35 / 78
第6章 みんなで強化しよう!
35 俺はそれが綺麗だと思った
しおりを挟む
「ひとつ、聞いていいか」
俺は松戸に尋ねる。
疑問に感じる事があったから。
「松戸、お前いつからその事を知っている。そしてその事に対して動いている?」
彼女は頷き、口を開く。
「そうね。知っているのは最初から。つまり佐貫が転入してきた時点から。動いているのは私が失敗した時。あの日自分の部屋のベッドで目覚めた時からよ。綾瀬と仲良くなったのも、みらいをこの仲間に引き入れたのも最初から計算ずく。どう、これで私が嫌いになれた?」
いや、何か違和感がある。
松戸が言っているのは事実だ。それは俺の能力でわかる。
しかし俺は、松戸を嫌いにはなれない。
それが何故かは、うまく言葉には出せないけれど。
「あともう1点。他の子と違って、佐貫は私と能力をやりとりする必要は無いの。私自身は能力なんて何も無い、他から力を借りているだけの、ただの出来損ないの人形だから。だから無視しようと、逆に他の子に対する分を私にぶつけても構わない。私の正体を見せてあげる。それできっと納得できると思うわ」
松戸はそう言うと立ち上がり、おもむろにいつもの白衣を脱いだ。
そして白衣だけでなく、中に着ていた水色のキャミソールと濃紺のやや丈が短く太いパンツ、更にその先まで脱ごうとする。
「おいおい何を」
「いいからその目でよく見て、私の本当の姿を」
天眼通で見ろという事か、と気づく。
そして松戸は全部脱いで、こっちを向いた。
「隠蔽も解いたしこれで見えるでしょ、この醜い姿こそ私の本質よ」
全裸の松戸がこっちを見る。
一見すると美しい彼女の姿。
長身と豊かな胸、細身、長い脚という普通に見ても恵まれた彼女の姿。
でも天眼通で見ると、それとは違う痛々しい姿が明らかになる。
右目、右耳は機能していない。
左手は使える筋肉がごっそり減っている。
内臓は、かなりの部分が機能不全を起こしているか欠損していて、術式で何とか代用している状態。
心臓すらまともに機能していない。単なる逆流防止機能付き血管程度の機能しか動いていない。
血液循環は何らかの術式に頼っているようだ。
何故か腸すら短い。
長く美しい左脚も、何かの魔術的な影響かほとんどの部分が生物的に死んでいて、様々な術式で外見を保ち動かしている状態。
でも何故だろう。
そんな姿なのに、俺にはそれが綺麗だなと思えた。
美しいでも可愛いでもなく、綺麗だと。
そして気づく。綺麗なのはきっと松戸という人間の在り方そのものだと。
目的の為人以上の力を求めて戦い続けた松戸という意志の在り方だと。
戦い続けたが故に、彼女の姿は傷ついてボロボロ。
でもそれはきっと、彼女の苛烈なまでに綺麗な意志の現れ。
だからその意志がある限り、彼女は綺麗だ。きっと。
「綺麗、って何か予想外の反応なんだけど」
松戸がそう言って急にもじもじし始めた。
今の俺の心の声も聞かれてしまったようだ。
そう思ってふと俺は我に返る。
そうなると、今のシチュエーションの異常さに気づいてしまう訳で……
「頼む、せめて服は着てくれ」
俺は目を逸らす。
「うん、そうする」
松戸も素直にそれに従った。
しかし服というのは、脱ぐ時だけでなく着る時の音もエロい。
初めて知った。
そして松戸は俺の横に座る。
白衣以外はちゃんと着ていた。取り敢えず一安心だ。
「それでどうする。私の場合は佐貫に全部任せるよ」
「ならば、こうする」
俺の方針はもう決めている。
あの傷だらけの全身を見て、決めたのだ。
横から松戸をお姫様抱っこで抱える。思った以上に体重は軽い。
それをベッドの中央へと横たえる。
「え、何?」
思った以上に可愛い反応。
いかん、これは危険だ。
なら俺が危ない反応に陥る前に。
上から松戸に覆い被さり、首筋に口を近づける。
思いっきり胸の感触を感じると同時に、さっき見てしまったものを思い出した。
でもここまでくればもう大丈夫。
俺の中に松戸が流れ込んできた。
同時に気づく。
松戸の体力、思った以上に少ない。
これでは吸血中に、あっさりあの世行き。
なのである程度余裕を持って、途中で中断。
文句を言いたそうな顔をした松戸の、その唇を俺の口で塞ぐ。
さて、俺の力で松戸をどこまで治せるか。
委員長の時と違い俺の体力は十分だ。
しかし委員長の時以上に松戸は壊れている。
というか、よく生きているなこの状態で。
なので眷属化しないよう、体力と治療中心にエネルギー注入。
3人目だからか、そんな器用な事も出来るようだ。
うーん、やっぱり体力が限界に近づいてきた。
意識を保つのも厳しくなってきた。
でももう少しで、松戸の身体が完全に治る。
だからもう少し、あと少しだけ……
◇◇◇
起きると既に誰もいない。
カーテンをめくり、外の景色を確認。
エアストリームはもう学校へと戻ってきていた。
そして布団には確かに、俺以外の誰かがいた香り。
う、う、これはたまらん。
しらふに戻るととっても危険だ。
胸の感触とか、見てしまったもの全部を思い出してしまう。
早い話がムラムラする。
ふと気づいて、横に置いてあるスマホを確認。
時間は午後6時。学校開始まであと2時間。
まずい、取り合えず部屋に戻ろう!
俺は瞬間移動能力を使い、寮の自室へと跳んだ。
俺は松戸に尋ねる。
疑問に感じる事があったから。
「松戸、お前いつからその事を知っている。そしてその事に対して動いている?」
彼女は頷き、口を開く。
「そうね。知っているのは最初から。つまり佐貫が転入してきた時点から。動いているのは私が失敗した時。あの日自分の部屋のベッドで目覚めた時からよ。綾瀬と仲良くなったのも、みらいをこの仲間に引き入れたのも最初から計算ずく。どう、これで私が嫌いになれた?」
いや、何か違和感がある。
松戸が言っているのは事実だ。それは俺の能力でわかる。
しかし俺は、松戸を嫌いにはなれない。
それが何故かは、うまく言葉には出せないけれど。
「あともう1点。他の子と違って、佐貫は私と能力をやりとりする必要は無いの。私自身は能力なんて何も無い、他から力を借りているだけの、ただの出来損ないの人形だから。だから無視しようと、逆に他の子に対する分を私にぶつけても構わない。私の正体を見せてあげる。それできっと納得できると思うわ」
松戸はそう言うと立ち上がり、おもむろにいつもの白衣を脱いだ。
そして白衣だけでなく、中に着ていた水色のキャミソールと濃紺のやや丈が短く太いパンツ、更にその先まで脱ごうとする。
「おいおい何を」
「いいからその目でよく見て、私の本当の姿を」
天眼通で見ろという事か、と気づく。
そして松戸は全部脱いで、こっちを向いた。
「隠蔽も解いたしこれで見えるでしょ、この醜い姿こそ私の本質よ」
全裸の松戸がこっちを見る。
一見すると美しい彼女の姿。
長身と豊かな胸、細身、長い脚という普通に見ても恵まれた彼女の姿。
でも天眼通で見ると、それとは違う痛々しい姿が明らかになる。
右目、右耳は機能していない。
左手は使える筋肉がごっそり減っている。
内臓は、かなりの部分が機能不全を起こしているか欠損していて、術式で何とか代用している状態。
心臓すらまともに機能していない。単なる逆流防止機能付き血管程度の機能しか動いていない。
血液循環は何らかの術式に頼っているようだ。
何故か腸すら短い。
長く美しい左脚も、何かの魔術的な影響かほとんどの部分が生物的に死んでいて、様々な術式で外見を保ち動かしている状態。
でも何故だろう。
そんな姿なのに、俺にはそれが綺麗だなと思えた。
美しいでも可愛いでもなく、綺麗だと。
そして気づく。綺麗なのはきっと松戸という人間の在り方そのものだと。
目的の為人以上の力を求めて戦い続けた松戸という意志の在り方だと。
戦い続けたが故に、彼女の姿は傷ついてボロボロ。
でもそれはきっと、彼女の苛烈なまでに綺麗な意志の現れ。
だからその意志がある限り、彼女は綺麗だ。きっと。
「綺麗、って何か予想外の反応なんだけど」
松戸がそう言って急にもじもじし始めた。
今の俺の心の声も聞かれてしまったようだ。
そう思ってふと俺は我に返る。
そうなると、今のシチュエーションの異常さに気づいてしまう訳で……
「頼む、せめて服は着てくれ」
俺は目を逸らす。
「うん、そうする」
松戸も素直にそれに従った。
しかし服というのは、脱ぐ時だけでなく着る時の音もエロい。
初めて知った。
そして松戸は俺の横に座る。
白衣以外はちゃんと着ていた。取り敢えず一安心だ。
「それでどうする。私の場合は佐貫に全部任せるよ」
「ならば、こうする」
俺の方針はもう決めている。
あの傷だらけの全身を見て、決めたのだ。
横から松戸をお姫様抱っこで抱える。思った以上に体重は軽い。
それをベッドの中央へと横たえる。
「え、何?」
思った以上に可愛い反応。
いかん、これは危険だ。
なら俺が危ない反応に陥る前に。
上から松戸に覆い被さり、首筋に口を近づける。
思いっきり胸の感触を感じると同時に、さっき見てしまったものを思い出した。
でもここまでくればもう大丈夫。
俺の中に松戸が流れ込んできた。
同時に気づく。
松戸の体力、思った以上に少ない。
これでは吸血中に、あっさりあの世行き。
なのである程度余裕を持って、途中で中断。
文句を言いたそうな顔をした松戸の、その唇を俺の口で塞ぐ。
さて、俺の力で松戸をどこまで治せるか。
委員長の時と違い俺の体力は十分だ。
しかし委員長の時以上に松戸は壊れている。
というか、よく生きているなこの状態で。
なので眷属化しないよう、体力と治療中心にエネルギー注入。
3人目だからか、そんな器用な事も出来るようだ。
うーん、やっぱり体力が限界に近づいてきた。
意識を保つのも厳しくなってきた。
でももう少しで、松戸の身体が完全に治る。
だからもう少し、あと少しだけ……
◇◇◇
起きると既に誰もいない。
カーテンをめくり、外の景色を確認。
エアストリームはもう学校へと戻ってきていた。
そして布団には確かに、俺以外の誰かがいた香り。
う、う、これはたまらん。
しらふに戻るととっても危険だ。
胸の感触とか、見てしまったもの全部を思い出してしまう。
早い話がムラムラする。
ふと気づいて、横に置いてあるスマホを確認。
時間は午後6時。学校開始まであと2時間。
まずい、取り合えず部屋に戻ろう!
俺は瞬間移動能力を使い、寮の自室へと跳んだ。
28
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
鋼殻牙龍ドラグリヲ
南蛮蜥蜴
ファンタジー
歪なる怪物「害獣」の侵攻によって緩やかに滅びゆく世界にて、「アーマメントビースト」と呼ばれる兵器を操り、相棒のアンドロイド「カルマ」と共に戦いに明け暮れる主人公「真継雪兎」
ある日、彼はとある任務中に害獣に寄生され、身体を根本から造り替えられてしまう。 乗っ取られる危険を意識しつつも生きることを選んだ雪兎だったが、それが苦難の道のりの始まりだった。
次々と出現する凶悪な害獣達相手に、無双の機械龍「ドラグリヲ」が咆哮と共に牙を剥く。
延々と繰り返される殺戮と喪失の果てに、勇敢で臆病な青年を待ち受けるのは絶対的な破滅か、それともささやかな希望か。
※小説になろう、カクヨム、ノベプラでも掲載中です。
※挿絵は雨川真優(アメカワマユ)様@zgmf_x11dより頂きました。利用許可済です。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します
あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。
異世界パルメディアは、大魔法文明時代。
だが、その時代は崩壊寸前だった。
なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。
マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。
追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。
ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。
世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。
無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。
化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。
そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。
当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。
ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。
名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる