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第15章 ケルキラ旧要塞攻略⑴
第90話 私はそう感じた
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そういえば今のメアリーさん、会話内容からすると職業なり学校なりがある一般人のプレイヤーという感じだ。
なら今はそういったプレイヤーが普通に来ることが出来る時間帯なのだろう。
時計を確認。
平日だけれど21時55分、一般の会社員や学生は家に帰ってのんびりしている時間だ。
このまま帰ってもかなり時間が余る。
そして現実の時間でもうすぐ夜10時。
それならこんな時間つぶし? はどうだろう。
「現実の時間で夜10時だし、カレンさんがログインしているか聞いてみようか?」
カリーナちゃんに提案してみた。
「そうですね。この時間ならカレンもログインしている可能性が高いですから。メッセンジャーで応答があるか確かめてみます」
2~3秒ほどしてカリーナちゃんが頷く。
「今日と明日はギルドにいるそうです」
「行ってみようか」
「そうですね。ただあのギルドもお店側は結構冒険者がいます。一応用心して裏側から別れて行きましょう」
その後時計塔を経由して何事もなく旧要塞入口まで戻り、そこからカリーナちゃんと別れ、街の南側経由で錬金術ギルドを目指す。
◇◇◇
今回は裏側から来たので、店側の怪しいポスターは見ていない。
ただ事務所側の方は相変わらずだ。
『錬金術ですわ』
『アーニ●、錬金術師なりたい』
『いいですか、落ち着いて聞いてください』
『それってさぁ! 錬金術…ってコト!?』
ポスターの内容が前回と変わっていたり錬金術と関係なかったりするけれど、きっと深い意味はない。
いつも通り無視して中へ。
「あらいらっしゃーい。待っていたわよぉ♡」
うん、カレンさんだ。
なんとなく言い方と気配でAIではなく本物だとわかる。
「失礼します。お久しぶりです」
私の感覚では本当に久しぶり。
もっとも現実にいたカレンさんの体感では1日経っていない筈だけれど。
「レベル上げの方も順調みたいね。ささ、座って座って」
いつものようにカウンターにお邪魔する。
私用とラッキー君用の水を貰って一息。
「ところでカリーナちゃんは? 一緒に来ると思ったんだけどぉ」
「用心のため別行動をしています。もうすぐ来ると思います」
「ああ、あのオブクラリス攻略と主神武器の関係ね」
あっさり何の件で用心しているか、言い当てられてしまった。
「ご存じでした?」
「もちろんよぉ~♪ これでも攻略関係の新情報は毎回チェックしているしねっ♡」
そこまで広がっているのか。
そう思うと微妙に絶望的な気分になる。
さっきまでは配信で少し状況が変わるかもしれないと思っていたのだけれども。
「検証組の皆さんも動き出したようね。この調子だとちょっと夜更かしすれば今回のログイン中にオブクラリスの新攻略法が確定するのを見られるかしらぁ。攻略を引退した私でもぞくぞくするわぁ♡」
あれっ、新攻略法が確定?
話題が思っていた方向性と違う。
「どういう事ですか?」
「オブクラリス、あの段階の中ボスにしては固すぎる。だから本当はきっともっと楽な攻略法があるはず。そういう疑問が前々から考察班の中ではあったのよぉ。
運営もそれを匂わしたり攻略者が増えそうな餌を用意したりなんて事をしていたしねっ♡」
そうなのか、そしてそこまで考えるものなのか。
その辺ゲームの常識が欠けている私には今ひとつわからない。
カレンさんの言葉は続いている。
「跳上でひっくり返せば早く倒せる。蹴上は満点賞で取れる本で覚えられる。ここまで手がかりがもらえたら確かめるべき事は山ほどあるわ。
例えば、
〇 ミヤちゃんと全く同じ方法で攻略を再現できるか
〇 槍術だけではなく剣術、格闘技、さらには魔法でも似たようなことが出来ないか
〇 本は満点賞以外でも手に入らないか
なんて感じでねっ。
実際冒険者ギルドでINT向上講習受ける人、爆増らしいじゃない。メアリーちゃんはあの本をゲットしたと動画で報告していたしぃ。
本の方も国立図書館でそういった本を読むことが出来そうなクエストが発見されたらしいしねっ。
だから此処の時間であと4~5日したらオブクラリス高速討伐なんてのもメジャーになるわよお、きっと。そうなるともう高速討伐ではなくってそれが普通の攻略になるんだけれどねっ♡」
なるほど。
「なら私達もそれほど長い事心配する必要は無いんですね」
「もちろんよぉ~♪」
カレンさんはいつもの調子でそう言って、そして続ける。
「そもそも掲示板で下らない事言ってくだ巻いているような馬鹿は、目立つけれど多数派ってわけじゃないわ。だからこそああやってくだ巻いているんだろうけれど。
馬鹿ほど目立つし声と主語が大きいから誤解されやすいけれどね。目立つから多数派という事はないし声が大きいから正しいとか多数派だいう事もない。自分達は一般代表ですなんて顔と態度をしているけれど。
まあ最近はその辺が一般の皆さんにもわかって貰えるようになって少しは楽になったわ。それでもああいう馬鹿、本当日本語が通じなくて腹立つわあ、なんてつい現実の愚痴がでちゃってごめんね」
いや、今のはきっとただの愚痴では無い。
私に対して言ってくれたんだ、多分。
確証は無いけれどそう感じた。
なら今はそういったプレイヤーが普通に来ることが出来る時間帯なのだろう。
時計を確認。
平日だけれど21時55分、一般の会社員や学生は家に帰ってのんびりしている時間だ。
このまま帰ってもかなり時間が余る。
そして現実の時間でもうすぐ夜10時。
それならこんな時間つぶし? はどうだろう。
「現実の時間で夜10時だし、カレンさんがログインしているか聞いてみようか?」
カリーナちゃんに提案してみた。
「そうですね。この時間ならカレンもログインしている可能性が高いですから。メッセンジャーで応答があるか確かめてみます」
2~3秒ほどしてカリーナちゃんが頷く。
「今日と明日はギルドにいるそうです」
「行ってみようか」
「そうですね。ただあのギルドもお店側は結構冒険者がいます。一応用心して裏側から別れて行きましょう」
その後時計塔を経由して何事もなく旧要塞入口まで戻り、そこからカリーナちゃんと別れ、街の南側経由で錬金術ギルドを目指す。
◇◇◇
今回は裏側から来たので、店側の怪しいポスターは見ていない。
ただ事務所側の方は相変わらずだ。
『錬金術ですわ』
『アーニ●、錬金術師なりたい』
『いいですか、落ち着いて聞いてください』
『それってさぁ! 錬金術…ってコト!?』
ポスターの内容が前回と変わっていたり錬金術と関係なかったりするけれど、きっと深い意味はない。
いつも通り無視して中へ。
「あらいらっしゃーい。待っていたわよぉ♡」
うん、カレンさんだ。
なんとなく言い方と気配でAIではなく本物だとわかる。
「失礼します。お久しぶりです」
私の感覚では本当に久しぶり。
もっとも現実にいたカレンさんの体感では1日経っていない筈だけれど。
「レベル上げの方も順調みたいね。ささ、座って座って」
いつものようにカウンターにお邪魔する。
私用とラッキー君用の水を貰って一息。
「ところでカリーナちゃんは? 一緒に来ると思ったんだけどぉ」
「用心のため別行動をしています。もうすぐ来ると思います」
「ああ、あのオブクラリス攻略と主神武器の関係ね」
あっさり何の件で用心しているか、言い当てられてしまった。
「ご存じでした?」
「もちろんよぉ~♪ これでも攻略関係の新情報は毎回チェックしているしねっ♡」
そこまで広がっているのか。
そう思うと微妙に絶望的な気分になる。
さっきまでは配信で少し状況が変わるかもしれないと思っていたのだけれども。
「検証組の皆さんも動き出したようね。この調子だとちょっと夜更かしすれば今回のログイン中にオブクラリスの新攻略法が確定するのを見られるかしらぁ。攻略を引退した私でもぞくぞくするわぁ♡」
あれっ、新攻略法が確定?
話題が思っていた方向性と違う。
「どういう事ですか?」
「オブクラリス、あの段階の中ボスにしては固すぎる。だから本当はきっともっと楽な攻略法があるはず。そういう疑問が前々から考察班の中ではあったのよぉ。
運営もそれを匂わしたり攻略者が増えそうな餌を用意したりなんて事をしていたしねっ♡」
そうなのか、そしてそこまで考えるものなのか。
その辺ゲームの常識が欠けている私には今ひとつわからない。
カレンさんの言葉は続いている。
「跳上でひっくり返せば早く倒せる。蹴上は満点賞で取れる本で覚えられる。ここまで手がかりがもらえたら確かめるべき事は山ほどあるわ。
例えば、
〇 ミヤちゃんと全く同じ方法で攻略を再現できるか
〇 槍術だけではなく剣術、格闘技、さらには魔法でも似たようなことが出来ないか
〇 本は満点賞以外でも手に入らないか
なんて感じでねっ。
実際冒険者ギルドでINT向上講習受ける人、爆増らしいじゃない。メアリーちゃんはあの本をゲットしたと動画で報告していたしぃ。
本の方も国立図書館でそういった本を読むことが出来そうなクエストが発見されたらしいしねっ。
だから此処の時間であと4~5日したらオブクラリス高速討伐なんてのもメジャーになるわよお、きっと。そうなるともう高速討伐ではなくってそれが普通の攻略になるんだけれどねっ♡」
なるほど。
「なら私達もそれほど長い事心配する必要は無いんですね」
「もちろんよぉ~♪」
カレンさんはいつもの調子でそう言って、そして続ける。
「そもそも掲示板で下らない事言ってくだ巻いているような馬鹿は、目立つけれど多数派ってわけじゃないわ。だからこそああやってくだ巻いているんだろうけれど。
馬鹿ほど目立つし声と主語が大きいから誤解されやすいけれどね。目立つから多数派という事はないし声が大きいから正しいとか多数派だいう事もない。自分達は一般代表ですなんて顔と態度をしているけれど。
まあ最近はその辺が一般の皆さんにもわかって貰えるようになって少しは楽になったわ。それでもああいう馬鹿、本当日本語が通じなくて腹立つわあ、なんてつい現実の愚痴がでちゃってごめんね」
いや、今のはきっとただの愚痴では無い。
私に対して言ってくれたんだ、多分。
確証は無いけれどそう感じた。
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