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第7章 中級薬剤の威力確認
第38話 まずはいつもの相手から
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ラッキーの首筋にアンデット・死霊系魔物忌避剤を3滴。
あと短剣にアンデット・死霊系魔物攻撃強化剤をやはり3滴。
狂戦士の戦斧を選ばなかったのは大きさと重さ。
通路や屋根のある場所では戦斧は少々大きすぎる。
軽くて振り回しやすく剣技も出しやすい短剣の方がいいだろう。
カリーナちゃんがコートを脱いでアイテムボックスに仕舞った。
更に肘くらいまである長い手袋を両手にはめる。
白い革製で、所々に金属の部品がついたものだ。
「それが武器なの?」
「ええ、シルバーナックルです。爪がついたタイプもありますけれど、何もない方が拳技を出しやすいので。
対魔属性がついていますから、ゴースト系などの打撃ではダメージを与えられない魔物相手でも大丈夫です」
つまり戦闘態勢に入ったという事か。
「あと効力7割の魔物不活性化剤をいつでも出せるように意識しておいて下さい。ゴースト程度なら必要は無いですけれど、レイスが3体以上出た時は使った方が無難です」
「わかった」
ポケット等に入れるよりアイテムボックスからの方が取り出しやすい。
だから『意識しておいて下さい』という訳だ。
ひととおり準備して、そして門のところへ。
「いつもは此処で大声を出してスケルトンを呼び寄せて、集まってきたところでまとめて倒しているんだけれど、今回もそれでいい?」
「御願いします。私の拳技は攻撃範囲があまり広くないので」
「わかった」
あとはラッキー君にも言っておこう。
視線をあわせて話しかける。
「これからスケルトンを狩るけれど、いいというまで私の前に出ないでね。わかった?」
ラッキー君、私に向けてお手のポーズをする。
本当にわかっているのだろうか。
非常に不安だなと思ったところで。
「それじゃ私がラッキーちゃんを抑えています」
カリーナちゃんがそう言ってくれた。
「ありがとう、御願い」
それなら安心して私も剣技を出せる。
今まで同様、門の入口から中へ向かってまずは一声。
「あー! おー! いー! うー! えーっ!」
威圧がかからない程度にしたので、すぐにスケルトンが動き出す。
一番近いスケルトンが3m位になるまでひきつけ、短剣を全力で横なぎ。
『剣技:エア・スラッシュ(強)』
最近はこの剣技も大分慣れてきた。
立ったまま素直に振るだけで強を出せる。
攻撃が届いたスケルトン7体があっさり倒れて動かなくなった。
この短剣本体には対魔属性は無い。
だから本当はスケルトンを倒すには最低でも半分以上の骨を切断する必要がある。
それでは余りに大変、という訳で普段は対魔属性付きの狂戦士の戦斧を使う訳だ。
しかし今回、倒れたスケルトンはそのまま魔石に変わった。
「凄いね、アンデット・死霊系魔物攻撃強化剤の効果」
「アンデットや死霊系の魔物が持つ、物理攻撃の軽減や無効化をほぼ完全に阻害する効果があります。アンデットも死霊系もHPやDEFは低めなので、物理攻撃さえ普通に通れば簡単に倒せるんです」
とりあえずこれでアンデット・死霊系魔物攻撃強化剤の威力はわかった。
あと気になるのは持続時間だ。
「3滴でどれくらいの時間持つの?」
「1時間くらいは効きます。ただし店頭販売価格が1瓶で20,000Cします。だから中級者くらいまでは使わない人が多いです」
それだけ持つならこのままこの短剣で戦っても問題無い。
次のスケルトンどもが近づいてくるのを注視しながら私は考える。
確かに20,000Cは高価だ。
うちの家なら3ヶ月近く借りられる。
薬剤類が全てそこまで高価という訳でも無い。
例えば初級治療薬なら1,000Cだ。
この辺は材料費の関係なのだろうか。
それとも需要と供給の関係で価格が違うという事なのだろうか。
さて、そろそろ頃合いだ。
スケルトン第2陣を倒すとしよう。
『剣技:エア・スラッシュ(強)』
スケルトン4体が同時に倒れ、起き上がってこないのを確認しつつ私は話を続ける。
「結構高価なんだね、中級の薬剤は」
「薬草採取場所が結構遠くて魔物も強いですから。普通は冒険者が2日がかり位で採取してきて、その上で錬金術師が調合するんです。
その上採取ミスや錬金失敗なんて事もあります。だからこれだけの値段でも妥当なところなんです」
材料費のせいで高価だったようだ。
納得したところで次のスケルトンに注意しながら計算してみよう。
スケルトンは1体あたり200C。
つまりスケルトンだけなら合計100体は倒さなければならない。
此処でこうやって狩れるのは1日につき概ね20体前後。
つまり5日間やらないとマイナスだ。
しかし薬瓶1本は100ml程度入っている。
1滴0.05mlとすると2,000滴分。
つまりこぼしたり使いすぎたりしなければ666時間有効。
そう考えると余裕で元は取れる。
それでも初期投資額として1瓶で20,000Cと考えると、気軽に手を出せるものではない。
中級の薬剤、やはり高価だ。
さて、スケルトンが接近してきたので第3弾を出すとしよう。
『剣技:エア・スラッシュ(強)』
こんな感じで第5弾までやったところでいつもの表示が出た。
『スケルトンを24体倒した。経験値288を獲得。スケルトンの魔石入手可能です。収納しますか?』
当然はいを選んで、そしてカリーナちゃんに告げる。
「ここは終わったみたい。だから向こう側の庭で魔魂草を採取しようか」
「そうですね。魔魂草は何を作るにせよ使います。確保出来るときに確保しておいた方がいいです」
2人と1匹で門の向こう側へと向かう。
あと短剣にアンデット・死霊系魔物攻撃強化剤をやはり3滴。
狂戦士の戦斧を選ばなかったのは大きさと重さ。
通路や屋根のある場所では戦斧は少々大きすぎる。
軽くて振り回しやすく剣技も出しやすい短剣の方がいいだろう。
カリーナちゃんがコートを脱いでアイテムボックスに仕舞った。
更に肘くらいまである長い手袋を両手にはめる。
白い革製で、所々に金属の部品がついたものだ。
「それが武器なの?」
「ええ、シルバーナックルです。爪がついたタイプもありますけれど、何もない方が拳技を出しやすいので。
対魔属性がついていますから、ゴースト系などの打撃ではダメージを与えられない魔物相手でも大丈夫です」
つまり戦闘態勢に入ったという事か。
「あと効力7割の魔物不活性化剤をいつでも出せるように意識しておいて下さい。ゴースト程度なら必要は無いですけれど、レイスが3体以上出た時は使った方が無難です」
「わかった」
ポケット等に入れるよりアイテムボックスからの方が取り出しやすい。
だから『意識しておいて下さい』という訳だ。
ひととおり準備して、そして門のところへ。
「いつもは此処で大声を出してスケルトンを呼び寄せて、集まってきたところでまとめて倒しているんだけれど、今回もそれでいい?」
「御願いします。私の拳技は攻撃範囲があまり広くないので」
「わかった」
あとはラッキー君にも言っておこう。
視線をあわせて話しかける。
「これからスケルトンを狩るけれど、いいというまで私の前に出ないでね。わかった?」
ラッキー君、私に向けてお手のポーズをする。
本当にわかっているのだろうか。
非常に不安だなと思ったところで。
「それじゃ私がラッキーちゃんを抑えています」
カリーナちゃんがそう言ってくれた。
「ありがとう、御願い」
それなら安心して私も剣技を出せる。
今まで同様、門の入口から中へ向かってまずは一声。
「あー! おー! いー! うー! えーっ!」
威圧がかからない程度にしたので、すぐにスケルトンが動き出す。
一番近いスケルトンが3m位になるまでひきつけ、短剣を全力で横なぎ。
『剣技:エア・スラッシュ(強)』
最近はこの剣技も大分慣れてきた。
立ったまま素直に振るだけで強を出せる。
攻撃が届いたスケルトン7体があっさり倒れて動かなくなった。
この短剣本体には対魔属性は無い。
だから本当はスケルトンを倒すには最低でも半分以上の骨を切断する必要がある。
それでは余りに大変、という訳で普段は対魔属性付きの狂戦士の戦斧を使う訳だ。
しかし今回、倒れたスケルトンはそのまま魔石に変わった。
「凄いね、アンデット・死霊系魔物攻撃強化剤の効果」
「アンデットや死霊系の魔物が持つ、物理攻撃の軽減や無効化をほぼ完全に阻害する効果があります。アンデットも死霊系もHPやDEFは低めなので、物理攻撃さえ普通に通れば簡単に倒せるんです」
とりあえずこれでアンデット・死霊系魔物攻撃強化剤の威力はわかった。
あと気になるのは持続時間だ。
「3滴でどれくらいの時間持つの?」
「1時間くらいは効きます。ただし店頭販売価格が1瓶で20,000Cします。だから中級者くらいまでは使わない人が多いです」
それだけ持つならこのままこの短剣で戦っても問題無い。
次のスケルトンどもが近づいてくるのを注視しながら私は考える。
確かに20,000Cは高価だ。
うちの家なら3ヶ月近く借りられる。
薬剤類が全てそこまで高価という訳でも無い。
例えば初級治療薬なら1,000Cだ。
この辺は材料費の関係なのだろうか。
それとも需要と供給の関係で価格が違うという事なのだろうか。
さて、そろそろ頃合いだ。
スケルトン第2陣を倒すとしよう。
『剣技:エア・スラッシュ(強)』
スケルトン4体が同時に倒れ、起き上がってこないのを確認しつつ私は話を続ける。
「結構高価なんだね、中級の薬剤は」
「薬草採取場所が結構遠くて魔物も強いですから。普通は冒険者が2日がかり位で採取してきて、その上で錬金術師が調合するんです。
その上採取ミスや錬金失敗なんて事もあります。だからこれだけの値段でも妥当なところなんです」
材料費のせいで高価だったようだ。
納得したところで次のスケルトンに注意しながら計算してみよう。
スケルトンは1体あたり200C。
つまりスケルトンだけなら合計100体は倒さなければならない。
此処でこうやって狩れるのは1日につき概ね20体前後。
つまり5日間やらないとマイナスだ。
しかし薬瓶1本は100ml程度入っている。
1滴0.05mlとすると2,000滴分。
つまりこぼしたり使いすぎたりしなければ666時間有効。
そう考えると余裕で元は取れる。
それでも初期投資額として1瓶で20,000Cと考えると、気軽に手を出せるものではない。
中級の薬剤、やはり高価だ。
さて、スケルトンが接近してきたので第3弾を出すとしよう。
『剣技:エア・スラッシュ(強)』
こんな感じで第5弾までやったところでいつもの表示が出た。
『スケルトンを24体倒した。経験値288を獲得。スケルトンの魔石入手可能です。収納しますか?』
当然はいを選んで、そしてカリーナちゃんに告げる。
「ここは終わったみたい。だから向こう側の庭で魔魂草を採取しようか」
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