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第15章 ケルキラ旧要塞攻略⑴
第87話 難易度調整
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病院跡の建物の横を通って海の塔へ。
途中左側から坂を上ってくる道がある。
「この道は?」
「地下牢がある建物に通じています。前にレイスを倒したところです」
そう言えばあの時、この先へ行けば海の塔か要塞本館って聞いた気がする。
あとついでに横の建物に入らず素通りする理由も聞いておこう。
「先に病院跡へ行かないのは何で?」
「本館や海の塔より病院跡の方が、フロアが広くて部屋数が多いんです。ただ進入口も出口もあちこちにあります。
ですから攻略を途中で切り上げたり、逆に目一杯やったりという調整がしやすいんです」
「時間調整しやすさが理由なんだ」
「ええ。本館、海の塔と攻略するとボス戦なし休憩含みで概ね2時間かかります。ですので3つめに病院跡を入れるとお昼の時間を12時ちょうどにしたり、帰る時間を調節したりしやすいんです」
なるほど、攻略の利便性からか。
きっとこの辺りのノウハウもそれなりの積み重ねで出来たのだろう。
階段の上り口に到着。
崖を削り、横に石を積んだという雰囲気の階段だ。
「病院跡の屋上よりありそうだね、高さ」
病院跡は2階建て、なので3階の床面以上の高さという意味だ。
「ええ。第一階層がそのくらいの高さです。海の塔は岩山の上に作られていますから」
運動不足な現実の私は上りたくない高さだ。
まあゲーム私なら余裕だけれど。
踊り場的折り返し1回を経て上り切った。
正面は右が崖、正面がテニスコートを縦に2面並べたくらいの広場、左側が窓がほとんどない石造ののっぺりとした建物の壁。
そして真左に今、上ったものの半分くらいの高さの階段が見える。
もうお馴染みのスケルトンナイトとスケルトンソルジャーが合計3体、広場のあちこちからこっちに向かってきた。
微妙な違和感を覚えたが、気にせずいつもの攻撃。
『槍技:流星突!』
スケルトン類3体、あっさり倒れる。
しかし何故か出てくる筈のメッセージが出てこない。
まだスケルトン、倒しきっていないのだろうか。
足元からラッキー君が前へと走り出した。
スケルトンが倒れているのを無視し、草むらっぽい場所の手前でジャンプ。
何かを爪で引っ掻いたような動作をした後、今度は左へ。
どうやらスケルトン以外にも敵がいたらしい。
それも複数。
注意して前方を見てみる。
周囲と違う動きをしている場所が何カ所かあるような気がする。
コリション干潟の雑木林以降は、細かい敵は全部ラッキー君任せ。
特に注意しなくても見えるスケルトン上位種ばかり相手にしていた。
だからか索敵がおろそかになっていたようだ。
ではラッキー君にならって私も敵を探すか。
まずは……
そう思ったところでラッキー君の動きが止まった。
満足そうな顔をしてとことここっちへ戻ってくる。
『スケルトンナイトー1体、スケルトンカサドール2体、ゲンエイグアナ5匹を倒した。ミヤは経験値……』
えっ!? と思う。
スケルトンカサドールって何だ!?
ゲンエイグアナって?
「カリーナ、何か変じゃない? スケルトンソルジャーじゃなくてスケルトンカサドールって出たけれど」
「検索します。進まないで待って下さい」
検索している間、私は考える。
すぐにメッセージが出なかった理由はわかる。
おそらくスケルトン上位種3体以外にも敵がいたのだ。
その敵をラッキー君が倒して、それで例の終了表示が出た。
他の人や従魔が倒した敵についての表示がされないのは、パイアキアン・オンラインの仕様だ。
問題はスケルトンカサドールという聞いた事が無い敵。
カリーナちゃんがわざわざ検索するという事は、知っている今までの此処と様相が違うという事だろう。
ところでラッキー君は怪我とかしていないだろうか。
念のためパスポートを出してラッキー君のHPを確認。
大丈夫、怪我はしていないようだ。
「強いね、ラッキー」
頭をなでてやるともっともっととすり寄ってくる。
うん、やっぱり可愛い。
おまけに私が気づかない敵に気づくくらい賢いし。
「すみません、わかりました。運営のブログで近々難易度調整をするという記載があったそうです」
「難易度調整?」
カリーナちゃんにそう問い返してみて、そして気づいた。
ゲームならより楽しく遊べるように調整するのは当然だ。
ならどんな調整があったのかが問題となる。
「どんな感じに調整するんだろ」
「わかりません。旧要塞についてはまだ情報がはいっていませんから。
ですが此処と同じくらいの難易度だった新要塞は昨日から敵の種類が変わったそうです。
具体的にはレブナントというゾンビの上位種、アルグルというグールの上位種、ゲンエイグアナというノロイグアナの上位種が出現するようになり、難易度も結構上がっているとありました」
なるほど。
「ひょっとして今ラッキーが倒したのがゲンエイグアナ? そしてゾンビやグールの代わりにスケルトンの新種が出てきたって事?」
「多分そうです。
ただ先ほどの旧本館は今までと同じ敵でした。そして今回は新しい敵。ひょっとしたら旧要塞は現在、調整している最中という可能性があります。
一度帰って様子を見た方がいいかもしれません。調整の最中は世界が不安定になる可能性がありますから」
世界が不安定になるか。
でも確かに此処にいる側からするとそういう見方になるのだろう。
「わかった。それじゃ一度戻ろう」
えーっという顔でこちらを見る1匹がいるが仕方ない。
エラーに出逢ってとんでもない事態になるなんてのは避けた方がいいから。
「ここからだと本館を通るのが最短?」
「もし本館にこれから調整が入るなら避けた方がいいでしょう。前に通った地下牢がある建物の上を経由して帰りましょう」
「わかった。ラッキー、非常事態だから離れないで一緒に行こうね」
ラッキー君、不服そうだがそれでも私の真横につけてくれる。
「少し急ぎましょう」
私とカリーナちゃん、そしてラッキー君は小走りでさっき上ったばかりの階段を下りはじめた。
途中左側から坂を上ってくる道がある。
「この道は?」
「地下牢がある建物に通じています。前にレイスを倒したところです」
そう言えばあの時、この先へ行けば海の塔か要塞本館って聞いた気がする。
あとついでに横の建物に入らず素通りする理由も聞いておこう。
「先に病院跡へ行かないのは何で?」
「本館や海の塔より病院跡の方が、フロアが広くて部屋数が多いんです。ただ進入口も出口もあちこちにあります。
ですから攻略を途中で切り上げたり、逆に目一杯やったりという調整がしやすいんです」
「時間調整しやすさが理由なんだ」
「ええ。本館、海の塔と攻略するとボス戦なし休憩含みで概ね2時間かかります。ですので3つめに病院跡を入れるとお昼の時間を12時ちょうどにしたり、帰る時間を調節したりしやすいんです」
なるほど、攻略の利便性からか。
きっとこの辺りのノウハウもそれなりの積み重ねで出来たのだろう。
階段の上り口に到着。
崖を削り、横に石を積んだという雰囲気の階段だ。
「病院跡の屋上よりありそうだね、高さ」
病院跡は2階建て、なので3階の床面以上の高さという意味だ。
「ええ。第一階層がそのくらいの高さです。海の塔は岩山の上に作られていますから」
運動不足な現実の私は上りたくない高さだ。
まあゲーム私なら余裕だけれど。
踊り場的折り返し1回を経て上り切った。
正面は右が崖、正面がテニスコートを縦に2面並べたくらいの広場、左側が窓がほとんどない石造ののっぺりとした建物の壁。
そして真左に今、上ったものの半分くらいの高さの階段が見える。
もうお馴染みのスケルトンナイトとスケルトンソルジャーが合計3体、広場のあちこちからこっちに向かってきた。
微妙な違和感を覚えたが、気にせずいつもの攻撃。
『槍技:流星突!』
スケルトン類3体、あっさり倒れる。
しかし何故か出てくる筈のメッセージが出てこない。
まだスケルトン、倒しきっていないのだろうか。
足元からラッキー君が前へと走り出した。
スケルトンが倒れているのを無視し、草むらっぽい場所の手前でジャンプ。
何かを爪で引っ掻いたような動作をした後、今度は左へ。
どうやらスケルトン以外にも敵がいたらしい。
それも複数。
注意して前方を見てみる。
周囲と違う動きをしている場所が何カ所かあるような気がする。
コリション干潟の雑木林以降は、細かい敵は全部ラッキー君任せ。
特に注意しなくても見えるスケルトン上位種ばかり相手にしていた。
だからか索敵がおろそかになっていたようだ。
ではラッキー君にならって私も敵を探すか。
まずは……
そう思ったところでラッキー君の動きが止まった。
満足そうな顔をしてとことここっちへ戻ってくる。
『スケルトンナイトー1体、スケルトンカサドール2体、ゲンエイグアナ5匹を倒した。ミヤは経験値……』
えっ!? と思う。
スケルトンカサドールって何だ!?
ゲンエイグアナって?
「カリーナ、何か変じゃない? スケルトンソルジャーじゃなくてスケルトンカサドールって出たけれど」
「検索します。進まないで待って下さい」
検索している間、私は考える。
すぐにメッセージが出なかった理由はわかる。
おそらくスケルトン上位種3体以外にも敵がいたのだ。
その敵をラッキー君が倒して、それで例の終了表示が出た。
他の人や従魔が倒した敵についての表示がされないのは、パイアキアン・オンラインの仕様だ。
問題はスケルトンカサドールという聞いた事が無い敵。
カリーナちゃんがわざわざ検索するという事は、知っている今までの此処と様相が違うという事だろう。
ところでラッキー君は怪我とかしていないだろうか。
念のためパスポートを出してラッキー君のHPを確認。
大丈夫、怪我はしていないようだ。
「強いね、ラッキー」
頭をなでてやるともっともっととすり寄ってくる。
うん、やっぱり可愛い。
おまけに私が気づかない敵に気づくくらい賢いし。
「すみません、わかりました。運営のブログで近々難易度調整をするという記載があったそうです」
「難易度調整?」
カリーナちゃんにそう問い返してみて、そして気づいた。
ゲームならより楽しく遊べるように調整するのは当然だ。
ならどんな調整があったのかが問題となる。
「どんな感じに調整するんだろ」
「わかりません。旧要塞についてはまだ情報がはいっていませんから。
ですが此処と同じくらいの難易度だった新要塞は昨日から敵の種類が変わったそうです。
具体的にはレブナントというゾンビの上位種、アルグルというグールの上位種、ゲンエイグアナというノロイグアナの上位種が出現するようになり、難易度も結構上がっているとありました」
なるほど。
「ひょっとして今ラッキーが倒したのがゲンエイグアナ? そしてゾンビやグールの代わりにスケルトンの新種が出てきたって事?」
「多分そうです。
ただ先ほどの旧本館は今までと同じ敵でした。そして今回は新しい敵。ひょっとしたら旧要塞は現在、調整している最中という可能性があります。
一度帰って様子を見た方がいいかもしれません。調整の最中は世界が不安定になる可能性がありますから」
世界が不安定になるか。
でも確かに此処にいる側からするとそういう見方になるのだろう。
「わかった。それじゃ一度戻ろう」
えーっという顔でこちらを見る1匹がいるが仕方ない。
エラーに出逢ってとんでもない事態になるなんてのは避けた方がいいから。
「ここからだと本館を通るのが最短?」
「もし本館にこれから調整が入るなら避けた方がいいでしょう。前に通った地下牢がある建物の上を経由して帰りましょう」
「わかった。ラッキー、非常事態だから離れないで一緒に行こうね」
ラッキー君、不服そうだがそれでも私の真横につけてくれる。
「少し急ぎましょう」
私とカリーナちゃん、そしてラッキー君は小走りでさっき上ったばかりの階段を下りはじめた。
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