75 / 78
第10章 ある冬の日に
75 豪勢で贅沢なお買い物
しおりを挟む
その後はとりあえず、皆、寮へ帰って一眠り。
その前に、
『パーティ用にマグロを捕りに行きませんか』
なんて念話が三郷先輩から全員にあったり。
苦労させられた女子陣中心に、それを押しとどめたりする一幕があったり。
結局、パーティに関しては、出来合いの物中心に買い集めよう。皆疲れているので、無理はしない。
そういう結論になった。
なのでパーティ参加者全員、三郷先輩を含めて6人でお買い物だ。
店はいつものラルフスではなく、ゲルソンズというスーパー。
「今日はスポンサーのおごりだから、予算気にしなくていいですよ」
そう三郷先輩が言った事に松戸が反応して、店が決まった。
松戸曰く、かなり高級なスーパーとのことだ。
松戸は家は金持ちの癖に、貧乏性なところもある。
金があるからこそ、使い過ぎないように徹底しているのかもしれないが。
例によって空間移動で、アメリカは西海岸に移動。
外を見回して、中に入って、そしてみらいが感想を一言。
「うーん、いつものスーパーと雰囲気違うです。何か高級感あるです」
その意見には、俺も同感だ。確かに高級感がある。
所々に店員がいて、客が取った物をすぐ補充したりしている。
ついている値札も強気だ。
最近はドル表示の値札になれたので、見ただけでだいたいわかる。
「いつものスーパーより、ずっとお高いスーパーだからね。日本で言うと成城石井か紀ノ国屋かな。値段は高いけれど、味は保証するわ」
松戸から解説が入った。
ちなみにいつものスーパーとは、ラルフスのダウンタウン店だ。
基準が何か間違っている。
普通なら、エコスとかヤオコーといった、学校から近い日本のスーパーだろうと思うのだけれど。
時差と松戸のせいなのだが。
三郷先輩が精力的に動き回っている。
金属のショーケースに入った総菜を片っ端から見て回り、店員に質問しては色々買い漁っている。
本人によると、
『英語は苦手で単語しかわからないですが、情報収集能力で相手の言っている意味は理解できるです』
との事だ。
ちなみに三郷先輩は、本当に腕力がないらしい。握力も10kg無いとのことだ。
だからみらいが付き添っている。
なお三郷先輩の義足は、事案発生時に調整中だった例の新しい義足。
完全に普通の脚にしか見えないが、異空間移動機能や飛行機能もついている。
さすがに戦闘機動が出来る程の性能ではないらしいが。
松戸は松戸で色々なコーナーから、独特の情報網で厳選された逸品を探してくる。
さっきは1瓶で9ドル近くする高いジャムを、3つカートに入れていた。
「これは日本で買うと倍近くするの!ここは全種類揃っていておすすめよ」
いやお前、日本以外も移動自由自在だし、金持ちだし。その気なら、いつでもここで買い物できるだろう!
そう思ったけれど、それを言うのも無粋だと思って口には出さない。
綾瀬は、調味料やドレッシング、ソースのコーナーを延々と周回している。
残されたのは、カート担当の俺と委員長。他の連中程食にこだわらない2人だ。
「……他の連中の買い物を見て、バランス良くなるように買い物をしようか」
「ん、そうだね。何かみんなこだわり強そうだし」
という訳で、俺は委員長と、ゆっくり各コーナー見ながら歩き出す。
しかし俺も委員長も、残念ながら買う物を自分で選べなかった。
たとえば、パーティ用のクラッカーを買おうと、それらしいコーナーへ行ったりするとだ。
だだだだっと松戸がやって来て、お勧めクラッカー箱2つをカートに入れて消えるとか。
パンのコーナーへ行ったら、松戸と綾瀬が突如出現。
お勧めらしいパン数種を2人で選んでカートに入れて姿を消すとか。
そして総菜は、既に選ぶ必要が無い程、三郷先輩とみらい組が取って来ている。
総菜コーナー以外の場所にあった、ローストビーフや刺身類も、松戸によって追加済。
せめてドリンクはと思ったが、これもコーナーへ行った途端に、松戸がお勧めを数本入れて去って行った。
とどめとして、綾瀬が厳選した調味料に、ソースや缶詰やドレッシングを突っ込む。
おかげでカートは、怒涛の山積み。セレブなマーケットなのにセレブじゃない買い漁り状態だ。
俺と委員長が選んだものは、ただの一品もない。
レジで清算中、金額が400ドルを超えた時点で俺は見るのを止めた。
いくら高いスーパーとはいえ、どんだけ買っているんだお前ら。
主な戦犯は三郷みらい組だ。
何せポンドあたり10ドル以上する総菜を、これでもかという位に大量に買っている。
松戸ももちろん有罪だ。
いつも買わない高級食材、ジャムとかジュースとか箱入りお菓子とかを、やっぱりこれでもかという位に買っている。
綾瀬も共犯とみていいだろう。
最後に追加した、高級缶詰十数個の罪は重い。
あと入れた調味料、特にハーブとか香辛料系に、とんでもない値段のものが混じっている。
いくらかかったかは、残念ながら俺には見る勇気は無かった。
それでも代金は、三郷先輩がカードで払ってくれた。
大丈夫なのだろうか、こんな無駄遣いをして。
その前に、
『パーティ用にマグロを捕りに行きませんか』
なんて念話が三郷先輩から全員にあったり。
苦労させられた女子陣中心に、それを押しとどめたりする一幕があったり。
結局、パーティに関しては、出来合いの物中心に買い集めよう。皆疲れているので、無理はしない。
そういう結論になった。
なのでパーティ参加者全員、三郷先輩を含めて6人でお買い物だ。
店はいつものラルフスではなく、ゲルソンズというスーパー。
「今日はスポンサーのおごりだから、予算気にしなくていいですよ」
そう三郷先輩が言った事に松戸が反応して、店が決まった。
松戸曰く、かなり高級なスーパーとのことだ。
松戸は家は金持ちの癖に、貧乏性なところもある。
金があるからこそ、使い過ぎないように徹底しているのかもしれないが。
例によって空間移動で、アメリカは西海岸に移動。
外を見回して、中に入って、そしてみらいが感想を一言。
「うーん、いつものスーパーと雰囲気違うです。何か高級感あるです」
その意見には、俺も同感だ。確かに高級感がある。
所々に店員がいて、客が取った物をすぐ補充したりしている。
ついている値札も強気だ。
最近はドル表示の値札になれたので、見ただけでだいたいわかる。
「いつものスーパーより、ずっとお高いスーパーだからね。日本で言うと成城石井か紀ノ国屋かな。値段は高いけれど、味は保証するわ」
松戸から解説が入った。
ちなみにいつものスーパーとは、ラルフスのダウンタウン店だ。
基準が何か間違っている。
普通なら、エコスとかヤオコーといった、学校から近い日本のスーパーだろうと思うのだけれど。
時差と松戸のせいなのだが。
三郷先輩が精力的に動き回っている。
金属のショーケースに入った総菜を片っ端から見て回り、店員に質問しては色々買い漁っている。
本人によると、
『英語は苦手で単語しかわからないですが、情報収集能力で相手の言っている意味は理解できるです』
との事だ。
ちなみに三郷先輩は、本当に腕力がないらしい。握力も10kg無いとのことだ。
だからみらいが付き添っている。
なお三郷先輩の義足は、事案発生時に調整中だった例の新しい義足。
完全に普通の脚にしか見えないが、異空間移動機能や飛行機能もついている。
さすがに戦闘機動が出来る程の性能ではないらしいが。
松戸は松戸で色々なコーナーから、独特の情報網で厳選された逸品を探してくる。
さっきは1瓶で9ドル近くする高いジャムを、3つカートに入れていた。
「これは日本で買うと倍近くするの!ここは全種類揃っていておすすめよ」
いやお前、日本以外も移動自由自在だし、金持ちだし。その気なら、いつでもここで買い物できるだろう!
そう思ったけれど、それを言うのも無粋だと思って口には出さない。
綾瀬は、調味料やドレッシング、ソースのコーナーを延々と周回している。
残されたのは、カート担当の俺と委員長。他の連中程食にこだわらない2人だ。
「……他の連中の買い物を見て、バランス良くなるように買い物をしようか」
「ん、そうだね。何かみんなこだわり強そうだし」
という訳で、俺は委員長と、ゆっくり各コーナー見ながら歩き出す。
しかし俺も委員長も、残念ながら買う物を自分で選べなかった。
たとえば、パーティ用のクラッカーを買おうと、それらしいコーナーへ行ったりするとだ。
だだだだっと松戸がやって来て、お勧めクラッカー箱2つをカートに入れて消えるとか。
パンのコーナーへ行ったら、松戸と綾瀬が突如出現。
お勧めらしいパン数種を2人で選んでカートに入れて姿を消すとか。
そして総菜は、既に選ぶ必要が無い程、三郷先輩とみらい組が取って来ている。
総菜コーナー以外の場所にあった、ローストビーフや刺身類も、松戸によって追加済。
せめてドリンクはと思ったが、これもコーナーへ行った途端に、松戸がお勧めを数本入れて去って行った。
とどめとして、綾瀬が厳選した調味料に、ソースや缶詰やドレッシングを突っ込む。
おかげでカートは、怒涛の山積み。セレブなマーケットなのにセレブじゃない買い漁り状態だ。
俺と委員長が選んだものは、ただの一品もない。
レジで清算中、金額が400ドルを超えた時点で俺は見るのを止めた。
いくら高いスーパーとはいえ、どんだけ買っているんだお前ら。
主な戦犯は三郷みらい組だ。
何せポンドあたり10ドル以上する総菜を、これでもかという位に大量に買っている。
松戸ももちろん有罪だ。
いつも買わない高級食材、ジャムとかジュースとか箱入りお菓子とかを、やっぱりこれでもかという位に買っている。
綾瀬も共犯とみていいだろう。
最後に追加した、高級缶詰十数個の罪は重い。
あと入れた調味料、特にハーブとか香辛料系に、とんでもない値段のものが混じっている。
いくらかかったかは、残念ながら俺には見る勇気は無かった。
それでも代金は、三郷先輩がカードで払ってくれた。
大丈夫なのだろうか、こんな無駄遣いをして。
17
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
機械オタクと魔女五人~魔法特区・婿島にて
於田縫紀
ファンタジー
東京の南はるか先、聟島に作られた魔法特区。魔法技術高等専門学校2年になった俺は、1年年下の幼馴染の訪問を受ける。それが、学生会幹部3人を交えた騒がしい日々が始まるきっかけだった。
これは幼馴染の姉妹や個性的な友達達とともに過ごす、面倒だが楽しくないわけでもない日々の物語。
5月中は毎日投稿、以降も1週間に2話以上更新する予定です。
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
俺、貞操逆転世界へイケメン転生
やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。
勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。
――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。
――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。
これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。
########
この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる