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4章
脅し
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ドアを勢いよく開けて店内に入ってきた金髪の女性は、そのまま俺達・・・
というか俺の元へと向かってきた。
周りの客も何事かとこちらを見てくる。
マジで誰だ?こいつ。
「ルナ君、この間デートしてる時に会った自称王女様だよ」
「あぁ、そういえばそんなの居たな」
そういえばデートの邪魔をしてきて散々この国をバカにした挙句、俺のことを勧誘してきたやつだ。
あれで勧誘できると思ってたのかね。
「自称じゃないですわ!ちゃんとした王女ですわ!というか、今まで忘れていたんですの!!?」
「・・・で、何の用だ?見ての通り俺達は友人と食事中なんだが?」
俺が問いかけると、金髪は咳を一つして答える。
「この間の続きですわ、貴方を勧誘しに来ましたの」
「帰れ」
俺は即答し、食事に手を付け始めた。
それに続いて精霊王達、そして皆も食事をし始めた。
金髪は俯き、肩をプルプル震わせていると思ったら一気に顔をあげる。
その顔はどこか自信に満ちているように感じる。
「あら?そんなことをおっしゃっていいのかしら?」
「ん?」
「この場で言ってしまってもいいのかしら?」
金髪は俺のほうへ近づき、耳元で囁いた。
「あなたの本当の家族について、ですわ」
「!?」
予想外の内容に驚いてしまった。
なんでコイツがその話を知ってるんだ!?
ルーシーやアイリーン、ザックなどは俺のことを言いふらしてる様子はないし、ばれることはないと思っていたんだが・・・。
「クスッ、いい反応ですわね。さあどうしますの!?言いふらされたくないなら私に仕えなさい!」
王女ともあろう者が人を脅すとは恐れ入った。
これほどクズだとは思ってもみなかった。
しかし、どうするか・・・。
コイツに仕えないと家のことを言いふらされるのか、そうなると非常に・・・、非常に?
いや、待てよ?言いふらされたって俺には関係なくないか?
困るのはルーシー達・・・ヘイルズ家の人間が困るだけで、俺には被害なくね?
そう考えると、次第に金髪への怒りがこみあげてくる。
アリスが勧誘してきたときはこんなやり方じゃなかったが、こいつに至ってはこの国をバカにしたようなことを言ったり、脅して来たりと・・・。
そっちがその気なら、こっちにだって考えがある。
「そうか、言いたければ勝手に言えばいい。何を言われようが俺はお前に、お前の国に仕える気はない。しかし・・・」
俺は魔力を込めた殺気を放ちながら、金髪の顔を見る。
エド達は俺の殺気に気が付いたのか、顔をこわばらせて様子をうかがっている。
ルーシーだけは驚いて腰を抜かしていたが。
金髪は殺気を感じることはできていなかったが、雰囲気が変わったことには気が付いたのか
一歩、二歩と後ろに下がっていく。
「こっちを脅してくるような奴だ、これから先、何をしでかすか分からないな。・・・今のうちに潰しておくか」
俺が殺気を放ったまま金髪に向かって歩き出すと、それに合わせて金髪は後ろに下がる。
そのまま金髪は壁にぶつかり、へたり込んでしまう。
体を震わせ、こちらを見つめてくる金髪の顔は恐怖で歪んでいる。
この様子ならもう関わってくることはないだろう。
俺は殺気を止める。
周りを見回すと、全員がひきつった表情でこちらを見つめている。
しまった、周りには他の客がいるんだった・・・。
「あー、せっかくの食事に水を差してしまって申し訳ない。ここは俺が奢るから、存分に食べてくれ」
少し慌ててしまい、この間エドに教えてもらったことを実践してしまった。
酒場の冒険者はともかく、ここってそういう場所じゃないから!
と、後悔していたが意外にも反応はよく、金髪が入ってくる前の雰囲気に戻った。
なんか・・・たくましいな。
エド達は既に食事を再開していたので、俺も席に戻り食事を再開する。
ルーシーは最後まで追いついていない様子だったが、最終的に諦めたのか食事をし始めた。
そのまま食事を続けていると、またも見覚えがある顔が店の中に入ってきた。
「すみません、こちらにレベッカ様は・・・レベッカ様!?」
入ってきた女性は、黒服に身を包んだ女性だった。
☆☆☆
「このたびは本当に申し訳ございませんでした!」
黒服の女性が事情を聴いてきたので、起きたことをそのまま話すと顔を真っ青にしながら俺に謝罪してきた。
謝罪とか別にいいから帰ってくれないかな、ホント・・・。
いや、ちょうど全員食べ終えたので俺達が帰るわ。
俺達が席を立つと、女性が腰につけている袋を取り外し、金貨を取り出す。
「ここの支払いは私が持ちます!」
黒服の女性がそう言ってきたが、いいのだろうか。
ここにいる全員分を払うことになってるのだが・・・。
そのことを伝えると、顔が引きつりながらも「は、払います・・・」といい、袋ごと金を俺に渡してきた。
この黒服の女性には悪いことをしたな。と思いながらも、その金で支払いを終える。
さて・・・帰ろう。
というか俺の元へと向かってきた。
周りの客も何事かとこちらを見てくる。
マジで誰だ?こいつ。
「ルナ君、この間デートしてる時に会った自称王女様だよ」
「あぁ、そういえばそんなの居たな」
そういえばデートの邪魔をしてきて散々この国をバカにした挙句、俺のことを勧誘してきたやつだ。
あれで勧誘できると思ってたのかね。
「自称じゃないですわ!ちゃんとした王女ですわ!というか、今まで忘れていたんですの!!?」
「・・・で、何の用だ?見ての通り俺達は友人と食事中なんだが?」
俺が問いかけると、金髪は咳を一つして答える。
「この間の続きですわ、貴方を勧誘しに来ましたの」
「帰れ」
俺は即答し、食事に手を付け始めた。
それに続いて精霊王達、そして皆も食事をし始めた。
金髪は俯き、肩をプルプル震わせていると思ったら一気に顔をあげる。
その顔はどこか自信に満ちているように感じる。
「あら?そんなことをおっしゃっていいのかしら?」
「ん?」
「この場で言ってしまってもいいのかしら?」
金髪は俺のほうへ近づき、耳元で囁いた。
「あなたの本当の家族について、ですわ」
「!?」
予想外の内容に驚いてしまった。
なんでコイツがその話を知ってるんだ!?
ルーシーやアイリーン、ザックなどは俺のことを言いふらしてる様子はないし、ばれることはないと思っていたんだが・・・。
「クスッ、いい反応ですわね。さあどうしますの!?言いふらされたくないなら私に仕えなさい!」
王女ともあろう者が人を脅すとは恐れ入った。
これほどクズだとは思ってもみなかった。
しかし、どうするか・・・。
コイツに仕えないと家のことを言いふらされるのか、そうなると非常に・・・、非常に?
いや、待てよ?言いふらされたって俺には関係なくないか?
困るのはルーシー達・・・ヘイルズ家の人間が困るだけで、俺には被害なくね?
そう考えると、次第に金髪への怒りがこみあげてくる。
アリスが勧誘してきたときはこんなやり方じゃなかったが、こいつに至ってはこの国をバカにしたようなことを言ったり、脅して来たりと・・・。
そっちがその気なら、こっちにだって考えがある。
「そうか、言いたければ勝手に言えばいい。何を言われようが俺はお前に、お前の国に仕える気はない。しかし・・・」
俺は魔力を込めた殺気を放ちながら、金髪の顔を見る。
エド達は俺の殺気に気が付いたのか、顔をこわばらせて様子をうかがっている。
ルーシーだけは驚いて腰を抜かしていたが。
金髪は殺気を感じることはできていなかったが、雰囲気が変わったことには気が付いたのか
一歩、二歩と後ろに下がっていく。
「こっちを脅してくるような奴だ、これから先、何をしでかすか分からないな。・・・今のうちに潰しておくか」
俺が殺気を放ったまま金髪に向かって歩き出すと、それに合わせて金髪は後ろに下がる。
そのまま金髪は壁にぶつかり、へたり込んでしまう。
体を震わせ、こちらを見つめてくる金髪の顔は恐怖で歪んでいる。
この様子ならもう関わってくることはないだろう。
俺は殺気を止める。
周りを見回すと、全員がひきつった表情でこちらを見つめている。
しまった、周りには他の客がいるんだった・・・。
「あー、せっかくの食事に水を差してしまって申し訳ない。ここは俺が奢るから、存分に食べてくれ」
少し慌ててしまい、この間エドに教えてもらったことを実践してしまった。
酒場の冒険者はともかく、ここってそういう場所じゃないから!
と、後悔していたが意外にも反応はよく、金髪が入ってくる前の雰囲気に戻った。
なんか・・・たくましいな。
エド達は既に食事を再開していたので、俺も席に戻り食事を再開する。
ルーシーは最後まで追いついていない様子だったが、最終的に諦めたのか食事をし始めた。
そのまま食事を続けていると、またも見覚えがある顔が店の中に入ってきた。
「すみません、こちらにレベッカ様は・・・レベッカ様!?」
入ってきた女性は、黒服に身を包んだ女性だった。
☆☆☆
「このたびは本当に申し訳ございませんでした!」
黒服の女性が事情を聴いてきたので、起きたことをそのまま話すと顔を真っ青にしながら俺に謝罪してきた。
謝罪とか別にいいから帰ってくれないかな、ホント・・・。
いや、ちょうど全員食べ終えたので俺達が帰るわ。
俺達が席を立つと、女性が腰につけている袋を取り外し、金貨を取り出す。
「ここの支払いは私が持ちます!」
黒服の女性がそう言ってきたが、いいのだろうか。
ここにいる全員分を払うことになってるのだが・・・。
そのことを伝えると、顔が引きつりながらも「は、払います・・・」といい、袋ごと金を俺に渡してきた。
この黒服の女性には悪いことをしたな。と思いながらも、その金で支払いを終える。
さて・・・帰ろう。
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