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第2章 行け! 脳筋錬金術師!
第13話 採取は自動で楽勝です
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「これで近くにいる魔物は一掃したわ。これからは錬金術で何かと使う、魔魂草を採取する時間よぉ♡」
そうだ、私は『もっと褒賞金が高い魔物がサクサク狩れた上、今日覚えた薬草も採取できるおすすめスポット』に連れてきて貰ったのだった。
狩った後は当然、採取の時間だ。
これで脳筋から離れて錬金術師らしい事が出来る。
まあ採取そのものより採取した薬草を調合する方が錬金術師の本職ではあるのだけれど。
カレンさんに続いて門の中へ。
「魔魂草は魔物が多い半日陰の場所に多いのよぉ。だから此処を通り抜けた広場の、日陰になっている部分を探すと結構生えているわ。
根っこの一部でも残っていれば魔物が放つ魔力で復活する強い草よぉ。だから、見つけ次第全部採っても大丈夫っ♡」
なるほど、遠慮しないで採っていいという事か。
私は講習で魔魂草について学んだ内容について思い出す。
『魔魂草は魔素を茎や葉、根等に貯める性質を持っています。効能が高い薬品を作り出すには欠かせない薬草です。
全ての治療薬をはじめ、毒消し薬等に広く使われる他、魔力補充薬の主成分として使われています。
栽培が出来ない為、基本的に冒険者等による採取が中心です。当ギルドでは全草を1kgあたり100Cで買い取っていますが、使用量が多いため時々品薄になる事もあります』
なるほど、栽培が出来ないというのは魔物がいる場所でないと育たないという性質が理由なのか。
それなのに1kgあたり100Cというのは安い気がする。
勿論野菜なんかよりはずっと高いけれど、魔物がいる場所まで行ってわざわざ採るにしては見返りが少ない。
あと魔魂草とは関係ないけれど、デミオさんはいかにもNPCというかAIというか、機械的な感じがする。
冗談ひとつ言わないし、表情も口調も変わらないしで。
援助妖精のシルラの方がまだ反応的には人間に近い感じだった。
でもまあギルドの職員という業務柄、それはそれで正しいのかなとは思う。
支部長のカレンさんはアレだけれど。
さて、門を抜けた。
出たところは石畳敷きの広場と言うか、大きい駅にあるペデストリアンデッキのような感じだ。
広場の大きさは小学校の運動場くらいで、左右の端は手すりっぽくなっている。
正面は2階建ての幅の広い建物で、奥に今通ってきた門と同じ様な入口があって先へと続いている。
あと右側に平屋で公衆トイレくらいの大きさの煉瓦造りの建物。
今入ってきた門の建物影に緑色の草が生えている場所がある。
カレンさんは右側の草がある場所へ歩き出した。
「ミヤちゃんは左側の草むらを確認してねっ♡ この辺は魔魂草が結構生えている筈だからぁ」
言われた通り左側の草近くまで歩いてみる。
『魔魂草を発見しました。採取しますか?』
ご丁寧に魔魂草の生えている場所に四角い囲み枠が表示された。
勿論採取を選択。
生えている草のうち半分くらいが無くなって地面となった。
収納した量を確認してみる。
『魔魂草:800g』
思った以上に量が多い。
魔魂草は1kgあたり100Cだから、この1回だけで80C分。
見返りが少ないというさっきの考えを訂正する。
これなら魔物討伐以上に簡単で手軽だ。
「この広場だけなら当分魔物は出てこない筈よ。ただ建物の中へ入ったりデッキの下へ行ったりするのはやめておいてねっ♡」
カレンさんからそんな指示。
なら言われた範囲で採取しまくろう。
私は次の草が生えている場所へ向け歩きはじめた。
◇◇◇
デッキを半周したところでカレンさんと合流。
「どう? どれくらい採れた?」
アイテムボックス内にある魔魂草の量はどれくらいだろう。
そう意識すると視界に半透明の文字が表示される。
『魔魂草:5.6kg』
「5.6kgです」
「私が採ったのと併せて10kgを超えるわね。これで今週は魔魂草が不足する心配をしなくていいわぁ」
気になったので聞いてみる。
「一度採った魔魂草はどれくらいでまた採れるようになるんですか?」
「1日あれば完全に復活しているわよぉ♡」
なるほど、なら明日に来れば魔魂草だけで1,000C採れるという事か。
勿論他の人が採取していなければ、だけれども。
これはなかなかいい稼ぎ場所だ。
何せ街の門から出てまだ1時間も経っていない。
「それじゃ街に帰って、夕食にしましょうか。今日はおごるわよぉ。ミヤちゃんの錬金術ギルド入会祝いという事でぇ」
「いや、申し訳ないですよ。こちらこそ色々教えて貰ったのに」
あとはカレンさんと一緒に店に入るというのが微妙に……
何せカレンさん、衝撃のビジュアル系だから。
悪い人ではないようだし私はもう慣れたけれど。
「いいのいいの。まだこの辺の美味しい店とかも知らないでしょ。それにギルドにプレイヤーの錬金術師が加入してくれるのって、ものすごぉーく久しぶりだしねっ♡」
ものすごぉーく久しぶり、ってどのくらいだろう。
「ちなみに前にプレイヤーの錬金術師が加入したのって、何時くらいですか?」
「3ヶ月くらい前よ。ちなみに日本時間でよぉ」
日本時間で3ヶ月という事は……
1日で24日進むから、1ヶ月30日として2,160日。
年にすると6年近い。
「よくそれで錬金術ギルドが成り立ちますね」
「成り立たないわよぉ、それじゃあ。勿論定期的にNPCの新米錬金術師が加入してくれるんだけれどね。NPCだとそう変わった面白い子はいないんだよねぇ」
もう一つ疑問に思った事がある。
「あとカレンさん、分身の方、一体おいくつなんですか?」
見かけからすると種族は人間だ。
でも今の会話だとゲーム時間で最低6年はここの支部長をやっている筈。
外見と年齢がよくわからない。
「女の子に年齢を聞くのはルール違反よ。あと私はレベルアップ進化して超人類になったから外見は百年単位でこのままよぉ」
女の子という部分に突っ込みを入れてはいけない。
きっと、多分。
「そんな訳で今日はご馳走するわよ。いいお店があるから紹介するわ。
パイアキアン・オンラインで一般的な料理ばかり食べていると、たまには猛烈に日本食が食べたくなるじゃない。そういう時にお勧めのお店よぉ」
此処でも日本食が食べられるのか。
でも世界観的にどうなのだろう。
「現実での本職も料理人というプレイヤーがやっている寿司屋で、とっても美味しいの。素材はこの辺で採れるものを使っているけれど、実際に日本の名店で食べたのと甲乙つかない美味しさなのよぉ」
あ、それは是非、食べてみたい。
何せ本当に美味しい店で寿司なんて食べた経験が無いから。
「美味しそうですね、それじゃご馳走になります」
「まっかせといて~」
橋を渡り、門を通って街の中へ。
そうだ、私は『もっと褒賞金が高い魔物がサクサク狩れた上、今日覚えた薬草も採取できるおすすめスポット』に連れてきて貰ったのだった。
狩った後は当然、採取の時間だ。
これで脳筋から離れて錬金術師らしい事が出来る。
まあ採取そのものより採取した薬草を調合する方が錬金術師の本職ではあるのだけれど。
カレンさんに続いて門の中へ。
「魔魂草は魔物が多い半日陰の場所に多いのよぉ。だから此処を通り抜けた広場の、日陰になっている部分を探すと結構生えているわ。
根っこの一部でも残っていれば魔物が放つ魔力で復活する強い草よぉ。だから、見つけ次第全部採っても大丈夫っ♡」
なるほど、遠慮しないで採っていいという事か。
私は講習で魔魂草について学んだ内容について思い出す。
『魔魂草は魔素を茎や葉、根等に貯める性質を持っています。効能が高い薬品を作り出すには欠かせない薬草です。
全ての治療薬をはじめ、毒消し薬等に広く使われる他、魔力補充薬の主成分として使われています。
栽培が出来ない為、基本的に冒険者等による採取が中心です。当ギルドでは全草を1kgあたり100Cで買い取っていますが、使用量が多いため時々品薄になる事もあります』
なるほど、栽培が出来ないというのは魔物がいる場所でないと育たないという性質が理由なのか。
それなのに1kgあたり100Cというのは安い気がする。
勿論野菜なんかよりはずっと高いけれど、魔物がいる場所まで行ってわざわざ採るにしては見返りが少ない。
あと魔魂草とは関係ないけれど、デミオさんはいかにもNPCというかAIというか、機械的な感じがする。
冗談ひとつ言わないし、表情も口調も変わらないしで。
援助妖精のシルラの方がまだ反応的には人間に近い感じだった。
でもまあギルドの職員という業務柄、それはそれで正しいのかなとは思う。
支部長のカレンさんはアレだけれど。
さて、門を抜けた。
出たところは石畳敷きの広場と言うか、大きい駅にあるペデストリアンデッキのような感じだ。
広場の大きさは小学校の運動場くらいで、左右の端は手すりっぽくなっている。
正面は2階建ての幅の広い建物で、奥に今通ってきた門と同じ様な入口があって先へと続いている。
あと右側に平屋で公衆トイレくらいの大きさの煉瓦造りの建物。
今入ってきた門の建物影に緑色の草が生えている場所がある。
カレンさんは右側の草がある場所へ歩き出した。
「ミヤちゃんは左側の草むらを確認してねっ♡ この辺は魔魂草が結構生えている筈だからぁ」
言われた通り左側の草近くまで歩いてみる。
『魔魂草を発見しました。採取しますか?』
ご丁寧に魔魂草の生えている場所に四角い囲み枠が表示された。
勿論採取を選択。
生えている草のうち半分くらいが無くなって地面となった。
収納した量を確認してみる。
『魔魂草:800g』
思った以上に量が多い。
魔魂草は1kgあたり100Cだから、この1回だけで80C分。
見返りが少ないというさっきの考えを訂正する。
これなら魔物討伐以上に簡単で手軽だ。
「この広場だけなら当分魔物は出てこない筈よ。ただ建物の中へ入ったりデッキの下へ行ったりするのはやめておいてねっ♡」
カレンさんからそんな指示。
なら言われた範囲で採取しまくろう。
私は次の草が生えている場所へ向け歩きはじめた。
◇◇◇
デッキを半周したところでカレンさんと合流。
「どう? どれくらい採れた?」
アイテムボックス内にある魔魂草の量はどれくらいだろう。
そう意識すると視界に半透明の文字が表示される。
『魔魂草:5.6kg』
「5.6kgです」
「私が採ったのと併せて10kgを超えるわね。これで今週は魔魂草が不足する心配をしなくていいわぁ」
気になったので聞いてみる。
「一度採った魔魂草はどれくらいでまた採れるようになるんですか?」
「1日あれば完全に復活しているわよぉ♡」
なるほど、なら明日に来れば魔魂草だけで1,000C採れるという事か。
勿論他の人が採取していなければ、だけれども。
これはなかなかいい稼ぎ場所だ。
何せ街の門から出てまだ1時間も経っていない。
「それじゃ街に帰って、夕食にしましょうか。今日はおごるわよぉ。ミヤちゃんの錬金術ギルド入会祝いという事でぇ」
「いや、申し訳ないですよ。こちらこそ色々教えて貰ったのに」
あとはカレンさんと一緒に店に入るというのが微妙に……
何せカレンさん、衝撃のビジュアル系だから。
悪い人ではないようだし私はもう慣れたけれど。
「いいのいいの。まだこの辺の美味しい店とかも知らないでしょ。それにギルドにプレイヤーの錬金術師が加入してくれるのって、ものすごぉーく久しぶりだしねっ♡」
ものすごぉーく久しぶり、ってどのくらいだろう。
「ちなみに前にプレイヤーの錬金術師が加入したのって、何時くらいですか?」
「3ヶ月くらい前よ。ちなみに日本時間でよぉ」
日本時間で3ヶ月という事は……
1日で24日進むから、1ヶ月30日として2,160日。
年にすると6年近い。
「よくそれで錬金術ギルドが成り立ちますね」
「成り立たないわよぉ、それじゃあ。勿論定期的にNPCの新米錬金術師が加入してくれるんだけれどね。NPCだとそう変わった面白い子はいないんだよねぇ」
もう一つ疑問に思った事がある。
「あとカレンさん、分身の方、一体おいくつなんですか?」
見かけからすると種族は人間だ。
でも今の会話だとゲーム時間で最低6年はここの支部長をやっている筈。
外見と年齢がよくわからない。
「女の子に年齢を聞くのはルール違反よ。あと私はレベルアップ進化して超人類になったから外見は百年単位でこのままよぉ」
女の子という部分に突っ込みを入れてはいけない。
きっと、多分。
「そんな訳で今日はご馳走するわよ。いいお店があるから紹介するわ。
パイアキアン・オンラインで一般的な料理ばかり食べていると、たまには猛烈に日本食が食べたくなるじゃない。そういう時にお勧めのお店よぉ」
此処でも日本食が食べられるのか。
でも世界観的にどうなのだろう。
「現実での本職も料理人というプレイヤーがやっている寿司屋で、とっても美味しいの。素材はこの辺で採れるものを使っているけれど、実際に日本の名店で食べたのと甲乙つかない美味しさなのよぉ」
あ、それは是非、食べてみたい。
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