52 / 64
第三は試験と謎解き
戦略か正面か。
しおりを挟む
回想を終えた私は、机に突っ伏していた体を起こす。
やること自体はシンプル。
いつも通りテストを受けて、その後に出題された事件の謎を誰よりも早く解く。
それだけ…それだけなのだ。
「でも…意外に難しいわね。」
私がそう呟くと、部屋でベッドメイクをしてくれていたメイドのアメリアが私に声をかける。
「定期テストのことですか?」
「いいえ、試験は難しくも何ともないわ、いつも通り上位を取るもの。」
「では、お妃様選定試験のことですか?」
「まぁ、そんなところよ。
テストの結果で、どんな内容が回ってくるかわからないから。」
「確か、順位によってその後の課題の難易度が変わる…でしたっけ?」
「そうよ」
一番を取る自信はあるわ、けれど本当にそこに全力を出してもいいのかしら。
それで簡単な事件が回ってくるのは結構ですけれど、ヒントがない。
万一簡単な事件でもヒントがなければ解けないような謎だったら?
謎が解けても、他の2人に先を越されたら意味がないわ。
「わざと下の点を取ればむずかしい事件が回ってくる代わりにヒントがたくさんもらえる。
でも一位通過ならヒントは少ない代わりに簡単な問題…どちらがいいのかしら。」
これでもう2つも負けている。
試験が後どれだけ続くかわからないけれど、これでどちらかに勝ちを持っていかれたら脱落は確実。
リーブ様にいくら婚約者がいて形だけの参加だと言っても、今回のことで認められれば妃の座に着く可能性もある。
そうである以上、私は今もう崖っぷちにいるのは間違いない。
勝つつもりなら…ここは素直にテストを受けるより、作戦を立てた方がいい?
いいえ、でもそうとも限らないわ。
結果だけで勝敗を決めると言ったって、過程を見ないとも限らない。
テストの点数が悪ければ事件が解けたとしても問題視されるかもしれない。
このテスト…どう挑めばいいのかしら。
それによって作戦が変わるわ。
私は本を見つめながら本気で悩んだ。
そんな私に対してアメリアが投げかけた言葉は、あっけらかんとしたストレートな意見でした。
「お嬢様らしくないですね、そんなことで悩むなんて」
「私らしく…ない?」
「いつもなら、そんなずるいことを考えず全力で一位を取りに行くではありませんか」
「…」
言われてみればそうね。
確かに私は前世からずっと実力主義ですわ。
全力でやらない者に、相手を馬鹿にする資格はない。
出来ないことで相手を罵るのは愚かな行為。
大体、この試験を受けることにした理由だって、中途半端なのが嫌だからよ。
なら、答えはもう決まってるわ。
「アメリア、ありがとう。
そうよね、何をずるいことを考えていたのかしら。
戦略のために手を抜くだなんて…許されることではないわ。」
私は顔をパンパンと両手で叩くと、本を開き勉強に励んだ。
「正々堂々と戦うだけよ。」
やること自体はシンプル。
いつも通りテストを受けて、その後に出題された事件の謎を誰よりも早く解く。
それだけ…それだけなのだ。
「でも…意外に難しいわね。」
私がそう呟くと、部屋でベッドメイクをしてくれていたメイドのアメリアが私に声をかける。
「定期テストのことですか?」
「いいえ、試験は難しくも何ともないわ、いつも通り上位を取るもの。」
「では、お妃様選定試験のことですか?」
「まぁ、そんなところよ。
テストの結果で、どんな内容が回ってくるかわからないから。」
「確か、順位によってその後の課題の難易度が変わる…でしたっけ?」
「そうよ」
一番を取る自信はあるわ、けれど本当にそこに全力を出してもいいのかしら。
それで簡単な事件が回ってくるのは結構ですけれど、ヒントがない。
万一簡単な事件でもヒントがなければ解けないような謎だったら?
謎が解けても、他の2人に先を越されたら意味がないわ。
「わざと下の点を取ればむずかしい事件が回ってくる代わりにヒントがたくさんもらえる。
でも一位通過ならヒントは少ない代わりに簡単な問題…どちらがいいのかしら。」
これでもう2つも負けている。
試験が後どれだけ続くかわからないけれど、これでどちらかに勝ちを持っていかれたら脱落は確実。
リーブ様にいくら婚約者がいて形だけの参加だと言っても、今回のことで認められれば妃の座に着く可能性もある。
そうである以上、私は今もう崖っぷちにいるのは間違いない。
勝つつもりなら…ここは素直にテストを受けるより、作戦を立てた方がいい?
いいえ、でもそうとも限らないわ。
結果だけで勝敗を決めると言ったって、過程を見ないとも限らない。
テストの点数が悪ければ事件が解けたとしても問題視されるかもしれない。
このテスト…どう挑めばいいのかしら。
それによって作戦が変わるわ。
私は本を見つめながら本気で悩んだ。
そんな私に対してアメリアが投げかけた言葉は、あっけらかんとしたストレートな意見でした。
「お嬢様らしくないですね、そんなことで悩むなんて」
「私らしく…ない?」
「いつもなら、そんなずるいことを考えず全力で一位を取りに行くではありませんか」
「…」
言われてみればそうね。
確かに私は前世からずっと実力主義ですわ。
全力でやらない者に、相手を馬鹿にする資格はない。
出来ないことで相手を罵るのは愚かな行為。
大体、この試験を受けることにした理由だって、中途半端なのが嫌だからよ。
なら、答えはもう決まってるわ。
「アメリア、ありがとう。
そうよね、何をずるいことを考えていたのかしら。
戦略のために手を抜くだなんて…許されることではないわ。」
私は顔をパンパンと両手で叩くと、本を開き勉強に励んだ。
「正々堂々と戦うだけよ。」
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
えっ、これってバッドエンドですか!?
黄昏くれの
恋愛
ここはプラッツェン王立学園。
卒業パーティというめでたい日に突然王子による婚約破棄が宣言される。
あれ、なんだかこれ見覚えがあるような。もしかしてオレ、乙女ゲームの攻略対象の一人になってる!?
しかし悪役令嬢も後ろで庇われている少女もなんだが様子がおかしくて・・・?
よくある転生、婚約破棄モノ、単発です。
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。
ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)
夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。
ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。
って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!
せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。
新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。
なんだかお兄様の様子がおかしい……?
※小説になろうさまでも掲載しています
※以前連載していたやつの長編版です
異世界転生したら悪役令嬢じゃなくイケメン達に囲まれちゃいましたっ!!
杏仁豆腐
恋愛
17歳の女子高生が交通事故で即死。その後女神に天国か地獄か、それとも異世界に転生するかの選択肢を与えられたので、異世界を選択したら……イケメンだらけの世界に来ちゃいました。それも私って悪役令嬢!? いやそれはバッドエンドになるから勘弁してほしいわっ! 逆ハーレム生活をエンジョイしたいのっ!!
※不定期更新で申し訳ないです。順調に進めばアップしていく予定です。設定めちゃめちゃかもしれません……本当に御免なさい。とにかく考え付いたお話を書いていくつもりです。宜しくお願い致します。
※タイトル変更しました。3/31
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる