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第9章 レベルアップの為の準備(1)
第50話 AIカレンさんの返答
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翌日の午後0時ちょい前、錬金術師ギルド2階。
「それではこの試験結果確認表を支部長に提出して下さい。引き換えで認定証を交付致します」
「わかりました。ありがとうございました」
そう、無事ギルド認定錬金術師(中級)に合格した訳だ。
相変わらず機械的で人間らしさに欠けるデミオさんから確認表を貰って、1階の錬金術ギルドカウンターへ。
「あ~らミヤちゃん、試験は終わったぁ?」
カレンさんから声がかかる。
私には今のカレンさんの中身がどっちか、この時点では判断出来ない。
現実は平日の午前中だからおそらく中身はAIの筈。
でも挨拶や受け答え程度ではAIだとわからないのだ。
「無事終わりました。これが試験結果確認表です」
以前と同様にカウンターに座って、デミオさんから受け取った確認表を渡す。
「あら、優秀じゃない。それじゃこれ、認定証よぉ」
カレンさんから受け取ると同時に、前回と似たようなメッセージが流れる。
『ギルド認定錬金術師(中級)に合格しました。称号に『ギルド認定錬金術師(中級)』が追加されます。
○ アンデット・死霊系魔物忌避剤
○ アンデット・死霊系魔物攻撃強化剤
○ アンデット・死霊系魔物不活性化剤
○ 一般魔物・魔獣忌避剤
○ 身体強化薬
○ 鎮痛薬
なお他の薬品及び製品を作る場合、成功率が4割上昇します』
よし、これでお高い薬も自動で作れる。
何気に魔物不活性化剤やアンデット・死霊系魔物攻撃強化剤、作るのが難しいのだ。
魔力釜に注ぐ魔力の量と呪文のタイミングがシビアで。
「それで最近はどう? もうカリーナちゃんに会った?」
このカレンさん、中身は人間とAIどっちなのだろう?
そう思いつつ私はカレンさんに答える。
「魔物討伐も薬草採取も順調です。カリーナさんとは今、家に来て貰って錬金術を教わったり料理を御願いしたりしています」
「良かったわ。カリーナちゃんは本当は一人じゃない方がいいから」
ん? どういう意味だろう。
どっちのカレンさんがどういう意味で言ったのだろう。
ちょっとだけ迷ったけれど、口に出してみる。
「どういう意味か、聞いていいですか?」
「これからいう事はAIじゃない私の言動からAIの私が類推した事よ。だから間違ってはいないとは思うけれど、あくまでAIの私の意見として聞いてねっ♡」
カレンさんはそう前置きした後、一呼吸おいて続ける。
「カリーナちゃんは森の中の一軒家に引きこもっているけれどねぇ。本当は友達か何か近くにいてくれる人を欲しがっている。そんな気がしたからよぉ。
カリーナちゃんから聞いたかもしれないけれど、以前はコルサちゃんって分身は男の子、中身は女の子の戦士と一緒に3人パーティで攻略をしていたのよ。
あの頃のカリーナちゃんは話し好きで明るい子だったのよ。コルサちゃんと同じくらいの年齢というのもあるかもしれないけれど」
話し好きというのは何となくわかる気がする。
今の生活では私からよりカリーナちゃんからの方が話しかけてくる事が多いし。
話題がちょっと暗くなってラッキー君に状況回復を御願いする事も時々あるけれど。
「ただ3人パーティになって1年ほど、現実の時間だと2週間ちょいで私が治療槽から一般病室へ移動になって。
それでも何とかVRゴーグルでこっちの毎日は無理だけれど参戦していたんだけれどね。半年、現実の1週間ちょいで退院して、更に現実の1週間ちょいで限定的ながら職場復帰するとそれも難しくなって」
確かにVRゴーグルでは辛いと思う。
何せ現実と仮想では時間の流れが違う。
仮想は24倍速が標準だ。
現実で5分トイレに行くだけで、仮想では2時間が過ぎてしまう。
食事だの何だの、更には睡眠時間なんてのも現実時間で行うと考えると、仮想では日単位の不在期間が出来てしまう訳だ。
まして社会復帰して、時短勤務でも職場に行くとなると……
同じ時間で参加するのは不可能だろう。
「それでも現実の1日に1回は此処へ来てVRゴーグルで様子を見ていたんだけれどね。会いに行ったりはしないけれどダンジョンやイベントの新規攻略ログで2人の名前を探して、ああ今もやっているんだなと安心したりして。
そして初めての休日、じっくり入れるし久しぶりに会いに行ってもいいかしらと思ってログインしたら。コルサちゃんのIDが無くなって、そしてカリーナちゃんはメリティイースの森で一人暮らしをしていたの。
『攻略はもういいです。ここで一人で静かに暮らしていこうと思います』
カリーナちゃん、そんな感じで。他人に会わなくなってというか、会うのが怖いという感じになって。
どうしてなのか、理由は聞けなかったわ。何か聞いても『もういいんです。そう思ったんです』としか言わない状態だったし」
コルサさんが亡くなった、というのが私が真っ先に思いついた可能性。
でもそれ以外の何かという可能性もある。
だから此処は断定しない方がいい。
カレンさんもそういう言い方をしていると感じるし。
「調べてみると、仮想世界に長く居すぎた人には結構ある事らしいのよ。場合によっては自分の仮想世界を現実以上にゆっくりの速度に減速して引きこもったりなんて事例もあるみたいなの。
もちろんそれでは24倍速が標準のネット上の仮想世界やゲーム等とは時間が合わない。だからそういう場合は、1人で遊べるゲームをしていたり読書をしていたりするみたいだけれど」
生きるのに疲れた、という感じだろうか。
何せ24倍速、現実世界の5年は仮想の120年。
そういう感覚になる人がいても不思議ではない気がする。
私にはまだ実感としてわからない世界ではあるけれど。
「でもカリーナちゃんはそこまで長い事仮想世界で生きている訳じゃない。それにそんな事を言いつつもこのゲームに来ている。
だからきっとまだ誰かと話したい、会いたいという心が何処かに残っているんだろう。そう私は思うわけなのよ。
だからミヤちゃんに御願いした訳。カリーナちゃんに会いに行って欲しいって。明らかに病院組ではなくて、それでもずっとこの世界にいて、そしてある程度大人で人格的にも大丈夫そうなミヤちゃんに」
「それではこの試験結果確認表を支部長に提出して下さい。引き換えで認定証を交付致します」
「わかりました。ありがとうございました」
そう、無事ギルド認定錬金術師(中級)に合格した訳だ。
相変わらず機械的で人間らしさに欠けるデミオさんから確認表を貰って、1階の錬金術ギルドカウンターへ。
「あ~らミヤちゃん、試験は終わったぁ?」
カレンさんから声がかかる。
私には今のカレンさんの中身がどっちか、この時点では判断出来ない。
現実は平日の午前中だからおそらく中身はAIの筈。
でも挨拶や受け答え程度ではAIだとわからないのだ。
「無事終わりました。これが試験結果確認表です」
以前と同様にカウンターに座って、デミオさんから受け取った確認表を渡す。
「あら、優秀じゃない。それじゃこれ、認定証よぉ」
カレンさんから受け取ると同時に、前回と似たようなメッセージが流れる。
『ギルド認定錬金術師(中級)に合格しました。称号に『ギルド認定錬金術師(中級)』が追加されます。
○ アンデット・死霊系魔物忌避剤
○ アンデット・死霊系魔物攻撃強化剤
○ アンデット・死霊系魔物不活性化剤
○ 一般魔物・魔獣忌避剤
○ 身体強化薬
○ 鎮痛薬
なお他の薬品及び製品を作る場合、成功率が4割上昇します』
よし、これでお高い薬も自動で作れる。
何気に魔物不活性化剤やアンデット・死霊系魔物攻撃強化剤、作るのが難しいのだ。
魔力釜に注ぐ魔力の量と呪文のタイミングがシビアで。
「それで最近はどう? もうカリーナちゃんに会った?」
このカレンさん、中身は人間とAIどっちなのだろう?
そう思いつつ私はカレンさんに答える。
「魔物討伐も薬草採取も順調です。カリーナさんとは今、家に来て貰って錬金術を教わったり料理を御願いしたりしています」
「良かったわ。カリーナちゃんは本当は一人じゃない方がいいから」
ん? どういう意味だろう。
どっちのカレンさんがどういう意味で言ったのだろう。
ちょっとだけ迷ったけれど、口に出してみる。
「どういう意味か、聞いていいですか?」
「これからいう事はAIじゃない私の言動からAIの私が類推した事よ。だから間違ってはいないとは思うけれど、あくまでAIの私の意見として聞いてねっ♡」
カレンさんはそう前置きした後、一呼吸おいて続ける。
「カリーナちゃんは森の中の一軒家に引きこもっているけれどねぇ。本当は友達か何か近くにいてくれる人を欲しがっている。そんな気がしたからよぉ。
カリーナちゃんから聞いたかもしれないけれど、以前はコルサちゃんって分身は男の子、中身は女の子の戦士と一緒に3人パーティで攻略をしていたのよ。
あの頃のカリーナちゃんは話し好きで明るい子だったのよ。コルサちゃんと同じくらいの年齢というのもあるかもしれないけれど」
話し好きというのは何となくわかる気がする。
今の生活では私からよりカリーナちゃんからの方が話しかけてくる事が多いし。
話題がちょっと暗くなってラッキー君に状況回復を御願いする事も時々あるけれど。
「ただ3人パーティになって1年ほど、現実の時間だと2週間ちょいで私が治療槽から一般病室へ移動になって。
それでも何とかVRゴーグルでこっちの毎日は無理だけれど参戦していたんだけれどね。半年、現実の1週間ちょいで退院して、更に現実の1週間ちょいで限定的ながら職場復帰するとそれも難しくなって」
確かにVRゴーグルでは辛いと思う。
何せ現実と仮想では時間の流れが違う。
仮想は24倍速が標準だ。
現実で5分トイレに行くだけで、仮想では2時間が過ぎてしまう。
食事だの何だの、更には睡眠時間なんてのも現実時間で行うと考えると、仮想では日単位の不在期間が出来てしまう訳だ。
まして社会復帰して、時短勤務でも職場に行くとなると……
同じ時間で参加するのは不可能だろう。
「それでも現実の1日に1回は此処へ来てVRゴーグルで様子を見ていたんだけれどね。会いに行ったりはしないけれどダンジョンやイベントの新規攻略ログで2人の名前を探して、ああ今もやっているんだなと安心したりして。
そして初めての休日、じっくり入れるし久しぶりに会いに行ってもいいかしらと思ってログインしたら。コルサちゃんのIDが無くなって、そしてカリーナちゃんはメリティイースの森で一人暮らしをしていたの。
『攻略はもういいです。ここで一人で静かに暮らしていこうと思います』
カリーナちゃん、そんな感じで。他人に会わなくなってというか、会うのが怖いという感じになって。
どうしてなのか、理由は聞けなかったわ。何か聞いても『もういいんです。そう思ったんです』としか言わない状態だったし」
コルサさんが亡くなった、というのが私が真っ先に思いついた可能性。
でもそれ以外の何かという可能性もある。
だから此処は断定しない方がいい。
カレンさんもそういう言い方をしていると感じるし。
「調べてみると、仮想世界に長く居すぎた人には結構ある事らしいのよ。場合によっては自分の仮想世界を現実以上にゆっくりの速度に減速して引きこもったりなんて事例もあるみたいなの。
もちろんそれでは24倍速が標準のネット上の仮想世界やゲーム等とは時間が合わない。だからそういう場合は、1人で遊べるゲームをしていたり読書をしていたりするみたいだけれど」
生きるのに疲れた、という感じだろうか。
何せ24倍速、現実世界の5年は仮想の120年。
そういう感覚になる人がいても不思議ではない気がする。
私にはまだ実感としてわからない世界ではあるけれど。
「でもカリーナちゃんはそこまで長い事仮想世界で生きている訳じゃない。それにそんな事を言いつつもこのゲームに来ている。
だからきっとまだ誰かと話したい、会いたいという心が何処かに残っているんだろう。そう私は思うわけなのよ。
だからミヤちゃんに御願いした訳。カリーナちゃんに会いに行って欲しいって。明らかに病院組ではなくて、それでもずっとこの世界にいて、そしてある程度大人で人格的にも大丈夫そうなミヤちゃんに」
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