100 / 139
第16章 ケルキラ旧要塞攻略⑵
第99話 作戦の相談とイヤシ犬
しおりを挟む
スケルトンジェネラルに使えそうな方法は思いついている。
しかし実際に使えるかどうかはわからない。
だから今のうちにカリーナちゃんに相談しておこう。
まずは前提条件の確認だ。
「スケルトンジェネラルの体力はオブクラリスの3割以下だし、追い詰めても瞬間移動とか煙に変身とかで逃げないんだよね」
「ええ、そうですけれど」
「なら湿原の雑木林で練習した奥義の天衝斬で倒せないかな。空中に跳ね上げて移動の自由を奪った後、下から連続で刺しまくる技」
「そうですね……」
カリーナちゃんは少し考えた後に口を開く。
「うまく決まれば倒せるとは思います。
でもスケルトンジェネラルは今までの敵と違って間合いを調節したり、攻撃を躱したりします。また骨という実体が残っているのでリッチーのように対魔武器で攻撃されている間は動けないという事もありません」
なるほど、技を決めるのは簡単では無さそうだ。
しかしそれなら。
「アンデット・死霊系魔物忌避剤等の薬剤で動きを止めるのは?」
「ある程度は効果があります。アンデット・死霊系魔物忌避剤によるダメージも受けます。ただ威力がある攻撃を避ける為ならあえて薬剤のダメージを受けても避けるなんて判断をしたりもします。
中に人間並のAIが入っていると思った方がいいです」
うーん、そこまでなのか。
「更にある程度の距離があると遠隔攻撃を使ってきます。エア・スラッシュや蜻蛉切等です。ある程度のモーションはあるので避ける事は出来ますけれど」
何というか……
「今までと段違いに難しい敵なんだね、スケルトンジェネラル」
「オブクラリスもリッチーも本来は難しくて面倒な敵です。あの本で覚えた技と腕力でミヤさんが突破してしまっただけです」
えっ?
「そうなの?」
正直そういう自覚はあまりない。
でもまあオブクラリスはあれだけ騒ぎになったのだから、やはり特殊な攻略だったのかなと後付け的には思う。
ただ……
「リッチーは連続技を出しまくれば勝てるってカリーナが言っていたし、実際それで倒せたよね」
「あそこまで途切れず連続攻撃を続けるのって普通は無理です。ですからミヤさんの攻撃が途切れた時に備えていつでも連弾手刀を出せるようにしていました。
普通はそうやって交代で連続攻撃をかけまくるか、多少の被害は覚悟で突っ込むかして倒すのが定石なんです。確かに連続攻撃で倒せると言いましたけれど、まさか完全に1人で倒してしまうとは思いませんでした」
うーん、そうだったのか。
そう言えば思い当たる事がある。
「確かにあれだけ連続攻撃を出しまくるのは大変だったしね。腕がつりそうになったから。初級治療薬半分使ってやっと回復した感じだし」
「……微妙に認識の違いがある気がします。でもきっとそれがミヤさんなんでしょう」
微妙に呆れられてしまった気がする。
私としては特に変わった事をしているつもりはないのだけれど。
「あとスケルトンジェネラルについては、あまり気負わないで戦って大丈夫だと思います。ボスと言っても強さそのものはミヤさんの方が上です。それに私もラッキーちゃんもいます。ですから普通に戦えば負けはありません」
「わかった。それじゃスケルトンジェネラル以外の雑魚が倒れるまではいつもの連続攻撃技を使って、あとはその場にあわせて戦う形でやってみる」
当初と違う作戦になってしまった。
相談しておいて良かったと思う。
技をかけようとして避けられてしまったら悲しいどころか危険だから。
「それではそろそろ行きましょうか」
「そうだね」
私とカリーナちゃんは立ち上がり、海の塔へ向かって歩き出す。
しかしこの流れに納得いかない輩が1匹。
あれ? おやつが出ませんでしたよ? 忘れていませんか?
お話ばかりの中、此処でいい子して待っていたんですけれど。
そんな感じでラッキー君、カリーナちゃんを見上げる。
しかしカリーナちゃん、表情の意味に気づいていない。
ただラッキー君をなでなでして、そしてそのまま歩いていく。
えっ? えーっ!!
ラッキー君、そんな顔をした後立ち上がってたたたっとカリーナちゃんの真横へ。
カリーナちゃんと速度をあわせて歩きながら上を向いて訴える。
ここにいますよ、まだおやつもらっていませんよと。
それでもカリーナちゃん、気づかない。
これでは駄目だ、ラッキー君はそう判断したようだ。
さっとダッシュして10m位先で停止。
くるっとこっちを向いて良い子のポーズでお座り。
とっておきの可愛い表情でカリーナちゃんを見た。
「ああ、ラッキーちゃん。何かあるんですか?」
うん、仕方ない。
通訳してやるとしよう。
「休憩したのにおやつがなかった、そう言っているだけ。無視していいから」
「あ、そう言えば今回はおやつ無しでした」
カリーナちゃんはそう言ってアイテムボックスから何かを取り出した。
ラッキー君がさっと近づいて良い子のお座りポーズ。
ただし表情が必死だ。
「はい、今回はジャーキーですよ」
ラッキー君は手を食べそうな勢いでジャーキーを口で取り、そのまま一気に食べてしまった。
そして再び良い子のお座りポーズ。
「だめですよ、今食べましたよね」
柳の下にドジョウは二匹いなかったようだ。
仕方ない、そんな表情でラッキー君、立ち上がった。
そのままカリーナちゃんの真横にくっついて、そして歩き出す。
うん、やっぱり可愛い。
ラッキー君もカリーナちゃんも。
今のをビデオに撮っておきたかった。
そう思いつつ、私も少し早足で歩いてカリーナちゃん&ラッキー君に追いついて、並んで歩いて行く。
しかし実際に使えるかどうかはわからない。
だから今のうちにカリーナちゃんに相談しておこう。
まずは前提条件の確認だ。
「スケルトンジェネラルの体力はオブクラリスの3割以下だし、追い詰めても瞬間移動とか煙に変身とかで逃げないんだよね」
「ええ、そうですけれど」
「なら湿原の雑木林で練習した奥義の天衝斬で倒せないかな。空中に跳ね上げて移動の自由を奪った後、下から連続で刺しまくる技」
「そうですね……」
カリーナちゃんは少し考えた後に口を開く。
「うまく決まれば倒せるとは思います。
でもスケルトンジェネラルは今までの敵と違って間合いを調節したり、攻撃を躱したりします。また骨という実体が残っているのでリッチーのように対魔武器で攻撃されている間は動けないという事もありません」
なるほど、技を決めるのは簡単では無さそうだ。
しかしそれなら。
「アンデット・死霊系魔物忌避剤等の薬剤で動きを止めるのは?」
「ある程度は効果があります。アンデット・死霊系魔物忌避剤によるダメージも受けます。ただ威力がある攻撃を避ける為ならあえて薬剤のダメージを受けても避けるなんて判断をしたりもします。
中に人間並のAIが入っていると思った方がいいです」
うーん、そこまでなのか。
「更にある程度の距離があると遠隔攻撃を使ってきます。エア・スラッシュや蜻蛉切等です。ある程度のモーションはあるので避ける事は出来ますけれど」
何というか……
「今までと段違いに難しい敵なんだね、スケルトンジェネラル」
「オブクラリスもリッチーも本来は難しくて面倒な敵です。あの本で覚えた技と腕力でミヤさんが突破してしまっただけです」
えっ?
「そうなの?」
正直そういう自覚はあまりない。
でもまあオブクラリスはあれだけ騒ぎになったのだから、やはり特殊な攻略だったのかなと後付け的には思う。
ただ……
「リッチーは連続技を出しまくれば勝てるってカリーナが言っていたし、実際それで倒せたよね」
「あそこまで途切れず連続攻撃を続けるのって普通は無理です。ですからミヤさんの攻撃が途切れた時に備えていつでも連弾手刀を出せるようにしていました。
普通はそうやって交代で連続攻撃をかけまくるか、多少の被害は覚悟で突っ込むかして倒すのが定石なんです。確かに連続攻撃で倒せると言いましたけれど、まさか完全に1人で倒してしまうとは思いませんでした」
うーん、そうだったのか。
そう言えば思い当たる事がある。
「確かにあれだけ連続攻撃を出しまくるのは大変だったしね。腕がつりそうになったから。初級治療薬半分使ってやっと回復した感じだし」
「……微妙に認識の違いがある気がします。でもきっとそれがミヤさんなんでしょう」
微妙に呆れられてしまった気がする。
私としては特に変わった事をしているつもりはないのだけれど。
「あとスケルトンジェネラルについては、あまり気負わないで戦って大丈夫だと思います。ボスと言っても強さそのものはミヤさんの方が上です。それに私もラッキーちゃんもいます。ですから普通に戦えば負けはありません」
「わかった。それじゃスケルトンジェネラル以外の雑魚が倒れるまではいつもの連続攻撃技を使って、あとはその場にあわせて戦う形でやってみる」
当初と違う作戦になってしまった。
相談しておいて良かったと思う。
技をかけようとして避けられてしまったら悲しいどころか危険だから。
「それではそろそろ行きましょうか」
「そうだね」
私とカリーナちゃんは立ち上がり、海の塔へ向かって歩き出す。
しかしこの流れに納得いかない輩が1匹。
あれ? おやつが出ませんでしたよ? 忘れていませんか?
お話ばかりの中、此処でいい子して待っていたんですけれど。
そんな感じでラッキー君、カリーナちゃんを見上げる。
しかしカリーナちゃん、表情の意味に気づいていない。
ただラッキー君をなでなでして、そしてそのまま歩いていく。
えっ? えーっ!!
ラッキー君、そんな顔をした後立ち上がってたたたっとカリーナちゃんの真横へ。
カリーナちゃんと速度をあわせて歩きながら上を向いて訴える。
ここにいますよ、まだおやつもらっていませんよと。
それでもカリーナちゃん、気づかない。
これでは駄目だ、ラッキー君はそう判断したようだ。
さっとダッシュして10m位先で停止。
くるっとこっちを向いて良い子のポーズでお座り。
とっておきの可愛い表情でカリーナちゃんを見た。
「ああ、ラッキーちゃん。何かあるんですか?」
うん、仕方ない。
通訳してやるとしよう。
「休憩したのにおやつがなかった、そう言っているだけ。無視していいから」
「あ、そう言えば今回はおやつ無しでした」
カリーナちゃんはそう言ってアイテムボックスから何かを取り出した。
ラッキー君がさっと近づいて良い子のお座りポーズ。
ただし表情が必死だ。
「はい、今回はジャーキーですよ」
ラッキー君は手を食べそうな勢いでジャーキーを口で取り、そのまま一気に食べてしまった。
そして再び良い子のお座りポーズ。
「だめですよ、今食べましたよね」
柳の下にドジョウは二匹いなかったようだ。
仕方ない、そんな表情でラッキー君、立ち上がった。
そのままカリーナちゃんの真横にくっついて、そして歩き出す。
うん、やっぱり可愛い。
ラッキー君もカリーナちゃんも。
今のをビデオに撮っておきたかった。
そう思いつつ、私も少し早足で歩いてカリーナちゃん&ラッキー君に追いついて、並んで歩いて行く。
17
お気に入りに追加
53
あなたにおすすめの小説

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる