74 / 139
第13章 コリション干潟攻略中⑵
第73話 読書の結果
しおりを挟む
靴の中敷きは舌平目という場所によっては高級食材で、バター焼きでは無くムニエルという料理だったらしい。
そういう理屈は知らなかったけれど美味しくいただいて、勿論他の料理も全部平らげ、勿体ないけれど塩辛も全部いただいて、そして読書の時間。
「受付カウンターの奥の椅子を借りていい? あそこなら万が一遅くなっても照明つけっぱなしに出来るし」
「わかりました。迂回魔術を起動してあるので、誰かがここに来るという事はないと思います」
カリーナちゃんの家があるのはメリティイースの森のかなり奥。
短絡魔方陣を幾つか使って森の入り口から出入りできるようにしているけれど、今はその短絡魔方陣のこちら側の入り口を塞いでいる状態。
だからお客さんが来るという事はまずありえない。
それでも一応玄関の内鍵は閉めて、そしてカウンターの椅子に腰掛けて『槍術奥義皆伝』をアイテムボックスから出す。
『攻撃技全書』だけでもあれだけ槍技を覚えられたのだから、こちらではどうなるのだろう。
案外スケルトンの上位種には使用できない刺突技ばかり、って事はないよな。
そんな事を思いつつ、本を開く。
◇◇◇
『ミヤは『槍術奥義皆伝』を読んだ。読了に4時間を消費した』
本の厚さが同じ位のせいか、必要な時間は『攻撃技全書』と同じ4時間だった。
『槍技全般について使用に必要なステータスが緩和されました。また使用後の疲労が軽減されました』
これはなかなか嬉しい。
つまり技を出しやすくなり、かつ疲れなくなるという事だから。
『更に槍技の特級及び特殊技について、名称、効果範囲、威力、使用条件を記憶しました。
以下の槍技について、発動方法を理解しました。一定の訓練の後、発動が可能となります。
○ 特級技(奥義)
大車輪、旋風撃、天衝突、天衝斬、地衝刺、活殺刺、必中投槍
○ 特殊技
刺突移動(横、壁、森)、石突連打、石突連突、跳上
○ 連続技(奥義)
流星進撃、彗星進撃、面制圧突、面制圧刺、跳上連斬、跳上連突』
今回は怪しい読み方をするものは無いようだ。
そして特級技は発動方法がわかっても習得が難しそうなものが多い。
例えば天衝突や天衝斬は、
① 突いて跳ね上げる攻撃を彗星突のように高速かつ連続で行い、
② 相手を自分の身長以上に浮かした上で、下から連続で突きまたは斬撃を入れる
という技。
普通の敵なら①の段階で倒せてしまう。
つまり②まで練習する事は不可能だ。
きっとこれは2~3撃程度では倒せない強敵相手に使用するものなのだろう。
つまり
① そういった強敵を余裕で倒せるようになった状態で、
② 一撃で倒せない敵を利用して練習する
なんて方法が必要になる訳だ。
あ、でも刺突無効なんて敵がいたな。
その辺を使えば練習は出来る気がする。
勿論普通に練習できる技もそこそこある。
石突を使用する系統は槍でも刺突無効にかからないので便利そうだ。
一撃で倒せない敵がわらわら出てきた時は流星進撃や彗星進撃なんてのも使えるだろう。
レイスとゴーストが一緒に出てくる場合なんかに便利かもしれない。
よし、とりあえず一通りやるべき事はやったので寝るとしよう。
そう思って椅子から立ち上がると、だだだだっと足音が近づいてきた。
もちろんラッキー君だ。
これは前に本を読んだときと同じだな。
『夜でカリーナちゃんが寝ていて暇なんです。起きているなら遊んで下さい』
今の時間は22時30分。
この小屋の周りには魔除けが仕掛けてあるから、畑ではない平らな部分を選べば問題は無い。
ついでにいうと木球もフリスビーもアイテムボックスに入れてある
「ちょっとだけだよ」
◇◇◇
翌朝。
パン、ヨーグルト&生野菜のサラダ、チーズ、卵焼き、ハムという健全な食事をいただきながら、昨晩読んだ本の話をする。
「一番の効果は使用条件の緩和と疲労の減少だと思う。これだけで今までの技も使いやすくなるから」
「それってかなり大きいですよね。あと覚えた技の方はどうですか?」
「今の段階でも使えそうな技はあるけれど、強敵相手に一対一で戦う時に便利そうな技が多かった感じ」
「確かに一般的な技は前の本でほとんど網羅されている感じですよね。今度の本は奥義皆伝という名前ですし」
確かに言われてみればそうだなと思う。
前の本でも槍関係の上級までの技についてひととおりの知識を得ることは出来たのだ。
その上、奥義皆伝となるとこんな感じが正しいのだろう。
でもそうなると……
「ならもう一度『攻撃技全書』を読んだら、今度はどんな特典があるんだろ? 槍技のほとんどは練習方法までわかっているし」
「……読んでみないとわからないです。自分が使っていない技の練習方法がわかるのかもしれないですし、練習しなくても簡単な技なら使えるようになるのかもしれませんし。
ただ悪い影響はないと思います」
なるほど。
どちらにせよ悪い効果がないのなら、試してみるのが一番か。
でもそれならばだ。
「何ならカリーナ、今晩読んでみる?」
「いいえ。今の私が読んでも効果は無いと思います。この前読んだ後、レベルも熟練度も変わっていませんから」
そう言えばまだこの辺、カリーナちゃんにはレベル上げにならない場所だった。
それに私やラッキー君のレベル上げのため、カリーナちゃんはほとんど敵を相手にしていないし。
「ごめんね、私たちのレベル上げの面倒見て貰うばっかりで」
「いいえ。これはこれで楽しいんです。来たことがある筈の場所なのに新しい発見が結構ありますし、ラッキーちゃんもかわいいですから」
それならいいのだけれど。
そういう理屈は知らなかったけれど美味しくいただいて、勿論他の料理も全部平らげ、勿体ないけれど塩辛も全部いただいて、そして読書の時間。
「受付カウンターの奥の椅子を借りていい? あそこなら万が一遅くなっても照明つけっぱなしに出来るし」
「わかりました。迂回魔術を起動してあるので、誰かがここに来るという事はないと思います」
カリーナちゃんの家があるのはメリティイースの森のかなり奥。
短絡魔方陣を幾つか使って森の入り口から出入りできるようにしているけれど、今はその短絡魔方陣のこちら側の入り口を塞いでいる状態。
だからお客さんが来るという事はまずありえない。
それでも一応玄関の内鍵は閉めて、そしてカウンターの椅子に腰掛けて『槍術奥義皆伝』をアイテムボックスから出す。
『攻撃技全書』だけでもあれだけ槍技を覚えられたのだから、こちらではどうなるのだろう。
案外スケルトンの上位種には使用できない刺突技ばかり、って事はないよな。
そんな事を思いつつ、本を開く。
◇◇◇
『ミヤは『槍術奥義皆伝』を読んだ。読了に4時間を消費した』
本の厚さが同じ位のせいか、必要な時間は『攻撃技全書』と同じ4時間だった。
『槍技全般について使用に必要なステータスが緩和されました。また使用後の疲労が軽減されました』
これはなかなか嬉しい。
つまり技を出しやすくなり、かつ疲れなくなるという事だから。
『更に槍技の特級及び特殊技について、名称、効果範囲、威力、使用条件を記憶しました。
以下の槍技について、発動方法を理解しました。一定の訓練の後、発動が可能となります。
○ 特級技(奥義)
大車輪、旋風撃、天衝突、天衝斬、地衝刺、活殺刺、必中投槍
○ 特殊技
刺突移動(横、壁、森)、石突連打、石突連突、跳上
○ 連続技(奥義)
流星進撃、彗星進撃、面制圧突、面制圧刺、跳上連斬、跳上連突』
今回は怪しい読み方をするものは無いようだ。
そして特級技は発動方法がわかっても習得が難しそうなものが多い。
例えば天衝突や天衝斬は、
① 突いて跳ね上げる攻撃を彗星突のように高速かつ連続で行い、
② 相手を自分の身長以上に浮かした上で、下から連続で突きまたは斬撃を入れる
という技。
普通の敵なら①の段階で倒せてしまう。
つまり②まで練習する事は不可能だ。
きっとこれは2~3撃程度では倒せない強敵相手に使用するものなのだろう。
つまり
① そういった強敵を余裕で倒せるようになった状態で、
② 一撃で倒せない敵を利用して練習する
なんて方法が必要になる訳だ。
あ、でも刺突無効なんて敵がいたな。
その辺を使えば練習は出来る気がする。
勿論普通に練習できる技もそこそこある。
石突を使用する系統は槍でも刺突無効にかからないので便利そうだ。
一撃で倒せない敵がわらわら出てきた時は流星進撃や彗星進撃なんてのも使えるだろう。
レイスとゴーストが一緒に出てくる場合なんかに便利かもしれない。
よし、とりあえず一通りやるべき事はやったので寝るとしよう。
そう思って椅子から立ち上がると、だだだだっと足音が近づいてきた。
もちろんラッキー君だ。
これは前に本を読んだときと同じだな。
『夜でカリーナちゃんが寝ていて暇なんです。起きているなら遊んで下さい』
今の時間は22時30分。
この小屋の周りには魔除けが仕掛けてあるから、畑ではない平らな部分を選べば問題は無い。
ついでにいうと木球もフリスビーもアイテムボックスに入れてある
「ちょっとだけだよ」
◇◇◇
翌朝。
パン、ヨーグルト&生野菜のサラダ、チーズ、卵焼き、ハムという健全な食事をいただきながら、昨晩読んだ本の話をする。
「一番の効果は使用条件の緩和と疲労の減少だと思う。これだけで今までの技も使いやすくなるから」
「それってかなり大きいですよね。あと覚えた技の方はどうですか?」
「今の段階でも使えそうな技はあるけれど、強敵相手に一対一で戦う時に便利そうな技が多かった感じ」
「確かに一般的な技は前の本でほとんど網羅されている感じですよね。今度の本は奥義皆伝という名前ですし」
確かに言われてみればそうだなと思う。
前の本でも槍関係の上級までの技についてひととおりの知識を得ることは出来たのだ。
その上、奥義皆伝となるとこんな感じが正しいのだろう。
でもそうなると……
「ならもう一度『攻撃技全書』を読んだら、今度はどんな特典があるんだろ? 槍技のほとんどは練習方法までわかっているし」
「……読んでみないとわからないです。自分が使っていない技の練習方法がわかるのかもしれないですし、練習しなくても簡単な技なら使えるようになるのかもしれませんし。
ただ悪い影響はないと思います」
なるほど。
どちらにせよ悪い効果がないのなら、試してみるのが一番か。
でもそれならばだ。
「何ならカリーナ、今晩読んでみる?」
「いいえ。今の私が読んでも効果は無いと思います。この前読んだ後、レベルも熟練度も変わっていませんから」
そう言えばまだこの辺、カリーナちゃんにはレベル上げにならない場所だった。
それに私やラッキー君のレベル上げのため、カリーナちゃんはほとんど敵を相手にしていないし。
「ごめんね、私たちのレベル上げの面倒見て貰うばっかりで」
「いいえ。これはこれで楽しいんです。来たことがある筈の場所なのに新しい発見が結構ありますし、ラッキーちゃんもかわいいですから」
それならいいのだけれど。
21
お気に入りに追加
53
あなたにおすすめの小説

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる