63 / 139
第11章 コリション干潟攻略開始
第62話 最初の干潟
しおりを挟む
近くに見える魔物はひととおり倒した。
しかしそれでも気は抜けない。
ラッキー君は干潟部分をダッシュしては水面下などで見えない敵を見つけて倒しているし、まだまだ敵はいそう。
「見えないけれど敵はいるんだよね」
「ええ。泥の中や水中に隠れています。種類は泥スライム、潮スライム、泥魚、黒色魔カメといった辺りです」
見えないと攻撃しようが無い。
試しに散弾突きで水面と泥面、広範囲に攻撃してみた。
でもこの攻撃に触発されて上に出てくるなんて事はない。
泥が跳ねるだけだ。
「これって結局、泥の中を闇雲に歩いて、出てきたのを倒すしかないの?」
「そうです。ゆっくり歩けば沈みません。泥だらけになるのは仕方ないですけれど。
あと慎重に行かないと敵の攻撃が当たってしまいます。防具の服を着ているから被害はそれほどではないと思いますけれど、地味にHPが減ります。
HPが100以下になったら初級治療薬で回復して下さい」
地道に倒すしかないようだ。
仕方ない。
全神経を集中して一歩ずつ進んでは、動きがある部分を狙って攻撃していく。
ある程度以上近づくと泥魚は飛び跳ねて攻撃してくるし、カメの場合は噛みつかれる。
地味に痛いしダメージを食らう。
ラッキー君は大丈夫だろうか。
何度目かの泥魚の突撃を受けた後、パスポートを開いて確認してみる。
ラッキー君のHPは最大189のところ186で、まだ3つしか減っていない。
私は最大238で現在が185。
どうもラッキー君の方がここの戦いに向いているようだ。
あと私、結構攻撃を食らっている。
今着ている服に防具の機能があるおかげで1回に2位しかダメージは無いけれど。
ここは着実に戦うしかないのだろう。
カリーナちゃんもそうしているし。
一歩前に出る。
泥の中からコッペパンくらいの塊が飛んできた。
刃部分では間に合わないので柄の部分で受ける。
ただ受けるだけではなく腕と手首で少し勢いをつけ、叩きつけるような感じで。
『泥魚を倒した。経験値55を獲得。泥魚の死骸を入手可能です。収納しますか?』
そう、面倒だけれど経験値は悪くない。
スケルトンよりもずっと上だ。
それがこれだけ狩れるのだからレベルだって上がる筈。
そう思った直後、背後で気配を感じた気がした。
咄嗟に振り向いてグレイブの柄で対処しようとするが間に合わない。
脇腹のところに結構痛い一撃。
『ミヤは2のダメージ』
こなくそ、泥魚が落ちた場所をグレイブで突き刺す。
『泥魚を倒した。経験値55を獲得。泥魚の死骸を入手可能です。収納しますか?』
今のは結構痛かった。
初級治療薬を使うほどではないけれど。
「これってどれくらい倒せばいいの?」
「大体1人50匹程度で打ち止めになります。ここがいちばん短時間で経験値を稼げるので、それまで我慢してください」
なら仕方ない。
カリーナちゃんには私とラッキー君のレベルアップを手伝って貰っているのだし。
最大限に注意して一歩踏み出す。
にゅるっ、反射的にグレイブを突き刺す。
「潮スライムを倒した。経験値25を獲得。潮スライムの魔石を入手可能です。収納しますか?』
◇◇◇
さてあと一歩、そう思った時だった。
『コリション干潟東側の魔物・魔獣を一掃しました。ただし他から魔物や魔獣が入ってくれば、また同じ状況になるでしょう。
特別経験値500を獲得。
ミヤ・アカワはレベルが上がった! HPが6、MP6……』
そんな言葉が視界中央に表示された。
これでこの場所はクリアなのだろうか。
メッセージを最後まで確認してからカリーナちゃんに尋ねる。
「これで此処の魔物相手は終わりって事?」
「そうです。次はこの先を北西方向に進んで、砂丘部分の魔物と戦う事になります。出てくる敵は五線ヘビ、黄色魔カメ、砂イグアナといった辺りです」
泥ではなく砂丘か。少しだけ希望が持てる気がする。
「砂の上ならまだ泥や水の中よりは見つけやすいよね」
「ええ。砂の中に潜っている場合もありますが、近くの砂に攻撃を当てると這い出てきますから」
良かった。此処よりは楽そうだ。
「この先、砂丘との境に休憩小屋があります。そこで一休みしてから進みましょう」
確かにその方がいいだろうと自分でも思う。
精神的に疲れたし、そこそこダメージも食らっているし。
治療薬が必要な程ではないけれど。
「そうだね。ちょっと疲れたし」
そんな事を話しているとラッキー君が近くへ戻ってきた。
泥だらけだけれどご機嫌で、なおかつ元気だ。
尻尾ふりふりで泥が跳ね上がって非常に迷惑。
ただ此処で清浄魔法を使ってもすぐ汚れそうだ。
なので地面が泥でなくなるまで我慢しおう。
北西へ歩いて行くと干潟から岩場っぽい場所に出る。
陸地側はここから乾いた砂地だ。
もうここからは泥に悩まされることはないだろう。
「清浄魔法をかけるよ」
全員に清浄魔法をかける。
魔法、こういう時はやっぱり便利だ。
これでラッキー君を撫でても泥がつかないし、ラッキー君の尻尾ぶんぶんや身体ぶるぶるで泥が飛んだりもしない。
「ラッキーちゃんもがんばりましたね」
カリーナちゃんがラッキー君を撫でると、ラッキー君もぴたっとカリーナちゃんにくっつく。
うん、可愛い。
カリーナちゃんもラッキー君も。
岩場の先、500m位先に小さな小屋が見えた。
「あれが休憩用の小屋?」
「そうです。宿泊する事も可能ですけれど、今日はまだ時間があるので休憩だけして先へ進むつもりです」
「わかった。正直疲れたからおやつにしない?」
「そうですね」
うんうんとラッキー君が頷いた気がした。
こういう話に関しては言葉を理解するのだ、犬という動物は。
魔犬であってもその辺は変わらない模様。
少なくともラッキー君の場合は。
しかしそれでも気は抜けない。
ラッキー君は干潟部分をダッシュしては水面下などで見えない敵を見つけて倒しているし、まだまだ敵はいそう。
「見えないけれど敵はいるんだよね」
「ええ。泥の中や水中に隠れています。種類は泥スライム、潮スライム、泥魚、黒色魔カメといった辺りです」
見えないと攻撃しようが無い。
試しに散弾突きで水面と泥面、広範囲に攻撃してみた。
でもこの攻撃に触発されて上に出てくるなんて事はない。
泥が跳ねるだけだ。
「これって結局、泥の中を闇雲に歩いて、出てきたのを倒すしかないの?」
「そうです。ゆっくり歩けば沈みません。泥だらけになるのは仕方ないですけれど。
あと慎重に行かないと敵の攻撃が当たってしまいます。防具の服を着ているから被害はそれほどではないと思いますけれど、地味にHPが減ります。
HPが100以下になったら初級治療薬で回復して下さい」
地道に倒すしかないようだ。
仕方ない。
全神経を集中して一歩ずつ進んでは、動きがある部分を狙って攻撃していく。
ある程度以上近づくと泥魚は飛び跳ねて攻撃してくるし、カメの場合は噛みつかれる。
地味に痛いしダメージを食らう。
ラッキー君は大丈夫だろうか。
何度目かの泥魚の突撃を受けた後、パスポートを開いて確認してみる。
ラッキー君のHPは最大189のところ186で、まだ3つしか減っていない。
私は最大238で現在が185。
どうもラッキー君の方がここの戦いに向いているようだ。
あと私、結構攻撃を食らっている。
今着ている服に防具の機能があるおかげで1回に2位しかダメージは無いけれど。
ここは着実に戦うしかないのだろう。
カリーナちゃんもそうしているし。
一歩前に出る。
泥の中からコッペパンくらいの塊が飛んできた。
刃部分では間に合わないので柄の部分で受ける。
ただ受けるだけではなく腕と手首で少し勢いをつけ、叩きつけるような感じで。
『泥魚を倒した。経験値55を獲得。泥魚の死骸を入手可能です。収納しますか?』
そう、面倒だけれど経験値は悪くない。
スケルトンよりもずっと上だ。
それがこれだけ狩れるのだからレベルだって上がる筈。
そう思った直後、背後で気配を感じた気がした。
咄嗟に振り向いてグレイブの柄で対処しようとするが間に合わない。
脇腹のところに結構痛い一撃。
『ミヤは2のダメージ』
こなくそ、泥魚が落ちた場所をグレイブで突き刺す。
『泥魚を倒した。経験値55を獲得。泥魚の死骸を入手可能です。収納しますか?』
今のは結構痛かった。
初級治療薬を使うほどではないけれど。
「これってどれくらい倒せばいいの?」
「大体1人50匹程度で打ち止めになります。ここがいちばん短時間で経験値を稼げるので、それまで我慢してください」
なら仕方ない。
カリーナちゃんには私とラッキー君のレベルアップを手伝って貰っているのだし。
最大限に注意して一歩踏み出す。
にゅるっ、反射的にグレイブを突き刺す。
「潮スライムを倒した。経験値25を獲得。潮スライムの魔石を入手可能です。収納しますか?』
◇◇◇
さてあと一歩、そう思った時だった。
『コリション干潟東側の魔物・魔獣を一掃しました。ただし他から魔物や魔獣が入ってくれば、また同じ状況になるでしょう。
特別経験値500を獲得。
ミヤ・アカワはレベルが上がった! HPが6、MP6……』
そんな言葉が視界中央に表示された。
これでこの場所はクリアなのだろうか。
メッセージを最後まで確認してからカリーナちゃんに尋ねる。
「これで此処の魔物相手は終わりって事?」
「そうです。次はこの先を北西方向に進んで、砂丘部分の魔物と戦う事になります。出てくる敵は五線ヘビ、黄色魔カメ、砂イグアナといった辺りです」
泥ではなく砂丘か。少しだけ希望が持てる気がする。
「砂の上ならまだ泥や水の中よりは見つけやすいよね」
「ええ。砂の中に潜っている場合もありますが、近くの砂に攻撃を当てると這い出てきますから」
良かった。此処よりは楽そうだ。
「この先、砂丘との境に休憩小屋があります。そこで一休みしてから進みましょう」
確かにその方がいいだろうと自分でも思う。
精神的に疲れたし、そこそこダメージも食らっているし。
治療薬が必要な程ではないけれど。
「そうだね。ちょっと疲れたし」
そんな事を話しているとラッキー君が近くへ戻ってきた。
泥だらけだけれどご機嫌で、なおかつ元気だ。
尻尾ふりふりで泥が跳ね上がって非常に迷惑。
ただ此処で清浄魔法を使ってもすぐ汚れそうだ。
なので地面が泥でなくなるまで我慢しおう。
北西へ歩いて行くと干潟から岩場っぽい場所に出る。
陸地側はここから乾いた砂地だ。
もうここからは泥に悩まされることはないだろう。
「清浄魔法をかけるよ」
全員に清浄魔法をかける。
魔法、こういう時はやっぱり便利だ。
これでラッキー君を撫でても泥がつかないし、ラッキー君の尻尾ぶんぶんや身体ぶるぶるで泥が飛んだりもしない。
「ラッキーちゃんもがんばりましたね」
カリーナちゃんがラッキー君を撫でると、ラッキー君もぴたっとカリーナちゃんにくっつく。
うん、可愛い。
カリーナちゃんもラッキー君も。
岩場の先、500m位先に小さな小屋が見えた。
「あれが休憩用の小屋?」
「そうです。宿泊する事も可能ですけれど、今日はまだ時間があるので休憩だけして先へ進むつもりです」
「わかった。正直疲れたからおやつにしない?」
「そうですね」
うんうんとラッキー君が頷いた気がした。
こういう話に関しては言葉を理解するのだ、犬という動物は。
魔犬であってもその辺は変わらない模様。
少なくともラッキー君の場合は。
12
お気に入りに追加
53
あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
【完結】バグった俺と、依存的な引きこもり少女。 ~幼馴染は俺以外のセカイを知りたがらない~
山須ぶじん
SF
異性に関心はありながらも初恋がまだという高校二年生の少年、赤土正人(あかつちまさと)。
彼は毎日放課後に、一つ年下の引きこもりな幼馴染、伊武翠華(いぶすいか)という名の少女の家に通っていた。毎日訪れた正人のニオイを、密着し顔を埋めてくんくん嗅ぐという変わったクセのある女の子である。
そんな彼女は中学時代イジメを受けて引きこもりになり、さらには両親にも見捨てられて、今や正人だけが世界のすべて。彼に見捨てられないためなら、「なんでもする」と言ってしまうほどだった。
ある日、正人は来栖(くるす)という名のクラスメイトの女子に、愛の告白をされる。しかし告白するだけして彼女は逃げるように去ってしまい、正人は仕方なく返事を明日にしようと思うのだった。
だが翌日――。来栖は姿を消してしまう。しかも誰も彼女のことを覚えていないのだ。
それはまるで、最初から存在しなかったかのように――。
※第18回講談社ラノベ文庫新人賞の第2次選考通過、最終選考落選作品。
※『小説家になろう』『カクヨム』でも掲載しています。

貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる