17 / 139
第3章 はじめての依頼と新しい仲間?
第17話 採取活動、開始します
しおりを挟む
翌日朝8時52分。
私は無事ヴィード島の桟橋へと到着した。
「それじゃ気をつけてな」
船がスケリア島へと戻っていくと急に不安に感じる。
無人島に1人、取り残された感じで。
まあ実際その通りなのだけれど。
こういった時にパーティを組んでいればもっと気分が楽なのだろうか。
しかし今の所中身が人間の知り合いはカレンさんだけ。
そしてカレンさんは基本的に錬金術ギルドから離れられない。
こういうゲームで仲間を作るのはどうすればいいのだろう。
リアル現実でも私は積極的に他人と付き合う方ではなかった。
だから知り合いはゼミ関係とか元クラスメイトくらいだ。
慣れていないゲームでどうやって信頼できる友人を作れるかなんてわかるわけがない。
大体 NPCかプレイヤーかなんて、私には見た目では判断できないのだ。
まさかカレンさんと同じ方法で見分ける訳にもいかないし。
まあ今回は1人でも問題はないだろう。
カレンさんが大丈夫だと言ったのだから。
天気も今の所快晴。
急変しそうな兆候なんて何一つ無いし。
それでは予定通り動くとしよう。
まずは西へ歩いて岩場と草地の境で治害草を採取。
治害草は解毒作用がある薬草で、毒消し薬の他にも広く使われている。
今回の採取ノルマは5kg。
でも出来れば10kgは採っておきたい。
ちなみに度重なるレベルアップで私のアイテムボックス容量は60kg程ある。
装備一式で10kgちょい使っているけれど、それでも残り50kg近く大丈夫。
ほとんどの薬草は採取方法さえ間違えなければ遅くとも数日で完全再生すると講習で習った。
だからガンガン採取していこう。
石作りの桟橋から陸地へ上がりかけたところで、早くも表示が出る。
『治害草を発見しました。採取しますか?』
枠囲みの中に見えるのは、小さく肉厚の葉と茎を持つ握りこぶしくらいに広がった植物。
岩場と草地の間の砂部分に生えているようだ。
勿論採取を選択。
3株117gが収納された。
思ったより量が少ない。
これはノルマ分採るだけでも大変かもしれないな。
そう思いつつ、草地の端を西へ一歩踏み出す。
『治害草を発見しました。採取しますか?』
またこの表示が出た。
先程採取した場所から1mも離れていない場所に、また数株生えている。
どうやらこの治害草、ひたすら数を稼ぐタイプの薬草のようだ。
そんな訳で歩いては採って、歩いては採ってを繰り返す。
実際に手で採取するとなかなか難儀な作業だろう。
ほとんど1歩ごと、長くても4歩目には出てくる表示に肯定するだけでも面倒だと感じるのだ。
歩いて採取メッセージに対して肯定してを繰り返す事を数十回。
海沿いにこれ以上進めないという場所まで来た。
ここから先は急傾斜の林で、海沿い部分は崖になっている。
崖の高さは10m位だろうか。
歩いて行くのは無理だ。
アイテムボックス内の治害草は4.8kg。
ぎりぎりノルマに足りない。
つまり島の反対側の海岸でも採取する必要がある訳か。
なら次、道をのぼって避難所の確認。
先程の船着場から左へ右へという感じに内陸部の高い所へ登る道がある。
そこまで戻って、そして道を上へ。
道は石畳で、端部分は雑草に侵食されている。
道の左右は雑草や背の低い木が生えている雑木林。
薬草の反応はない。
やはり何処でも生えている訳では無いのだな、そう思いつつ道を登る。
白っぽい石作りの小屋が見えてきた。
1階建てで四角い感じの建物だ。
スケリア島の建物と比べるとカラフルさに欠けるが頑丈そうだ。
『いざという時の為に頑丈に作ってあるし……』
カレンさんがそう言っていたなと思い出す。
窓はなく、頑丈そうな扉だけ。
開けて大丈夫だろうか、中に怪しいのがいないだろうか。
扉に耳をつけて確認してみる。
中から音はしない。
周囲から草や木の枝がたてるガサガサ音がするだけだ。
思い切って開けてみる。
何も出てこない。
いや、かび臭い空気が中から流れ出てくる。
特に気配は感じない。
中を見てみる。
壁も床も天井も石作りで何も無い部屋だ。
本当に非常時に中へ閉じこもるだけの作りの模様。
窓がないのは魔物等が入ってこないようにだろう。
頑丈に作ってあるのもきっとその為。
冒険者や採取者なら灯火魔法くらいは使えるから、明かり取りの窓はいらない。
しかしトイレすら無いというのは強烈というか厳しいつくりだ。
もよおしたくなったらどうするのだろう。
少し考えたけれどアレな想像しか出ない。
うん、使わなければ問題ないのだ、だから大丈夫。
でも一応中に清浄魔法をかけて、更に風魔法で空気を入れ換えておく。
これで万が一の時もまあ、大丈夫だろう。
時間を確認、まだ10時になっていない。
今のところ順調だ。
まだ治害草しか採取していないし、治害草もノルマに少し足りない状態だけれど。
空気を入れ換え終わったので扉を閉める。
さて、これから先は魔物が出るのだよな。
まずは集落跡に出るというゾンビだ。
狂戦士の戦斧を出して両手で持つ。
すっかり手に馴染んで重さはあまり感じない。
それでは行くとしよう。
私はゆっくりと道を先へと歩きはじめる。
相変わらず草はあるけれど薬草の発見は無いな。
そう思ったら。
『魔魂草を発見しました。採取しますか?』
表示が出た。
勿論採取して、そして周囲を伺う。
魔魂草が生えているという事は、そろそろゾンビが出るという集落跡なのだろうか。
そう言えば何か異臭がするような気がする。
生ゴミが腐ったような嫌な感じの異臭が。
私は無事ヴィード島の桟橋へと到着した。
「それじゃ気をつけてな」
船がスケリア島へと戻っていくと急に不安に感じる。
無人島に1人、取り残された感じで。
まあ実際その通りなのだけれど。
こういった時にパーティを組んでいればもっと気分が楽なのだろうか。
しかし今の所中身が人間の知り合いはカレンさんだけ。
そしてカレンさんは基本的に錬金術ギルドから離れられない。
こういうゲームで仲間を作るのはどうすればいいのだろう。
リアル現実でも私は積極的に他人と付き合う方ではなかった。
だから知り合いはゼミ関係とか元クラスメイトくらいだ。
慣れていないゲームでどうやって信頼できる友人を作れるかなんてわかるわけがない。
大体 NPCかプレイヤーかなんて、私には見た目では判断できないのだ。
まさかカレンさんと同じ方法で見分ける訳にもいかないし。
まあ今回は1人でも問題はないだろう。
カレンさんが大丈夫だと言ったのだから。
天気も今の所快晴。
急変しそうな兆候なんて何一つ無いし。
それでは予定通り動くとしよう。
まずは西へ歩いて岩場と草地の境で治害草を採取。
治害草は解毒作用がある薬草で、毒消し薬の他にも広く使われている。
今回の採取ノルマは5kg。
でも出来れば10kgは採っておきたい。
ちなみに度重なるレベルアップで私のアイテムボックス容量は60kg程ある。
装備一式で10kgちょい使っているけれど、それでも残り50kg近く大丈夫。
ほとんどの薬草は採取方法さえ間違えなければ遅くとも数日で完全再生すると講習で習った。
だからガンガン採取していこう。
石作りの桟橋から陸地へ上がりかけたところで、早くも表示が出る。
『治害草を発見しました。採取しますか?』
枠囲みの中に見えるのは、小さく肉厚の葉と茎を持つ握りこぶしくらいに広がった植物。
岩場と草地の間の砂部分に生えているようだ。
勿論採取を選択。
3株117gが収納された。
思ったより量が少ない。
これはノルマ分採るだけでも大変かもしれないな。
そう思いつつ、草地の端を西へ一歩踏み出す。
『治害草を発見しました。採取しますか?』
またこの表示が出た。
先程採取した場所から1mも離れていない場所に、また数株生えている。
どうやらこの治害草、ひたすら数を稼ぐタイプの薬草のようだ。
そんな訳で歩いては採って、歩いては採ってを繰り返す。
実際に手で採取するとなかなか難儀な作業だろう。
ほとんど1歩ごと、長くても4歩目には出てくる表示に肯定するだけでも面倒だと感じるのだ。
歩いて採取メッセージに対して肯定してを繰り返す事を数十回。
海沿いにこれ以上進めないという場所まで来た。
ここから先は急傾斜の林で、海沿い部分は崖になっている。
崖の高さは10m位だろうか。
歩いて行くのは無理だ。
アイテムボックス内の治害草は4.8kg。
ぎりぎりノルマに足りない。
つまり島の反対側の海岸でも採取する必要がある訳か。
なら次、道をのぼって避難所の確認。
先程の船着場から左へ右へという感じに内陸部の高い所へ登る道がある。
そこまで戻って、そして道を上へ。
道は石畳で、端部分は雑草に侵食されている。
道の左右は雑草や背の低い木が生えている雑木林。
薬草の反応はない。
やはり何処でも生えている訳では無いのだな、そう思いつつ道を登る。
白っぽい石作りの小屋が見えてきた。
1階建てで四角い感じの建物だ。
スケリア島の建物と比べるとカラフルさに欠けるが頑丈そうだ。
『いざという時の為に頑丈に作ってあるし……』
カレンさんがそう言っていたなと思い出す。
窓はなく、頑丈そうな扉だけ。
開けて大丈夫だろうか、中に怪しいのがいないだろうか。
扉に耳をつけて確認してみる。
中から音はしない。
周囲から草や木の枝がたてるガサガサ音がするだけだ。
思い切って開けてみる。
何も出てこない。
いや、かび臭い空気が中から流れ出てくる。
特に気配は感じない。
中を見てみる。
壁も床も天井も石作りで何も無い部屋だ。
本当に非常時に中へ閉じこもるだけの作りの模様。
窓がないのは魔物等が入ってこないようにだろう。
頑丈に作ってあるのもきっとその為。
冒険者や採取者なら灯火魔法くらいは使えるから、明かり取りの窓はいらない。
しかしトイレすら無いというのは強烈というか厳しいつくりだ。
もよおしたくなったらどうするのだろう。
少し考えたけれどアレな想像しか出ない。
うん、使わなければ問題ないのだ、だから大丈夫。
でも一応中に清浄魔法をかけて、更に風魔法で空気を入れ換えておく。
これで万が一の時もまあ、大丈夫だろう。
時間を確認、まだ10時になっていない。
今のところ順調だ。
まだ治害草しか採取していないし、治害草もノルマに少し足りない状態だけれど。
空気を入れ換え終わったので扉を閉める。
さて、これから先は魔物が出るのだよな。
まずは集落跡に出るというゾンビだ。
狂戦士の戦斧を出して両手で持つ。
すっかり手に馴染んで重さはあまり感じない。
それでは行くとしよう。
私はゆっくりと道を先へと歩きはじめる。
相変わらず草はあるけれど薬草の発見は無いな。
そう思ったら。
『魔魂草を発見しました。採取しますか?』
表示が出た。
勿論採取して、そして周囲を伺う。
魔魂草が生えているという事は、そろそろゾンビが出るという集落跡なのだろうか。
そう言えば何か異臭がするような気がする。
生ゴミが腐ったような嫌な感じの異臭が。
10
お気に入りに追加
53
あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
【完結】バグった俺と、依存的な引きこもり少女。 ~幼馴染は俺以外のセカイを知りたがらない~
山須ぶじん
SF
異性に関心はありながらも初恋がまだという高校二年生の少年、赤土正人(あかつちまさと)。
彼は毎日放課後に、一つ年下の引きこもりな幼馴染、伊武翠華(いぶすいか)という名の少女の家に通っていた。毎日訪れた正人のニオイを、密着し顔を埋めてくんくん嗅ぐという変わったクセのある女の子である。
そんな彼女は中学時代イジメを受けて引きこもりになり、さらには両親にも見捨てられて、今や正人だけが世界のすべて。彼に見捨てられないためなら、「なんでもする」と言ってしまうほどだった。
ある日、正人は来栖(くるす)という名のクラスメイトの女子に、愛の告白をされる。しかし告白するだけして彼女は逃げるように去ってしまい、正人は仕方なく返事を明日にしようと思うのだった。
だが翌日――。来栖は姿を消してしまう。しかも誰も彼女のことを覚えていないのだ。
それはまるで、最初から存在しなかったかのように――。
※第18回講談社ラノベ文庫新人賞の第2次選考通過、最終選考落選作品。
※『小説家になろう』『カクヨム』でも掲載しています。

貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる