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第9章 レベルアップの為の準備(1)
第54話 装備の購入
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装備の購入は2時間ちょっとかかった。
いや、私の分は割とあっさり揃ったのだ。
武器も防具も含めて。
ただし誘惑だの障害だのが全くなかった訳では無い。
「どうせならミヤさんの、少しお洒落な色とデザインにしませんか?」
カリーナちゃんがそう言ったし、なら少し色合いやデザインに凝ってもいいかな。
一瞬そう思ったなんてのもあったりする。
しかし私は自分の服装のセンスに自信が無い。
それにカリーナちゃん、着ている服が地味というか簡単だ。
白い半袖Tシャツに紺色の腿くらいまでのショートパンツ、その上に黄土色の、大きいフード付き長いコートを羽織っている状態。
だからカリーナちゃんに言ってみる。
「カリーナもお洒落なのにしたらお揃いにしようかな」
「私はこれで充分です」
あっさりと逃げられてしまった。
なら私の方も別に普通の外見でいいだろう。
そんな訳で此処では一般的な上衣とズボンを購入。
上衣は長袖で膝上くらいまでの長さのチュニック。
色はモスグリーンで腰にベルトがついている。
下はくるぶしくらいの黒色ズボンで裾は靴に入れるらしい。
このデザインにした理由は簡単だ。
こうした『いかにもファンタジーっぽい色と形の服装』は他のデザインより安価だったから。
どうやらゲーム内の雰囲気を維持する為、そうしている模様。
着心地は悪くない。
確かに布は厚めに感じるけれど、それでもキルティングよりは薄いし。
動きも阻害されている感じはないし、重さもそう感じない。
これで剣や牙、爪を防げるなら悪くないと思う。
武器は少しだけ迷った。
投げ突き両用の槍か、切り払い・突きの薙刀やグレイブか。
ほぼ同じような武器なのだけれど先端部だけ違うのだ。
ここで迷いを一気にふっとばしたのがカリーナちゃんだった。
「迷うという事はどっちも使う可能性があるという事なんです。だから両方買った方がいいです。いざという時に後悔しないで済みます」
お金が勿体ない。
そう思ったけれど、結局はカリーナちゃんに押し切られた結果二本とも購入。
槍は真っ直ぐな素槍で、グレイブはそり少なめのもの。
穂の部分以外はほぼ同じで全長160cm、刃渡り30cmくらい。
だから時間がかかったのは私の装備では無い。
ラッキー君用の装備、防護服だ。
理由のひとつはラッキー君が服を好きではなかった事。
前足後ろ足を通すタイプは着せるのが大変というか無理な感じ。
着せようとすると嫌がって逃げる。
「もっと簡単な形はないですか?」
これでは着せるのは無理だ。
そう思ったのでお店の人に聞いてみた。
「足部分の防護が弱いですけれど、こんなのはどうでしょうか?」
店員さんが出してくれたのは首を通した後、胴体部分をバックルで留めるタイプ。
確かにこれなら大分楽だろう。
なので早速試着してみる。
まずはラッキー君に言い聞かせる作業から。
「ラッキー、今度からもう少し強い敵が出る場所に行くからね。これを着ないとお留守番になるよ。だからちゃんと着て」
わんこには言葉は通じないかもしれない。
それでもこちらが言っている事の意味は何となく雰囲気で読んでくれる。
だからこうやって説明する事は無駄ではない筈だ。
その説明を理解したのだろうか。
何とかラッキー君、簡易タイプの方は試着してくれた。
大きさがこれでわかったしデザインもほぼ決まったので、あとは色と柄だけ。
そして時間がかかった理由その2。
私とカリーナちゃん、色とデザインで迷ったから。
「ラッキーちゃん、赤が似合う気がします」
そう、確かに真っ赤は良く似合った。
それは私も認める。
しかしだ。
「でも敵に見つかりやすくない、真っ赤って」
「確かに……そうですね」
でも黒はいまひとつ似合わない。
あと茶色やカーキもあわない気がする。
ラッキーが疲れて伏せてしまうまで試行錯誤した結果、やっと緑色に決まった。
モスグリーンとかではなく割と鮮やかな緑色だ。
「ラッキーちゃん、はっきりした色が似合いますよね」
「緑ならまあいいよね」
似合う色と外で目立ちすぎない色の妥協点でそう決定。
なお私やラッキー君の防護服はセミオーダー。
注文後2時間くらいで仕立てるというシステムだ。
「今日の夕方6時頃に出来ますから受け取りに来て下さい」
「御願いします」
合計10万8千Cを支払って店を出る。
なおラッキー君用の耐刃耐炎防水服はカリーナちゃんが半額の1万Cを出してくれた。
「ラッキーちゃんは私達のパーティ員です。だから装備も共同で出すのが当然です」
そう言って。
それでも私の手持ち資金は残り2,000Cちょい位。
余裕はあまり無い。
だから冒険者ギルドへと向かう途中、カリーナちゃんにに聞いてみる。
「冒険者ギルドって登録にどれくらいお金がかかる?」
「登録は初年度の会費を含め1人300Cです。あとラッキーちゃんの登録でやっぱり300Cかかります」
「錬金術ギルドより大分安いね」
あっちは年会費が1,000C。
その3割だ。
「錬金術ギルドと比べて所属人数が圧倒的に多いですから。あと錬金術師はそこそこお金を持っている人が多いですけれど、冒険者はピンキリです。あまり高くすると払えなくなる人が出るので、これくらいが限度なのではないかと思います」
なるほど。
なら登録は問題無い。
ただ技を覚えるのは今回は諦めた。
以前カリーナちゃんが言っていたからだ。
『技を覚える為の講習もやっています。講習は3時間で2,000C程度のものからありますので、すぐに覚えるには便利です』
私の現在の所持金では2,000Cは辛い。
だから技の習得関係は後にしよう。
「冒険者ギルド、登録だけでいいや。今日は」
「相談だけなら無料です。どんな習得方法があって幾らくらいかかるのか、聞いておいた方がいいと思います」
どうやらカリーナちゃん、私の思考や懐事情を把握済みの模様だ。
ラッキー君の装備料金折半もきっとその辺を察したからだろう。
何と言うか申し訳ない。
いや、私の分は割とあっさり揃ったのだ。
武器も防具も含めて。
ただし誘惑だの障害だのが全くなかった訳では無い。
「どうせならミヤさんの、少しお洒落な色とデザインにしませんか?」
カリーナちゃんがそう言ったし、なら少し色合いやデザインに凝ってもいいかな。
一瞬そう思ったなんてのもあったりする。
しかし私は自分の服装のセンスに自信が無い。
それにカリーナちゃん、着ている服が地味というか簡単だ。
白い半袖Tシャツに紺色の腿くらいまでのショートパンツ、その上に黄土色の、大きいフード付き長いコートを羽織っている状態。
だからカリーナちゃんに言ってみる。
「カリーナもお洒落なのにしたらお揃いにしようかな」
「私はこれで充分です」
あっさりと逃げられてしまった。
なら私の方も別に普通の外見でいいだろう。
そんな訳で此処では一般的な上衣とズボンを購入。
上衣は長袖で膝上くらいまでの長さのチュニック。
色はモスグリーンで腰にベルトがついている。
下はくるぶしくらいの黒色ズボンで裾は靴に入れるらしい。
このデザインにした理由は簡単だ。
こうした『いかにもファンタジーっぽい色と形の服装』は他のデザインより安価だったから。
どうやらゲーム内の雰囲気を維持する為、そうしている模様。
着心地は悪くない。
確かに布は厚めに感じるけれど、それでもキルティングよりは薄いし。
動きも阻害されている感じはないし、重さもそう感じない。
これで剣や牙、爪を防げるなら悪くないと思う。
武器は少しだけ迷った。
投げ突き両用の槍か、切り払い・突きの薙刀やグレイブか。
ほぼ同じような武器なのだけれど先端部だけ違うのだ。
ここで迷いを一気にふっとばしたのがカリーナちゃんだった。
「迷うという事はどっちも使う可能性があるという事なんです。だから両方買った方がいいです。いざという時に後悔しないで済みます」
お金が勿体ない。
そう思ったけれど、結局はカリーナちゃんに押し切られた結果二本とも購入。
槍は真っ直ぐな素槍で、グレイブはそり少なめのもの。
穂の部分以外はほぼ同じで全長160cm、刃渡り30cmくらい。
だから時間がかかったのは私の装備では無い。
ラッキー君用の装備、防護服だ。
理由のひとつはラッキー君が服を好きではなかった事。
前足後ろ足を通すタイプは着せるのが大変というか無理な感じ。
着せようとすると嫌がって逃げる。
「もっと簡単な形はないですか?」
これでは着せるのは無理だ。
そう思ったのでお店の人に聞いてみた。
「足部分の防護が弱いですけれど、こんなのはどうでしょうか?」
店員さんが出してくれたのは首を通した後、胴体部分をバックルで留めるタイプ。
確かにこれなら大分楽だろう。
なので早速試着してみる。
まずはラッキー君に言い聞かせる作業から。
「ラッキー、今度からもう少し強い敵が出る場所に行くからね。これを着ないとお留守番になるよ。だからちゃんと着て」
わんこには言葉は通じないかもしれない。
それでもこちらが言っている事の意味は何となく雰囲気で読んでくれる。
だからこうやって説明する事は無駄ではない筈だ。
その説明を理解したのだろうか。
何とかラッキー君、簡易タイプの方は試着してくれた。
大きさがこれでわかったしデザインもほぼ決まったので、あとは色と柄だけ。
そして時間がかかった理由その2。
私とカリーナちゃん、色とデザインで迷ったから。
「ラッキーちゃん、赤が似合う気がします」
そう、確かに真っ赤は良く似合った。
それは私も認める。
しかしだ。
「でも敵に見つかりやすくない、真っ赤って」
「確かに……そうですね」
でも黒はいまひとつ似合わない。
あと茶色やカーキもあわない気がする。
ラッキーが疲れて伏せてしまうまで試行錯誤した結果、やっと緑色に決まった。
モスグリーンとかではなく割と鮮やかな緑色だ。
「ラッキーちゃん、はっきりした色が似合いますよね」
「緑ならまあいいよね」
似合う色と外で目立ちすぎない色の妥協点でそう決定。
なお私やラッキー君の防護服はセミオーダー。
注文後2時間くらいで仕立てるというシステムだ。
「今日の夕方6時頃に出来ますから受け取りに来て下さい」
「御願いします」
合計10万8千Cを支払って店を出る。
なおラッキー君用の耐刃耐炎防水服はカリーナちゃんが半額の1万Cを出してくれた。
「ラッキーちゃんは私達のパーティ員です。だから装備も共同で出すのが当然です」
そう言って。
それでも私の手持ち資金は残り2,000Cちょい位。
余裕はあまり無い。
だから冒険者ギルドへと向かう途中、カリーナちゃんにに聞いてみる。
「冒険者ギルドって登録にどれくらいお金がかかる?」
「登録は初年度の会費を含め1人300Cです。あとラッキーちゃんの登録でやっぱり300Cかかります」
「錬金術ギルドより大分安いね」
あっちは年会費が1,000C。
その3割だ。
「錬金術ギルドと比べて所属人数が圧倒的に多いですから。あと錬金術師はそこそこお金を持っている人が多いですけれど、冒険者はピンキリです。あまり高くすると払えなくなる人が出るので、これくらいが限度なのではないかと思います」
なるほど。
なら登録は問題無い。
ただ技を覚えるのは今回は諦めた。
以前カリーナちゃんが言っていたからだ。
『技を覚える為の講習もやっています。講習は3時間で2,000C程度のものからありますので、すぐに覚えるには便利です』
私の現在の所持金では2,000Cは辛い。
だから技の習得関係は後にしよう。
「冒険者ギルド、登録だけでいいや。今日は」
「相談だけなら無料です。どんな習得方法があって幾らくらいかかるのか、聞いておいた方がいいと思います」
どうやらカリーナちゃん、私の思考や懐事情を把握済みの模様だ。
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