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プロローグ
2 俺は吸血鬼ハイブリッド
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そう思ったところで親父の声がする。
「おいおい、何を死んだ気になっているんだ」
えっ!?
改めて身体に意識をやると、胸の熱さも痛みも消えていた。
しかし服には穴が空いている。
だが体は……傷が塞がっている!
「これで気づいただろう。お前は簡単には死なない。まあ最低300年はな」
そう言って親父はくるくるっと銃を回転させて内ポケットに仕舞う。
何だそりゃ、どういう意味だ。
本来の俺なら断固無視するところだ。
でも今は動かぬ証拠がある。
他ならぬ俺自身の身体にだ。
悔しいが話を聞く必要があるようだ。
俺は親父をにらみつける。
「一体何なんだ」
「お前の正体は吸血鬼ハーフだ。まあ母親も力ある存在だから、ハーフと言うよりハイブリッドと言った方がいいかもしれんが」
「冗談だろ、そんな単語はゲームと話の中だけにしてくれ」
常識論で反論するが、証拠の一部は既に見てしまった。
「何ならもう一度確認するか」
親父はそう言ってすっと懐から拳銃を出汁、構える。
「よしてくれ」
治るとわかっていても、あれは結構痛かった。
さっき体験したし、もう懲り懲りだ。
「まあいきなりそんな事を言われても、信じる奴はゲーム脳くらいだろう。なら他にも証拠を見せてやろう」
「痛いのはもうごめんだぜ」
俺、我ながらちょっと弱気になっている。
「例えば私も吸血鬼だと言ったらどうする。そして例えば」
ふっと親父の姿がかき消える。
代わりにそこには、ぱたぱたしている小型小動物が居た。
コウモリという奴だ。
これはチャンスだ!
俺は手元の漫画本を投げる。
残念、コウモリはすっと避けてしまった。
そしてまた、人間の姿に戻る。
「油断も隙も無いな。まさか狙っていたとは」
「さっきの銃弾のお返しだ。どうせこれ位では死なないんだろう」
「まあな。さてここからが本題だ」
親父はそう言うと、何処からとも無く中身入りの角3形紙封筒を取り出した。
「高校1年途中で失敗したお前にもう一度チャンスをやる。この学校に入学しろ。手続きはしてある」
え、何だって。
意味がわからない。
「聞こえなかったか。高校への再入学のご案内だ。もう一度青き春を楽しめるチャンスだぞ。今度こそはリア充を目指せよな」
聞き間違いじゃなかったようだ。
しかし言っている事に無理がある。
「親父、俺はもう36だぜ。今更高校って年齢じゃねえよ」
そうなのだ。
既に外見は立派な中年男、いや髭ボウボウ髪ボサボサの、立派じゃない中年男だ。
「甘いな。吸血鬼にとって外見年齢など意味はない。つまりだな」
親父は右手をすっと上に上げる。
「イェィ!」
あ、外見が20代に若返りやがった。
しかし俺としては突っ込みたい点がある。
「親父、ポーズが古い」
今の時代にプレスリーはないだろう。
「これでも400歳は超えているからな。100年程度は誤差だ。そういう訳でお前もきっちりと若返らせてやる。ついでに能力も少し引き出しておいてやるから安心しろ」
若いままの親父は俺に向かって右手を突き出す。
「どーん!」
それって何処かの黒いセールスマンの真似じゃなかろうか。
そう思った次の瞬間、強い衝撃とともに俺の意識は消え失せた。
◇◇◇
そして気づいた時には、もう親父は居なかったという訳だ。
残っていたのは例の角3形紙封筒のみ。
ゲームは討伐寸前だった敵に反撃され、ゲームオーバーになっていた。
興をそがれたのでパソコンは無視し、親父の残した紙封筒の中身の点検に入る。
中に入っていたのは4枚のメモと学校のパンフレットだった。
まずはメモから見てみる。
1枚目は学校への行き方を詳細に書いたメモ。
2枚目はゲート一覧表という題で地図と住所等が書かれたもの。
3枚目は『龍洋の使える可能性がある能力一覧』という題の表。
4枚目のメモは殴り書きだ。『手続きは全て済んだ。4月までに入校・入寮しない場合はクレジットカードを止める。心しろ』とだけ書いてある。
つまり俺には逃げ道がない、という事か。
でもまあ、また高校生をやり直すのも悪くはないかもしれない。
まあまだ3月になったばかりだし、日程的には余裕だ。
そう思った俺が真っ先に読み始めたのは、当然3枚目だ。
自分が超能力を使えるとなれば、気になるのは仕方ない。
書かれている能力は結構多い。
○ 常時発動中の系統
・ 筋力強化
・ 視力強化(暗所、遠距離)
・ 思考加速
・ 高速回復(体力回復、再生能力)
・ 高持続力
・ 長寿・遅老(制限有)
○ 意識しての発動が必要な系統(確実に習得可能かは不明)
・ 外見変化
・ 霧化
・ 蝙蝠化
・ 魅了(性別、種族問わず)
・ 眷属化、眷属召喚(注意事項有※1)
・ 雨乞(低気圧召喚、積乱雲召喚、地熱上昇)
・ 託宣(限定未来予知)
・ 龍化(東洋龍、飛行可、ブレス(種別不明)使用可、超高耐久)
・ 飛行
・ 透明化
・ 被召喚(疑似瞬間移動)
・ 属性下の事物操作(何の属性かは不明)
・ 他は不明
どうやら俺の母親は東洋龍関連の何からしいと感じる。
雨乞いとか龍化とかの能力からの推測だけれども。
さて、とりあえず便利そうな能力を試してみよう。
飛行! 念じるが飛べない。
少しジャンプしてみる。落ちる。
もう少し強くジャンプ。落ちる。
なら勢いよくジャンプ!
グァツーン! 痛え!天井に頭ぶつけた。
興がそがれたので、能力調査はそこまでにする。
このジャンプ力からすると、とりあえず筋力強化は確かだろう。
気がつくと部屋の照明が消えている。
照明無しでカーテン閉めっぱなしの中、これだけ普通に物が見えるという事は、視力強化も確かだ。
どうやら『意識しての発動が必要な系統』の能力は、今の時点では使えないようだ。
きっと習得に努力なり、それなりの方法が必要なのだろう。
それを学校で教えてくれるかは……
まあ、ありえ無いだろう。当たり前だけれど。
「おいおい、何を死んだ気になっているんだ」
えっ!?
改めて身体に意識をやると、胸の熱さも痛みも消えていた。
しかし服には穴が空いている。
だが体は……傷が塞がっている!
「これで気づいただろう。お前は簡単には死なない。まあ最低300年はな」
そう言って親父はくるくるっと銃を回転させて内ポケットに仕舞う。
何だそりゃ、どういう意味だ。
本来の俺なら断固無視するところだ。
でも今は動かぬ証拠がある。
他ならぬ俺自身の身体にだ。
悔しいが話を聞く必要があるようだ。
俺は親父をにらみつける。
「一体何なんだ」
「お前の正体は吸血鬼ハーフだ。まあ母親も力ある存在だから、ハーフと言うよりハイブリッドと言った方がいいかもしれんが」
「冗談だろ、そんな単語はゲームと話の中だけにしてくれ」
常識論で反論するが、証拠の一部は既に見てしまった。
「何ならもう一度確認するか」
親父はそう言ってすっと懐から拳銃を出汁、構える。
「よしてくれ」
治るとわかっていても、あれは結構痛かった。
さっき体験したし、もう懲り懲りだ。
「まあいきなりそんな事を言われても、信じる奴はゲーム脳くらいだろう。なら他にも証拠を見せてやろう」
「痛いのはもうごめんだぜ」
俺、我ながらちょっと弱気になっている。
「例えば私も吸血鬼だと言ったらどうする。そして例えば」
ふっと親父の姿がかき消える。
代わりにそこには、ぱたぱたしている小型小動物が居た。
コウモリという奴だ。
これはチャンスだ!
俺は手元の漫画本を投げる。
残念、コウモリはすっと避けてしまった。
そしてまた、人間の姿に戻る。
「油断も隙も無いな。まさか狙っていたとは」
「さっきの銃弾のお返しだ。どうせこれ位では死なないんだろう」
「まあな。さてここからが本題だ」
親父はそう言うと、何処からとも無く中身入りの角3形紙封筒を取り出した。
「高校1年途中で失敗したお前にもう一度チャンスをやる。この学校に入学しろ。手続きはしてある」
え、何だって。
意味がわからない。
「聞こえなかったか。高校への再入学のご案内だ。もう一度青き春を楽しめるチャンスだぞ。今度こそはリア充を目指せよな」
聞き間違いじゃなかったようだ。
しかし言っている事に無理がある。
「親父、俺はもう36だぜ。今更高校って年齢じゃねえよ」
そうなのだ。
既に外見は立派な中年男、いや髭ボウボウ髪ボサボサの、立派じゃない中年男だ。
「甘いな。吸血鬼にとって外見年齢など意味はない。つまりだな」
親父は右手をすっと上に上げる。
「イェィ!」
あ、外見が20代に若返りやがった。
しかし俺としては突っ込みたい点がある。
「親父、ポーズが古い」
今の時代にプレスリーはないだろう。
「これでも400歳は超えているからな。100年程度は誤差だ。そういう訳でお前もきっちりと若返らせてやる。ついでに能力も少し引き出しておいてやるから安心しろ」
若いままの親父は俺に向かって右手を突き出す。
「どーん!」
それって何処かの黒いセールスマンの真似じゃなかろうか。
そう思った次の瞬間、強い衝撃とともに俺の意識は消え失せた。
◇◇◇
そして気づいた時には、もう親父は居なかったという訳だ。
残っていたのは例の角3形紙封筒のみ。
ゲームは討伐寸前だった敵に反撃され、ゲームオーバーになっていた。
興をそがれたのでパソコンは無視し、親父の残した紙封筒の中身の点検に入る。
中に入っていたのは4枚のメモと学校のパンフレットだった。
まずはメモから見てみる。
1枚目は学校への行き方を詳細に書いたメモ。
2枚目はゲート一覧表という題で地図と住所等が書かれたもの。
3枚目は『龍洋の使える可能性がある能力一覧』という題の表。
4枚目のメモは殴り書きだ。『手続きは全て済んだ。4月までに入校・入寮しない場合はクレジットカードを止める。心しろ』とだけ書いてある。
つまり俺には逃げ道がない、という事か。
でもまあ、また高校生をやり直すのも悪くはないかもしれない。
まあまだ3月になったばかりだし、日程的には余裕だ。
そう思った俺が真っ先に読み始めたのは、当然3枚目だ。
自分が超能力を使えるとなれば、気になるのは仕方ない。
書かれている能力は結構多い。
○ 常時発動中の系統
・ 筋力強化
・ 視力強化(暗所、遠距離)
・ 思考加速
・ 高速回復(体力回復、再生能力)
・ 高持続力
・ 長寿・遅老(制限有)
○ 意識しての発動が必要な系統(確実に習得可能かは不明)
・ 外見変化
・ 霧化
・ 蝙蝠化
・ 魅了(性別、種族問わず)
・ 眷属化、眷属召喚(注意事項有※1)
・ 雨乞(低気圧召喚、積乱雲召喚、地熱上昇)
・ 託宣(限定未来予知)
・ 龍化(東洋龍、飛行可、ブレス(種別不明)使用可、超高耐久)
・ 飛行
・ 透明化
・ 被召喚(疑似瞬間移動)
・ 属性下の事物操作(何の属性かは不明)
・ 他は不明
どうやら俺の母親は東洋龍関連の何からしいと感じる。
雨乞いとか龍化とかの能力からの推測だけれども。
さて、とりあえず便利そうな能力を試してみよう。
飛行! 念じるが飛べない。
少しジャンプしてみる。落ちる。
もう少し強くジャンプ。落ちる。
なら勢いよくジャンプ!
グァツーン! 痛え!天井に頭ぶつけた。
興がそがれたので、能力調査はそこまでにする。
このジャンプ力からすると、とりあえず筋力強化は確かだろう。
気がつくと部屋の照明が消えている。
照明無しでカーテン閉めっぱなしの中、これだけ普通に物が見えるという事は、視力強化も確かだ。
どうやら『意識しての発動が必要な系統』の能力は、今の時点では使えないようだ。
きっと習得に努力なり、それなりの方法が必要なのだろう。
それを学校で教えてくれるかは……
まあ、ありえ無いだろう。当たり前だけれど。
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