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第13章 コリション干潟攻略中⑵
第75話 遺跡ステージ
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小屋の窓は昨日見たのと同じように開いている。
「中を確認していいでしょうか。人がいないならせめて窓を閉めて清浄魔法をかけるくらいはしておきたいです」
「確かに早めに掃除した方が楽だよね」
寄ってみると概ね予想通り。
使いっぱなしでゴミ放置状態、窓開けっぱなし。
ただ朝までここにいたという雰囲気ではない気がする。
「昨日はここに泊まらなかったようです」
「だね」
窓を開けて空気を通し、清浄魔法をかけ、ゴミを外で燃やせば片付け完了。
「綺麗になったしここで休憩しましょうか」
「そうだね。時間もちょうどいいし」
本日のおやつはクッキー。
2枚重ねの間にクリームやジャムを挟んでいる。
最近なんとなくおやつもご飯も日本風になってきたような気がする。
気のせいだろうか、そう思いつついただく。
「うん、やっぱり美味しい」
「良かったです。これもこの世界外のレシピを元にして作ってみたんです。魔法を使うので加熱方法等が書いてあるレシピと違ってしまいますから、これでいいのか自信はなかったのですけれど」
「現実の売り物のクッキーより美味しいと思うよ」
本音だ。
グルメではなかったので有名なお店とかは知らないのだけれど。
それでは次の戦い方について確認しておこう。
「この遺跡が最後のステージだよね。あとはここをうろうろして敵を倒すだけでいいの?」
カリーナちゃんは頷く。
「そうです。ここまでそこそこの数を倒していますから、今日中に終了メッセージが出ると思います。
出る魔物は概ね先ほどの雑木林と同じです」
終了メッセージか。
干潟部分で出た時は魔物が出なくなったけれど、ここで出るとどうなるのだろう。
「終了メッセージが出たら魔物は出なくなる?」
「少し出にくくなる程度です。ただその後コリション干潟から出たら、もう入る事が出来なくなります。入るにはまた依頼を受けなければなりません」
「つまりは此処で泊まらない限りコリション干潟通いは終わりって事か」
カリーナちゃんは頷いた。
「そうですね。あと中ボスのオブクラリスを倒さない状態で終了メッセージが出た場合、オブクラリスの出現確率がかなり上がるらしいです。
ですから終了メッセージが出たら終わりにしてコリシアに戻る方がいいと思います」
「わかった。それなりにレベルも上がったしね。そろそろここもいいかな」
私のレベルは32まで上がったし、ラッキーに至ってはレベル35になっている。
あ、でも待てよ。
「遺跡には時々お宝があるんだっけ?」
「武器や防具、その他のアイテムが見つかる事があります。でも見つかる確率は低いようです。現在の装備で困った事は特にありませんし、オブクラリスに出会う危険を冒してまでして探す必要はないです」
「わかった」
片付け、そして出発だ。
ひととおり技を覚えたので、武器は戦斧に戻す。
対魔属性がついているし攻撃力的にも安心出来るから。
ギリシャ時代の遺跡という感じの石造りの街へと入る。
立ち並ぶ石造りの建物の所々が崩れていて中が見える。
特別に部屋数が多そうな建物、他より圧倒的に大きそうな建物はこの辺には見当たらない。
私達より先を歩いているラッキー君が左を見て、そしてダッシュで戻ってきた。
金属音がしないという事はスケルトンイエーガーだろう。
私は戦斧を構える。
出てきた出てきた、スケルトンイエーガー2体だ。
遠慮せず思い切りよく技を展開。
『槍技:流星突!』
刺突無効でも対魔効果によるダメージは受ける筈。
案の定スケルトンイエーガー、あっさり全滅する。
「やっぱり対魔効果があると楽だよね。技を発動するだけで倒せるし」
「これなら次の旧要塞核心部も難しくないと思います」
「あとはラッキーが索敵してくれるのも楽な理由だと思う」
「確かにそうですね」
遺跡が現役の街だった頃は大通りだっただろう通りを歩いて行く。
ちょこちょこ敵に遭遇するけれどいずれもスケルトンイエーガー。
槍技であっさり撃破。
もっと小さい魔物や魔獣も出ているようだけれど、ラッキー君が先に倒してしまうので確認出来ない。
正面にこれまでより大きな建物が見えた。
「あの建物は何?」
「古代の神殿とされています。それほど大きくはありません。他の遺跡ではこれより大きな神殿も多いです」
カリーナちゃんがそう説明した時だった。
ズシン、ズシン。
そんな低い地響きが聞こえた。
「まずいです。取り敢えず逃げます」
カリーナちゃんが急に後ろへと走り出す。
わからないまま私、そしてラッキー君はついて走る。
「どうしたの」
「今のはオブクラリスが近づいた時の効果音です。あれが聞こえた後、そのまま進むとオブクラリスと出会ってしまいます」
オブクラリスと戦うのって面倒だったんだよなと思い出す。
下手すれば半日くらい倒すのに時間がかかる上、そこまで経験値は美味しくないと。
ただ走っている間も地響きは消えない。
「一度遺跡の範囲から出ましょう。遺跡の外まで追ってくる事は少ないとされていますから」
「わかった」
大通りをダッシュ、なおラッキー君が一番速い。
遺跡を出て小屋のすぐ近くに到着。
ただ地響きは続いている。
「どうする?」
雑木林へ逃げるか、近道で一度外へ出るか、安全地帯の筈の小屋に入ってやり過ごすか。
「狙いをつけられてしまった状態のようです。
こうなると何処へ逃げても追いかけてきます。近道で逃げても先回りされますし、小屋に立てこもっても出てくるまで前で待たれる事になります。
面倒ですけれど戦うしかありません」
カリーナちゃんが言うならその通りなのだろう。
「強さはそこまでじゃないんだよね」
「ええ。今の私たちで十分勝てる程度です。ただ時間がかかって面倒臭いだけで」
「わかった」
「戦うならここがベストです。平らで足場がいいですから」
敵は亀だからラッキー君に追加のアンデット・死霊系魔物忌避剤は必要ない。
武器はとりあえず今持っている一番強力な戦斧でいいだろう。
いや、でも近づく前に投槍を使えるか。
私はアイテムボックスから投槍を取り出す。
奥義の必中投槍を覚えておけば良かった。
そう思いつつ構えて前方、遺跡入口を狙う。
巨大な亀が見えた。
確かに大きい。
甲羅の高さは私の身長より高いし、幅も六畳間の広い方くらいある。
歩く速度そのものはスケルトンよりは速い程度だけれど。
『コリション干潟のボス:オブクラリスが現れた!』
その表示とほぼ同時に槍を投擲。
『槍技:投槍!』
結果を見る前に槍を取り出し、また投擲。
『槍技:投槍!』
『槍技:投槍!』
3本目を投げ終えたところでいつもの戦斧に持ち替える。
槍は3本とも頭に当たったが刺さらずに落ちてしまった。
どうやら弱点の筈の頭や手足もそれなりに頑丈なようだ。
傷を負わしたような感じがしない。
なら、この技はどうだ。
『槍技:彗星突!』
オブクラリス、厭そうな表情をした後、頭を引っ込めた。
どうやら効果はあったようだ。
しかし今度は奴、頭を引っ込めたままこちらへ突進してくる。
突進と言ってもそれほど速くない。
けれど近づかれたら危険だし引っ込めた頭は攻撃出来ない。
「左右に分かれましょう」
「わかった」
私は左側へと走る。
「中を確認していいでしょうか。人がいないならせめて窓を閉めて清浄魔法をかけるくらいはしておきたいです」
「確かに早めに掃除した方が楽だよね」
寄ってみると概ね予想通り。
使いっぱなしでゴミ放置状態、窓開けっぱなし。
ただ朝までここにいたという雰囲気ではない気がする。
「昨日はここに泊まらなかったようです」
「だね」
窓を開けて空気を通し、清浄魔法をかけ、ゴミを外で燃やせば片付け完了。
「綺麗になったしここで休憩しましょうか」
「そうだね。時間もちょうどいいし」
本日のおやつはクッキー。
2枚重ねの間にクリームやジャムを挟んでいる。
最近なんとなくおやつもご飯も日本風になってきたような気がする。
気のせいだろうか、そう思いつついただく。
「うん、やっぱり美味しい」
「良かったです。これもこの世界外のレシピを元にして作ってみたんです。魔法を使うので加熱方法等が書いてあるレシピと違ってしまいますから、これでいいのか自信はなかったのですけれど」
「現実の売り物のクッキーより美味しいと思うよ」
本音だ。
グルメではなかったので有名なお店とかは知らないのだけれど。
それでは次の戦い方について確認しておこう。
「この遺跡が最後のステージだよね。あとはここをうろうろして敵を倒すだけでいいの?」
カリーナちゃんは頷く。
「そうです。ここまでそこそこの数を倒していますから、今日中に終了メッセージが出ると思います。
出る魔物は概ね先ほどの雑木林と同じです」
終了メッセージか。
干潟部分で出た時は魔物が出なくなったけれど、ここで出るとどうなるのだろう。
「終了メッセージが出たら魔物は出なくなる?」
「少し出にくくなる程度です。ただその後コリション干潟から出たら、もう入る事が出来なくなります。入るにはまた依頼を受けなければなりません」
「つまりは此処で泊まらない限りコリション干潟通いは終わりって事か」
カリーナちゃんは頷いた。
「そうですね。あと中ボスのオブクラリスを倒さない状態で終了メッセージが出た場合、オブクラリスの出現確率がかなり上がるらしいです。
ですから終了メッセージが出たら終わりにしてコリシアに戻る方がいいと思います」
「わかった。それなりにレベルも上がったしね。そろそろここもいいかな」
私のレベルは32まで上がったし、ラッキーに至ってはレベル35になっている。
あ、でも待てよ。
「遺跡には時々お宝があるんだっけ?」
「武器や防具、その他のアイテムが見つかる事があります。でも見つかる確率は低いようです。現在の装備で困った事は特にありませんし、オブクラリスに出会う危険を冒してまでして探す必要はないです」
「わかった」
片付け、そして出発だ。
ひととおり技を覚えたので、武器は戦斧に戻す。
対魔属性がついているし攻撃力的にも安心出来るから。
ギリシャ時代の遺跡という感じの石造りの街へと入る。
立ち並ぶ石造りの建物の所々が崩れていて中が見える。
特別に部屋数が多そうな建物、他より圧倒的に大きそうな建物はこの辺には見当たらない。
私達より先を歩いているラッキー君が左を見て、そしてダッシュで戻ってきた。
金属音がしないという事はスケルトンイエーガーだろう。
私は戦斧を構える。
出てきた出てきた、スケルトンイエーガー2体だ。
遠慮せず思い切りよく技を展開。
『槍技:流星突!』
刺突無効でも対魔効果によるダメージは受ける筈。
案の定スケルトンイエーガー、あっさり全滅する。
「やっぱり対魔効果があると楽だよね。技を発動するだけで倒せるし」
「これなら次の旧要塞核心部も難しくないと思います」
「あとはラッキーが索敵してくれるのも楽な理由だと思う」
「確かにそうですね」
遺跡が現役の街だった頃は大通りだっただろう通りを歩いて行く。
ちょこちょこ敵に遭遇するけれどいずれもスケルトンイエーガー。
槍技であっさり撃破。
もっと小さい魔物や魔獣も出ているようだけれど、ラッキー君が先に倒してしまうので確認出来ない。
正面にこれまでより大きな建物が見えた。
「あの建物は何?」
「古代の神殿とされています。それほど大きくはありません。他の遺跡ではこれより大きな神殿も多いです」
カリーナちゃんがそう説明した時だった。
ズシン、ズシン。
そんな低い地響きが聞こえた。
「まずいです。取り敢えず逃げます」
カリーナちゃんが急に後ろへと走り出す。
わからないまま私、そしてラッキー君はついて走る。
「どうしたの」
「今のはオブクラリスが近づいた時の効果音です。あれが聞こえた後、そのまま進むとオブクラリスと出会ってしまいます」
オブクラリスと戦うのって面倒だったんだよなと思い出す。
下手すれば半日くらい倒すのに時間がかかる上、そこまで経験値は美味しくないと。
ただ走っている間も地響きは消えない。
「一度遺跡の範囲から出ましょう。遺跡の外まで追ってくる事は少ないとされていますから」
「わかった」
大通りをダッシュ、なおラッキー君が一番速い。
遺跡を出て小屋のすぐ近くに到着。
ただ地響きは続いている。
「どうする?」
雑木林へ逃げるか、近道で一度外へ出るか、安全地帯の筈の小屋に入ってやり過ごすか。
「狙いをつけられてしまった状態のようです。
こうなると何処へ逃げても追いかけてきます。近道で逃げても先回りされますし、小屋に立てこもっても出てくるまで前で待たれる事になります。
面倒ですけれど戦うしかありません」
カリーナちゃんが言うならその通りなのだろう。
「強さはそこまでじゃないんだよね」
「ええ。今の私たちで十分勝てる程度です。ただ時間がかかって面倒臭いだけで」
「わかった」
「戦うならここがベストです。平らで足場がいいですから」
敵は亀だからラッキー君に追加のアンデット・死霊系魔物忌避剤は必要ない。
武器はとりあえず今持っている一番強力な戦斧でいいだろう。
いや、でも近づく前に投槍を使えるか。
私はアイテムボックスから投槍を取り出す。
奥義の必中投槍を覚えておけば良かった。
そう思いつつ構えて前方、遺跡入口を狙う。
巨大な亀が見えた。
確かに大きい。
甲羅の高さは私の身長より高いし、幅も六畳間の広い方くらいある。
歩く速度そのものはスケルトンよりは速い程度だけれど。
『コリション干潟のボス:オブクラリスが現れた!』
その表示とほぼ同時に槍を投擲。
『槍技:投槍!』
結果を見る前に槍を取り出し、また投擲。
『槍技:投槍!』
『槍技:投槍!』
3本目を投げ終えたところでいつもの戦斧に持ち替える。
槍は3本とも頭に当たったが刺さらずに落ちてしまった。
どうやら弱点の筈の頭や手足もそれなりに頑丈なようだ。
傷を負わしたような感じがしない。
なら、この技はどうだ。
『槍技:彗星突!』
オブクラリス、厭そうな表情をした後、頭を引っ込めた。
どうやら効果はあったようだ。
しかし今度は奴、頭を引っ込めたままこちらへ突進してくる。
突進と言ってもそれほど速くない。
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