113 / 139
第19章 ケルキラ『新』要塞攻略⑵
第112話 納得いかないボス戦
しおりを挟む
途中の所々で出てくるレイスやゴースト、ゲンエイグアナ。
そして寄り道したレイス2体とゴースト3体が出る広間。
更にボス部屋直前にあるホールでワイト1体レイス1体ゴースト3体を倒したところで。
『ミヤ・アカワはレベルが上がった! HPが……』
そう、ボスであるエキンムに挑戦するすぐ手前で目標達成してしまったのだ。
何というか微妙にタイミングの悪さを感じる。
「どうかしたんですか?」
微妙にがっくりしているのをカリーナちゃんに気づかれたようだ。
「レベルアップして40になった。何もこんなボス手前でならなくてもいいと思うけれど」
「それはそれでいいんじゃないか? 普通はこれでボス戦が楽になると喜ぶところだしさ。
それにボス戦の方が技の効果を確認しやすいだろ。耐久力があるからさ。それにゲットした経験値は無駄にはならない」
なるほど、そういう考え方が普通なのか。
メアリーさんに言われて確かにそうだなと思い直す。
「確かにそうですね」
「あとこの次の対エキンム戦、Webに載せるつもりの動画を撮っていいかい? 勿論顔や装備の一部はマスクして誰かわからないようにするからさ」
断ろう、そう即座に思って考え直す。
私とわからなければ特に問題はない筈だ。
それに私はもうすぐ新マップへと出かける。
そこそこ長い期間、ケルキラには戻ってこないだろう。
なら動画を見て私を探そうとする輩がいても発見は困難だ。
それなら条件反射的に断る必要は無いだろう。
という事でカリーナちゃんに意見を聞いてみる。
「カリーナはどう思う?」
「メアリーさんなら顔や髪型等、ほとんどの部分はマスクしてくれると思います。それでも本気で分析すれば大体の体格は割り出せますし、そもそも武器で斧を使っているというのは隠せません。
ミヤさんを全く知らない人が動画を元に特定するのはおそらく無理でしょう。ですがミヤさんを知っている人、特に実際に戦っているところを見た事がある人ならほぼ確実にミヤさんだとわかると思います」
なるほど、その程度なら心配の必要はない。
私が戦っているのを見た事がある人はカリーナちゃん、カレンさんと、そしてメアリーさんだけ。
知人全部に範囲を広げてもPCはいない気がする。
「わかりました。いいですよ。それくらいの情報で知られる程の知り合いは他にカレンさんくらいですから」
「ありがとう。戦いの邪魔にならないよう撮るし、公開前にはそちらに動画を確認して貰うから」
さて、それではボス戦だ。
中にいる敵はボスのエキンムの他、ワイト3体レイス2体。
「それじゃ行きます」
ボス部屋への扉を開いて、そして中へ。
すぐにお馴染みのゴースト系魔物が発する音が聞こえ始めた。
私は両手に斧をを持ち、前へ歩きながら両手の斧を全力で振るう。
『双斧技:エリア・スラッシュ!』
チカチカ光っていた発動前の魔法が消え失せ、敵の動きが止まる。
その一瞬に私は一番近い、右から二番目のワイトに突っ込む。
『双斧技:双裂断!』
手前のレイスはあっさり消滅、そして私は再び制圧技の体勢へ。
『双斧技:エリア・スラッシュ!』
次は更にその右のレイスが目標。
これは技を使わなくても大丈夫だろう。
予想通り斧の一振りで消滅。
残った敵がこちらをゆっくり向き、攻撃魔法を起動する。
しかし四体まで減ると消すべき魔法も数が少なく感じる。
しかもかなり右側に寄ったから、左右方向の範囲は大分まとまった。
なので次の攻撃は少しだけ工夫する。
『双斧技:エリア・スラッシュ!』
技名は同じだが、腕をやや前方へ向けて発動角度を絞って発動してみた。
発動前の魔法に加えて、こちらから見て最奥、正面から見て右端のレイスが消滅。
範囲を絞った分だけ攻撃力が上がった様だ。
敵の硬直中にダッシュをかけ、残り2体のワイトへ連続攻撃。
『双斧技:双裂断!』
『双斧技:双裂断!』
最後のワイトが消えたか確認せずに振り返ってボスの攻撃魔法潰し。
『双斧技:エリア・スラッシュ!』
うん、思ったより楽だった。
そう思いつつ発動前の魔法が消え、硬直状態のエキンムへ向けてダッシュ。
『双斧技:双裂断!』
『双斧技:双裂断!』
『双斧技:双裂断!』
技3発、実質的にはタコ殴りでエキンムの姿が消えた。
簡単というか手応えがないというか。
まさかこれで終わりじゃないだろう。
そうとも思えるので周囲を確認、発動前の魔法とかまだ消えていない敵がいないか確認。
『ワイト3体、レイス2体、ケルキラ新要塞・基底部ボス:エキンムを倒した! ボーナス経験値1210を獲得……』
どうやらこれだけだったようだ。
微妙に納得がいかない。
「何かエキンム、アフカルと比べて大分弱かった気がする。こんなものなのかな」
「屍強鬼の手斧はかなり攻撃力が高い武器です。もちろん単体での基本性能は神槍ほどではありませんけれど。
ただミヤさんは今回、遠隔攻撃ではなく直接攻撃を多用しました。当然攻撃力は遠隔攻撃技より高くなります。しかも手斧を両手で使うので手数は実質2倍です」
「エキンムはそれなりに強い敵だ。霊体にも通用する対魔属性付きの武器か対魔系の薬剤、あるいは聖魔法系攻撃でなければ倒せない。その上ちょっと隙を見せれば攻撃魔法を連射してくる。
ただだからこそ、対魔属性付武器を両手で使用して、全体制圧攻撃で攻撃魔法の発動前消去が可能なミヤさんとは相性が悪かった。ミヤさん側から見れば相性がいい敵だった。そういう事さ」
カリーナちゃんとメアリーさんが交互に説明してくれた。
なるほど、単に私と相性が良すぎた敵というだけなのか。
今ひとつ手応えを感じなかったけれど、今回はそれで納得するとしよう。
そして寄り道したレイス2体とゴースト3体が出る広間。
更にボス部屋直前にあるホールでワイト1体レイス1体ゴースト3体を倒したところで。
『ミヤ・アカワはレベルが上がった! HPが……』
そう、ボスであるエキンムに挑戦するすぐ手前で目標達成してしまったのだ。
何というか微妙にタイミングの悪さを感じる。
「どうかしたんですか?」
微妙にがっくりしているのをカリーナちゃんに気づかれたようだ。
「レベルアップして40になった。何もこんなボス手前でならなくてもいいと思うけれど」
「それはそれでいいんじゃないか? 普通はこれでボス戦が楽になると喜ぶところだしさ。
それにボス戦の方が技の効果を確認しやすいだろ。耐久力があるからさ。それにゲットした経験値は無駄にはならない」
なるほど、そういう考え方が普通なのか。
メアリーさんに言われて確かにそうだなと思い直す。
「確かにそうですね」
「あとこの次の対エキンム戦、Webに載せるつもりの動画を撮っていいかい? 勿論顔や装備の一部はマスクして誰かわからないようにするからさ」
断ろう、そう即座に思って考え直す。
私とわからなければ特に問題はない筈だ。
それに私はもうすぐ新マップへと出かける。
そこそこ長い期間、ケルキラには戻ってこないだろう。
なら動画を見て私を探そうとする輩がいても発見は困難だ。
それなら条件反射的に断る必要は無いだろう。
という事でカリーナちゃんに意見を聞いてみる。
「カリーナはどう思う?」
「メアリーさんなら顔や髪型等、ほとんどの部分はマスクしてくれると思います。それでも本気で分析すれば大体の体格は割り出せますし、そもそも武器で斧を使っているというのは隠せません。
ミヤさんを全く知らない人が動画を元に特定するのはおそらく無理でしょう。ですがミヤさんを知っている人、特に実際に戦っているところを見た事がある人ならほぼ確実にミヤさんだとわかると思います」
なるほど、その程度なら心配の必要はない。
私が戦っているのを見た事がある人はカリーナちゃん、カレンさんと、そしてメアリーさんだけ。
知人全部に範囲を広げてもPCはいない気がする。
「わかりました。いいですよ。それくらいの情報で知られる程の知り合いは他にカレンさんくらいですから」
「ありがとう。戦いの邪魔にならないよう撮るし、公開前にはそちらに動画を確認して貰うから」
さて、それではボス戦だ。
中にいる敵はボスのエキンムの他、ワイト3体レイス2体。
「それじゃ行きます」
ボス部屋への扉を開いて、そして中へ。
すぐにお馴染みのゴースト系魔物が発する音が聞こえ始めた。
私は両手に斧をを持ち、前へ歩きながら両手の斧を全力で振るう。
『双斧技:エリア・スラッシュ!』
チカチカ光っていた発動前の魔法が消え失せ、敵の動きが止まる。
その一瞬に私は一番近い、右から二番目のワイトに突っ込む。
『双斧技:双裂断!』
手前のレイスはあっさり消滅、そして私は再び制圧技の体勢へ。
『双斧技:エリア・スラッシュ!』
次は更にその右のレイスが目標。
これは技を使わなくても大丈夫だろう。
予想通り斧の一振りで消滅。
残った敵がこちらをゆっくり向き、攻撃魔法を起動する。
しかし四体まで減ると消すべき魔法も数が少なく感じる。
しかもかなり右側に寄ったから、左右方向の範囲は大分まとまった。
なので次の攻撃は少しだけ工夫する。
『双斧技:エリア・スラッシュ!』
技名は同じだが、腕をやや前方へ向けて発動角度を絞って発動してみた。
発動前の魔法に加えて、こちらから見て最奥、正面から見て右端のレイスが消滅。
範囲を絞った分だけ攻撃力が上がった様だ。
敵の硬直中にダッシュをかけ、残り2体のワイトへ連続攻撃。
『双斧技:双裂断!』
『双斧技:双裂断!』
最後のワイトが消えたか確認せずに振り返ってボスの攻撃魔法潰し。
『双斧技:エリア・スラッシュ!』
うん、思ったより楽だった。
そう思いつつ発動前の魔法が消え、硬直状態のエキンムへ向けてダッシュ。
『双斧技:双裂断!』
『双斧技:双裂断!』
『双斧技:双裂断!』
技3発、実質的にはタコ殴りでエキンムの姿が消えた。
簡単というか手応えがないというか。
まさかこれで終わりじゃないだろう。
そうとも思えるので周囲を確認、発動前の魔法とかまだ消えていない敵がいないか確認。
『ワイト3体、レイス2体、ケルキラ新要塞・基底部ボス:エキンムを倒した! ボーナス経験値1210を獲得……』
どうやらこれだけだったようだ。
微妙に納得がいかない。
「何かエキンム、アフカルと比べて大分弱かった気がする。こんなものなのかな」
「屍強鬼の手斧はかなり攻撃力が高い武器です。もちろん単体での基本性能は神槍ほどではありませんけれど。
ただミヤさんは今回、遠隔攻撃ではなく直接攻撃を多用しました。当然攻撃力は遠隔攻撃技より高くなります。しかも手斧を両手で使うので手数は実質2倍です」
「エキンムはそれなりに強い敵だ。霊体にも通用する対魔属性付きの武器か対魔系の薬剤、あるいは聖魔法系攻撃でなければ倒せない。その上ちょっと隙を見せれば攻撃魔法を連射してくる。
ただだからこそ、対魔属性付武器を両手で使用して、全体制圧攻撃で攻撃魔法の発動前消去が可能なミヤさんとは相性が悪かった。ミヤさん側から見れば相性がいい敵だった。そういう事さ」
カリーナちゃんとメアリーさんが交互に説明してくれた。
なるほど、単に私と相性が良すぎた敵というだけなのか。
今ひとつ手応えを感じなかったけれど、今回はそれで納得するとしよう。
17
お気に入りに追加
53
あなたにおすすめの小説

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる