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第11章 コリション干潟攻略開始
第63話 中身の性能差?
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小屋は私の肩くらいまでが石で、そこから上は丸太を組んだつくりだ。
窓もトイレも流しもある。
水は魔法で出す必要があるけれど。
トイレ以外はワンルームだけれど20畳くらいはあって、そこそこ快適そう。
土間部分と少し高い木の床部分があって靴を脱げるのはありがたい。
モデルとなった場所の小屋がそういう造りになっているのだろうか。
それとも日本サーバだから日本人に使いやすくした仕様なのだろうか。
どちらにせよ快適なのはいいことだ。
清浄魔法をかけた後、中へ入って窓を開けて風を通せばそこそこ快適。
靴をぬいで木製の高床に腰掛ける。
「これなら泊まりになってもそう悪くはないかな。ヴィドー島の避難小屋よりずっと住みやすそうな感じだし。
此処の他の小屋もこんな感じ?」
「ええ。コリション干潟は定期的に討伐をするので、こういった施設を整備してあるという設定です。
それではおやつ休憩にしましょう」
すすすすーっとラッキー君がカリーナちゃんの前へ。
勿論いつものイヤシ行動だ。
「それじゃラッキーの水とおやつを出しますね」
カリーナちゃんは少しだけ深めのお皿を2枚出して、片方に水を、もう片方にラッキー君用に作ったジャーキーを入れる。
これは鶏胸肉を薄切りにして網の上に置き、200度くらいでパリパリになるまで熱して乾かしたもの。
味はつけていないが私が食べても案外美味しい。
かなり固めだがだんだん口の中で柔らかくなって旨みが広がってくるのだ。
ただし今回の私達のおやつはジャーキーではない。
バクラヴァというナッツ入りパイと冷やしたハーブティだ。
バクラヴァのパイ地はレモン果汁シロップがかかっていて、しっとりとしているけれど中はサクサク。
食べてみて、疲れている時の甘味は正義だとしみじみ感じる。
「甘いものって疲れが取れるよね。ただ甘いだけじゃなくて中がサクサク、ナッツの香ばしさとバターの香りなんて凄く贅沢で美味しいし。
でもこれ、パイ生地から全部カリーナの手作りなんだよね。ものすごく大変だと思うんだけれど」
「パイ生地を作るのは楽しいですよ。伸ばして折ってを繰り返した分、層が多くて美味しいのが出来ますから。それにパイ生地を作っておけばいろんな料理に使えて便利です」
そういうものなのだろうか。
私なんかパイどころかクッキーすらうまく焼けない自信があるのだけれど。
「あとミヤさんもラッキーちゃんも美味しそうに食べてくれます。それが楽しいんです」
私としてはそれも申し訳ない。
「ごめん、作って貰ってばかりで」
「いいえ、料理を作るのは好きですから。アイテムボックスに入れておけば傷まないですし」
確かにアイテムボックス、冷蔵庫以上に完璧に保存できて便利だとは思う。
現実でそんなのがあるなら……
私の場合は食べかけのインスタントラーメンを保存する位しかしない気がするけれど。
「この先の砂丘部分はさっきの干潟より楽です。範囲攻撃をして、出てきた敵を遠距離攻撃やラッキー君の攻撃で倒していけば比較的簡単に終わると思います。
その次の湿原も干潟よりは楽です。木道がありますので泥の中を歩かないで済みますから。
その後の雑木林からは敵がスケルトンイエーガーやスケルトンソルジャーになります。この辺りは遠隔攻撃を避けてきますので接近戦になります。ですのであまり数を稼げません。
だから湿原までで出来るだけ敵を数多く倒しておきたいです」
「今日はどの辺まで行けるかな」
「砂丘で出来るだけ粘って敵を多く倒して、その上で湿原を越えて先の小屋まで行ければと思います。明日は雑木林を超えて遺跡にちょっと入って、そして遺跡手前の小屋へ戻る。明後日は遺跡をじっくり回る形で。
遺跡はごくまれにですがそこそこのアイテムを発見できたりします。ですから出来るだけじっくり回りたいです」
なるほど。
その行程で、そして今は10時27分。
という事は……
「なら1日目のこの時間で此処というのは妥当?」
カリーナちゃんは頷く。
「かなり順調だと思います。干潟だけでお昼くらいまでかかるかなと思っていましたから。
これはきっとラッキーちゃんのおかげだと思います。私達以上に敵を倒していたようですから」
確かに思い当たる事はある。
「確かにそうかも。ラッキー、さっきの干潟だけでレベルが3つ上がっていたから」
なお私は1しか上がっていない。つまりラッキー君にレベルを追い抜かれてしまった訳だ。
ん、そう言えば前に疑問に思った事があったな。
カリーナちゃんに聞いてみよう。
「そう言えば本で読んだんだけれど、此処以外のゲームでは、同じパーティなら誰が倒しても皆平等に経験値を配分するらしいよね。
此処だと自分が倒した場合以外、倒したメッセージや経験値取得メッセージは出ないけれど、これって倒した人の総取りで分配は無いと思っていいの?」
此処で健康的? な生活を送っていても、たまには小説だの漫画だのを読みたい時がある訳だ。
なので夜寝る前とかにネット上で読める小説や漫画等を、視界内に別ウィンドウを出して読んだりする。
最近はそうやってゲーム関係の小説や漫画を読むことが結構ある。
そしてそういった本では敵を倒して得た経験値は人数割りで自動配分となっているものがほとんど。
その辺の違いがなんとなく気になっていたのだ。
「メッセージは対象を倒すのに一番貢献した人にしか出ません。でも経験値は関わった人全員に配分されています。ただこの世界の場合、配分は一律人数割りではありません。貢献度合いによって配分されます。
また分配はパーティを組んでいても組んでいなくても関係ありません。倒すのに貢献した全員に対し、貢献した割合に応じて配分されます。
例えば回復担当、敵を引きつける担当、攻撃担当の3人で1体の魔物を倒した場合、3人に経験値は配分されますが、平等に配分されるとは限りません。
攻撃担当と回復担当が弱くて敵をひきつける担当が頑張った場合、敵を引きつける担当が一番経験値を得られます。逆に攻撃担当がほぼ一撃で倒した場合、経験値のほとんどは攻撃担当に行きます」
だいたいわかったような気がする。
つまりだ。
「だからラッキー1人で倒したような場合、ラッキーだけに経験値が入る訳か」
「そうです。今のところ協力して倒すような敵は出てきていないので、倒した人が経験値をほぼそのまま得ています。
そして一般にラッキーちゃんのような従魔の方がレベルを上げにくいです。従魔は基本的に自分が確実に倒せる敵以外とは戦いませんから。
ですからラッキーちゃんがここで経験値を稼げて良かったです」
「わかった。ありがとう」
うん、すっきりした。
「いえ、その辺りはパイアキアン・オンライン、他より複雑に出来ているんです。
ところでラッキーちゃんやミアさん、HPは大丈夫ですよか?」
そう言えばそうだな。
確かに私、結構攻撃を受けてしまった。
ラッキー君もどうだろう。
パスポートを出して確認。
ラッキー君、既にHPは最大値だ。
HPは戦わなければ少しずつ回復していくし、何かを食べれば更に回復する。
きっと受けた攻撃が少なかったので、回復しきったのだろう。
私はまだ20以上減ったままなのだけれど。
「大丈夫。今のおやつで大分回復したし。ラッキーなんかHPは上限の207まで回復している位だし」
「という事は、あれだけ干潟を走り回っていてもあまり攻撃を受けていなかったんですね」
「そうみたい」
そう言えば戦闘中に確認した時そうだったよなと思い出した。私は50以上ダメージを蓄積していた時、ラッキー君は3しかダメージを受けていなかったなと。
「ミヤさんは大丈夫ですか?」
「最大244で今が205。カリーナは?」
「最大値が495で現在値487です。これならまだ皆、回復薬は必要無いですね」
どうやら私が一番攻撃を受けてしまっていたようだ。
これは身体の大きさ故なのだろうか。
それとも単にどんくさかったからだろうか。
確かに現実での私はどんくさい方だ。
でもこの世界でのミヤは運動神経抜群だった筈。
それでも中の人の性能はやはり影響してしまうのだろうか。
まるで現実の世界からの呪いのようだ。
鈍いの呪いなんて洒落にならないけれど。
窓もトイレも流しもある。
水は魔法で出す必要があるけれど。
トイレ以外はワンルームだけれど20畳くらいはあって、そこそこ快適そう。
土間部分と少し高い木の床部分があって靴を脱げるのはありがたい。
モデルとなった場所の小屋がそういう造りになっているのだろうか。
それとも日本サーバだから日本人に使いやすくした仕様なのだろうか。
どちらにせよ快適なのはいいことだ。
清浄魔法をかけた後、中へ入って窓を開けて風を通せばそこそこ快適。
靴をぬいで木製の高床に腰掛ける。
「これなら泊まりになってもそう悪くはないかな。ヴィドー島の避難小屋よりずっと住みやすそうな感じだし。
此処の他の小屋もこんな感じ?」
「ええ。コリション干潟は定期的に討伐をするので、こういった施設を整備してあるという設定です。
それではおやつ休憩にしましょう」
すすすすーっとラッキー君がカリーナちゃんの前へ。
勿論いつものイヤシ行動だ。
「それじゃラッキーの水とおやつを出しますね」
カリーナちゃんは少しだけ深めのお皿を2枚出して、片方に水を、もう片方にラッキー君用に作ったジャーキーを入れる。
これは鶏胸肉を薄切りにして網の上に置き、200度くらいでパリパリになるまで熱して乾かしたもの。
味はつけていないが私が食べても案外美味しい。
かなり固めだがだんだん口の中で柔らかくなって旨みが広がってくるのだ。
ただし今回の私達のおやつはジャーキーではない。
バクラヴァというナッツ入りパイと冷やしたハーブティだ。
バクラヴァのパイ地はレモン果汁シロップがかかっていて、しっとりとしているけれど中はサクサク。
食べてみて、疲れている時の甘味は正義だとしみじみ感じる。
「甘いものって疲れが取れるよね。ただ甘いだけじゃなくて中がサクサク、ナッツの香ばしさとバターの香りなんて凄く贅沢で美味しいし。
でもこれ、パイ生地から全部カリーナの手作りなんだよね。ものすごく大変だと思うんだけれど」
「パイ生地を作るのは楽しいですよ。伸ばして折ってを繰り返した分、層が多くて美味しいのが出来ますから。それにパイ生地を作っておけばいろんな料理に使えて便利です」
そういうものなのだろうか。
私なんかパイどころかクッキーすらうまく焼けない自信があるのだけれど。
「あとミヤさんもラッキーちゃんも美味しそうに食べてくれます。それが楽しいんです」
私としてはそれも申し訳ない。
「ごめん、作って貰ってばかりで」
「いいえ、料理を作るのは好きですから。アイテムボックスに入れておけば傷まないですし」
確かにアイテムボックス、冷蔵庫以上に完璧に保存できて便利だとは思う。
現実でそんなのがあるなら……
私の場合は食べかけのインスタントラーメンを保存する位しかしない気がするけれど。
「この先の砂丘部分はさっきの干潟より楽です。範囲攻撃をして、出てきた敵を遠距離攻撃やラッキー君の攻撃で倒していけば比較的簡単に終わると思います。
その次の湿原も干潟よりは楽です。木道がありますので泥の中を歩かないで済みますから。
その後の雑木林からは敵がスケルトンイエーガーやスケルトンソルジャーになります。この辺りは遠隔攻撃を避けてきますので接近戦になります。ですのであまり数を稼げません。
だから湿原までで出来るだけ敵を数多く倒しておきたいです」
「今日はどの辺まで行けるかな」
「砂丘で出来るだけ粘って敵を多く倒して、その上で湿原を越えて先の小屋まで行ければと思います。明日は雑木林を超えて遺跡にちょっと入って、そして遺跡手前の小屋へ戻る。明後日は遺跡をじっくり回る形で。
遺跡はごくまれにですがそこそこのアイテムを発見できたりします。ですから出来るだけじっくり回りたいです」
なるほど。
その行程で、そして今は10時27分。
という事は……
「なら1日目のこの時間で此処というのは妥当?」
カリーナちゃんは頷く。
「かなり順調だと思います。干潟だけでお昼くらいまでかかるかなと思っていましたから。
これはきっとラッキーちゃんのおかげだと思います。私達以上に敵を倒していたようですから」
確かに思い当たる事はある。
「確かにそうかも。ラッキー、さっきの干潟だけでレベルが3つ上がっていたから」
なお私は1しか上がっていない。つまりラッキー君にレベルを追い抜かれてしまった訳だ。
ん、そう言えば前に疑問に思った事があったな。
カリーナちゃんに聞いてみよう。
「そう言えば本で読んだんだけれど、此処以外のゲームでは、同じパーティなら誰が倒しても皆平等に経験値を配分するらしいよね。
此処だと自分が倒した場合以外、倒したメッセージや経験値取得メッセージは出ないけれど、これって倒した人の総取りで分配は無いと思っていいの?」
此処で健康的? な生活を送っていても、たまには小説だの漫画だのを読みたい時がある訳だ。
なので夜寝る前とかにネット上で読める小説や漫画等を、視界内に別ウィンドウを出して読んだりする。
最近はそうやってゲーム関係の小説や漫画を読むことが結構ある。
そしてそういった本では敵を倒して得た経験値は人数割りで自動配分となっているものがほとんど。
その辺の違いがなんとなく気になっていたのだ。
「メッセージは対象を倒すのに一番貢献した人にしか出ません。でも経験値は関わった人全員に配分されています。ただこの世界の場合、配分は一律人数割りではありません。貢献度合いによって配分されます。
また分配はパーティを組んでいても組んでいなくても関係ありません。倒すのに貢献した全員に対し、貢献した割合に応じて配分されます。
例えば回復担当、敵を引きつける担当、攻撃担当の3人で1体の魔物を倒した場合、3人に経験値は配分されますが、平等に配分されるとは限りません。
攻撃担当と回復担当が弱くて敵をひきつける担当が頑張った場合、敵を引きつける担当が一番経験値を得られます。逆に攻撃担当がほぼ一撃で倒した場合、経験値のほとんどは攻撃担当に行きます」
だいたいわかったような気がする。
つまりだ。
「だからラッキー1人で倒したような場合、ラッキーだけに経験値が入る訳か」
「そうです。今のところ協力して倒すような敵は出てきていないので、倒した人が経験値をほぼそのまま得ています。
そして一般にラッキーちゃんのような従魔の方がレベルを上げにくいです。従魔は基本的に自分が確実に倒せる敵以外とは戦いませんから。
ですからラッキーちゃんがここで経験値を稼げて良かったです」
「わかった。ありがとう」
うん、すっきりした。
「いえ、その辺りはパイアキアン・オンライン、他より複雑に出来ているんです。
ところでラッキーちゃんやミアさん、HPは大丈夫ですよか?」
そう言えばそうだな。
確かに私、結構攻撃を受けてしまった。
ラッキー君もどうだろう。
パスポートを出して確認。
ラッキー君、既にHPは最大値だ。
HPは戦わなければ少しずつ回復していくし、何かを食べれば更に回復する。
きっと受けた攻撃が少なかったので、回復しきったのだろう。
私はまだ20以上減ったままなのだけれど。
「大丈夫。今のおやつで大分回復したし。ラッキーなんかHPは上限の207まで回復している位だし」
「という事は、あれだけ干潟を走り回っていてもあまり攻撃を受けていなかったんですね」
「そうみたい」
そう言えば戦闘中に確認した時そうだったよなと思い出した。私は50以上ダメージを蓄積していた時、ラッキー君は3しかダメージを受けていなかったなと。
「ミヤさんは大丈夫ですか?」
「最大244で今が205。カリーナは?」
「最大値が495で現在値487です。これならまだ皆、回復薬は必要無いですね」
どうやら私が一番攻撃を受けてしまっていたようだ。
これは身体の大きさ故なのだろうか。
それとも単にどんくさかったからだろうか。
確かに現実での私はどんくさい方だ。
でもこの世界でのミヤは運動神経抜群だった筈。
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