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第11章 コリション干潟攻略開始
第64話 私も実はわかっていない
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次の砂丘もラッキー君が経験値を稼ぎまくった。
此処での私の進み方は、
① 散弾突きで、およそ前方10mまでの範囲の砂面を攻撃して
② 敵が出てきたら流星突で倒し
③ 10mくらい前進
という繰り返し作業だ。
ただ最初の時点では魔物がいるかどうか見えていない。
だから魔物が1匹も出てこない時もあって、効率は決してよくはない。
こちらが被害を受ける事はないけれど。
一方でラッキー君はある程度魔物がいる場所が把握出来ているようだ。
ダッシュして砂中に隠れているものを攻撃してをガンガンに繰り返していく。
私より確実で効率もいい。
「このクエストではこの砂丘が一番経験値を稼ぎやすいんです。次の湿原は歩く場所が木道と決まっていますので、1時間程度歩けばクリアしてしまいますから。
その後は敵がスケルトンの派生種で人間サイズになります。ミヤさんは狂戦士の戦斧を使えば2撃くらいで倒せますけれど、ラッキーちゃんだとレベルが低い場合倒すのに時間がかかります。
だからそこに行くまでにラッキーちゃんはレベル30まで上げたいです」
そうカリーナちゃんが言っているので、問題はきっと無いのだけれど。
ゆっくり進んで、時々パスポートでラッキー君のHPを確認して……
「干潟とは別の意味で疲れるね」
何せ槍技を打ちまくる作戦なのだ。
ミヤという分身は腕力最強レベルだけれど、それでもこのペースで腕を酷使したらやっぱり疲れる。
「ラッキーちゃんがレベル30になったら先に進む方を優先しましょう。あと身体が疲れたら初級治療薬を飲むと少し楽になります。
治療薬は本来はHP回復薬ですけれど、疲労回復や船酔いの治療にも使えます。買えばそれなりに値段がしますけれど、自分で素材を集めて作れば無料です。だからガンガン使ってもいいと思います。在庫も結構ありますよね」
確かに在庫は11本ある。
「なら使うね。腕が大分疲れてきた」
「そうして下さい」
味は薄めのスポーツドリンクという感じで、すっと疲れに染みこむ感じだ。
あと確かに腕が少し楽になった気がする。
「カリーナも飲む?」
「私は大丈夫です」
なんて言っていたらラッキー君がやってきた。
何か貰えるんですかという顔をしている。
何と言うか、貰えそうな言葉と雰囲気には敏感な奴なのだ。
「ラッキーちゃんも少しお水とおやつを食べますか」
そしてカリーナちゃん、やっぱりラッキー君に甘い。
でもまあいいかと思う。
ラッキー君とカリーナちゃん、可愛いから。
◇◇◇
ラッキー君がレベル30になったところで、カリーナちゃんに援護してもらって砂丘地帯を突破。
おやつ休憩したのと同じつくりの小屋へ。
清浄魔法をかけて中へ入って窓をあけて、そして私は木の床側に倒れ込む。
「疲れた」
ラッキー君ものそのそ木の床部分にあがってきて、そして私にくっつく形でくるくると回って円形に寝込む。
どうやらラッキー君も疲れているようだ。
「ごめんなさい。レベル上げを優先しすぎました」
確かにそうかもしれない。
でも少し違う。
「謝る事はないと思うよ。カリーナは私とラッキーのレベル上げの事を考えてくれたんだし」
「でも攻略勢的なやり方でしたよね、これって」
カリーナちゃんは私とラッキー君の方を見て、そして続ける。
「攻略勢の頃はレベル上げとかクエスト攻略も速度と効率重視でした。他のパーティより少しでも早く攻略して、石碑の前の方に名前を刻む。それが目的で目標で最上の価値だったんです。
最高効率なら3日でクリアが可能なクエストに4日も5日も、あるいはそれ以上に日数をかける。そんな連中はエンジョイ勢だって馬鹿にしていたんです。
その頃の悪い癖で、つい効率をもとめて無理させていたんですね。ごめんなさい」
うーん、やはり何かが違う気がする。
少し考えて、そして口に出してみる。
「謝ることじゃないと思うよ。効率最優先で攻めるのも間違いじゃないと思う。特に今回はレベル40になれるよう、私からカリーナに頼んだようなものだし」
「でも攻略勢みたいなことをしたのは駄目ですよね」
いや、多分そこが違う。
そんな気がする。
「攻略勢のやり方が間違っているという事はないと思うよ。他人のやり方を馬鹿にするのは駄目だとは思うけれど、効率重視で進む事自体は悪い事じゃない、きっと。
早く倒して石碑の前の方に名前を刻む。それが楽しければ、それを楽しめればきっとそういったやり方も間違いじゃない。
ゆっくり時間をかけて楽しむのが間違いじゃないのと同じように。違う?」
そう言っておきながらまだ私は何かひっかかっている。
何にひっかかっているのか、私自身がわからないでいる。
カリーナちゃんの過去を振り返る言葉に何かがひっかかっているのだろうとは推測できている。
でもそれが具体的に何のどんな点なのか、わかっていない。
「攻略勢が間違いじゃない、ですか」
私は私が何にひっかかっているのかはわからない。
でもこのカリーナちゃんの言葉には返答出来る。
「多分、石碑《モニュメント》の前の方に名前を刻む事を目指す。それで達成感とか充実感とか得られるなら、それはそれできっと正しいんだと思うよ」
「正しい、のでしょうか」
カリーナちゃんはそう言ってしばらく考え込むように間を置いた後、口を開いた。
「少し難しいです。でもとりあえずはお昼ごはんにしましょう。もうすぐ14時、お昼から2時間も遅れてしまいましたから」
ラッキー君が丸まって寝たまま、ぱたぱたと尻尾を振った。
どうやらかなり疲れているようだ。
念の為パスポートを出して、何か調子がわるい部分がないか確認してみる。
うん、HPは満タンだし、状態異常の記載も無い。
ならごはんを食べれば元気になるだろうし、それで駄目なら回復薬を飲ませてやればいいだろう。
此処での私の進み方は、
① 散弾突きで、およそ前方10mまでの範囲の砂面を攻撃して
② 敵が出てきたら流星突で倒し
③ 10mくらい前進
という繰り返し作業だ。
ただ最初の時点では魔物がいるかどうか見えていない。
だから魔物が1匹も出てこない時もあって、効率は決してよくはない。
こちらが被害を受ける事はないけれど。
一方でラッキー君はある程度魔物がいる場所が把握出来ているようだ。
ダッシュして砂中に隠れているものを攻撃してをガンガンに繰り返していく。
私より確実で効率もいい。
「このクエストではこの砂丘が一番経験値を稼ぎやすいんです。次の湿原は歩く場所が木道と決まっていますので、1時間程度歩けばクリアしてしまいますから。
その後は敵がスケルトンの派生種で人間サイズになります。ミヤさんは狂戦士の戦斧を使えば2撃くらいで倒せますけれど、ラッキーちゃんだとレベルが低い場合倒すのに時間がかかります。
だからそこに行くまでにラッキーちゃんはレベル30まで上げたいです」
そうカリーナちゃんが言っているので、問題はきっと無いのだけれど。
ゆっくり進んで、時々パスポートでラッキー君のHPを確認して……
「干潟とは別の意味で疲れるね」
何せ槍技を打ちまくる作戦なのだ。
ミヤという分身は腕力最強レベルだけれど、それでもこのペースで腕を酷使したらやっぱり疲れる。
「ラッキーちゃんがレベル30になったら先に進む方を優先しましょう。あと身体が疲れたら初級治療薬を飲むと少し楽になります。
治療薬は本来はHP回復薬ですけれど、疲労回復や船酔いの治療にも使えます。買えばそれなりに値段がしますけれど、自分で素材を集めて作れば無料です。だからガンガン使ってもいいと思います。在庫も結構ありますよね」
確かに在庫は11本ある。
「なら使うね。腕が大分疲れてきた」
「そうして下さい」
味は薄めのスポーツドリンクという感じで、すっと疲れに染みこむ感じだ。
あと確かに腕が少し楽になった気がする。
「カリーナも飲む?」
「私は大丈夫です」
なんて言っていたらラッキー君がやってきた。
何か貰えるんですかという顔をしている。
何と言うか、貰えそうな言葉と雰囲気には敏感な奴なのだ。
「ラッキーちゃんも少しお水とおやつを食べますか」
そしてカリーナちゃん、やっぱりラッキー君に甘い。
でもまあいいかと思う。
ラッキー君とカリーナちゃん、可愛いから。
◇◇◇
ラッキー君がレベル30になったところで、カリーナちゃんに援護してもらって砂丘地帯を突破。
おやつ休憩したのと同じつくりの小屋へ。
清浄魔法をかけて中へ入って窓をあけて、そして私は木の床側に倒れ込む。
「疲れた」
ラッキー君ものそのそ木の床部分にあがってきて、そして私にくっつく形でくるくると回って円形に寝込む。
どうやらラッキー君も疲れているようだ。
「ごめんなさい。レベル上げを優先しすぎました」
確かにそうかもしれない。
でも少し違う。
「謝る事はないと思うよ。カリーナは私とラッキーのレベル上げの事を考えてくれたんだし」
「でも攻略勢的なやり方でしたよね、これって」
カリーナちゃんは私とラッキー君の方を見て、そして続ける。
「攻略勢の頃はレベル上げとかクエスト攻略も速度と効率重視でした。他のパーティより少しでも早く攻略して、石碑の前の方に名前を刻む。それが目的で目標で最上の価値だったんです。
最高効率なら3日でクリアが可能なクエストに4日も5日も、あるいはそれ以上に日数をかける。そんな連中はエンジョイ勢だって馬鹿にしていたんです。
その頃の悪い癖で、つい効率をもとめて無理させていたんですね。ごめんなさい」
うーん、やはり何かが違う気がする。
少し考えて、そして口に出してみる。
「謝ることじゃないと思うよ。効率最優先で攻めるのも間違いじゃないと思う。特に今回はレベル40になれるよう、私からカリーナに頼んだようなものだし」
「でも攻略勢みたいなことをしたのは駄目ですよね」
いや、多分そこが違う。
そんな気がする。
「攻略勢のやり方が間違っているという事はないと思うよ。他人のやり方を馬鹿にするのは駄目だとは思うけれど、効率重視で進む事自体は悪い事じゃない、きっと。
早く倒して石碑の前の方に名前を刻む。それが楽しければ、それを楽しめればきっとそういったやり方も間違いじゃない。
ゆっくり時間をかけて楽しむのが間違いじゃないのと同じように。違う?」
そう言っておきながらまだ私は何かひっかかっている。
何にひっかかっているのか、私自身がわからないでいる。
カリーナちゃんの過去を振り返る言葉に何かがひっかかっているのだろうとは推測できている。
でもそれが具体的に何のどんな点なのか、わかっていない。
「攻略勢が間違いじゃない、ですか」
私は私が何にひっかかっているのかはわからない。
でもこのカリーナちゃんの言葉には返答出来る。
「多分、石碑《モニュメント》の前の方に名前を刻む事を目指す。それで達成感とか充実感とか得られるなら、それはそれできっと正しいんだと思うよ」
「正しい、のでしょうか」
カリーナちゃんはそう言ってしばらく考え込むように間を置いた後、口を開いた。
「少し難しいです。でもとりあえずはお昼ごはんにしましょう。もうすぐ14時、お昼から2時間も遅れてしまいましたから」
ラッキー君が丸まって寝たまま、ぱたぱたと尻尾を振った。
どうやらかなり疲れているようだ。
念の為パスポートを出して、何か調子がわるい部分がないか確認してみる。
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