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第15章 ケルキラ旧要塞攻略⑴
第89話 遭難船の名前⑵
しおりを挟む時間軸としては、小学校の一年生から五年生くらいまで。
五年生の男子がからかうのをそーくんれーくんでどうしたのか、を書きたかった…。
────────────
「りあー」
「どうしたの?そーくん」
人目を憚らずに女の子に抱きついて、自身の頭をグリグリと肩に押し付けている男の子。男の子は女の子に対して好き好きオーラ全開で、女の子はそんな男の子に仕方ないなあという感じだ。女の子は将来が約束されし美少女だし、男の子もまた美少年だ。
キタキタキタキターっ!!今日もありがとうございます!!
はい、どうもこんにちは。私は、夏七&玲七を見守る会会員NO.5の転生モブです。
そう、あれは、小学校の入学式の日のこと。
クラスで担任の先生が名簿を読み上げて、元気よく返事をするピカピカの一年生達。
『夏目颯真』
知っているはずのない名前、なのに、聞いた途端漢字が浮かんだ。そして、私は前世の記憶を思い出した。彼は、テンプレ通りトラ転(トラックに轢かれて転生するの意。どうでもいいけど、トラックの運転手さん可哀想。風評被害甚だしい)した私の前世の推しだった人。もしかしたら、ただの同姓同名かもしれない。でも、彼はきっと私の推しだと確信があった。
そして、恐る恐る彼の方を見る。
淡い金色のふわふわとした髪に、意志の強そうなキリッとした眉、くりっくりの大きなおめめはブルーで少しタレ目気味、スっと通った鼻筋、きめ細かな白い肌。日本人には無い色なだけに、圧倒的存在感を持っているが、それには負けない整ったパーツが絶妙なバランスで配置されている。
結論、圧倒的美形のイケショタでした。
ふぉぉぉおおっ!!間違いない!推しだ!推しがショタだ!イケショタだ!羽根はないけど天使だ!かわいいよおぉぉぉっ!と、心の中で荒ぶったのは私です。お巡りさん!私です!だが、今世では私もロリだ!問題ないっ!キリッ。
――これは運命だ!
私と推しの恋の物語が始まるかも!そう狂喜乱舞し、喜んだのもつかの間。
推しの隣にいる、推しと並んでも遜色のない美幼女に目を奪われた。
色素の薄い茶色のサラサラキューティクルの天使の輪ができている柔らかそうな髪に、金色にも見える琥珀色のくりっくりのアーモンドアイ、スっと通った鼻筋に、小さなお口は桜色、思わず頬ずりしたくなるようなすべすべのぷくぷくほっぺ、雪のように真っ白な色白の肌。
はい、間違いなくこの子も天使です!
は?何この子、可愛すぎん?大丈夫?ロリコンに襲われたりしない?推しと完璧な美ロリのこの子を守らなきゃ、と思った瞬間だった。
この、推しの隣にいた可愛い天使は、『七海璃空』ちゃんというらしい。はぁ、可愛いねー。おばちゃん、なんでも買ってあげるよ?言ってごらん?お巡りさん、私です。
母親ネットワークの情報によると、推しと七海さんは幼稚園が同じで、推しが七海さんにベッタリで、家もとても近いらしい。推しがカルガモの雛のように七海さんの後を追いかける様子を見た時は、全私が尊さに死んでしまうかと思った。ちなみに、七海さんのお母さんと推しのお母さんは、細胞レベルでうちのお母さん違うんじゃないかと疑うレベルでDNAの格差を思うくらいの美女でした。
あぁ、七海さんが推しのヒロインなんだな、と納得だった。ただ、『君ラブ』はどうなるんだ、とは思ったものの、そこは『君ラブ』ヒロインが推し以外のルートに入ればいい。この可愛いカップルを推さずにはいられない。一般モブである私のシンデレラストーリーなんて始まるわけなかったのだ。
もう、この二人を推していくしかない!
そう思った。
そして、約一年間、二人を見守り続け、思ったこと。
りあちゃん、変態に遭遇しすぎじゃない!?
あ、僭越ながら、クラスメイトとして、りあちゃんと呼ばせてもらってます。
そう、りあちゃん。推しも遭遇しているようだが、りあちゃんの方がやばい。全校生徒の遭遇率全て引き受けているのでは、と思うくらいには、である。
これ、どうするよ?
一クラスメイトとして、考えるものの、思い浮かばない。
そんな時、『君ラブ』の『夏目颯真』攻略時の、サポートキャラのサブキャラ、『日向玲弥』が転校してきた。『日向玲弥』は、サブキャラなのに、かなり人気の高いキャラ。それだけに、推し達と並んでも遜色のないイケショタっぷりである。
日向くんは、推しに話しかけているが、無視されていた。そんな日向くんに笑顔で話しかけるりあちゃん、マジ天使。何そのふにゃってした笑顔、かわゆい。あ、これ日向くん落ちたな。その様子に、推しは不機嫌そうだ。お怒りだ。
かと思えば、何か気づけば推しと日向くんは仲良くなってるし。え?どゆこと?何があった?
どうやら、三人で登下校するようになったらしい。で、推しはりあちゃんを守るためか、空手を習いだしたらしい。え、道着姿見たい。
そして、三年、四年と推し達とクラスが離れてしまった。悲しみ。辛み。
五年生。五年生にもなると思春期に入り、男子達が、推しと日向くんとりあちゃんが一緒に登下校したり、手を繋いだり、距離感が近かったりすることをからかいだした。
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