覚えられない可能性は高いとは思うけれど。
『槍術奥義皆伝』の方を読んだら新しい槍技を覚えられるかもしれない。
前に読んだときよりレベルが上がっているし。
それでも今の私は槍より斧の方が使いやすいし好きだ。
だから今回は斧技を覚えられる可能性が少しでもある『攻撃技全書』の方で。
「そうですね。でしたら今日は夕食を遅めにして、それまで本を読みましょうか」
「だね。ラッキーには悪いけれど一人で家の番をして貰おう」
えっ? 呼びましたか?
ラッキー君がカリーナちゃんの方を見る。
私の方ではないのがポイントだ。
正規の食事以外で何かくれるとすればカリーナちゃんだから。
そうだ、鶏肉塊ジャーキーを作ろうと思った事を思い出した。
本を読んだ後に試してみよう。
同じように読書をしても私は同じ本の2回目。
それに今の私はINTが最大値。
なのでカリーナちゃんより早く本を読み終えるだろうから。
「ラッキーちゃん、それじゃ私とミヤさんが本を読んでいる間、おうちの警備をお願いしますね」
えっ! 何か嫌な事を聞いた気がするんですけれど?
それよりおやつとか、お出かけはどうでしょう。
考え直してみませんか?
ラッキー君、そんな感じで訴える。
「ごめんなさい、ラッキーちゃん。その代わり起きたらご飯にしますから」
なら今でもいいですよね、下さい!
トントンと前脚で床を叩いて、そしてラッキー君、いい子でお座りのポーズをする。
にこっと一発、あざとい笑みも追加だ。
「確かに夕食が遅くなるから、その分食べておきたいかもしれませんね。わかりました。ちょっとだけですよ」
今回はカリーナちゃんにもラッキー君の主張が伝わった模様。
まあラッキーの主張なんて基本、食べ物が欲しいから下さいなのだけれど。
◇◇◇
自室へ戻って、ベッドの上に寝転がった所で思い出した。
そういえばメアリーさんからメッセージを受け取ったのだったと。
メッセージの中身はWebアドレスと、IDと、パスワード。
アドレスはメアリーさんのサイトとほぼ同一で、ちょっと奥まったサブフォルダというだけ。
ここにあの最上階の謎について書かれているのだろうか。
そう思って、別窓を開いてアドレスの場所を表示する。
『秘密の部屋への分岐。IDとパスワードを入力して下さい』
メッセージに書いてあるIDとパスワードを入力する。
『認証しました。未公開ファイル『隠しボス01・02』へ移動します』
隠しボス? 何だろう。
画面表示が変わった。
テキストの説明と動画枠があるページだ。
『旧神クロノス・旧神カイロス』
タイトル部分にそう記載されている。
『旧神カイロス・旧神クロノス
ケルキラ旧要塞における裏ボスで、現時点におけるパイアキアン・オンラインで戦える相手では最強レベルの敵。
両者に勝った場合、かつてゲーム内でロストしたPC、NPC、従魔との再会が叶うとされている。
【詳細】
○ カイロス
・ 日時 新月の1:30~2:30
・ 場所 ケルキラ旧要塞海の塔第4階層の小部屋
・ 登場形態 神単独(1柱のみ出現)、飛行可能
・ 武器 斧、短剣、棒に変化する天秤を使用
・ 推奨レベル 80以上(推定・未確認)
○ クロノス
・ 日時 新月の1:30~2:30
・ 場所 ケルキラ旧要塞本館5階の小部屋
・ 登場形態 神単独(1柱のみ出現)、飛行可能
・ 武器 斧、棒に変化する短剣を使用
・ 推奨レベル 85以上(推定・未確認)
○ 旧神の恩寵(未確認)
両者を倒すと両神の権能により、かつてゲーム内でロストしたPC、NPC、従魔と再会させてくれるとされる。
倒す順番はどちらからでも可。また日を変えて倒しても可。両方を倒した時点で誰と再会するのかを問われる模様。ただし未確認。
なるほど、深夜に行かなければあの部屋ではイベントが起こらない訳か。
そして倒した場合の特典は、かつて失ったキャラクターとの再会と。
きっとこの再会とは、このゲームが保存している記録へのアクセスなのだろう。
実際に死人を復活させるなんて事は出来ないから。
なら今は別にこれに挑戦する必要はない。
私はパイアキアン・オンラインで特にそうやって会いたい相手はいないし。
だいたい推奨レベルが高すぎる。
やっとレベル40になったばかりなのに、レベル80以上とは……
それにしてもどうやってこの情報を手に入れたのだろう。
推定・未確認という欄が多いし。
そう思ったら下に注釈が入っていた。
『この情報は以前ネットに流出した、『パイアキアン・オンライン、設定ファイル』の暗号化部分を解析した結果得られたものです。
上記の時、上記の場所にカイロス、クロノスが出現する事までは確認しました。ただし倒すには至っていない為、推定レベルや恩恵等は解析データから得られた情報のみです。実際の確認は出来ていません』
メアリーさん、そんな解析まで出来るのだろうか。
それとも誰かが解析したデータを手に入れたのだろうか。
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